TS成り代わり殴りヒーラー家入硝子さん~幽遊白書好きが呪術廻戦の世界に転生して仙水忍の『霊光裂蹴拳』を極めたら~ 作:a-ru
ただニッチすぎるので合わないかもしれません。
ここまで本作をお読みいただき、本当にありがとうございました。
突然のお知らせとなってしまいますが、本作はここで『未完』とさせていただきます。
最後まで書き切ることができず、続きを楽しみにしてくださっていた方には申し訳ありません。
本作は当初、『呪術廻戦の世界に家入硝子としてTS転生した格闘技好きの主人公が、仙水忍の霊光裂蹴拳を目指す』という、かなり勢い任せの発想から始めた作品でした。
そこから書き進めていくうちに、原作では袂を分かつはずだった五条、夏油、硝子の三人をそのまま一緒に歩ませたくなり、夏油の闇堕ちを回避し、灰原を生存させ、原作とは大きく異なる世界線へと変化していきました。
そして今回、原作0巻相当となる『百鬼夜行』までを書き終えたところで、この先について改めて考えました。
原作本編へ入れば、当然ながら虎杖悠仁たちの物語が始まります。
しかし、本作の世界には既に五条悟だけでなく、教師となった夏油傑、そして反転術式を攻撃にも使用できる家入硝子が存在しています。
少年院へ硝子が駆けつければ虎杖は死なないかもしれない。
漏瑚が五条を襲撃しても、そこに硝子がいれば正のエネルギーによって早々に祓われてしまうかもしれない。
かといって、原作イベントのたびに「今回は硝子がいませんでした」という理由を作り続けるのも違う。
それならば原作から大きく離れたオリジナル展開を書いていくしかないのですが、そこを自分自身が納得できる形で最後まで書き続けるモチベーションと自信を維持することが難しくなってしまいました。
中途半端な状態で更新が止まり、そのまま何も言わずに長期間放置するよりは、ここで一度きちんと区切りをつけようと思います。
ただ、先の展開について何も考えていなかったわけではありません。
むしろ「ここを書きたい」という場面はいくつもありました。
せっかくなので、以下に本作で予定していた今後の展開を簡単に残しておきます。
なお、あくまで構想段階のものなので、実際に執筆していた場合は変更していた可能性があります。
【乙骨編・その後】
狂言だった百鬼夜行が終わった後、当然ながら乙骨たちにはすべてネタバラシする予定でした。
夏油が本当に呪詛師へ堕ちたわけではなく、乙骨を成長させるために五条、夏油、硝子たちが仕組んだ大掛かりな実地試験だったこと。
真希、パンダ、狗巻も無事だったこと。
おそらく真希は夏油へ薙刀を投げつけ、パンダは「大人三人で何やってんだ!」と総ツッコミし、狗巻は静かに怒り、乙骨は仲間たちが生きていたことに泣いて安心した後、「僕、本気で先生を殺そうとしたんですけど!?」と怒ることになっていたと思います。
美々子と菜々子も、最初は事情を知る側だったものの、父親である夏油が本当に右腕を失うほど死にかけたことについては普通にキレる予定でした。
そして、百鬼夜行の最後に夏油の『うずまき』を妨害した極小呪霊について、五条たちは「自分たち以外の第三者が最初からこの茶番を監視していた」ことに気づきます。
【2018年・虎杖悠仁たち】
その後は時間を進め、原作本編へ入る予定でした。
ただし、原作そのままではなく、この世界線だからこそ事件そのものが徐々に変化していく形を考えていました。
宿儺の指を食べた虎杖悠仁と硝子が出会い、医者である硝子が『両面宿儺の器』となった虎杖の身体を診察する。
少年院事件についても、原作通り虎杖が死亡するのではなく、硝子や夏油の存在によって原作から大きく外れていく予定でした。
そして、その変化そのものを、裏で暗躍する羂索が観察していきます。
【真人】
本作の硝子は、呪霊に対して反転術式の正のエネルギーを直接流し込めるため、通常の呪霊にとって非常に相性の悪い存在です。
そのため、特に真人とは原作とは別の因縁を持たせる予定でした。
肉体を治療する硝子。
魂の形を変えることで肉体を歪める真人。
『人を治す者』と『人を弄ぶ者』として、正反対の存在です。
硝子なら真人本体を追えば仕留められるかもしれない。
しかし真人が改造人間を大量に残して逃げれば、医者である硝子は苦しんでいる人間を見捨てて追撃することができない。
強さそのものではなく、『医者であること』を硝子の弱点として利用する敵にしたいと考えていました。
また、後述する計画のために無為転変を必要としている縫い目の女にとっても、この世界線では真人を簡単に失うわけにはいきません。
そのため真人自身も、五条、夏油、硝子など勝ち目の薄い相手と遭遇した場合は、原作以上に撤退を優先する予定でした。
【渋谷事変】
ここはかなり先まで構想していました。
本作では夏油が死亡していないため、当然ながら原作のように夏油傑の肉体を羂索が使用することはできません。
代わりに彼女が使用する予定だった肉体は――天内理子です。
過去編で死亡した天内の遺体を回収しており、その肉体を乗っ取る。
そして渋谷の地下で、五条悟と夏油傑の前へ姿を現す。
「――久しぶりじゃな、二人とも!」
十一年前に救えなかった少女が、頭に縫い目を付けて笑っている。
さらに羂索はオガミ婆とも縛りを結び、降霊術によって黒井美里の『肉体の情報』を降ろした人間を、その隣へ立たせる予定でした。
ただし黒井本人の意識はありません。
理屈では偽物だと分かっていても、五条と夏油にとっては最悪の光景です。
これによって二人を一瞬停止させ、獄門疆による五条封印へ繋げる予定でした。
【渋谷での硝子】
硝子については、最初から最前線へ出すのではなく、大量に発生する負傷者の治療を担当させる予定でした。
羂索もそれを狙っています。
家入硝子を戦場から排除するために特別な術式を用意するのではなく、『負傷者を大量に作れば、医者である彼女はそこを離れられない』という考えです。
ただし途中からは前線へ出る予定でした。
候補として考えていたのが陀艮戦です。
本作では伏黒甚爾が原作と同じ形で渋谷へ乱入する展開にはならないため、原作で甚爾が担った陀艮戦への乱入役を硝子に変更。
七海、真希、直毘人たちが陀艮の領域で追い詰められたところへ硝子が現れ、『廻生鉄条閣』を使用して陀艮と強制的な一対一へ持ち込む展開などを考えていました。
そして戦闘後には負傷した七海たちを治療。
本作では可能な限り七海も生存させる予定でした。
【灰原雄VS裏梅】
本作では生存している灰原にも、原作には存在しなかった見せ場を作る予定でした。
候補が裏梅との戦闘です。
後に『ファントムパレード』で明かされた灰原雄の術式『蒸気呪法』は、体内に蒸気機関のような構造を作り、身体能力を強化するというものでした。
ゲーム上では凍結への耐性も持っていたため、
『氷を操る裏梅』
VS
『蒸気と熱を操る灰原』
という非常に相性の良い戦いができそうだと考えていました。
原作では若くして死亡した灰原が、本作では成長した一級術師として渋谷に立ち、七海とは別の場所で強敵を食い止める。
これはかなり書いてみたかった場面の一つです。
【死滅回游について】
ここが原作から最も大きく変わる予定でした。
夏油の肉体を持たない以上、羂索には『呪霊操術で真人を取り込み、うずまきによって無為転変を抽出する』という原作の方法が使えません。
そのため、真人本人と縛りを結び、必要なタイミングで無為転変を使用させる方向を考えていました。
さらに、天内理子の肉体を使用していることにも意味を持たせる予定でした。
本来、天元と同化するために生まれた星漿体――天内理子。
その肉体を乗っ取ったまま天元と同化する。
そして外側から天元を支配するのではなく、天元の内側へ入り込み、日本全土へ張り巡らされた結界そのものを奪い取っていく。
原作とは別の方法で、羂索が日本そのものを巨大な儀式場へ変えていく展開を考えていました。
【最終章】
最終的なラスボス候補は二つ。
完全体となった両面宿儺。
そして、天元と同化し、日本全土の結界を掌握した羂索。
味方側が原作以上に強化されているなら、敵側も強くすればいい、という単純な発想です。
五条悟、夏油傑、家入硝子。
乙骨憂太、虎杖悠仁たち。
生き残った七海、灰原。
原作では失われた人々が生存している代わりに、敵側も原作とは違った形でより強大になっていく。
最後には完全体宿儺との決戦と、天元そのものを奪った羂索との決戦を並行して描くことを考えていました。
硝子については、単純な戦闘力で最後の敵を殴り倒すだけではなく、これまで磨いてきた反転術式と魂への理解を使い、
『天元と天内理子の肉体へ混ざり込んだ異物だけを引き剥がす』
という、医者としての最終到達点を作れないかとも考えていました。
――以上が、現時点で考えていた大まかな今後の展開です。
書いてみたかった場面を並べていると、自分でも「ここまで書けたらな」と思うところはあります。
ですが、物語としてそこへ辿り着くまでの道筋を含め、自分が納得できる状態で書き続けることが難しいと判断しました。
そのため、本作はいったんここで筆を置かせていただきます。
ここまで書き続けることができたのは、読んでくださった皆様のおかげです。
感想、評価、ブックマークなど、反応をいただくたびに「続きを書こう」と何度も励まされました。
家入硝子というキャラクターを主人公にして、五条や夏油たちと馬鹿をやらせ、原作では失われた人たちを少しでも救っていく。
そんな好き勝手な二次創作に、ここまで付き合っていただけたことを心から嬉しく思います。
最後まで物語として完結させることができず、本当に申し訳ありません。
そして――ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。