ドラゴンクエストⅥの世界に転生した一般転生者もの 作:ロクモン
俺の名前はシリウス。
レイドック城下町を拠点に活動しているただの旅人だ。
今は味方の兵士と共に、魔物の大群と交戦しながら崖下に引きづりこんでいる最中だ。
「今です!お願いします!」
合図と同時に魔物の群れに落石が降り注ぐと、近くにいたスライムベスがブシャッと潰れた音が聞こえてきた。
「•••うわぁ」
この作戦を立案したのは俺だけれど、グロいものはグロい。
崖下に魔物を誘引して、崖上に控えさせていた兵士に岩を落としてもらって殲滅するという作戦だったが思いの外うまく行った。
ゲームだと全くそんな感じはしないけど、斬りつければ血は出るしスライムを潰せば飛び散る。
流石に慣れてきたけれど、最初のうちは吐き気を催して晩御飯が口に入らなかった。
「今だ!殲滅せよ!」
兵士長の指示で一斉攻撃が始まると、俺も先陣を切り魔物に斬り込む。
数が多かったため劣勢を強いられていたが、落石のおかげでかなり数を減らすことができた。後は問題なくすり潰すことができるだろう。
ゲントの村から離れて今はレイドックの城下町で宿を取り、酒場で仕事を受けている。
今回は城の近辺で商人を襲う魔物の住処があったので、その殲滅のためにレイドック兵とともに住処を襲撃したのだ。
1年ほど前までは、レイドック王子が兵を率いて魔物を退治していたらしいのだが、魔王退治に出てから行方知れずになっており、城近辺の治安が悪化してきている。
「流石はシリウス殿ですな、助かりました」
戦闘が終わった事を確認し撤収の準備をしていると、レイドックの兵士長に話しかけられた。彼とは以前レイドックに滞在していた際にも何度か依頼で背を預けて戦っており、今では時折食事を共にする仲だ。
「いえ、流石はレイドックの兵士です。兵の練度が他国と比べても高い」
事実今回の戦いでは連携がよく取れており、負傷者はごく僅かに抑えられていた。
帰路はトヘロスを唱えた後は馬車に乗せて貰い、乗り心地は微妙だったのだがゆっくり休むことができた。
レイドック軍からの依頼は報酬も多く、物資も豊富なので比較的楽に大金を稼ぐことができ、旅の資金集めには助かっている。
城門で兵隊と別れ宿に帰り大浴場で汗を流すと、財布だけ持って街に繰り出した。
レイドック城下は以前来た時と比べると少し暗い雰囲気を漂わせている。
レイドックの民に慕われていた王子が行方不明になってからは国全体が暗くなってしまったと兵士長が嘆いていたのを思い出す。
一年前レイドックに滞在していた際には、当然ながら一介の旅人が王子に出会えるわけもなく、直接その人柄を知ることは出来なかったが、レイドック兵や民から話を聞く限りは、将来を熱望される有望な若者だったようだ。
世界を脅かす魔王の討伐には俺も参加したかったが、タイミングが悪く依頼でライフコッドの村に足を運んでいたため、折角の好機を逃すこととなったのだ。
「それにしても、魔王ムドー•••か」
前世でこのムドーという名前を聞いたことがあるような気がするのだが、天空シリーズに登場していたのか、もしくは全く別の作品のものなのかいまだによくわかっていない。
「いらっしゃい、シリウスさん」
城下町の馴染みのパン屋に入ると、店員のお姉さんに声をかけられた。
毎日のように通い詰めているせいか、最早すっかり顔馴染みになってしまった。
「何か困ったことはないかい?」
「そうね•••サンマリーノの友人が荷物を送ってくれたらしいのだけれどどうも遅れているみたいなの。もしも船着場に寄る事があったら調べてみてくれないかな?」
「わかった、任せて」
「ありがと。それで、今日はなににする?」
「塩バターパンの焼きたてを3つちょうだい」
パンを購入し、食べ歩きをしながら街を散策を始めるとパン屋の隣の井戸の前で、御婦人達の話し声が聞こえてきた。
「最近、西の森で赤い髪の女の子の幽霊を見たってうちの人が言っていたのよ」
「うちの息子もそんな事を言っていたわ」
「魔物かしらね?」
宿に戻ると相棒の“はがねのつるぎ”の手入れをしながら思考に耽る。
赤い髪の女の子の幽霊。
森を彷徨う旅人の可能性もあるが、俺が知らない魔物の可能性もあるな。
まあ本物の幽霊説もあるのだが•••ドラクエって確か幽霊も普通に出てくるんだよな。
次の旅先はまだ決まっていなかったが、レイドックの兵から月鏡の塔の話を聞くことができたし、西の森に行くついでにそこを目指してみようと思う。
何故かというと、月鏡の塔にはドラクエ作品ではよく見かけるあのラーの鏡があるらしいのだ。
後世の勇者の為にラーの鏡を回収したりするつもりは無いのだが、やはりドラクエ世界に生まれたからにはそういう有名なアイテムは一度は拝んでみたいという軽い動機ではあるが、他に行きたい場所も現状は無いことだし月鏡の塔に立ち寄ってみようかな。
次話でバーバラ出せるかなぁ?それとレックやハッサンとの合流はいつにするのか。
ドラクエⅥのプレイをしながら、オリジナルの旅イベントを小説で挟んで勇者の旅路を夢想しようと思いこの小説を書いてます。
ドラクエⅥのプレイ状況で小説の進捗は変わりますが、まだ最初のライフコッド村から出てすらいないので亀更新になりそうですね•••とりあえず月鏡の塔までは仕事が終わったらプレイしてきます。