ドラゴンクエストⅥの世界に転生した一般転生者もの   作:ロクモン

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月鏡の塔-1

俺の名前はシリウス。

月鏡の塔をこれから攻略する旅人だ。

 

「んーやっぱりカギが掛かっているな•••」

 

「うわぁ、どうしよっか?」

 

前世知識通り入り口にはカギが掛けられていた。

 

「バーバラ、何か良い案はあるか?」

 

バーバラは原作で、主人公が塔のカギを開けて入る前から塔に侵入していたことから、彼女なら別の侵入経路に辿り着けるんじゃないかという期待感から彼女に意見を求める。

すると、バーバラは腕を組んで”むむむ”っと考え始めた。

彼女に頼るだけじゃダメだと思い、塔の周囲をぐるっとみて回る事にした。

とはいえ、ゲームのマップには一階に人1人が入れる穴がある描写は存在しなかった。

そのことから穴が空いていたり、魔法で壁を破壊するって手段を取ったとは考えにくい。

 

「シリウス!」

 

バーバラの呼ぶ声に道を引き返して彼女の方に振り返るが、そこに彼女の姿は無かった。

 

「バーバラ?」

 

キョロキョロと周囲を見渡していると頭上から声が聞こえてきた。

 

「ここから入れそうだよ!」

 

なるほど、よじ登ったのか•••。

頭上を見上げるとバーバラが高い壁からひょこっと顔を出している。

よく登れたなこの娘•••。

 

「バギマ!」

 

バギ系の中位呪文であるバギマを地面に向けて放つと、体が宙に浮かび上がる、そのままバーバラの真横へと着地した。

 

「よし。って、どうしたんだ?」

 

「そういう事ができるならもっと早く言ってよ」

 

そう言ってバーバラがジトっとこちらを見つめてくる。

 

「聞かれなかったからな」

 

そう言いつつ辺りをキョロキョロと見渡すと、

右と左、それぞれに大きな塔がそびえたっている。

どちらにも入り口があるが、右の塔には扉がないが、左の塔には扉があるのが見える。

 

左の塔の扉を押したら引いたりしてみるも開く様子はなかった。

 

「開かないな」

 

「じゃあ右の塔から登ってみようよ」

 

右の塔に入ると、まず手前に階段が一つ、その奥に2本の大きな燭台があり、さらに奥にまた通路が見えた。

 

「手前の階段から登ってみよう」

 

階段を登り上の階に着くも、一面が壁になっている。

 

「何•••この部屋?」

 

壁を一通り触ってみるも仕掛けのようなものは見当たらなかったので、階段を引き返しして、奥の通路へと向かうことにした。

先を歩くバーバラが大きな燭台を通り過ぎようとしたその時、燭台の影が怪しく光ったのが見えた。

 

「バーバラ!」

 

「へ!?」

 

バーバラの手を引き、引き寄せる。

大きな燭台の裏から影のようなものが伸びてきて、さっきまでバーバラがいた場所に飛び出してきた。

 

「コイツは•••《シャドー》か」

 

《シャドー》。ドラゴンクエストでは古参のモンスターで、名前の通り影のモンスター。全身が真っ黒で、暗闇だと怪しく光る目しか見る事ができない。シリーズによっては確か青い色の個体も居たはずだが、なんで青なのかは知らない。

 

「バーバラ、俺が抑えるから隙をついて燃やしてくれ!」

 

そう言って《シャドー》に【はがねのつるぎ】を叩きつけると、《シャドー》の黒い腕に止められてしまう。

 

「メラ!」

 

バーバラの放った火球が命中すると、《シャドー》は悲鳴を上げて消えて行った。

《シャドー》は非常に守備力が高く、通常攻撃は効果が薄い。

そのため、魔法で仕留めるのが手っ取り早い敵なのだ。

 

「この塔の魔物は外の魔物に比べて遥かに厄介みたいだ、気をつけて進もう」

 

剣を納めて振り返るとバーバラが何故か顔を赤くして立っていた。

 

「バーバラ?どうした、先に行くぞ」

 

「う、うん•••」

 

 

 

2階層ほど塔を登ると、登った先の通路の奥に宝箱が見えた。

 

「お!初めてのお宝はっけーん!」

 

中には【ちからのたね】が入っていた。

滅多に手に入るアイテムではないので大事にふくろに放り込む。

 

「こんなわかりやすい所に宝箱があるって事は、この塔ってまだ誰も登った事がないのかな?」

 

「どうだろうな?レイドック王家の人間なら過去に入った事があってもおかしくはないだろうけど、そう言った人は態々宝箱を開けたりしないんだろう」

 

そこから幾つか階段を登ると、幾つかの壁に大きな鏡が貼られた部屋に出た。

 

「思い出した」

 

ここでバーバラと勇者一行は出会ったのではなかっただろうか?

大きな鏡を見ながら佇むバーバラを見ていると原作のシーンを生で見ているような気がしてちょっと感動するな。

 

「どうしたの?」

 

先ほどの呟きが聞こえたのかバーバラがこちらを振り返る。

 

「いや、なんでもない」

 

そう言って首を横に振ると、「そっか」と言ってバーバラは先へと進んだ。

バーバラの背を追いながら周囲をよく見ると、大きな鏡が貼られた壁の上に女神様と思わしき像が置かれている。この部屋はいったいなんのための部屋なのだろうか?

 

さらに階段を登ると奥にレバーのようなものがあった。

 

「シリウス、切り替えてみてもいい?」

 

目を輝かせながら聞いてくるバーバラに肯首すると、ガコンという音と共にレバーが左から右へと倒れた。

 

「•••何も起きないね?」

 

「いや、もしかしたら別の部屋で異変が起きているのかもしれない。とりあえず先に進んでみようか」

 

階段を登ると、ようやく頂上に着いたらしい。

 

「うわぁ」

 

「落ちないように気をつけてな」

 

下を見下ろすバーバラに注意を促しながら、周辺を観察する。

すると二つの塔の中間に、どうやってか小部屋のようなものが浮かんでいた。

塔から小部屋に向けて何かしらの魔法と思われる光が出ているがそれで浮いているのだろうか。

 

「あの中に鏡があるのかな?」

 

「多分。ただあそこには流石にいけないな」

 

登ってきた階段とは別に降る階段が見えたので、バーバラの手を引き階段を降りる。するとそこには紫色の水晶のようなものが鎮座したいた。

 

「これがあの部屋を浮かせているマジックアイテムか?」

 

何かわからないかと紫色の水晶を持ち上げてみるとパキッという音と共に水晶は砕け散った。

 

「•••もしかして、やっちゃった?」

 

「いや、そんな事はないはず•••」

 

そう言って屋上に戻ると、塔から出ていた光が一本消えていた。

 

「合っていたみたいだな」

 

そう言ってニヤリと笑いながら反対側の階段を降りて、同様に紫の水晶を叩き割った。

 

「これで、右側の塔から出ていた光は二つとも消えたな」

 

「でもまだ浮いてるよ。どうするの?」

 

「とりあえず下に降りて、左の塔に入れるか試してみよう」

 

「さっき切り替えたレバー、あれは左の塔の入り口のものかもしれないよ」

 

そうして俺たちは来た道を引き返した。

ゲームなら塔から飛び降りてショートカットするんだろうが、現実でそんなことをしたらまず無事では済まないので普通に降りた。




前話は見返して変だなと思ったところを都度修正しているので、気が向いた時にでも見返してみてもいいかもしれません。
現状大した変更はありませんが。

登場人物紹介
◯シリウス(16歳)
転生特典と呼べるものを一つ持っているが、本人はそれに気付いていない。
ドラクエⅥの下の世界のほとんどの街に立ち寄った事があるが、それでも【キメラのつばさ】を使わずに歩いて帰還するのは、ただ旅が好きだから。

◯バーバラ(16歳)
シリウスの使うバギマを見て、中位呪文への憧れを抱く。隙間時間でこっそり勉強中。

◯チャモロ(14歳)
変わらない修行の日々を送る。
実は家族に内緒で、近くの森で剣の稽古をしている。

◯レック(16歳)
故郷の村で妹と暮らす、心優しい青年。
妹と2人で幸せに暮らしている。最近自分をアニキと呼ぶ不審者に付き纏われている。

◯ロクモン(作者)
中古のDSiにダウンロードされていた動くメモ帳が懐かし過ぎて手が震えた。かつて小学生だった自分が保存していたお気に入り作品達を、もう見る事ができない事実に咽び泣く。

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