ドラゴンクエストⅥの世界に転生した一般転生者もの 作:ロクモン
右の塔を攻略した俺たちは、長い階段を降りて再び最初の層へと戻ってきた。
「ようやく降りてこられた〜」
最初の広場にたどり着いて、一息つく。
階段の登り降りだけでも疲労は蓄積しているのだが、道中魔物との戦闘もあり大きく魔力を消費してしまった。
「バーバラ、ここで少し休憩してから登ろうか」
外壁に腰を下ろすと、袋からクッキーを取り出してバーバラに手渡す。
「ありがとう」
クッキーを受け取るとバーバラは俺の隣に腰を下ろした。
風に吹かれて、バーバラの髪が揺れている。
あまり女性の髪型に詳しくはないのだが、この髪型の名前はなんなのだろうか?赤い髪を頭頂部で束ねて、全方向に散らしている。
確かバーバラは作中ラストの方で、勇者と両想いのような関係になっていたはずだ。ただ、物語最後では夢の世界を実体化していた大魔王の魔力が消えていくことでバーバラの姿は見えなくなり•••といった感じだったはずだ。
プレイ当時は、子供ながらちょっと切ない気持ちになった覚えがある。
あのラストはどうにか変えられないものだろうか?
「シリウス〜、そろそろ行こうよ」
「そうだな、じゃあ行こうか」
バーバラについては後でなんとかする手段を考えておくとしよう、立ち上がりバーバラの手を引き立ち上がらせると、左の塔へと足を進めた。
左の塔は右の塔とほとんど同じ構造になっていたので、迷うことなく登ることができた。
3階にまで登ったところで、鏡の形をした魔物と遭遇した。
「えぇ!?あたし達が2人になっちゃった!」
この魔物は《あくまのカガミ》という魔物で、モシャスという変身呪文でこちらの姿を模倣してくる厄介な魔物だ。
モシャスは文字通り、模写が語源なのだろう。ドラクエⅣでヒロインが勇者を助ける為に使った呪文であり、印象深い呪文である。姿だけでなく、相手の能力まで模倣してくるので非常に凶悪な呪文でもある。
習得ができれば便利な場面もあるだろうが、ドラクエⅥでは敵しか使用してこない魔法なので、習得が出来るかは不明である。
「ふっ!」
ゲーム的には《シリウスもどき》になるのだろうか。俺を模写した魔物に斬りかかると、向こうの俺も剣を構えて応じてくる。
「!!」
《シリウスもどき》の後方から《バーバラもどき》もメラを唱え、火球が俺に迫っている。火球を後方にバックステップして避ける。
接近してくる《シリウスもどき》が、上段からかえん斬りを振り下ろす。
すんでのところで回避すると、すれ違いざまに横一閃で胴体を斬る。かえん斬りの後は多少の硬直が入る。その隙を狙うべく剣を振り上げると、視界の端にメラを唱えようとする《バーバラもどき》の姿が見えた。
ボゥという音とともに、《バーバラもどき》に火球が激突した。
「まじん斬り」
ズドン!という音とともに剣が振り下ろされると、《シリウスもどき》は元の《あくまのカガミ》へと姿を変え、パキッという音とともに消滅した。
振り返ると、バーバラと《バーバラもどき》が火球を撃ち合っていた。
能力が互角とはいえ、技量はバーバラに軍配が上がっている。《バーバラもどき》へ三発ほど火球が衝突すると、《シリウスもどき》と同様に消滅していった。
「ふふん」
ドヤという効果音がつきそうな顔でバーバラがコチラを見ていたので、「流石!天才!大魔導士!」と賞賛の声をかけた。
そこから魔物と交戦を重ねつつ、5階へと上がると右の塔と同じく、壁に大きな鏡が貼られた部屋に出た。
「あれ?シリウス、この階層階段がないよ?」
階層の奥まで進んだバーバラがそんなことを言ってくる。
「まじでか」
ここに階段がないということは道を間違えたのだろうか?しかしながらこれまでの道中に、他の階段はなかったはずだ。
「バーバラ、この辺りの壁にボタンのようなものがないか探してみてくれ」
思い当たるギミックとしてまずは壁を探してみる、壁を触りながら階層を探索するも、ボタンのようなものは見つからなかった。
「戻って他の階層を探してみる?」
バーバラの提案に首を縦に振ろうとした時、バーバラの背後の鏡に違和感を感じた。
「バーバラ、後ろの鏡に階段が写ってないか?」
バーバラが振り返ると、今気付いたのか目を見開いて驚いている。
鏡に近づき階段のある場所で手を振ると、確かに石のような感触があった。
すると、先ほどまでは見えていなかった階段が突如として出現した。
「階段が透明になってたんだ•••」
階段を登り6Fへと着くと、右の塔と同じくレバーが奥に鎮座していた。「えい」とバーバラがレバーを倒すと、ガコンという音がどこかで鳴った。
「さっきのレバーは左の塔の扉だったけど、なんのレバーなんだろうね?」
「宙に浮いてた部屋の扉とかかもな、とりあえず先に進もう」
塔の屋上へ進み、右の塔と同じように紫の玉を破壊する。
すると、下の方からズゥンという大きな音が聞こえてきた。音に驚いて屋上へと向かうと、宙に浮いていた部屋が、遥か下の俺たちがいた広場へと落下していた。
「••••あれ、中の鏡は無事なのか?」
「わざわざこんな構造にしていたんだし、大丈夫だよ。多分•••」
伝説の鏡が高所から落ちたくらいで割れないでしょとバーバラは塔を降りる階段へと戻っていく。ゲームで無事であったとはいえ、流石に不安になりつつも、俺たちは塔を降っていった••••••
──────────────
──────
────
──
side ???
────ズゥゥゥゥゥウン
頭上で大きな地響きと共に、ナニカが落ちてきた音が聞こえてくる。
「!?」
「なんだ!?何があった!?」
隣で同胞が、目を見開いて驚愕している。
まさか•••!
「鏡の部屋が落ちてきたのか!?」
「バカな!誰1人この階段を通過出来ていないのだぞ!?」
「しかし、もし誰かが鏡を回収しようとしているのだとすれば•••マズイ!」
急いで階段を登り、広場へと出ると。眼前にこれまでなかったはずの部屋が鎮座していた。
「な、なんということだ•••!」
「ふぃー!やっと着いたよ〜」
「!?」
困惑していると、突如として塔からヒトの声が聞こえてきた。
声のする方へと目を向けると、開かれた塔の扉前で赤い髪のニンゲンの女が伸びをしている姿が見えた。
まあ、一階無視するならこうなるよねって。
今朝ようやく本気ムドーに勝利しました、何度も「終わった(絶望)」と呟きながらでしたがなんとか一発でクリアしました。
ほのおの爪を回収し忘れたのでまず絶望して、本気ムドー戦ではミレーユとチャモロが眠らされるたびに必死に勇者とハッサンで薬草で回復して耐久してと苦戦を強いられ、最後の方でヒーラー2人が死んで、終わりを確信したターンでなんとか削り切りました。
こんなに強かったんやなお前(ムドー)•••。