聖者ノーランドのキセキ   作:灼熱の黄金ポテト

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保存しようとしたらエラーで半分以上の文章がないなったショックで萎えてました
修正箇所すら元に戻ったせいでもう…もう…


第三話 〈旧レーヴ果樹園〉行き超特急

□王都アルテア南門前 ノーランド・バーノルン

 

 落下によるショックから立ち直ったが、その後背後にそびえ立つ門を前にして、少し尻込みしてしまう。

 しかしそんなところで終わる訳にもいかないため、勇気を出し、兵士の横を通って門をくぐる。

 何もない。

 そりゃそうか。

 変に肩透かしを食らった気もするが、とくに気に留めずに進んでいく。

 

「え〜っとぉ…確かこう…」

 

 心の中で『メインメニュー』と唱え、つまるところゲームウィンドウと呼ばれる半透明の板が目の前に現れる。

 それをスクロールしていき、目的の欄を探していく。

 

「装備…ステータス…マップ…あ、これだ」

 

 場所を確認。

 今くぐった門は南門か。

 そこから待ち合わせ場所の噴水まで一直線、分かりやすい。

 あのログイン設定でどれだけ時間を食ったか分からないため、一応地図を片手に小走りで進んでいく。

 

 

◇

 

 

「おっせぇ〜!」

「コケー!!」

「静かにしろアムザリア、早朝だぞ」

 

 噴水前について早々、やかましいヤツとニワトリみたいなモンスターにキレられた。

 アレがアイツの〈エンブリオ〉か?

 尻尾が蛇みたくなっているため、モンスターなのは確かだ。

 よく見ると、蛇は眠っているらしい。

 

「一応確認、お前やち…アムザリアだな?」

「今言いかけたなオイてめ」

 

 ごめんて。

 

「それと、アルノー・リバーストーン?」

「あぁそうだ、お前は…ユウセイ…で合ってるな?」

 

 本名の時だけ近づいて小声で伝えてきやがってネットリテラシー完璧かよ。

 こういうとこだよなーこいつ。

 

「YESだ!ちなみにこっちじゃ、ノーランド・バーノルンって名前だからな」

 

 そう言った途端、アムザリアがゲラゲラと笑いだし、アルノーが唸る。

 

「そらきた!ほらアルぅ〜言っただろ?やっぱいつも通りノーランドで来るだろって」

「賭けは俺の負けか…」

 

 …コイツら人の名前で賭けてやがる!

 

「そんじゃ、はいこれ。餞別な」

 

 そして唐突にアムザリアから手渡されたのは、【身代わり竜鱗】と呼ばれるアイテムを四つ、そして【ヒールポーションLv2】が五十本。

 

「五百か…まぁいいか、俺からもだ」

 

 アルノーからは【救命のブローチ】と呼ばれるブローチ型のアイテムを貰った。

 

「【身代わり竜鱗】は受けたダメージを10%に軽減してくれる。けど、効果終わったら100%の確率で壊れるから注意しとけよ。ポーションはアタシの持ってた余りだ、始めたてのHPなら全快、これならあんま死なねぇだろ」

 

 ま最悪売れば金になるぜ、とも言ってくれた。

 ありがてぇ…

 

「俺が渡した【救命のブローチ】は、致命ダメージを受けた際に一度だけそれを無効化してくれる。この【ブローチ】や【竜鱗】なんかのアクセサリー系は、武器や防具と違ってレベル制限がない。だから今はこれらで補強しておけ」

「了解。2人ともありがとな」

 

 貰ったアクセサリーは計5つ、そして装備できるアクセサリーの欄もちょうど五枠、そのためすぐに装備しておく。

 

「あとはジョブだな。お前今のままじゃレベル上がんねーし」

 

 つまりはニートさ笑

 謎のニワトリもどきを撫でながら、アムザリアはケラケラ笑いながら呟く。

 それに続けてアルノーが、

 

「それと装備も、だ。初期武器は何にしたんだ?」

「メイスだよ、ほれっ」

 

 俺が腰にぶら下げたメイスを見せると、二人は考え込む。

 

「メイスか…当てはまるジョブは?」

「ん?そんなのアレ一択だろ、【鎚士(メイスマン)】」

「クリスタルは?」

「あー…確かここには無ぇ…アレだ、ギデオンにあったはず」

 

 二人だけで会話が進んでいくが、知識のない俺は口を挟めるはずもなく、おとなしく聞いておく。

 

「なら最初は【戦士】だな。次は防具か。やっぱライオットか?」

「ライオット?」

「初心者御用達装備。お手軽だし、序盤は重宝するやつだ。まぁ、予算超えた分は貸しにしといてやるよ。おっし、じゃあ防具買いに行くぞ。店の方が近いからな」

 

 

◇

 

 

「おぉ…」

 

 早速店で購入した【ライオット】シリーズに身をつつみ、一息つく間もなく、ジョブクリスタルの前に到着した。

 

「【戦士】はステータスの伸びも良いし、スキルも多く覚えられる、初心者が前衛張るならオススメだ」

「よーし!聞いてても始まんねぇし、とりあえずクリスタルに触れてみろ。そんでジョブに就ける」

 

 はよしろ。ってのが本音だろう。

 反論する意味も特に無いため、言われた通りにクリスタルに触れ、無事に【戦士】に就職が完了した。

 あまり実感はないが、やっとスタート位置に立てたことは何かしら思うところがあるのか、ソワソワしてしまう。

 

「とりあえず、おめでとう。これで晴れて冒険に赴けるってわけだ」

「おぉついに…で、これから…あーなんだ、ダンジョンだとかのモンスターが湧くところでオススメな場所ってない? なるべく近場で」

「あぁ、それなら〈イースタ「〈旧レーヴ果樹園〉ってのがオススメだぜ!」

 

 何か言おうとしていたアルノーを押しのけ、アムザリアが笑顔で提案してくる。怪しい。

 にしても、〈旧レーヴ果樹園〉ねぇ…

 名前的に、使われなくなった果樹園がダンジョン化したとか、そんな感じだろうか。

 にしても、こいつがオススメするってことは十中八九なんかあるんだろうけど、それはそれとして気にはなる。

 

「〈旧レーヴ果樹園〉か……それってどこら辺に?」

 

 雑談も含めてそこそこ歩いたからか、いつの間にか南門へと辿り着き、その足取りのまま俺たち3人は門を通り抜けて草原へと出た。

 

「今通りすぎた南門から歩いて10分以上かかるが……初回特典だ。アタシが直々に送ってやろう!この“アムちゃん”に乗せて!」

「コケー!!」

 

 ドーン!とでもなりそうな勢いで“アムちゃん”を掲げるアムザリア。

 そしてそれに応じて鳴くアムちゃんは、まさしくニワトリのそれであった。

 

「…そのニワトリでか?」

 

 呆れ半分に聞くと、アムザリアが少し不機嫌な顔になる。

 

「ハァ?アムちゃんをそんなニワトリ(下等生物)と比べるんじゃねぇよ」

 

 アムザリアは掲げたアムちゃんを地面に置き、少し先の原っぱへと行くように指示する。

 アムちゃんも何をするのか理解したのか、てってこ歩いて3人から距離をとる。

 

「これを見てもまだニワトリなんて呼べるか?《制限解除》だ!【アムフィシーン】!」

「コッコケ…GOGHEEEEEE!!!!」

 

 アムザリアの指示により、アムちゃん…【アムフィシーン】はその体格をバキゴキと膨張させ、悪魔のような鳴き声を発した。

 それと同時に、眠っていた尻尾の蛇は……前の頭の叫び声に呼応するかのように瞬時に目を覚ますと、首を持ち上げながら巨大化していき、大きな蛇……否、竜が如きものへと変貌する。

 足が伸びて爪は恐ろしく鈍く光り、羽は膨れ上がり翼へと、そして鱗が生え揃い、おぞましくも美しい怪物が目の前に姿を表した。

 

「これがアタシのエンブリオ、【酉頭竜尾 アムフィシーン】さ。このアタシのエンブリオが、ただの愛くるしい小動物なわけがないだろう?」

 

 さすがの俺も呆気に取られるが、それに反してアルノーは「おー」とだけ発して【アムフィシーン】を見上げるだけであった。

 お互い前から関係があるだろうし、見たことがあるのだろう。

 そこは特に気にはしないが、それよりもこれだ。

 

「デッッッケェ…」

「なぁに呆けてんだ。乗れって、行くぞ。久々にデカくなったから2匹とも走りたくて仕方がないらしい」

 

 そんなことを言うアムザリアの視線の先では【アムフィシーン】…の前の鶏頭の方がウズウズと落ち着かない様子で指示を待っていた。

 反対に尻尾の方の頭…竜の方は、鼻息こそ少しふすふす。と鳴ってはいるが、割と落ち着いた顔でアムザリアを頭上に乗せ、背中に乗れるようにしていた。

 

「遠慮すんなって、角に手をかけて頭に乗りな。“フィス”…竜の方は頭が良いから、アタシみたいに乗れるように手伝ってくれる」

「心配するな。今でこそ久々で興奮気味だが、暴れたりはしないさ。ほら、乗った乗った」

「じゃあ、失礼して…」

 

 促されるままに俺は竜の角を掴み、頭上へと足をかけ、頭に乗っかる。

 いいぞー。というアムザリアの掛け声に合わせ、竜の頭が持ち上がっていき、背中の横で止まる。

 上目遣いで覗く瞳からは、おりてー。という呑気な声が聞こえそうな柔らかな視線が向けられていた。

 

「よっっこいしょっ」

「よっと」

 

 俺が背中に座る…しがみつくと同時に、アルノーも【アムフィシーン】の背中へと乗り込み、あぐらをかいて座った。

 

「よーし!全員座ったな?《脚力強化》。行くぜ!【アムフィシーン】超特急の出発だ!」

「KOKHEEEEEEE!!!!」

「GUGYAOOOOO!!!!」

 

 アムザリアの号令の元、【アムフィシーン】は平原の土を抉りながら、驚異的な脚力をもって大地を駆け出してのであった。

 

 

 ◇

 

 

 圧倒的な速度に気圧されている間に、俺たちは〈旧レーヴ果樹園〉へと辿り着いた。

 古びた門は開けっぱなしになっており、“子供一人分”なら余裕で入れてしまいそうなほどだ。

 

「よし、送迎完了。ほんじゃ、行ってら、ガンバレよ」

「えっ。着いてくるんじゃないのかよ、初心者だぞ俺は」

「大丈夫だって。それに、こういう一人で追い込まれた状況ならエンブリオも覚醒しそうだしな」

 

 何か言いくるめられてる気もするが、別に特段ダメってわけでもないため、アムザリアの言葉通り一人で行くか。と心で決める。

 自分のペースで遊べると考えれば、別に悪いことじゃないしな。

 

「それじゃあ…行ってくる。また後で」

「あぁ、終わったら連絡してくれ」

「ガンバレな〜」

「「GOGHEEE~」」

 

 2人と2匹に見送られながら、俺は担いだメイスを両手で握り直し、果樹園の中へと入って行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁアムザリア、ここを選んだ理由は…」

「んえ?待たされた腹いせだが?」

「だよなぁ」

「…まぁけど、アイツ自分より強ぇ敵とか根気でチマチマ削って倒したくなるような奴だし、適切ではあるだろ」

「確かに、ここならエンブリオも…」

「十中八九、確実に発現するだろうな」

「…メイデンだったりしそうだな」

「…あ〜ありそうだな、アイツ」




駆け足気味。ユルシテ…



[オマケ]
アムちゃん /【酉頭竜尾 アムフィシーン】
TYPE:ガーディアン
能力特性:成長
モチーフ:コカトリスが進化したとされる伝説上の生物 “アムフィシーン”
到達形態:Ⅵ
紋章:尾先が竜の頭になっている鶏のモンスター
容姿:鶏に似た頭に竜のような体格と翼、尻尾の先に竜の頭部が付いている。
全長最大20m。普段は鶏サイズで行動し、力を温存している
備考:アムザリアは鶏の方をアムちゃん、竜の方はフィスと呼んでいる
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