転生したら『天理』になったので、『星神』になる。 作:グランド・アニマル
琥珀記元年 —— 創造歴2200年
ついに——『存護』の星神、クリフォトが誕生した。
クリフォトが誕生したのと同時に、
俺が星神たちに懸けた呪い——
「神は人を愛さなければならない」という呪いは、クリフォトの根底を変えてしまった。
もう、クリフォトは人を愛さざるを得なくなった。
クリフォトは星神の中でも、
特に呪いを影響を受けやすい個体であるようだ。
★★★
俺は今まで多くの星神に呪いをかけた。
ある星神は人を愛し、ある星神は人と共に暮らすようになった。
とはいえ、個体差があるから。
一丸とは言えない。
人の定義も、星が違えば、
定義も違う。しかし、もう、星神は俗世から関心を離れることはない
『不朽』の龍は、己の血族に甘くなったが、
他の知的生命体には興味を示さない。
『均衡』の互は、
特に変化はない。
相変わらず、均衡を保つために必死のようだ。
彼にとって——均衡を保つことこそが、人を愛することなのだろう。
『貪欲』のウロボロスは、
人を好物と認識し、
今まで以上に人や文明を襲うようになった。
同時期に『貪欲』から『愉悦』が分離したことで、
唯一味を感じる人を捕食するようになった。
——人を愛することで、逆に人を襲うようになったのは、
俺の考え不足だった。
だが、問題ない。
星神になったことで、同格となった俺はウロボロスを『宇宙の狭間』へと封印してやった。
『秩序』のエナは、
特に変化はない。元々秩序を重視する星神だから、元から人を愛しているだろう。
会ってみたけど、意気投合をし、お互い協力関係になった。
『愉悦』のアッハは、
俺がウロボロスに呪いをかけたことで、
予定よりも早く生まれた星神だ。
最初から人間形態のステラ形態で生まれたらしい。
性格はあまり変わらない。
だが、人を迷惑をかけない自制心や羞恥心を持ったらしい。
いい傾向だ。
『存護』のクリフォトは、
誕生したと同時に、「神は人を愛さなければならない」という呪いを掛けた影響で、
人や文明以外の存在が眼中ではなくなった。
本来、あらゆる存在を『存護』するはずだった運命も、
人と文明のみに限定され、縮小されてしまった。
——とはいえ、人類にとって悪い話ではない。
今もクリフォトは、日夜文明のために鋒を振り回し、
文明の敵を討伐し続けている。
この前だって——
超新星爆発から超文明を守り、
俺の管理外の星を数多く救った。
そのせいかわからないけど、
本来22万年後の琥珀1383紀頃に成立するはずだった——
スターピースカンパニーの前身、『クリフォト後方支援部隊』が成立された。
彼らは、クリフォトに資材を送っているわけではなく、
クリフォトのように、人や文明を『存護』しようと動くようになった。
未来のスターピースカンパニーも、少しは綺麗になるだろう。
クリフォトも後方支援部隊へのことを気に掛けて、
自分の『使令』を作っている。
新たな使令が生まれた『後方支援部隊』の規模は、
『天外聖歌隊』と『天の使い』に並ぶものだろう。
★★★
俺の派閥は今のどころ『天の使い』しかいない。
彼女たちは、俺の主戦力であるが、同時に多くの文明世界で信仰されている。
信仰の力は彼女たちの力となり、
俺の昇華に合わせて、彼女たち全員を使令にした。
使令級の力の持ち主が数億万がいる『天の使い』は、
もはや、この宇宙最強の派閥であるだろう。
俺が使令にしたとき、彼女たち全員喜んだ。
『天の使い』たちは、俺を父として見てくれて、俺が与えた恩恵を喜んで受け取ってくれた。
ニコ以外を除いて。
やはり、ニコには前世の記憶があるだろう
まあいい。
彼女たちを使う事で俺は、
宇宙の3分の2を支配し、残りの3分の1は、エナの支配下にある。
全ては——来る宇宙の蝗害に備えるためだ。
たとえ、タイズルスが来ようとすぐに殞落してあげる。
とはいえ、黙って昇華させるわけにはいかない。
既に、タイズルスが昇華した星——蟲星を、偽りの空で覆い、隠した。
下手に潰して、タイズルスが予定より早く誕生したらたまってものではない。
アドリブンも厳重に管理している
とはいえ、これで平和が訪れた。
★★★
創造歴8200年 —— 琥珀記120紀
あれから6000年が過ぎ、文明は発展の最長期に至り、
宇宙から悲劇という二文字が消えた。
とはいえ、発展した文明は自ら星系から出られない
虚数障壁の頑丈さは俺が思った以上に固く、
虚数障壁から出られる文明は、
星の数のように多い文明の中でも数千件しか確認できていない。
やはり、開拓の力が必要か
それを後にして、またしても宇宙に災厄が訪れる
新たな星神が生まれた。
『虚無』の星神。
Ⅸ(イクス)が誕生した。
だが、本来は別に焦るべきものではない。
『虚無』のⅨは無そのものを司るため、
自らから動くことはあまりない。
——本来は、の話だ。
「神は人を愛さなければならない」
この呪いはⅨにも適用され、
致命的なバグを引き起こした。
本来、感情おろか自我すらないⅨに、
感情と自我が芽生えた。
だが——その感情と自我は、
犬や猫と同等のものしかなく、
動物のように本能に従うことしかできない。
其にとって存在とは「悪」であり、災難である
故に、Ⅸは保護本能に従い、人や文明を積極的に襲った。
Ⅸにとって、愛することと守ることは、意味不明の行為だ。
愛を知らぬ神ゆえに——
己の中に取り込むこみ一体になることが、其にとって愛情表現である
その結果、Ⅸは思考するブラックホールと化した。
知性は犬や猫と大差ないけど、本能に従い
全ての宇宙を虚無に飲み込むために、動き出した。
この事件は後に、『宇宙の崩落』と呼ばれ、
『宇宙の略奪』や『皇帝戦争』をも上回る大惨事と化した。
★★★
宇宙ステーション・ヘルタ。
神秘的な光に包まれたその空間で、模擬宇宙の端末が静かに稼働している。
ヘルタは軽やかな足取りでその前に立ち、満足げに息をついた。
「さて——模擬宇宙『宇宙の略奪』のシミュレーションは無事に完了したわ。
次の目標として、何かいい案はあるかしら?」
彼女の問いかけに、まず応えたのはルアンだった。
「ヘルタ。次はやはり——『宇宙の崩落』がどうかしら。」
スクリューカムが即座に同意する。
「賛成です。『宇宙の崩落』は、宇宙の歴史の中でも最も重要な出来事ですから。」
開拓者が首を傾げた。
「『宇宙の崩落』……?」
スクリューカムは丁寧に説明を始めた。
「『宇宙の崩落』は、虚無の星神——Ⅸによって引き起こされた戦争です。
今からおよそ30万年前の琥珀記120紀ごろに起こりました。
別名、第一次星神戦争。
その被害は『宇宙の略奪』や『皇帝戦争』をも上回り、
当時、宇宙を支配していた最古の星神のうち、七柱中四柱が殞落しました。
当時の宇宙は、『天理』の星神。
パネースによって支配されていたにもかかわらず、
実に3分の2が壊滅状態に陥る大惨事になりました。」
ヘルタが補足するように続けた。
「何せ、星神の中で虚無も合わせて、五柱も殞落させた大戦争だもの。
戦場で戦死した星神なんて、
『宇宙の略奪』を引き起こしたタイズルス以外に殞落した例はないわ。」
スクリューカムが端末を操作しながら言った。
「これを確かめるため、私たちは特別ゲストを用意しました。」
彼の合図で、一人の女性が静かに現れた。
スクリューカムが紹介する。
「紹介します。『天の使い』のニコさんです。」
その女性——ニコ・リヤンは、優雅に一礼した。
「もう、スクリューカムさんたら。
『天の使い』のニコ・リヤンです。」
開拓者が目を丸くする。
「『天の使い』……?」
ヘルタは静かに補足した。
「『天理』の星神——パネースの眷属にして使令。
遥か昔、文明を導き、星々の母と呼ばれたものたち。
神話によると、パネースは己の御使いとして『天の使い』を俗世に派遣して、
文明を育てたと言われているわ。
ニコは全ての『天の使い』の姉に当たる人物で、
最初の『天の使い』よ。」
開拓者に三択を与えられた。
『よろしく』
『どうも、銀河打者です』
『つまり……おばさん?』
3番目を選ぶと死ぬので
2番目を選んだ
「どうも、銀河打者です」
ニコはくすりと笑った。
「あらあら、面白い子ね。
どうも、『天の使い』のニコ・リヤンです。
こうみえて、数十万歳だよ。えへへ、びっくりしたかしら?」
スクリューカムが端末を起動し、模擬宇宙のインターフェースが光り始める。
「今回はニコさんの手助けを得て、『宇宙の崩落』をアップデートしました。
それでは、開拓者さん。今回もよろしくお願いします」
★★★
不朽、均衡、貪欲、秩序、愉悦、存護、天理。
七柱の星神が、宇宙を統べていた。
しかし——最古の星神たちは、虚無に飲まれて消えた。
『不朽』の龍は、血族を失い、
怒り狂いながらも虚無に飲まれて、殞落した。
『均衡』の互は、図るべき天秤を失い、殞落した。
『貪欲』のウロボロスは、虚無を食らおうとするも、
逆に飲まれて、殞落した。
『秩序』のエナは、虚無に飲まれる前に、
俺と融合し、殞落した。
クリフォトは自らをハンマーに変え、
俺をそれを振りかざし、『虚無』のⅨを殞落させた。
生き残った最古の星神は——
天理、存護、愉悦の三柱だけ。
最古の星神の七柱中、四柱が死亡した。
全宇宙(銀河)全体の3分の2が、壊滅状態に陥った。
『虚無』の星神に飲まれた場合——
魂すらも虚無に飲まれ、消滅する。
本来、死後の世界のないこの宇宙では、
俺が敷いた地脈ネットワークにより、
死んだ魂は俺のもとに集まり、転生する仕組みだった。
故に虚無に飲まれることを恐れた俺は、
速やかに対処した。
封印したウロボロスを解き放ち、
疑似餌に利用して、Ⅸを誘導し、何とか倒した。
だが——遅かった。
不朽、均衡、貪欲、秩序——
原作の最古の星神は、全て全滅した。
全ての星神が協力して倒したのに、
最古の星神は、もう、俺とアッハとクリフォトしかいない。
この調子で、『宇宙の蝗害』に対処できるのか。
はあ、あ、そういえば、蟲星はどうなったけ
★★★
その星は、蟲の楽園だった。
知的生命体と呼ばれる知能を持つ種族はなくとも、
彼らは皆、繁殖に従い、増え続けていた。
生物が生きる目的は、増えること。
あらゆる生物の最終目的が増えることならば、
生物の誕生も、性行為も——
全ては「繁殖」という名の法則に囚われている。
その逆に、生物にとって
もっとも恐ろしいのは、消えること。
虚無に飲まれることこそ、
生物における最大の恐怖。
『虚無』のⅨは、人を追い求めて動き出した。
意思を持ったブラックホールは、
人々の文明の光に群がる魚のように、
宇宙を徘徊した。
その過程で——蟲星も飲み込まれた。
恨みはない。
憎しみもない。
ただ、そこにあったから。
それだけで、『虚無』のⅨは近道をすると、
同時に蟲星を呑み込んだ。
蟲たちは、星神に抗おうとした。
だが——本能で叶わないと知った。
無へなり最大な危機を感じたことで生存本能が増幅し、
彼らは子孫を増やそうと『繁殖』を開始した。
星が飲まれ、
最後の蟲が卵から生まれた瞬間——
『繁殖』の星神。
タイズルスが誕生した。
「あい」
蟲の女王は、最初のうぶ声を上げ、
宇宙に愛の真偽を確かめる。
★★★
蟲星が消滅したけど、
タイズルスが現れていない。
いくつか、不可解な点はあるが、
これで良しとするか。
★★★
Ⅸが活動したことで、本来出ない被害をもたらしてしまった。
以後、宇宙はⅨによって生み出された『八百万の神』に襲われてしまう
後に、『宇宙海賊スウォーム』や『反物質レギオン』と合わせて
『宇宙三大厄災』と呼ばれるようになる
みなさん
沢山の気に入り登録と評価や感想をくれて、
ありがとう。
大変励みになります。
百合好き天魔王、ラナンナ sinimini8099 厚切りレンコン 蓮蓮蓮 南極出身のヤドカリ 評価ありがとうございます。
公開お気に入り登録者:66人
ササマル ぬんぬんぬぬん GAVA 便座フロッグ Felis0817 furandollarisu Erlösung かんな 町長 K-nekoneko シンク先生 鰯のタタキ カワノアヤ Aoiss やんばーる たかし9029 ノモ みきすけ 薬袋水瀬 おろしとんかつ 鬼灯戦夜 よもぎもち yasiro 忠道 ヨーグルト=ソース Pond snail アーティストイズアーティファクト kattas まるへー しーらね にの433 Rijesuto 金環 つくよ sinimini8099 厚切りレンコン ut_64bit 草薙健太 たらこぱすた Fuhi 松泉 実 ビーティ らいむー 寂滅馮河 Lemy 転生0922 浅倉 蒼 KEI (~ ̄³ ̄)~ 南極出身のヤドカリ ヤクモ8 daisann
童帝ペンギン カシト カルパッチョ広崎 ナマケルモン あかあね屋 オタク公務員 鷹柳 晃 メデイモス 蜘蛛探し メーティス 白鴉 流れ星キラリ グランド・アニマル グダさん ごいいくと たっちゃん(´・ω・`)
お気に入り登録ありがとうございます