どこまでが本当で、どこからが嘘なのか、
言うだけ言って消えてしまった天の神。
自分たちの気持ちでさえも簡単に操作できる。
そんなことを突然告げられて皆が戸惑う。
一緒に風に水をかけてしまった球子や銀も、怒りを隠さなかった雪花も、
自分の怒りにさえ自信が持てず、一瞬天の神を見逃してしまったことで自己嫌悪にも近い悔しさを抱えてしまう。
「チクショウ。やられた。揺さぶりをかけるだけかけて、パッと消えるなんて。
ごめん、みんな。冷静さを欠いた。記憶だけでも持って帰れるチャンスだったかも。」
「せっちゃんのせいじゃ無いよ。あんなことを言われたら、私達もうわーって、なっちゃったし。
ね、結城ちゃん? あれ? 結城ちゃん?」
「友奈ちゃん、さっきからずっと何か考えてるのよ。」
雪花を元気づけようとする高嶋だったが、相方の結城は東郷が言う通り、かつて見たことがない真剣な顔で何かを考えている。
「あ、うん、天の神はどうして私たちと遊びたがってるんだろうって。会ったことも無いのに。
人間と遊びたかったなら、どうして攻撃してきたのかなって。」
「私達をからかっていたんでしょ、ヘラヘラしてたし。考え過ぎよ、考え過ぎ。
相手は神様なんだから真面目に考えてもしょうもない理由かも知れないわよ。」
「あら、でも夏凜ちゃん。最初に風先輩に正座で制裁にされていたでしょ。
友奈ちゃんの言うことも一理あるんじゃ無いかしら。」
少しずつ、空気が停滞を脱し動き始める。
「……もし、私達の仲間、防人だった沙耶と同一人物なら、あまり回りくどい搦手は使わないような気がする。
そのあたり、貴方なら知ってるんでしょ。アルフレッド。」
その頃合いを待っていたわけでは無いが芽吹が弥勒と雀に紅茶を淹れていたアルフレッドに振ってみる。
「そうですね。神の御心は人智の及ぶところではございませんが、無意味な言動もまた少ないかと。
遊ぶことが目的でも、それによって何が影響するかも承知している、と見て良いかと。」
「つまり、私が挑発に乗ることも分かってたってことか。
嫌なヤツ。なんかさあ、もう弱点とかない訳? アルフレッドさんとやら。」
雪花の問いにアルフレッドは短く首を振る。
「分かりやすい弱点はない。強いて言うなら、この世界限定であれば、精神攻撃は有効だろう。
神の知覚は全知。見たくないものでも見えていしまう。
現実なら無限に近い時を生み出して乗り越えだろうが、この世界では違う。」
「乗り越えるって具体的にはどうしてるの?
ショックを受けたりしたら呆然としたりとかするんじゃないの?」
雀の疑問にもアルフレッドはすぐに答える。
「神は意識を無限に分割・分離・分析しています。
分割している数が無限で、分離している論理的距離が無限で、分析試行回数が無限であれば、どこかの時点で違う
心の傷は時間が癒すとはあなた方人間の考えた仕様ですから。」
「ああ、もう、まどろっこしいわね。スパっと倒して終わりにできないの。」
「何だか……アルフレッドさんも自分は人間じゃないみたい。」
横で聞いていた犬吠埼姉妹がそれぞれの感想を口にする。
「樹さま。その感想は半分正解で半分間違っています。ここにいる私は人間で間違いありません。
現実世界の神樹の処理能力では私を再現することができませんので、人間として
恐らく私以外の天の使徒も同じでしょう。近いところでは鷲尾須美たちが出会ったという八木は使徒です。
ただ、現実世界では既に十華によって滅せられています。
逆に、横手茉莉は巫女ではありますが人間として生涯を終えています。」
樹の疑問に対するアルフレッドの返事を聞いて、すずが首を傾げる。
「ん? ちょっと待って。横手茉莉って、私のお母さんと同じ名前?」
「ええ、はい。彼女は、貴方横手すずの母親、横手茉莉です。茉莉本人にとってはのはるか未来のことですが。」
「柚木君聞いたかい? あの茉莉さんが高嶋君だけでなく、天の神とも縁があるなんて。
まさに和光同塵。これはビッグニュースだよ。」
「落ち着けリリ。
この世界の茉莉さんは私達のことを知らないのに、話なんて聞けるのか?」
「……茉莉さん。」
「……」
ワイワイと意外な接点にはしゃぐ芙蓉達と対象的な高嶋とひなた。
「高嶋さん。どうかしたの?」
「あ、ぐんちゃん。
四国に来るまでの間にちょっとだけ一緒だったから。」
「そう、気になるわよね。知り合いの自分の知らない一面ですものね。」
「ひなた、お前もだ。
気になることがあるなら言ってしまえ。
まあ、お前のことだから考えた上でのことだろうが、1人で抱え込むなよ。」
「若葉ちゃん。ありがとうございます。
私は大丈夫です。
それより、アルフレッドさんが仰ったこと。
少し気になりませんか?
アルフレッドさんがこの世界では神樹様の限界が上限となって変化するなら……。」
「確かに、天の神も現実とは変わっているかも知れない……か。」
若葉は誤魔化されたような気もしたが、
ひなたの言う通り、天の神が変わったと言うなら、
現実ではあり得ないことも起こるかも知れない。
「どうなんだ、アルフレッド、お前達天の眷族も神樹様の影響下にあるのか?」
「乃木若葉……か、それはあり得る。この世界は神樹の世界。
そして、そのような処理能力は神樹自体が持っていない。
謂わば現実の一面を切り取って無理やり落とし込んでいるようなもの。
だが、無関係と言うわけではない。
だから、ここで神に起こったことは現実にも影響する。
加えて、神の御心は時間を超越し過去にも……。」
アルフレッドが言い終える前に、家庭科準備室の扉が開かれ……、
「なにやってんだ。アル!! 過去改変なんか煽って。」
そう叫びながら、今度は天の神ではなく土のついたソフトボールのユニフォームを着た少女が、アルフレッドの胸ぐらを掴んだ。
「あれ? なゆちゃんだ? アルフレッドさんと知り合いだったの?」
「あら、本当ね友奈ちゃん。でも、アルフレッドさんが天だと知っているなら……。」
「そうよ、那由多。何でアンタがここにいるわけ? まさか、アンタも……。」
突然現れた少女は結城達のクラスメイト。
にも関わらず、明確にアルフレッドが特別な力を持っていることを認識しているように見えた。
「はあ、アルまで正体がばらしてるなら、私だけ隠しても意味ないか。」
3人に見咎められて、注目された那由多と呼ばれた少女は観念したようにため息を吐く。
「友奈達が言う通り、私、来島那由多もアル…アルフレッドと同じで
今となっては無意味な肩書きだけどね。
はあ、もう少し普通の中学生で過ごしたかったのに。
よし、こうなったら、十華も引っ張り出そう。
みなさん、お時間ありますか?」
面識がない結城達以外はどうしようかとお互いを見る。
「まあ、那由多は多分大丈夫よ。私や風よりも友奈達との付き合い長いのに、何も仕掛けてこなかったんだし。」
「そうね。こっちの世界に来る前から勇者部に依頼くれていたものね。
良いわ。放課後の間は勇者部の活動の範囲内で付き合ってあげる。」
「まあ、風さんと夏凜がそういうなら、問題はないか。
だが、おかしな真似をしたら、容赦はしないぞ。」
最後に若葉がそう言うと、大体のメンバーは異議を唱えなかった。
「それで、どこに連れて行くつもり?
それとも、アタシ達がこうやって纏まるのもアンタ達に心を操作されていた、なんてオチじゃないでしょうね?」
風がアルフレッドと那由多に振り返る。
「そんなことしませんって。というかできませんよ。
神様以外にそこまで強力に人の心に干渉なんてできませんから、安心してください。
それが神ならざる人の身の強さなんですから。
それに行く先はみなさんがよく知っているところです。」
「私達の知っているところ? どこに行くの? なゆちゃん?」
「幼稚園だよ、友奈。みんながよく劇を見せてるあの幼稚園。
十華は……この世界にいる最後の使徒はそこにいる。
ちょっと意地悪な言い方になるけど何でもない振りで、人に紛れて欲望を隠してる。」
那由多に連れられて半信半疑に幼稚園までやって来たものの、園庭で遊ぶ幼児と先生以外に人影はない。
「いつも変わらないね、ぐんちゃん。」
「そうね、高嶋さん。あら?」
2人を目ざとく見つけたのか、幼稚園児が1人近寄ってくる。
「やっぱり、いつものゆうしゃのおねえちやん達だ。
今日は何の日だったっけ? わかった。はろえんのじゅんびだ。」
「あはは、ハロウィンは次までに準備しておくね。
今日は様子の変わった先生やお友達はいなかったかな? って聞きにきたの。
先生に今お話し聞けるかな? って、那由多ちゃん、何をするの!?」
高嶋が屈みながら、その子に話しかけようとしたが、急にその園児の襟首を掴んで、那由多が猫のように引っ張り上げた。
「何するって、これがそうだよ。」
「なにするのー、はなしてー。って、わ!?」
「やめなさい。痛がってるじゃない。大丈夫?」
千景が素早く子供を引き離し尋ねる。
「うん、痛くはなかったけど、メガネのお姉さんは、同じメガネのお姉さんでもいつもの人と違うよ。
どうして、わたしにイジワルするの?」
「多分間違えてるのよ。今、ちょっとおかしいから。」
「おい、聞こえてるわよ、千景。だから、その子がここに来る前に言った使徒なんだって。
ああ、もう、ちょっとアルも子供と遊んでないで、こっち来て、十華に言ってやってよ。」
しかし、那由多がアルフレッドの方を見ると、子供たちに囲まれたアルフレッドと、
交通整理のように取り囲む子供たちを捌く雀の姿があった。
「ねえ、お兄さんのアタマはどうして白いの?おじいさんの白いのとはなんか違う。おめめもみどりだよ。」
「はいはい、並んでねー。あ、そこ順番は守らなくちゃダメだよ。」
「そうよ、竹槍はきれいに処理しないと怪我をするから丁寧に仕上げてね。」
若干2名余計な事を教えていたりするが、そんなものは視界の外して、
那由多は全身を怒りで震わせながら、今にも叫ばんとした時。
「わー、ごめん。悪かったよ、那由多。その、せっかくの夢の世界だから童心に帰って見たかっただけなの。」
千景の腕から抜け出した園児が、慌てて那由多の袖を引っ張って止める。
「え? まさか本当に?」
自分の腕から抜け出したその子供に驚きながら、千景が腰を浮かせて立ち上がる。
「はい、みなさん、黙っていてごめんなさい。わたしは十華、山内十華。沙耶ちゃん……天の神から使徒としての力を与えられた一人です。」
夕日を背にしたその顔は良く見えなかったが、その声音は先ほどまでの子供らしさがなりを潜め、
確かにそこに確かな意思を持つ戦士がいるかのような錯覚を見せていた。
だいぶ人が多くなってきたので自分で用意した設定の備忘用
本当はこういう資料や前回を見ながら、AIに描いて欲しかったけど、渡せど、全然別人で書いてお出ししてくる。
おかげでAI使用のタグがとん挫しそう。
何か良いAIの利用方法はないものか。
もういっそ誰か書いてくれないかなあ。
1.松永沙耶
天の神。よくいるオリキャラ主人公として採用したはずだったんだがなんか違う。
(どこで失敗したのか。)
結城友奈の小学生時代の旧友。
第一期Blu-ray初回特典ゲーム収録の「お泊り会」を見ていて思いついた人。
いると物事は急増加関数的に進展するが、勇者同士や地域の人々との交流期間が減って別のトラブルが発生する。
友奈と同門の武術を学んでいるが、槍なんて触ったことがないため天沼矛を持ってると僅かだけ反応が遅くなる。
なお、途中で人間としての沙耶と天の神としての沙耶に分かれたため2人いる。
お互いは相手のやり方を間違っていると非難するけど、本人同士なので似た者同士。
松永にしたのは人類を裏切るから、そして、某同姓武将の逸話の激しさにあやかって普通の人生(つまり日常)は歩めない主人公。
2.山内 十華(現姓・郡)
ぐんちゃんの父親違いの妹(家出したぐんちゃん母はハッキリしてないけど、誰かと一緒にいたとだけ……)。
ビックリの幼稚園児ながら沙耶に巻き込まれる形で時間移動を繰り返しているため、意外としっかりしている。
ぐんちゃんの妹なので素直になれない遺伝子を持っている。
山内は育ての義父母の苗字。下手に郡の姓を名乗ると、一部の勘の良い人にのわゆの結末についても語る必要性が出てくるため、神樹内部世界ではこちらを使っている。
3.アルフレッド(アルフレッド・アーネスト・アルバート)
弥勒さんの妄想を沙耶が神様的なパワーで(勝手に)取り出した人。
元の人物として出自・ルーツは別にあるが本人にとっては無意味。
これがゆゆゆらしくない話になりそうだったので途中でぶった切ったけど、何とか形にしたい。
原作の蠍の代わりに三ノ輪銀の仇となってるため、わっしーやそのっちとはやや複雑な関係。
4.来島那由多
友奈、東郷、にぼっしーのクラスメイト。席は友奈の後ろ。そして東郷の隣という常に圧に曝されている人。
平行世界で巨大ロボットに変身して戦うエージェントという不明なナニカを接続された人。
(真面目に)眼鏡が本体なので肉体を破壊されても瞬時に復元できる。ソフトボール部員。
5.八木千鶴葉
土佐七雄(土佐本山氏を八木と称することもあるとか)から、
ある人物に悪意全開の全うな悪人枠。ぶった切った枠その2。
ゆゆゆ、というよりゆゆゆいの幸せ雰囲気を地べたに引きずり下ろしそうな劇物。
6.横手すず
ここはちゃんと原作にいるキャラ。ゆゆゆいのゲームではいなかったのに、おまけの四コマ漫画とか朗読劇とかでちょくちょく登場した人。
動画配信者としてはそれなりに強そうなので、法花堂とは何か起こしそう。
7.横手茉莉
ここもちゃんと原作にいるキャラ。外伝小説で出てきた高嶋と行動を共にしていた巫女(真)の方。横手すずの母親。
この弐次創作(変換が上手くいかない)では、追加で一度刺されて死にかけた沙耶を看病したため、天の神の創傷の位置を把握している、かつ、心の瑕も重ねて知っているので、ボールペン一本でぶっ刺せる。
ある意味実績をはく奪されても「幸せ」と言い切ったり、千景とは真逆の反応してるなあと思ったり。