目が覚めたらアブソルだった件…いや、なんで!? 作:W297
「お、ユウリ!」
「やっぱり来たね。待っておいて正解だったよ」
「あ、ホップ、マサルー!
2人ともワイルドエリア抜けてきたの?」
「ああ!ダイマックスポケモンと戦いまくって強くなってきたぞ!」
「まあ、結構大変だったね…。新しい仲間も捕まえたけど」
ホップとマサルからはそう声がかかる。
「それで、ユウリも新しいポケモン捕まえたんだな」
「うん!さすがにアブソルとヒバニー二匹だけじゃ不安かなって思ってたしね。
丁度ビビッと来た子がいたからさ」
その後も、3人での話が聞こえてくる。
まあ、ここ3人は幼馴染なんだ。話すことも多いだろう。
…そんな中、ホップがある言葉を口にする。
「…それじゃ、スタジアムの中に入るぞ!」
「ああ、少し緊張するな」
「でも、わくわくするね」
自動ドアの開く音がする。
外は見えないが、スタジアムが醸し出す荘厳な雰囲気はボールの中でも感じ取れる。
(やっぱ、実物はすげえわ…)
ゲーム画面でもその雰囲気は多少感じるが、実際に来てみればもう何も見えなくても感じる。
(…いつか、このスタジアムのフィールドで戦うんだよな)
今はまだ、ここでは戦わない。
ただ、ユウリがチャンピオンを目指すなら必ず戦うことになる場所。
…俺たちはまだ誰かに見られるバトルはしていない。これからそんな視線が集まるバトルを繰り返していくことになるのだろう。
(…多分、俺は珍しいから人も集まるだろうしな…。
まあ、やるしかないんだろうけど)
このアブソルというポケモンになりガラルに誕生してから、好奇の目を浴びることは覚悟している。
(まあ、俺に注目が集まっている間に、2人が進化してくれれば助かる…か)
穂乃花と蒼真、この2人はそれぞれ後2回の進化を残している。特に穂乃花の最終進化はレートでも猛威を振るったエースバーン、蒼真の最終進化であるレントラーも一定の強さを誇る。
…その2人に対して、俺には進化先がない。
しいて言えばメガシンカだがここはガラル。メガストーンとアブソルナイトを手に入れられる可能性は低い。
(俺が最初に出て、その後の穂乃花と蒼真になるべくいい状態で託す、…こんなポケモンになれば最高かな)
…まあ、ユウリがどんなバトルプランで行くかはまだ分かっていない。
しばらくの間は俺がエースとしてバトルするかもしれないしな…。まあそこはユウリに合わせるとしよう。
俺はそう考えながら、ユウリのジムチャレンジ登録をする声を聴いていた。
◇ ◇ ◇
…ジムチャレンジの登録を終えたユウリ達は、ジムチャレンジャーに用意されたホテル、スボミーインへと向かった。
「…よう、若者たち!無事にエントリーできたようね」
ソニアの声が聞こえてきた。
…ってことは、ガラルの伝説の紹介か。
スボミーインの入り口にあるガラルの英雄の像は、2人の英雄が使うポケモンがそれぞれ剣と盾となり、その2人の英雄が2人から1人に混同され…。
確か、この裏にはガラルの王族が絡んでいたはずだが…。
詳しいことは忘れた、まあいいか。
そんな中、ソニアからある言葉が聞こえてきた。
「あんたたち、ホテルに泊まるならチェックインしておけば?
なんか受付は騒がしいけどさ」
…そうだ、ここで初めて戦うんだエール団と。
ポケモン剣盾のストーリーにおける悪の組織のエール団。
簡単に言えばマリィを応援する応援団…がやりすぎた姿。
確かモデルはフーリガン…だっけ?まあサッカーの本場イギリスらしい。
「…ジムチャレンジャー応援のため、わざわざ都会に来たのです。
そんな真面目なエール団の邪魔をするならポケモン勝負です」
だが、そんなエール団の言葉に、ユウリの言葉はたじろいではなかった。
「それじゃ、ポケモン勝負でどいてもらいましょうか!負けたらさっさとそこからどいてもらいますよ!」
「…なめてもらっちゃこまりますね。
あるトレーナーを勝たせるためエールを届けーる、我らエール団の凄さ恐ろしさじっくり教えーる!」
エール団がそう言った瞬間、俺が入ったボールが手に取られた感触がする。
(まずは俺から…か!)
「…出番だよ、アブソル!」
「…ソルッ!」
俺がそう鳴いた瞬間、周囲にいた人間の目が俺に集まってくる。
…まあそらそうなるだろうな。
「アブソル、さっさと終わらせるよ!準備は出来てるよね?」
「アブソッ(おうよっ)!」
俺はユウリの言葉に前傾姿勢で相手のジグザグマに威嚇するようにして答える。
「ザグ…!」
ジグザグマは俺の咆哮を受け一歩後ずさる。
「斬り込んでいくよ!
アブソル、でんこうせっか!」
「ソルッ!」
そう言って俺は勢いよく体をジグザグマにぶつける。
「ザグ…ッ!」
…吹っ飛ばされるジグザグマだがしっかりと立っており、まだ倒れはしない。
「…反撃だジグザグマ、バークアウト!」
「ザグゥ!」
『アブソッ…(うっせえ…)!』
俺はジグザグマの吠えたてる声を受けて若干怯む。
…だけど、それだけだ。
「アブソル、決めるよ!
はたきおとす!」
『了解!』
俺はそう返答し、右前足をジグザグマに振り下ろす。
「ザ…、グ…」
ジグザグマはそう言って地面に倒れる。
「アブソッ(どうだっ)!」
俺はそう勝利の咆哮を上げた。
「な、なんですかこのポケモンは…!?」
…お、おーいエール団の仲間たち、俺の仇を取ってほしいです!」
男のエール団はそう狼狽えながら、ほかのメンバーを呼ぶ。
「はいはーい、ホテルでポケモン勝負いいじゃんね!」
…っていうか、改めて見たらエール団のメイク凄いな…。
リアルで見たらこんな感じなのか。
「お疲れ様、アブソル。
この次の勝負は休んでおいてね」
「…ソルルッ(分かった)」
そうして俺はボールへと戻される。
「…このままの流れでいくよ、ヒバニー!」
「ヒバッ(おっけー)!」
ボール越しに穂乃花の声が聞こえてくる。
(…流れは作ったぜ、穂乃花)
俺はそう話して、ボールの中で音を聞く。
…まあ、聞いている限り特に問題はなさそう。
最近覚えたかくとう技のにどげりでなんとかなるだろうし。
そう思っていると、穂乃花の「ヒバッ!」という勝利の声が聞こえてきた。
…そして。
「え、ヒバニー…!?」
そんなユウリの声が聞こえてきた。
(まさか、進化か…!?)
確かに、進化していてもおかしくはない時期だが…。
そう思っていると、改めて穂乃花の声が聞こえてきた。
「…ラビッ!」
…見ないでもわかる、穂乃花はラビフットに進化した。
「凄いじゃん、ラビフット!
これが進化なんだ…!」
「ラビラビ、ラビフッ(強くなれたよ、ユウリ)!」
ユウリと穂乃花の嬉しそうな声が聞こえてくる。
…また部屋でその姿を見せてもらうとしよう。
「な、何なのこのトレーナー…」
そういうエール団の声が聞こえてくる。軽く一蹴されて進化されたのなら怖くもなるだろう。
「なんだなんだ、ユウリ。
ちょっと騒がしいぞ…」
「お、バトルしてたの?
それじゃ、俺も練習がてらやらせてもらおっかな」
…ホップとマサルの声が聞こえてきた。
「ああ、トレーニングだ!頼むぞマサル!」
「もちろんだよ」
…あ、この後のダブルをこの2人がやる流れか。
一応出るつもりではあったけど、まあいいだろう。
…ちなみに、この勝負はあっさりホップとマサルのコンビが勝ったみたいである。