目が覚めたらアブソルだった件…いや、なんで!? 作:W297
ホップ・マサルの2人と別れ、俺たちはエンジンシティを後にした。
3番道路も野生ポケモンやトレーナーと戦いながら進んでいく。
…そして。
「…着いた、ガラル鉱山!」
ユウリはそう話していく。
ガラル鉱山。ガラルに来て、初めての洞窟のような場所である。
「やっぱ暗いなー…」
ユウリはそう言いながらガラル鉱山の中へと入っていく。
一応蒼真が歩くことで多少は光ってくれてはいるのだが、蒼真の体の小ささもあり、そこまで明るくはなっていない。
…まあ、明かりがないという訳ではないし、多少暗いな…、と思うくらい。
確かここから鉱石を採掘して、ガラル地方のエネルギー源を確保している…だったっけ。
その割には野生ポケモン多いな…、まあ働いている人たちのポケモンとかも多いんだけど。
まあそんなに野生ポケモンの暮らしを破壊したくはないということかな。
…そんな中で、俺たちの目には紫色のコートを羽織ったくせ毛の少年の姿が目に入ってきた。
『…うわ、初期ビートだ…』
穂乃花は明確に嫌な顔をする。
ポケモン剣盾におけるライバルキャラ、ビート。
…まあ、このころは口を開けば他者への罵詈雑言がモットーの頃。
嫌う人がいるのも仕方ないだろう。
「…ここに来るのですか?
アドバイスをしておきますけど、やめておいたほうがいいよ。
ねがいぼしを持つトレーナーは僕が痛めつけるからね!」
「えー…」
ユウリもビートの言葉を聞いてそう困惑している。
『最高にビートってる時代だなこれ…』
『ビートってるってなんだビートってるって。
…まあ、何となく意味は分かるけどよ』
蒼真と俺はそう言葉を交わす。
「まあ、行くか…」
ユウリはそう面倒臭そうに溜息を吐く。
ユウリが近付いていくと、ビートは「あなた…、チャンピオンに推薦されたジムチャレンジャーでしたよね?」と話してくる。
「くだらないですよ。
いいかい?チャンピオンよりリーグ委員長が偉いですよね。
つまりリーグ委員長の推薦を受けた僕の方が凄いのですよ」
ユウリはそんなビートの言葉を受けて「えー…」と困惑している。
ビートはユウリのそんな反応を見て溜息をつく。
「…そのすごさ、分かっていないようですね。
では、かわいそうなあなたに僕の強さを教えてあげますね」
ゲームじゃあの人気の高いBGMが流れて始めているんだろうな…、と俺は思いながらビートとのバトルが始まった。
◇ ◇ ◇
「行きなさい、ユニラン!」
「出番だよ、アブソル!」
「アブソッ!」
…やっぱり、エスパータイプだよな…。
特にフェアリー技とかは持ってないはずだけど。
俺は前傾姿勢で威嚇しながらユニランと対峙する。
「アブソルですか…。
いいですね、相手としてはちょうどいい。
どうぞ、そっちから攻撃してきたらどうです?」
…おーおー、煽ってくるねえ…。
「そう言うなら、さっそく決めに行くよ!
アブソル、はたきおとす!」
『…ああ!
おらよっと!』
そう俺は右前足をユニランに向けて振り下ろす。
ユニランは俺の攻撃を受けそのまま洞窟の壁へと吹っ飛び…、起き上がることはなかった。
「は…!?」
ビートはそう驚嘆の声にならない声を上げる。
「すっご、ウチのアブソル…」
ユウリも一発KOした俺に向けて、そう声を上げる。
「ま、まああなたのポケモンにも?
いいところを見せてあげようと思いまして?
つ、次のポケモンです!
行きなさい、ゴチム!」
「チム!」
…うん、ビートは明らかにユニランを倒されて動揺してる。
倒しに行くならこのまま流れに乗っていくとしよう。
「ど、どうします?
あなたはポケモンを変えますか?」
「うーん、変えないかなー。
このまま行けるかな、アブソル?」
「ソル!」
俺はそうユウリを振り向いて、声を上げる。
「…エスパー技は、悪タイプのアブソルには効かない…。
となれば…!ゴチム、はたくです!」
「チム!」
そう言ってゴチムは俺に向けて走ってくる。
「アブソル、かげぶんしんで翻弄して!」
「ソルルッ(了解)!」
そう言って、俺は素早く動いて残像の分身を作っていく。
「チム…!?」
「ゴチム、本物は一つだけです!
あなたなら見極めれば分かるはずです!」
「チムチム…」
ゴチムはビートの指示に「そんなこと言われても…」と言った声だ。
…まあ、そう簡単にこの分身は見破れないのだが。
「…仕留めに行くよ、アブソル!
はたき落とすで締めよう!」
「ソルッ(ああっ)!」
そう言って俺は改めて、ゴチムに対しても右前足を振り下ろす。
吹っ飛ばされたゴチムは何回か地面に跳ねた後、地面にぐったりと倒れてしまう。
「おやおや、ぼ、僕としたことが…。
ま、まあさっさと終わらせてくださいよ…。
い、行きなさいミブリム!」
「ミィッ!」
まだ動揺が隠せていないが、ミブリムが俺の前に出される。
「さて、どうします?
エリートの僕は、ポケモンを変えるのを待ってあげますけど?」
…なんか、ビートの言い方が変わった?
まるで、ミブリムなら俺を突破できるとでも言いたげな声色だ。
…嫌な予感がする。
「…ソルル、アブソッ(ユウリ、交代)!」
「え…、なにか感じ取ったの、アブソル?」
俺は「ソルッ!」とその言葉に同意するように首を縦に振る。
「分かった、戻って!」
ユウリはそう言って俺はボールの中へと戻していく。
…ボールに戻る瞬間、若干ビートの目は悔しそうに見えた。
「…へえ、そのままアブソルで決めに来ると思いましたが。
相性もこのミブリムはエスパータイプ、悪タイプのアブソルにとってはいい獲物では?」
そんなビートの言葉にユウリは「そうかもしれないね」と続ける。
「…でも、アブソルが何かを感じ取ったってことはさっきのアブソルの鳴き声で分かった。
私はそれを信じるだけ!
出番だよ、コリンク!」
「…リンッ!」
そう言ってユウリが選んだのは蒼真だった。
◇ ◇ ◇
???side
「…コリンク、準備は出来てる?」
「リンクッ(おうよっ)!」
ユウリがそうコリンクに声をかけると、コリンクはそう声を返してくる。
「それじゃ、行くよ!
コリンク、でんきショック!」
「リン!」
「躱しなさい!」
「ミィ!」
コリンクはそう電気を発するが、ミブリムはしっかり躱していく。
「リンッ!?」
「コリンク、もう一度でんきショック!」
「無駄ですよ、躱してねんりきです」
「ミィッ!」
ミブリムは再びコリンクの電気攻撃を避け、ねんりきでコリンクの体を浮かしていく。
「リンッ…!?」
「そのまま地面にたたきつけなさい」
「ミ、イっ!」
「リンッ!?」
地面にたたきつけられたコリンクは、かなりのダメージを負ったみたいである。
「…こ、コリンク、まだ行けそう!?」
ユウリの言葉に「リ…、ン…!」と答えたコリンク。
コリンクの目の中の闘志は消えてはいなかった。
…ただ、そんな中でビートが「…興覚めですよ」と呟く。
「…アブソルに代わってどんなポケモンが出てくると思えば、そんな弱いポケモンだとは。
それなら、さっきのアブソルのままの方がよかったのではないですか?
そんな弱いポケモンを倒したところで意味がないんですよ。
…さっさとアブソルをまた出してください」
そう話すビートはコリンクに対して興味が無くなった…、そんな表情をしていた。
「…ビート、あなた今この子を弱いって言った?」
…ユウリは静かにそう答えた。