目が覚めたらアブソルだった件…いや、なんで!? 作:W297
玲と祐希がユウリのポケモンとなった日の夜。
ポケモンセンター併設のホテルで俺たちは明日に備えていた。
一応、あの後ターフスタジアムには行ったのだが、やはり最初のジムということもあって人は多い。
ジムの受付の人曰く、明日なら空いているとのことだったので、明日に予約を入れて今日はホテルで休むことになった。
そして、ユウリが眠りについた後。
俺たち5人は部屋の中で輪になっていた。
『…にしても、ポケモンになってみてどうだ?』
蒼真は玲にそう聞くと、玲は『結構不便よ、この体』と返してくる。
『今までみたいに物を持てないし、人間の体は恵まれてるな…って思ったよ。
それに、やっぱターフタウンに近いからか、捕まえようとしてくるトレーナーも多いし…』
玲はため息を吐きながらそう話してくれる。
『…特に私はイーブイだからさ、捕まえようとしてくるトレーナーは多かったな…。
あまり私もポケモンは知らなかったけど、名前だけは聞いたことあったし。
あんなに狙われるとは思わなかったよ…』
祐希も、疲れた…という表情を崩さない。
やっぱ、現実でも人気の高いイーブイ。
確か4番道路は出現するとはいえ、出現率は低い。
捕まえようとする人が多いのも納得だろう。
『…だから、こうやってゆっくりできるのは久々なんだよね。
久々に休めるよ…』
『やっぱ、野生で生まれたら結構しんどいんだな…』
…そう考えてみれば、ほぼ人や強いポケモンがいないまどろみの森に生まれた俺や、施設で生まれた穂乃花は本当に恵まれている。
現に蒼真は4番道路以上にハードなワイルドエリアに生まれたし、ある意味ギャンブルだ。
『…それで、なんであんなに怪我してたの?』
穂乃花がそう聞くと、祐希が『まあバトルの積み重ね、かな…』と返してくる。
『さっきも言ったけど、私を狙ってくるトレーナー多かったし…。
どうしても相手の攻撃を受けたら痛いし…』
『かといって休む場所もないしね。
ポケモンセンターは野生ではいけないし、木の実があるところは限られてるし…。
私は光合成すればまだ何とかなるけど、祐希は出来ないし…』
『あー、凄い分かるわそれ…』
蒼真が玲の言葉にそう同意する。
『…ってことをしてるうちに、私の中でトレーナーは『警戒すべき相手』に変わっちゃって。
特にボールを投げてくるトレーナーには警戒するようになったな…』
『玲は一回、ボールの中入れられたことあったよね…。
なんとか出てきてたけど』
『うん、本当にあの時は焦ったよ…。
どうしたらいいか分からなくなって、とにかく体を動かしてたら出れたけど…』
『それは、本当危なかったね…』
そう話していく中、俺は『にしてもよ』と続けていく。
『…よくユウリに着いて行く選択したな。
そんだけ警戒してたなら、断っても良かったのに…』
『まあ、3人がいたからね。
安心はできるか…って思ったんだ』
『うん。それにユウリは『2人で来る?』って言ってくれたしね。
断る理由はなかったかな』
祐希はそう笑顔で話してくる。
『…それで、祐希は何に進化したいとかあるのか?
イーブイって進化先多いだろ?』
蒼真がそう聞くと、『え、そうなの?』と祐希は返してくる。
『ああ、イーブイって複数の進化先があってな。
イーブイは色んな進化の可能性を持ってるって言われてるポケモンなんだよ』
『…祐希、どんなポケモンになりたいとかはあるの?』
そう穂乃花が聞くと、祐希は『うーん…』と悩む。
『正直、なんでもいいかな…。
ユウリのために強くなれるなら、何でも受け入れるよ。
…守られるだけは、もう嫌だからさ』
祐希はそう話してくる。その目には決意の光があった。
『…え、私は何かあるの?』
『お前は石進化だな。ひかりの石ってどこにあるっけ?』
『落ちてるやつは結構後半じゃなかったか?
もしくは穴掘り兄弟のところで掘ってもらうかだったはず』
『まあ、原作の所以外にもあるかもしれないし、どこかで売ってくれるかもしれないしね。
今すぐはないんじゃないかな』
原作を知っている3人でそう話していく。
『…やっぱり、3人は詳しいわね。
なんで、ここで出てくるとか覚えてるのよ』
『うんうん、その知識あればもっと楽に過ごせたのかな…』
玲と祐希が話してくるが、蒼真は「そんなことねえよ」と返す。
『まだここは楽なところだ。
ここより酷いところなんてザラにあるぜ?
…もう、あの場所には戻りたくねえよ…』
…うん、ワイルドエリア育ちが言うと重みが違う。
『…それで、これからはどうなっていくの?』
『…まあ、くさジム挑戦かな。
勝てば次の街に行くと思うけど』
『そうだね。ここはくさタイプだけど、次はみずタイプのジムだから、玲もそこで活躍できるんじゃないかな』
俺と穂乃花がそう説明していく。
…個人的に俺が気になってるのが4・6番目のジム。
ゴーストジムなら頑張れるけど、かくとうジムなら多分戦力にならない。
その次はフェアリーだし、もしかくとうジムならこの2つのジムで活躍は出来ないだろう。
(まあ、気にしても仕方ないか…)
俺はそう結論付けることにした。
『…それじゃ、今日はこんなところで寝るとしよっか』
玲はそう俺たちに話してくる。
…うん、リーダーシップ取ってくれるのホントありがたい。
『うん、久々にベッドで寝れるよ…』
祐希はそう言ってベッドに倒れ込む。
まあ、ずっと外でいたなら緊張感もあっただろう。
『…すぅ、…すぅ』
『寝るのはやっ!?』
祐希は既に眠りについていた。
『…うん、私も多分そうなるかな…』
玲も祐希が寝ているところに座って、そのまま横になる。
『…それじゃ、3人ともお休み…』
『ああ、お休み…』
玲も祐希と同じようにすぐに眠りに入った。
『…野生暮らしってしんどいんだね』
『まあそうだろうな。俺たちはあんまりそんな経験してないからよくわからねえけどよ。
…って、蒼真もいつの間にか寝てるじゃねえか…』
俺と穂乃花がそう話す中、蒼真はもう床で寝息を立てていた、早すぎんだろ。
『…でも、会えてよかったよ2人と』
『…ああ。
この世界に何人いるか分からねえけど、出来る限り話していきたいな』
俺と穂乃花はそう言葉を交わした。