目が覚めたらアブソルだった件…いや、なんで!? 作:W297
俺が頭に感じるまま、ダンデとリザードンを連れて俺はまどろみの森の奥へと進んでいく。
『…ダンデ!こっちだっての!』
「お、おうすまないリザードン」
5秒目を離せば姿を消すダンデ、そのたびに引き戻すリザードン。
「ソルル…(マジか…)」
俺はそんな声を上げる。
「…だが、間違いなく近づいてきているはずだ。
そうなんだよな、アブソル?」
『ああ、もうすぐなはずだよ』
俺はダンデの言葉にそう頷く。
そしてそれから5分もかからないうちに3人の姿は見えてきた。
「…ホップ、マサル、ユウリ!」
霧が薄く立ち込める中、3人の子供が地面に倒れていた。
『助かったぜ、ダンデを見張りながら探すのは心が折れるからな』
ダンデが3人の確認に行く中、リザードンは俺の頭に手を置いてくる。
『俺は感じるまま進んだだけだよ。
何かありそうだったから、人間に伝えたいってね』
そうリザードンに返すと、3人も目を覚ましたみたいであった。
ダンデを含めた4人で言葉を交わした後、ダンデは俺を指差してくる。
「…君たち、あのアブソルに感謝しろよ。
あいつが俺をここまで連れてきてくれたんだ」
「…ソル(どうも)」
「おおー!さすがはわざわいを伝えるポケモンだぞ!!」
ダンデの弟、ホップはそう俺を見て話してくる。
「…でも、ダンデさん。
アブソルってこのあたりにはいないはずですけど…。
どこから迷い込んだんでしょうか?」
そう話すニット帽の少年…、おそらくはこのガラル地方のプレイヤーキャラ、マサルであろう。
…ってことはだ。後1人の少女はユウリってことか。
「…ねえ、あなたはどこから来たの?」
ユウリはしゃがんで俺に話しかけてくる。
…だが、その顔に俺は見覚えがあった。
(え…!?)
俺が見たユウリの顔、それは俺が一番見覚えがある顔だった。
「…ん、私の顔に何かあった?」
そう首を傾げるユウリ…、だが俺はこの顔を『ユウリ』という名前以外で知っている。
『愛奈…!?』
この俺、…
10数年間ずっと一緒に過ごしてきたこの顔を俺が間違えるわけがない。
…ただ、この世界はゲームの中の世界だ。来ているはずがない。
それに、今の俺はポケモンだ。俺から愛奈に言葉で聞くことはできない。
(だからと言って、どうすることもできない…か。
愛奈のやつがこの世界に来ているわけがないし)
そう俺が思っていると、ユウリは「ちょっといいかな」と俺の体をひょいっと持ち上げる。
「…そ、ソル(ん、どうした)?」
俺がそう持ち上げられながら首を傾げると、ユウリは「…よし」と息を吐きなおす。
…そして。
「…ちょっと、モフらせてねっ!」
「ソルゥッ(ちょっ)!?」
そう言って、ユウリは俺の体に顔を埋めてくる。
「…わー、ふかふかもふもふだー…。
いい毛並みしてるよ、この子」
そう話す目は満足そうだった。
(…うん、見たことあるわその目…。
マジで愛奈だわ…)
…愛奈の癖、モフモフなものに顔をうずめる。
俺とかの目からは隠れてやっていたみたいだが、全然俺は気づいていた。
…マジでこいつ、愛奈なのか…?
…だけど、モフモフされる側ってこんなにしんどいのか…。
「そ、ソル!ソルゥ!」
「あー、逃げないで!まだ堪能したいんだからっ!」
「ソルッ!?」
…必死に俺はばたつくが、ユウリは俺を離そうとはしなかった。
「おい、ユウリ。そろそろ離してやれ。
そのアブソル嫌がってるぞ」
「えー、まあ仕方ないか…、ごめんねアブソル」
マサルからそう促され、ユウリは手を離してくる。
『…ふうっ』
『…大丈夫か?』
『大丈夫に見えるか、これが?
一応オスだぜ、俺』
『…だよな』
リザードンとそう言葉を交わしていると、ダンデが3人に話していく。
「3人とも、まずはこのまどろみの森からでよう。
俺が一緒だ!安心しろ」
…いや、ここまでのことを考えたら強さは安心できるが、この森から出られるかわからねえ。
「ソル、ソルルッ(みんな、ついてきて)」
俺がそう話すと、ホップは「お、案内してくれるのか?」と話してくる。
「そうだな、ここの案内はこのアブソルに任せるとしよう。
俺じゃ、この森から出られるか分からないしな」
ダンデはそう言ってくれた。まあ強いポケモンと出会った時は対処してもらうとしよう。
俺はそう思いながら、その一団を引き連れて森の出口へと歩いて行った。
◇ ◇ ◇
「出口だ!外に出られたぞ!」
ホップが見慣れたハロンタウンの景色を見てそう叫ぶ。
…っていうか、俺も木漏れ日以外の光ひさびさに浴びれたわ…。
霧が立ち込めるまどろみの森…、静かでいいところだが雰囲気がずっと暗いんだよな、昼でも夜でも。
「アブソル、ここまで案内ありがとうな」
「ソルルッ(どういたしまして)」
マサルからそう頭を撫でられ、俺はそう笑顔で鳴く。
「それでよ、お前はこれからどうするんだ?」
「…マサル、どうするってどういうことだ?」
マサルの言葉にダンデがそう聞くと、「だって…」と続けていく。
「こいつ、ガラル本土にはいないはずポケモンでしょ?
どこから来たかは分からないけど、それなら他のアブソルたちがいるところへ返してあげたほうがいいのかなって」
マサルがそう話すと、ホップは「確かに…」と頷いた。
…まあ別に俺はアブソルとして生まれたときから1人だったし、他のアブソルのところ連れて行ってもらってもって感じではあるけど。
「…ただ、確かアブソルは単独行動をするポケモンだったはずだ。
他のアブソルがいる場所へ連れて行っても、意味は薄いかもしれないが…」
ダンデはそう話すが、「そうですけど…」とマサルは続ける。
「こいつ、俺たちみたいにまだ子供ですよ。
近くに親がいるならまだしも、そんな気配なかったし。
大人になるまでこいつを守ってくれるやつが必要なんじゃないかって思ったんですよ。
特に俺たちがであったようなポケモンと出会ったとしたら…」
マサルがそう話していくと、「それじゃあさ」とユウリが続けていき、ユウリは俺の目線に合わせてくる。
「…アブソル、私と一緒に来ない?」
そんな提案が、ユウリの口から出された。