目が覚めたらアブソルだった件…いや、なんで!? 作:W297
ホップとのバトルを終え、俺たちはバウタウンへと到着した。
…うん、海が近い街らしく潮の香りが漂ってくる。
「今日のうちにジムチャレンジできたらいいなー…」
ユウリはそう言ってこの町のスタジアム、バウスタジアムへと向かっていく。
『…ここって水タイプのジムだったよね、白斗?』
穂乃花が俺の背中の上からにそう話してくる。
この位置はもう外を歩いている時の穂乃花の定位置である。
『ああ、お前が出るのははちょっと厳しいかもな』
『むー、ホップとの試合で選ばれなかった分、出たかったのに…』
穂乃花はそう頬を膨らませる。
ユウリとホップとの試合で選ばれなかった分、俺と同じで若干不満は持っているみたいである。
『まあ、エンジンシティだったら選ばれるんじゃねえか?
あそこは玲が不利になるところだし』
『…そうなの?それなら、ここは頑張らないとね。
草タイプって水タイプには相性いいんでしょ?』
『そうだな。俺もついにジム戦でれるかもだし、わくわくしてるよ』
蒼真もそう話してくる。まあ蒼真も電気タイプだ、相性は良いポケモンである。
『いいなー、私選ばれないだろうけど、いつかは選ばれるようになりたいよ』
祐希はそう話す。確かにイーブイのままだと限界は来るだろうし。
『まあ、そう心配すんなよ祐希。
その内お前も必要とされるときが来るはずだからよ』
『うん!』
そう俺たちが話して、トレーナー・ポケモン共にジム戦に対する準備は万全…だったんだが。
「…すみません!今日のジムチャレンジの枠は全て埋まっておりまして…」
「…え?」
スタジアムの受付でユウリはそう声を上げた。
◇ ◇ ◇
「明日かー…」
ユウリは若干落ち込んだ表情で歩いていく。
…まあゲームならすんなり行けるだろうけど、ジムチャレンジはガラルで一番の興行だ。
ルリナのジムはまだ序盤、多少はヤローのジムで落とされるだろうけどそれで集まる人多いだろう。
「…うーん、どうしよっかな…」
そんな中、ユウリは「そうだ!」とあることを思いついたようである。
「これならジム戦前の特訓もできるし…!」
そう言ってユウリがバッグから取り出したのは釣り竿。
「釣った水タイプのポケモンと戦えば、いい練習になるよね!」
確かに、ここは海に面する街。海にすむポケモン達は多いだろう。
「それじゃ、行くよみんな!」
◇ ◇ ◇
釣った水ポケモンと戦う…、ユウリのその考えは良かったのだが。
「…釣れない」
釣り糸を垂らしてから1時間、ポケモンがかかる気配が全くない。
『…もう、諦めた方が良いんじゃね?』
蒼真はユウリの傍に座ってそう呟く。
『うん、確かにそうだね…』
穂乃花も蒼真の言葉に同意する。
「そろそろ帰ろうか…」
ユウリもそう諦めそうになった時、…釣り竿が動いた。
「…来た!」
ユウリがそう釣り竿を引っ張ると、釣り糸は大きく下に下げる。
「えっ…、水の中のポケモンってこんなに重いの…!?」
ユウリが話す通り、釣り竿は大きくしなっていた。
…いや、そんな訳はない。
ここで釣れるのは、サシカマス、ヨワシ、カムカメ、バスラオ、チョンチーのはず。
他に考えるとすれば、カジリガメやランターンといったそれぞれの進化系。
そんなポケモンならそれなりには強いはず…。俺と穂乃花、それから蒼真は戦闘準備に入っていた。
…ただ、その予想は外れることになる。
「よいしょ…っと!」
ユウリが全力の力を持って釣り上げたポケモンは、白く細長かった。
そして、その下半身には七色の鱗が水しぶきと共に輝いていた。
そのポケモンは陸に着地して、こちらを見てくる。
「ミロロ(なんなの、もう)…」
世界一美しいと言われているポケモン、ミロカロス。
《ミロカロス、いつくしみポケモン。
最も美しいポケモンとも呼ばれ、多くの芸術家にインスピレーションを与えてきた。》
図鑑の言葉通り、やっぱり綺麗である。
「…これが、ミロカロス…」
『綺麗…』
『わあ…』
ユウリはミロカロスの美しさにそう言葉を失い、玲と祐希もそう言葉を発することしかできなくなっていた。
…ただ、原作をやったことがある俺たち3人は違った。
『ミロカロスって、ここで釣れないよね…!?』
『ああ、釣れる情報なんて聞いたことねえよ…』
『そもそもこの辺りで出るとして、次のジムのことを考えたらバランスブレイカーだろ…!』
そう俺たちが話していく中、ミロカロスが海の中を見ながら言葉を話してくる。
『あー、もう少し海の中でいても良かったんだけどな…』
その言葉を聞いて、俺たちポケモン達の動きが止まる。
『え…!?』
俺はそんな声を上げてしまう。
『…まあ、陸の景色も見たかったし、ちょうどいいか!』
ミロカロスは続けて話してくる。
…間違いない。
このミロカロスはもともと
そうじゃなければ、「水の中でいてもよかった」なんて、普通のポケモンが言うはずがない。
『あ、あのさ…』
『…ん、何かな?』
俺は意を決してミロカロスに聞く。
『…お前、もしかしてもともと人間だったんじゃねえか…?』
『うん…、転生してその体になった…、とかじゃないの?』
穂乃花も俺の言葉に付け足すようにしてそう聞いてくる。
ミロカロスは俺たちの言葉にピクンと体を動かす。
『え…?
こっちも、もしかして…なんだけどさ』
ミロカロスが俺たちに近づき、そのまま続ける。
『君たちって、白斗と穂乃花じゃない?』
一瞬、俺たちの時間が止まったような気がする。
『…なんで』
穂乃花が震える声で呟く。
『なんで、私たちの名前を知って…』
ミロカロスは俺たち5匹を見回して笑う。
『…やっぱり、そうだ!
会えてうれしいよ、みんな』
ミロカロスは俺たちに向けてそう話してくる。
『…お前、誰なんだ…?』
俺はミロカロスにそう問いかける。
ミロカロスは少し黙った後、改めて口を開く。
『…私のこと、覚えてる?』