目が覚めたらアブソルだった件…いや、なんで!? 作:W297
???SIDE
「…サシカマス、アクアジェット!」
「ミロカロス、かわして!」
2戦目が始まっても水中戦は変わらない。
サシカマスの突進を未来は華麗に躱す。
「…すっご、ミロカロスってあんな動き出来るんだ…」
ユウリは水中の未来の動きに対してそう呟く。
…なお、当の未来はというと。
(あ、あっぶな…。早すぎじゃないのアレ…)
…自分でも、そんな動きをしたことが分かっていなかった。
(…でも、動きは直線的、速いけど方向を見れば躱せるはず…!)
未来はサシカマスの動きをそう分析していく。
(…ただ、さっきみたいにドラゴンテールをぶつけるのはしんどいかも…。
動きを止めることが先決かな…)
「…サシカマス、うずしお!」
「カ…マッ!」
水中でサシカマスは水の渦を未来に向けてくる。
(さすがに、あれに巻き込まれたら少しはダメージ喰らうかな…)
未来がそう思っていると、水上のユウリから声がかかる。
「…ミロカロス、うずしおの流れに乗って勢いをつけて!」
『…なるほどね!』
そう言って未来は渦潮に真っ向から突入する。
その長い体をうずしおの流れに乗せ、その勢いを使ってサシカマスとの距離を詰める。
「うそでしょ!?」
ルリナもそう驚く。さすがにうずしおを逆に使われるというのは想定してなかったようだ。
「そのまままきつく!」
『うんっ!』
未来はその長い体をサシカマスへと巻き付き、締め付けていく。
「サシカマス、アクアジェットで脱し『させないよ!』」
未来はサシカマスが動けないようにまきつく強さを強める。
(…動きは速いけど、その動きを止めてしまえば!)
サシカマスはばたついてなんとか脱出しようとするが、未来の締め付けによって動けないでいた。
そして、サシカマスはその動きを止める。戦闘不能だ。
「サシカマス、戦闘不能!
ミロカロスの勝ち!」
『よしっ、勝った!』
未来は水上に顔を出してそう鳴く。…まるでボールの中にいる白斗に届けるように。
そしてルリナは水上に浮かんできたサシカマスを「お疲れ様、サシカマス」と言いながらボールに戻す。
「まさか、うずしおを逆に使われるとはね。
よくミロカロスを信じたと思うよ」
「はい!ミロカロスならできるかな…って!
正直賭けでしたけど、できてよかったです」
ユウリはそう未来の頭を撫でながらそう話していく。
「…でも、これで私を追い詰めた。
この子は最後じゃないわ、隠し玉のポケモンなのよ!
いきなさいカジリガメ!」
「ガメッ!」
浮島に着地したカジリガメ。その重さによって水面に大きな波が起こる。
…ユウリはカジリガメを見て考える。
(カジリガメは今は水上にいるけど、水タイプを持ってる。
水中戦も考えないとな…。
それにダイマックスを使ってくる可能性だってあるし…)
「チャレンジャー、ポケモンの交代は?」
審判からそう聞かれたユウリは少し悩んだ後、返していく。
「…はい、ミロカロスのままで!
ミロカロス、最後まで行くよ!」
「ミロッ!」
未来はそうユウリに向かって鳴く。
「…それじゃ、スタジアムを海に変えましょう!
カジリガメ、ダイマックスなさい!」
そう言ってルリナはカジリガメを戻す。
(…ダイマックス、こっちもやるしかないか…)
「ミロカロス、こっちもダイマックス行くよ!」
そう言ってユウリもルリナと同じように未来をボールに戻す。
『ガメェェェ!』
『ミロォォォ!』
ダイマックスし、巨大化した二匹がそう鳴く。
それによって歓声も沸き上がる。
…さきほどまでは水中戦でカメラで追っているとはいえ見えにくかった。
それにガラルの花形のダイマックス、盛り上がるには十分だろう。
「カジリガメ、ダイストリーム!」
「ミロカロス、こっちもダイストリーム!」
お互いのダイストリームがフィールドの中央でぶつかり合い、大きな爆発が起こる。
…その後、フィールドには雨が降り出す。ダイストリームの追加効果だ。
「…この天気のカジリガメは早いわよ!ダイアーク!」
技を撃つまでの動きが速くなったカジリガメから放たれるダイアークが未来を襲うが、ユウリと未来は動じていなかった。
「ミロカロス、ダイドラグーン!」
ミロカロスから放たれたダイドラグーンはダイアークを引き裂くように向かい、カジリガメへとぶち当たる。
…ダイドラグーンは相手の物理攻撃を下げる技、カジリガメにとっては痛いだろう。
そして、その攻撃によってカジリガメが怯んだ隙をユウリたちは見逃さなかった。
「仕留めに行くよ!
もう一度ダイストリーム!」
雨によって威力が上がったダイストリームがカジリガメを直撃する。
爆発が起こる、煙が晴れた後、小さくなったカジリガメが目を回して倒れていた。
それに合わせてダイマックスが終わったミロカロスの体も小さくなって水面から顔を出していた。
『やった…!』
「カジリガメ戦闘不能、ミロカロスの勝ち!
よって勝者、チャレンジャーユウリ!」
「よしっ!」
ユウリはそうガッツポーズをする。
予定していたやり方ではなかったが、勝つことができた。
『…やったよ、白斗…』
ミロカロスはそうボールの中で聞いているであろう白斗へそう呟く。
「…自慢のメンバーだったのに、そのミロカロスにまとめて流されちゃったわね。
おめでとう、チャレンジャーさん」
「思ってた流れとは違いますけど、このミロカロスが頑張ってくれたんで。
よかったです、本当に」
そう言ってユウリは未来の頭を撫でる。撫でられた未来は「ミロッ!」と嬉しそうに返してきた。
そして、ルリナはポケットからあるケースを取り出す。
ケースを開けると、そこには水のマークがあしらわれたバッジ、みずバッジがあった。
「あなたたちなら、このバッジを受け取るのにふさわしいわ。
受け取って!」
「はい!」
ユウリはそう言ってみずバッジを受け取る。…これで2つ目のバッジだ。
みずバッジを眺めているユウリだったが、そんなユウリにルリナが「あと、これはジムリーダーじゃなくてトレーナーとしてのアドバイス」と続ける。
「最初のアブソルが変わるときの表情を見て思ったの。
あの子はかえられたことを自分の責任だと感じているんじゃないかしら」
「自分の責任って、アブソルが何もできないまま下げたから…ですか?」
ルリナは「そうだよ」と話す。
「私はヤローとのバトルを見て貴方のバトルはアブソルをどう抑えるかが鍵だって思ったの。
だから、あの子相手には接近戦には持ち込みたくなかった。水中から攻撃を仕掛ければ完封できる…ってね」
その後、ルリナは話を続けていく。
「…ユウリ、あの状況であの選択は間違ってないと思うよ。
それに、あの交代もこれ以上ダメージを受けないようにアブソルを守るため…、でしょ?」
ルリナの言葉に、ユウリは頷く。
「…多分あの子は賢いポケモンだから、それも含めて下げられたことは納得してると思う。
ただ、自信をもって出してくれたあなたに、速い時間で下げるって言う辛い判断をさせてしまったことを、気にしているのかもしれないんじゃないかしら」
「…そう、なんですか…」
ユウリは白斗のモンスターボールを持ってそう呟く。
ルリナは「責任感が強い子なんでしょうね」と話して続けていく。
「…ユウリ、アブソルの心のケアを行ってあげて。
このまま終わるポケモンじゃないとは思うけど、何もできなかった自分を許せなくなるかもしれないわ」
「分かり、ました…。
ありがとうございます、ルリナさん」
「こっちこそ。ここからも頑張ってね」
ユウリとルリナはそう言葉と握手を交わした。