目が覚めたらアブソルだった件…いや、なんで!?   作:W297

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33話 誰かを守れる強さ

「…や、やるじゃないですか。

 

 ですが、ここまでですよ。行きなさいポニータ!」

 

「ブルルッ!」

 

 ビートが繰り出してきたのはガラル地方のポニータ。

 

 …タイプはエスパーだっけ、相性的にもいいけど…。

 

 俺がユウリを振り向くと、彼女は少し悩んだ後にボールを構えた。

 

「…もう、大丈夫そうだね。

 

 お疲れ様、アブソル」

 

「ソルルッ…」

 

 …まあ、まだまだ戦えないことはないけど、ボールに戻すときのユウリの顔は満足そうだった。

 

「ありがとう、これからも頼りにしてるよ」

 

 …相手、というより俺のバトル姿に満足した…、そんな顔に見えた。

 

(…ありがとう、ユウリ)

 

 俺はボールの中でユウリに向けてそう笑う。

 

「それじゃ、出番だよ、イーブイ!」

 

「ブイッ!」

 

 俺の後のポケモンに、ユウリが選んだのは祐希だった。

 

「イーブイ、でんこうせっか!」

 

「…ポニータ、ねんりきです」

 

『…わわっ!?』

 

 …ボールの外から、ガラルポニータに攻撃される祐希の声が聞こえてくる。

 

「イーブイ、スピードスター!」

 

『うんっ!』

 

 祐希の頑張る声がボールの外から聞こえてくる。

 

「…ポニータ、ようせいのかぜで迎え撃ちなさい!」

 

 …だが、ビートは冷静にそう攻撃に対して指示を出していく。

 

「ブイッ(ううっ)…!」

 

 どうやら相手のようせいのかぜの方が強く、祐希に当たってしまったみたいである。

 

 …祐希は俺や穂乃花と比較すればあまりバトル経験はない。

 

 いくら野生で過ごしていた時間があるとはいえ、こうやって真っ向からのバトルの経験は少ないだろう。

 

 その後も、祐希に攻撃が当たる音が聞こえてくる。

 

 おそらくビートのポニータはバトルに慣れてる。実力差は明白だろう。

 

 そんな中、ビートの苛立ったような声が聞こえてきた。

 

「僕とのバトルで、そのイーブイの戦闘経験を積むつもりですか?」

 

「…!」

 

 ユウリの表情が変わる。

 

 ビートは続ける。

 

「確かに僕は強いですから?ただの野生ポケモンやトレーナーとのバトルに比べれば大きな経験が得られるでしょう。

 

…ただ、さっきのアブソルに戻せば、もっと簡単に進められるはずです」

 

 ビートはそうユウリに告げていく。まるで、バトルにおいて最善を選んでいない…そう思える言い方だ。

 

「僕は、そんなことを思いながら戦うトレーナーと戦いたくはない。僕を舐めるのも大概にしてもらいたいですね」

 

 …ビートは自分とのバトルを練習台のように使われていることにいら立っているみたいである。

 

 まあ、プライドの高いビートが、未熟なポケモンの練習相手をするってなればそら怒るはずである。

 

「…ユウリ、さっさとさっきのアブソルか、以前戦ったルクシオに交換ー「しないよ」…は?」

 

 ユウリはビートの言葉を遮るようにそう言った。

 

「交換なんてしないよ。私はイーブイが勝てると思って出しているんだから。

 

 さっきまで戦ったアブソルはもちろん、ルクシオも出すつもりはないよ」

 

「状況を見たらどうですか?現にあなたのイーブイはポニータに対して何も出来ていませんが…」

 

「『今は』、できないだけだよ。イーブイはそれをできるようになれるポケモンだって知ってるから」

 

 ユウリはそうビートに反論していった後、祐希に対して話していく。

 

「イーブイ、君はもっと強くなれるポケモンだよ!

 

 この流れ、ここからひっくり返そう!」

 

 ユウリがそう祐希に声をかける。

 

 そして、祐希から声が聞こえてきた。

 

『…私だって、白斗や穂乃花や玲みたいに強く…!』

 

 その瞬間、ボールの中からでもわかるような白い光が放たれる。

 

(祐希、まさかお前…!)

 

 俺がそう思っていると、祐希の声が聞こえてきた。

 

 

 

「…フィアーッ!」

 

 

 

 …リボンのような触覚を纏わせるポケモン、ニンフィア。フェアリータイプのイーブイの進化系だ。

 

 

 

 

 

《ニンフィア、むすびつきポケモン。イーブイの進化系の一つ。

 

 リボンのような触角から、敵意を消す波動を発して争いをやめさせる。》

 

 

 

 

「ニンフィア、かわいい…!」

 

 図鑑とユウリのそんな声が聞こえてくる。

 

「…ど、どういうことですか!?

 

 なんであなたのポケモンはこういうときばかりに進化を…!」

 

「言ったでしょ、ビート。

 

 ここからこの子はここから出来るようになるポケモンだって!

 

 ニンフィア、スピードスター!」

 

『うん!』

 

 明るさを取り戻した祐希の声が俺の耳に聞こえてくる。

 

『ポニータ、ようせいのかぜ《/b》で迎え撃ちなさい!』

 

「…ブルッ!?」

 

 だが、今度はポニータの方がダメージを喰らっているみたいであった。

 

「…強く、なっているですって…!?」

 

 ビートがそう話す中、俺は静かに祐希に対して呟く。

 

(…進化できたんだな、祐希)

 

 進化したばっかりであり、まだまだサポートはいるだろう。

 

 …ただ、強くなりたいという祐希の願いが少しかなった…、そう言ってもいいかもしれない。

 

「…仕上げに行くよ!

 

 ニンフィア、チャームボイス!」

 

『任せて!』

 

 その言葉の後、大きな音がボールの外から聞こえてくる。

 

「…ポニータ、ありがとうございました…」

 

 ビートの静かな声の後、ユウリに対する抗議の声が聞こえてくる。

 

「ユウリ!あなたは何なんですか!?

 

 初めての時はコリンクがルクシオに進化して、今回はアブソルが不調かと思えば絶好調で、挙句の果てにはイーブイがニンフィアへと進化ですって!?

 

 なんでそんな奇跡が続けて起きるんですか、あなたは!?」

 

「いやー、そんなこと言われても…」

 

 ユウリはそんなビートの声に申し訳なさそうに答えていく。

 

「…ユウリ!ぼくはどこかでまたあなたに勝負を申し込みます!

 

 その時は…、必ずあなたを倒して見せます!

 

 せいぜい無様な姿を晒さないようにしてください!」

 

「いいね、受けて立つよビート!」

 

 ユウリはビートの宣戦布告にそう返していた。

 

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