目が覚めたらアブソルだった件…いや、なんで!? 作:W297
「…エール団、負けたらさっさと消えーる!」
ホップと合流し、エール団を倒したユウリ。
「さすがだぞ、ユウリ!
イーブイも進化してニンフィアになってるなんて驚いたぞ!」
「うん、さっき進化したばっかりなんだ。
ホント、強くなってくれたよ」
「フィアッ(うんっ)!」
祐希の嬉しそうな声が聞こえてきた。
正直、俺も穂乃花も物理によってるし、祐希が特殊技が多いニンフィアになってくれたのは本当に助かる。
…ちなみにだが、この第2鉱山。ユウリは何回もマッギョトラップに引っかかりそうになっていた。
何とかそのたびに俺が外に出ることでガードしていたが…。
…明らかに挟もうとしていたあのマッギョの顔は忘れられない。
ユウリにはもう少し、危機感を持ってほしいのだが…。
そんな中、ユウリとホップが足を止める。
目の前には赤いユニフォームを見にまとった男性がいた。
ほのおジムのジムリーダー、カブである。
「エール団、トレーニングにお付き合いありがとう!
だが…、働くトロッゴンの邪魔は許されないことです!」
「邪魔なんて、とんでもない!
トロッゴンへのエールです…」
「でも、ポケモン勝負でボロボロにやられちゃったから、エール団は消えーるのです…」
そう言ってエール団は逃げていった。
…ってよく見たら、さっき俺たちと戦ってたやつじゃねえか。
いくらなんでも、ユウリに負けた奴がジムリーダーとのバトルは無理があるだろ…。
そんな中、カブはユウリとホップの姿に気付いたみたいで、こちらに歩いてくる。
「君たちはダンデが推薦したホップとユウリだね!
君たちジムチャレンジャーと最高の勝負をするため、ギリギリまで鍛えているんだよ。
ほのおタイプのポケモンで戦う僕にとって、みずタイプがいる第2鉱山は修行にぴったりだ!」
…やっぱかっけえなこの人。
顔とか、そういうのではないが、シンプルに大人として、自分たちを強くさせようとして来ている。
「…とはいえ夜も遅い。
第2鉱山を抜けてまっすぐ進めばエンジンシティ。
ホテルに戻り、ゆっくり休んでコンディションを整えなさい。
明日は燃えるよ!」
そう話した後、カブはトロッゴンを連れて外へと歩いていく。
「…兄貴が言ってたぞ、カブさんに勝てなくて諦めるチャレンジャーが多いって」
「そうなんだ…。
いい相手になりそうだね、アブソル?」
「ソルルッ(まあな)…」
俺はそう静かに鳴く。
「…よーし、俺も燃えてきたぞ!
マサルの奴も、スボミーインに到着してるって連絡来たし、あともう少しだ!
行くぞ、ユウリ!」
「うん!」
ユウリはそうホップに連れられるようにして走っていった。
◇ ◇ ◇
「…帰ってきたね、ここに」
ユウリはエンジンシティの煙や機械が動く音を聞きながらそう懐かしむ。
ジムチャレンジのトレーナー。
観光客。
街で働く人たち。
夜になって人通りは少なくなったものの、開会式の時に見た光景と、ほとんど変わっていない。
『…私たち、あれからどれだけ成長したんだろうね?』
『分からねえな、姿は変わったけど』
穂乃花と蒼真は久々のエンジンシティにそう話していく。
「…結構発展している都市なのね」
「うん、夜だけど機械の音が聞こえてくるよ…」
…ちなみにだが、未来はボールから出ていない。
未来が言うには「水中じゃないなら、移動しんどい…」とのこと。
まあ、ミロカロスは結構目立つポケモンだろうし、普段を過ごすって意味ではそっちの方が良いだろう。
…エンジンシティを出て、いろんなことがあった。
確かにバトルをして強くなった。玲・祐希・未来の3人との出会った。ジムリーダーとのバトル。蒼真・祐希の進化…。
そして、俺は「期待に応えられない自分」という弱さを知った。
あの時まで、俺はバトルをしてきた中で、「怖い」という感情を持ったことがなかった。
自分の強さには自信もあったし、ユウリを勝たせたいという気持ちもあった。
…あの日、ユウリに変えられた日はまさに「なにも出来なかった」。
ユウリも言ってくれたように俺をを守るための処置だったとはいえ、自分の不甲斐なさが大きかった。
…今でも、正直怖さが無くなったわけではない。
でも、ビートとのバトルの時に思った「なにもできないまま終わること」。
俺にとって、期待に応えられずに失望される怖さより、何もできないまま終わることの方が怖かった。
せめて一太刀でも相手に食らわせ、次へと繋げる。
俺一人で完結する必要はない。後ろには穂乃花や未来と言った頼れる仲間たちがいる。
『…どうしたの、白斗?』
そう思っている俺に、穂乃花がそう聞いてくる。
『…いや、なんでもねえよ』
『…ふふっ、そっか』
『このジム戦、確か接近戦主体の俺にはちょっときついかもしれねえし。
…後ろは頼んどくぜ、エース様?』
『うん、この前のジム戦は出れなかったしね。
私も今回は頑張るつもりだよ、任せておいて』
『選ばれる気満々だな、全くよ』
そう話していく穂乃花に、俺はそう返していた。