目が覚めたらアブソルだった件…いや、なんで!? 作:W297
…目を覚ますと、バトルは終わっていて部屋へと入っていた。
いつのまにか毒も治されており、体は軽い。
『…起きた?』
『…ああ』
穂乃花が俺にそう声をかけてくる。
『…あれからどうなったんだ?』
『二体目のズルッグは祐希が出たよ。
ボールの中で聞いている限りは特に危なげなくって感じだったかな。
…祐希的にはどうだった?』
穂乃花がそうベッドの上でうつぶせになっていた祐希にそう聞く。
『…うん。大分バトルにも慣れてきた!
タイプ相性が良かったっていうのもあったと思うけどね』
祐希の声にも、進化した自分の実力に自信を持っているというのが伝わってくる。
『…で、モルペコは私が戦ったの。
やっぱあの姿変わるのは初めて見たけど、驚いたな…』
『どうだった、アイツ?
結構独特なポケモンだと思うけどよ』
『まあ、戦いにくい…とかはなかったかな。
いつも通り倒せたよ』
『それは何よりだな…、ユウリは?』
『今はマサルたちと話してるよ。私たちも、白斗が起きるのを待ってたの』
俺はゆっくりと体を起こしていく。
『二匹とも、お疲れ様だったな』
『白斗もだよ、もう心配いらなさそうだね』
『うん! 白斗が最初に勝ってくれたから、私たちも続けたんだし!』
『……そう言われると、悪い気はしねえ』
…それでなんだけどよ』
穂乃花と言葉を交わしていく中、俺はベッドの上の存在に向ける。
そこにはすやすやと眠る未来、そしてその未来の体を枕にするようにしてうつ伏せになって落ち込んでいる蒼真と玲の2人。
…まあ眠っている未来は正直どうでもいい。
『…あいつらは?』
『なんか、最近大きなバトルで選ばれてないから落ち込んでいるんだって。
蒼真と玲はユウリのポケモンになってからジム戦とかで戦えてないし…』
穂乃花がそう話すと、さらに2人の空気が重くなったような気がする。
…うん、声はかけづらいな。
『…お前らな、なにそんなに落ち込んでるんだよ全く…』
『お前は選ばれてるからいいだろ…、こちとら選ばれてすらないんだぞ…』
『…この前のジム戦とか、タイプ相性よさそうだったから頑張れるかな…って思ってたのに…』
『ああ、俺たちだって戦いたいんだよ…』
『うん、結局今回も出番なし…』
2人はそう各々の言葉を発していく。
『…っていうか、未来枕にしてていいのか?
本人の許可とったのかよ…』
『多分未来なら許してくれるだろ…』
蒼真がそう返してくる。まあ未来は気持ちよさそうに眠ってるし、怒られることはないだろうけど。
『…正直、ユウリは水ジムは戦い方を変えざるを得なかったって感じだからな…。
お前らを出す展開に出来なかったのは俺のせいでもあるけどよ』
俺で流れを作ってその後タイプ相性のいい2人で戦いたかった…ってのが思い描いてたバトル。
俺が何もできなかったことで、未来での水中戦に切り替えたっていう形だろうな。
『…俺が言えたことじゃねえけど、落ち込んでても仕方ないだろ』
『…本当に誰が言ってんのって感じだね』
俺の言葉に穂乃花が笑ってくるが、『うるせえ』と返して続けていく。
『今回選ばれなくても、まだ選ばれるチャンスはあるはずだろ。
選ばれなかったからって落ち込むんじゃねえよ』
俺がそう話すと、玲は『そうはいっても…』と続けてくる。
『野生のポケモンはともかく、ジムリーダーみたいな強い相手と戦うのは限られてるでしょ?
私はせっかく一緒に旅をしてるなら、そういうバトルに出てユウリの役に立ちたいんだ』
『ああ。俺たちを大事にしてくれているのは分かっている。
だからこそ力になりたいんだよ、俺は』
2人はただバトルがしたいだけじゃない。
ユウリの力になりたい。自分だって、仲間として役に立ちたい。
そういう気持ちか。
『まあ、今は出番がなかったとしても、次に必要とされる時は来るだろ。
ジム戦だって、相手や状況によって必要なポケモンは変わるし、タイプ相性がよくても、戦い方が合わなきゃ厳しいこともあるんだからよ』
『そうだよ。その時に、ちゃんと戦えるように準備しておけばいいんじゃないの?』
『うん!私だってバトルはまだまだ不安だし、みんなが後ろでいてくれるから私も戦えてるし!』
穂乃花と祐希の2人も俺と同じように話してくる。
『…まあ、そうだな』
『…うん。そうだよね』』
…何となく二人は納得はしたようである。
そしてその後ろで。
『すぅ…』
未来はそんなことも気にせず、寝息を立てて眠り続けていた。