目が覚めたらアブソルだった件…いや、なんで!? 作:W297
ヒバニーから『自分も転生者だ』と告げられ、俺は自分以外にも転生者がいたのかと驚く。
『あー、でもよかったー。おんなじ境遇の仲間がいて』
ヒバニーは床に座ってそう話してくる。
『俺もだよ。『変なアブソルだな…』とか思われたくなかったからさ。
…お前も、起きたらこの世界に来てた感じか?』
俺がそう聞くと『そうだよ』と返す。
『目が覚めたらメッソンとかサルノリと一緒にいてさ、ダンデから「これからお前たちをトレーナーの元へ連れてってやるぞ」って言われてここに来たんだ。
なんか見覚えあるなって思ってたら、ユウリ達の顔を見て剣盾の最初だってわかったよ』
『へえー、いい感じじゃん。
俺なんてもしかしたらカンムリ雪原に飛ばされてたかもしれないってのに…』
俺がそう話すと、ヒバニーは『まあ、こうしてゲットしてもらえたんならよかったじゃん』と笑って返してくる。
『それとさ、一応人間の時の名前聞いておいてもいい?
名前聞いといた方が、いろいろと便利かもしれないし』
『…ああ、静原白斗だよ』
俺がそうヒバニーに話すと、彼女は『白斗!?』と驚いた表情を見せてくる。
『白斗、私だよ!
『穂乃花!?』
…同じクラスのスポーツ万能な女子、日野穂乃花。
小学校からの付き合いであり、中学・高校とずっと同じ学校・クラスである。
『…もしかして、私たちのクラスの人間がポケモンに転生したの…!?』
『…かもな。アルセウスの気まぐれで適当な集団を纏めてやったのかもしれねえ』
『うわー、めっちゃありそうそれ…』
穂乃花はそう苦笑いしながら続けていく。
『…それで、これからどうする?
白斗って呼んだほうがいい?』
俺は穂乃花に「ああ」と首を縦に振る。
『それなら俺も穂乃花って呼ぶけどいいか?』
『もちろんだよ!それじゃ、これからもよろしくね、白斗!』
『ああ、こっちこそだよ穂乃花。一緒に強くなっていこうぜ』
そう俺たちが話していると、ユウリが部屋に戻ってきた。
「…あれ、大分仲良くなったみたいじゃん。よかったよかった」
「ヒバッ(うん)!」
「…ソル(まあな)」
…姿は違えど10年近く一緒に過ごしてきた仲だ。
勝手が分かっているってのはやりやすい。
「それじゃ、ママにはブラッシータウンに行くこと伝えたし、出かけよっか。
戻って、ヒバニー、アブソル!」
そう言って、俺たち2人は赤い光に包まれて、ボールの中へと吸い込まれていった。
◇ ◇ ◇
ボールの中は特に体を動かすことはできないが、かといって狭苦しいとかそんな感覚はない。
暑すぎず、寒すぎず、すごく快適である。
ちなみにだが外の景色は見えないが、ボールの揺れは伝わってくる。
…そんな中、ボールが持たれた感覚がした。
「出ておいで、アブソル!」
「ソルッ!」
俺が辺りを見渡すと、そこは天井が高く、高い本棚がそびえたっている建物の中。
「…ダンデ君の言ってたことホントなんだ。
私も直接見るのは初めてだよ」
俺をマジマジと見てくるオレンジの髪のサイドテールと散りばめられたハートの髪飾りの女性。
剣盾のストーリーにおいて姉貴キャラ、ソニアだ。
「…にしても、いたのがまどろみの森なんだって?
ガラル本土にはいないはずなんだけどな…」
「そうなんですよね…、あそこって何かあるんでしょうか…」
ユウリとソニアが俺についてそう話していき、ユウリはスマホロトムのカメラを俺に合わせる。
《アブソル、わざわいポケモン。
風のように 野山を 駆けぬける。
弓なりの ツノは 自然災害の 予兆を 敏感に 感じとる。》
…なるほど、図鑑を開いていたのか。
「やっぱり、このアブソルって図鑑の大きさより少し小さいですよね…」
「多分生まれたばっかりの子どもだからじゃないかな。
進化はしないポケモンだけど、旅をしてたら徐々に大きくなっていくと思うよ」
その後もユウリとソニアの言葉を聞いていれば、覚えている技も図鑑を通せば分かるみたいだ。
そして、ソニアは俺の目線に目を合わせてくる。
「君がなんでまどろみの森の中にいたのかは私も分からないけど、君はユウリのポケモンになったんだ。
しっかりとユウリのこと、守ってあげてね」
「…ソル(はい)」
俺はソニアの言葉にそう首を縦に振った。
◇ ◇ ◇
そして、ボールに戻された俺。
外は見えないが、何かの建物の中に入ったみたいだ。
そして、またボールが持たれた感覚がした。
ユウリから誰かへと受け渡され、俺は何かの機械の上に置かれた。
(…うわ、なんだこれ…)
その数秒後、全身が快適な温泉につかっているような感覚に包まれた。
(もしかして、これがポケモンセンターの感覚…)
ポケモンたちの回復を行う場所、ポケモンセンター。
使われる側だとこんな感じになるのか…。
そして俺は機械の上から外され、ユウリの元へと返される。
(この感覚も徐々に慣れていくのかな…)
ボールの中で、俺は静かにそう思っていた。