目が覚めたらアブソルだった件…いや、なんで!?   作:W297

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7話 いざ、ワイルドエリアへ

『ん…』

 

 ココガラの鳴き声が窓から聞こえてくる朝。

 

 俺は目を覚ました。

 

 …だが、動けはしない。

 

(…なんか寝苦しいと思ったら、こういうことか)

 

「…えへへ、もう逃がさないよ…」

 

 俺の体はがっちりとユウリにホールドされていた。

 

 その顔は凄く笑っていた。

 

 …ユウリが寝た後に穂乃花と話して、俺はユウリの傍に丸くなった。

 

 俺が寝た後に捕まった…、ということみたいである。

 

『すぅ…、すぅ…』

 

 ちなみにだが穂乃花は俺の体を枕にして寝ていた。

 

『…ったく』

 

 俺はそう呟きながら、体を動かす。

 

「あう…、いかないで私のモフモフ…」

 

 …おい、どんな夢を見てるんだコイツは。

 

『…あ、おはよー白斗。

 

 …やっぱりこの感覚慣れないね』

 

『…ああ、こればっかりはな』

 

 俺は4本の足でゆっくりと、穂乃花はピョンと跳ねて立ち上がる。

 

 …アブソルとヒバニーになった俺と穂乃花の体。

 

 その目線は人間時代より圧倒的に低い。

 

『それで白斗、ユウリ起こす?』

 

『ああ、時間見てもそろそろ起きた方が良いだろ』

 

 そう言って俺は右前足をユウリの頬に軽く乗せる。

 

 …さすがに爪は外して置いている。

 

「んあ…、おはようアブソル…」

 

 ユウリは眠たげに目を擦りながら体を起こす。

 

「待っててね、ヒバニーとアブソル…。

 

 2人のご飯持ってくるよ…」

 

 そう言ってユウリはふらふらした足取りでリビングに向かっていった。

 

『…もしかしてユウリって、朝弱い?』

 

『そうだよ。白斗を見つけた日も、なかなか起きてこなかったし』

 

 穂乃花は俺にそう返してくる。

 

 …愛奈も、朝は弱かったな…。

 

 ユウリに愛奈の思い出を重ねながら、俺はユウリが戻ってくるのを待っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…やっぱり、ボールの中より外を歩いたほうが楽しい?」

 

「ヒバ(うん)!」

 

「…ソル(まあな)」

 

 朝ごはんを食べた俺たちは、2番道路の先にある博士の家へと歩いていた。

 

 今回、ボールには入っておらず、俺はユウリの横を歩いている。

 

 ちなみにだけど穂乃花は俺の背中に乗っている。…許可した覚えないんだけど。

 

 …まあ、ヒバニーの重さ位、どうってことないが。

 

 さすがにエースバーンとかになった後に、乗られるのはやめてほしいけど。

 

 …そして外を歩いているが、やっぱりゲームの世界だ。画面越しに見ていた景色が俺の視界に入ってくる。

 

 ボールの中は移動しなくても快適だし楽だけど、外を見ることはできない。

 

 せっかくならいろんな世界を見たかったし、出来る限り外には出ていよう。

 

 そして、あたりを見渡しながら歩いていると、2番道路の先にある博士の家にはあっという間に着いた。

 

「それじゃ二人とも、ボールの中戻っててね」

 

「ヒバ(はーい)!」

 

「…ソル(ああ)」

 

 俺たちがそう鳴くと、ボールから赤い光が俺たちを包み、ボールの中へと戻される。 

 

 …なんとなくわかってきた、この世界。

 

 自分の家の中とか、野生で連れ歩いている分には何も言われない。

 

 ただ、目上の人の家の中とか、ポケセンとかの公共の場ではポケモンを出したままにするのはあんまり…ってことか。

 

 まあ俺たちは人間の記憶があるから、おとなしく待っていられるけど、他のうまれたばっかのポケモンや暴れるのが好きなポケモンとかだったら、他の人の迷惑になる…ということだろう。

 

「おはようだぞ、ユウリ!」

 

「おはよ、ユウリにしては早いね」

 

 そんなホップとマサルの声がボール越しに聞こえてきた。

 

「アブソルが起こしてくれたんだ。この子ホントに賢いよ」

 

 ユウリのそんな声が聞こえてきた後、博士の声も聞こえてきた。

 

「…ユウリ、ホップ、マサル。

 

 これをお持ちなさい」

 

 ユウリはおそらく何かを受け取ったみたいである。

 

 …原作通りとするなら、これはダイマックスバンド。

 

 ポケモンたちのダイマックスを可能とするアイテムである。

 

「博士、ありがとうございます」

 

「ああ、これで兄貴とおんなじだ!俺もダイマックスできるぞ!」

 

 ホップがそう話すが、博士は「おやおや、焦らないで」といさめる。

 

「3人とも、ポケモン図鑑を埋めるためにも、いろんなところに赴いて、さまざまなポケモンに出会うのですよ」

 

「はい、楽しんできます!」

 

「ああ、どんなポケモンに出会えるのかな」

 

「よし、オレの伝説が始まるぞ!」

 

 そんな3人の元気な声がボール越しに俺たちの耳に聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして俺たちはブラッシータウンの駅へとやってきていた。

 

 駅の改札に入ろうとする際、「ちょっと待ってよ」という声が聞こえてきた。

 

「かーちゃん?」

 

 …ってことはホップのお母さんか。

 

 ああ、思い出した。列車に乗る前の所か。

 

 声としては後はユウリのお母さん、そしてさっきの声とは違うもう一人の女性の声、おそらくこれがマサルのお母さんだろう。

 

 ここでキャンプセットを貰って、剣盾名物のキャンプ、そしてその中でのカレー作りができるようになる。

 

 そして、ユウリのお母さんからは「パートナーと一緒なら大丈夫!」という声がかかる。

 

 まあそれでもユウリのこと心配なんだろうな。

 

 家に帰れるのならちょくちょく帰ってほしいな、ユウリ。

 

 そして3人は「行ってきます」と言って改札を通り、列車へと乗り込む。

 

 …今までは、ゲームの世界のワイルドエリアだったけど、これからは現実のワイルドエリア。

 

 油断したら全然死ぬことはありえるだろう。

 

 …でも、ガラル地方の代名詞であるワイルドエリアだ。

 

 どんなポケモンが出るのかわくわくしているという気持ちも強い。

 

 昨日穂乃花にも聞いたけど、『怖いけど、楽しみでもあるかな』って言っていた。

 

 まあユウリがどう過ごすのか、ヤバいと思ったら無理矢理にでも止めておこう。

 

 俺はユウリの体からボールへと伝わる列車の揺れを感じながら、ワイルドエリアへと向かっていった。

 

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