「個性把握テストー!?」
早速楽しそうなイベントだ。個性を使って何処までやれるのか。それを測るとの事。
「阿久間、中学の時のハンドボール投げの記録は?」
「百十四メートルでした」
球技やってたら五十メートル超えるらしいし、俺としては逆に不満な数字。
投げ方が多分悪いよ、きっと。
「個性無しでか……。まあ、良い。個性有りで思っ切りやってみろ」
相澤先生に言われるがまま円の中に。さてと、吸収して体内に入れている道具は幾つか有るけれど、この状況で一番向いているのはこれだな。
大きく振り被った腕、それが後方へと伸びて行く。
「腕めっちゃ伸びた!?」
そのまま最大まで後ろに伸びた勢いを付けて投げ、更に指先からエネルギー弾を飛ばしてボールを弾く。
当たる度に大きく前に飛んで行くけれど……。
「流石に外したか……」
外さなかったら更に行けたけれど、一度外せば次を撃つ時間が足りない。
不本意な結果が出てしまった。
「記録2・5キロメートル。今のお前達の最大値を知る。それが目的だ」
最大値じゃないけれどね。先生の見せた計器の表示に皆は一瞬だけ固まり、直ぐに騒ぎ始めた。
個性を好きに使える事への興奮、そして面白そうって反応があった瞬間に相澤先生の表情に変化があった。
「面白そう…か。お前達は三年間そんな心境で過ごす気か? 決めた。総合で最下位の生徒は除籍にする」
確かピッコロさんが言ってたな。去年クラス一つが丸々除籍になったって。
皆が騒ぐ中、かっちゃんにどう思うか聞いてみたら……。
「デクが最下位」
「そうじゃなくって除籍についてだよ。去年実際に全員されてるみたいだよ」
「関係無ぇ。一位取れば良いだけだ。テメェも推薦組も抜いて俺が一位だ」
それはそう。最下位を避ける事を考えて競っても面白くない。
「合計順位で負けた方が相手が一位の競技の数だけ昼奢りってどう?」
「あっ? 上等だ。破産させてやらぁ!」
そうそう、こうじゃないと詰まらない。爆豪勝己はこれだから面白いんだ。
五十メートル走
「これって飛んで良いですか?」
「反動で跳ぶのは良いが飛ぶのは駄目だ」
ちぇー! 長距離なら変身する方が良いけれど、短距離なら普通に走った方が速いので走る。
「3秒05。二位……」
「個性使った様子無いのに辛勝か……」
インゲニウムに似た個性の男子に負けた。
立ち幅跳び
「飛べるなら時間の無駄だ。♾️にしておく」
一位!
反復横跳び
「「ふんふんふんふん!」」
「二人とも凄ぇ!?」
頭のボールみたいなので跳ね続ける男子に僅差で勝利で一位!
握力
指を伸ばして巻き付けて一気に締め上げる。
「700キロ」
「540キロか。自身があったんだがな」
腕を生やしたり万力作ったりしてたのがいるけれど一位。
長座体前屈
腕伸ばして一位。カエルっぽい個性の子が舌を伸ばして二位だった
「此処迄来たけれどランチはゴチになりそうだなぁ」
「残り見てろや! 絶対抜いたるわ、クソが!」
そしてハンドボール投げ
先程より伸びたけれど、心配なのは出久君 今までパッとしないから除籍になりそうだけれど……。
「やっぱり条件が難しいタイプの個性だったのかな? 倍率考えたら入れなかった大勢以上の成績だった訳だし」
「けっ! テメェの個性に十年以上気が付かねえ間抜けだったとして、それに負けるカスなんざ速攻で除籍だわ」
そうしている内に相澤先生が彼の個性を消して小言を言っている。
まあ、ヒーローが助けた人に感謝されるのは良いけれど、心配されたり謝られたりは駄目だよね。
そうして二回目、指にパワーを集中させて700近い記録だ。
かっちゃんは中学まで何気に個性も鍛えて800近くだったけれど……。
「あれって使うのは問題無いみたいだね。反動で指が折れてるけれど」
「……おい、まさか本当にデクの奴は」
一気に激昂して詰め寄ると思いきや、かっちゃんは何やら考えている様子。まあ、小3以来会っていなかった俺でも彼はちょっと自己犠牲と善性の化け物だった。
それが都市伝説になる悪党に力を貰うなんて何があったってっと、イジメを続けていたんだろうね。
それでも自分からかっちゃんと行動していたから無理矢理止めさせようとまでは行かなかったけれど、追い詰めたって自覚があるらしい。
「糞が! オールフォーワンだか何か知らねえが……」
「かっちゃん、ストップ。確証は無いし、本当だったら大規模な組織の可能性もある。騒ぐには早い」
納得はせずとも理解はしたのか動きを止める。うん? オールフォーワンって口にした時に小さい悲鳴が聞こえた気がするけれど……。
「さて、それはそうと出久君。指ちょっと見せ……」
「阿久間、余計な事はするな。それも含めての総合成績だ」
「はーい」
「伸ばすな。はい、だ」
治療しようと思ったけれど先生に止められる。確かにそうだけれど、厳しい。
そして持久走 もう俺の勝利はほぼ決定。なので一位を貰って奢り日数を増やすだけ。
「学食はリーズナブルで美味しいそうだからね。楽しみ〜。かっちゃん、奢りにデザートは含まれますか!」
「入っとらんわ、ボケ!」
「ちぇー」
文句を言いながらもスタート位置へ。皆が一斉にスタートしたけれど、俺と八百万さんはちょっとストップ。
お互いに準備があるからね。彼女は何か創っていて、俺は手足を伸ばしていた。
「それじゃあ行きまーす!」
本来の三倍の長さの手足での全力疾走。直ぐに背中が見えて来て、先頭集団に追い付いた所で後ろからバイクのエンジン音。ふへー。あんなのまで創れるんだ。
だが甘い。こんな不慣れな体格では最初からトップスピードなんか出せず、体が慣れる事で速度は上がって行く。
「追い付けない!?」
そのままトップスピードに乗ってゴール。これで一位だけれど出久君はやばいかな?
指が痛いのか走る動きが何処か不自然だった彼は持久走で下位。これで総合最下位だ。
心配しながらも総合順位を見る。俺一位!かっちゃん三位! 八百万さんの利便性の高い個性相手は厳しかった!
「因みに除籍は嘘な。君達の力を引き出す合理的虚偽だ」
嘘だー。見込みがあると思ったから除籍にしなかっただけじゃん。
「……」
そして教室に戻って書類受け取って帰るだけ。かっちゃんは何か思うところがあってか黙って帰ろうとするけれど、呼び止めた。
「暴れ足りないしモヤモヤする時はバテるまで動こう!」
トレーニングルームの使用許可証を見せる。初日からかって相澤先生には呆れられたけれど、下校時間ギリギリまで最新機器を使いたい放題だ。
「ちょっと待てや。ウチのババアに遅くなるって連絡するから」
当然ここで断る筈もない。さて、思いっきり動こう。どうせ俺はマンションが近所だ。