貞操逆転世界に転生した俺は目のクマが濃いボサボサ頭ジト目研究バカの二人称少女系性癖破壊お兄さんらしい。 作:くっきーたべたい
俺には、大好きなソシャゲがあった。
もう名前さえ忘れてしまったが、あの時の俺は命に変えてもいいほどハマっていたと思う。
「そろそろ寝ないとな…」
その時もそのゲームをやっていて、気づけば深夜一時。
明日も大学があるんだ。早く寝ないと。
そう思ってベッドに潜り込んだ時、ふと考えた。
こんな世界に行けたらいいのにな。
そう考えたのが間違いだったのかもしれない。
目が覚めた。
知らない天井…いや。
天井すらなかった。
目の前に広がるのは、広大な自然。
少し視点が低く感じ、手元を見ると明らかに体が縮んでいる。
空は嫌になる程澄み渡っていた。
一度も行ったことがない場所のはずなのに。
なのに…既視感が絶えなかった。
「ここは…もしかして。」
あの世界の…
そう考えた時、俺は。
俺は絶望した。
この世界で、魔法を持って生まれたならまだしもそうでなければ何もできない。
そういう世界だったからだ。
ここで、世界観について説明しよう。
『目の前に広がる広大な世界を、様々な魔法を使って冒険しよう!』
なんてありきたりなフレーズでリリースされたそのゲームは、
実際のところ多くのプレイヤーの期待をいい意味で裏切った。
いや、悪い意味とも言えるかもしれない。
重厚なストーリー、度重なる鬱展開。
圧倒的な難易度は特にゲーマーを唸らせ多くの初心者がリタイアし、それでも残った気狂いが攻略の最前線を突っ走る。
魅力的なキャラクターに釣られてダウンロードした人間が次々と星1評価をつけて、それでもなお星4.5を記録する異常とも言えるゲームだ。
好みを非常に分けたストーリーについて簡単に解説しよう。
物語は魔法学園の説明から始まり、主人公が首席合格するところまでがプロローグ&チュートリアルである。
魔法学園とは、過去の王が次々と侵略を続ける魔物と魔王との戦いに疲弊し、魔王を倒し戦いを終わらせる才を持った人間を育成する学園だ。
そして、魔王が討伐され百年。
未だに『魔法使い、魔法剣士における最高の学園』という評価でその学園は残り続けていた。
そこで魔王が復活して、首席の主人公や次席のヒロインなどがラブコメを繰り広げながら現在の王からの依頼で魔物を討伐していく、という内容。
ここだけ聞くと普通だが、ここには重大な見落としがある。
『魔物』というのは一体一体が化け物であるということだ。
圧倒的な身体能力と知能を持つ魔物に対抗するのは流石の主人公でも難しく、健闘したが魔物の一撃でついに死にそうになる。
だがそこをヒロインに庇われ、ヒロインの死を噛み締めながら主人公が成長していく、という物語だ。
だからこそ。
最強になれる素質を持っている主人公でさえ苦しみ続けたというのに、俺という人間が魔物と戦えるはずがない。
まさしく、絶望…と言わざるを得なかった。
だが。
世界は俺を見捨てなかった。
「こんなところに子供?妙じゃのう。」
「学園…長?」
そう。
俺の目の前に立っていたのは、ゲーム内で最強キャラとも言われた学園長だった。
限定イベントでしか使えない代わりに、運営が威厳を盛りに盛った合法ロリだ。
あまりの強さに、もう主人公じゃなくてお前が戦えよと何度言ったかわからない。
「なぜ、そんなことを知ってるのかの?」
あ。失言した。
学園長は、俺を射殺さんばかりの目で見つめていた。
なぜ。なぜ俺はゲーム内屈指の善人キャラを敵に回したのか。
そんなことを後悔していると…
「まあ、子供の戯言と捉えてやるのじゃ。…行く当てがないのじゃろう?」
学園長!!
まじ学園長様様である。
さすが!
子供にやさしい!!
それでこそ我らが合法ロリ!!!
「…はい。」
「そうか。ならば…妾の所に来い。少なくとも今以上は贅沢な暮らしをさせてやる。」
そんなわけで。
時間は飛んで十年後。
学園長にしごかれて少しは主人公にも対抗できるほどの強さはあるだろう、と俺が思いはじめた時。
ついに、魔法学園へ入学する日がやってきた。
少し悲しいのが、主人公の一個上の年齢だから原作開始まで一年待たないといけないということだが…
これはチャンスと思うことにしよう。
猶予だ。
魔法学園は寮生活が義務付けられており、学園長も流石に寮で生活している俺に干渉するのは基本ないと見ていいだろう。
となると。
原作開始までに、『ある魔法』を極めたい。
そうすればきっと、俺も魔物と少しは戦えるだろうから。
「『ヒール』…だめかあ。」
未だ結果は芳しくない。
「お前、まだそんなことをやっているのか?お前なあ、男なんだから少しは…」
同級生が文句を言ってくる。当然だ。
なんてったって、このクラスには俺しか男がいない。
そして、俺は身体能力はあっても魔法がまともに使えない。
そのくせ、深夜までずっと治癒魔法の練習をしている人間だ。
不気味に思われても仕方ない。
でも、俺には目的がある。
一日一日と原作に近づいて行くたびに、恐怖が俺を襲う。
いつかポックリ逝ってしまってもおかしくない。
それほどまでに、魔物の恐怖は俺の脳裏に染みついている。
「お前、耳を塞ぐな!はぁ…そんなに目の下に隈をつけて。どうせ毎日寝ていないんだろう?研究をするのはいいが、少しは睡眠を…」
そして。
治癒魔法は、その時のために使えるとても重要な切り札になりうる。
「そもそも。男がそんな格好で研究室にいられると困るんだよ。研究科に他に男はいない。みんな男慣れしていないんだ。なのに…」
まあ、この作戦の最大の欠点は、俺が一切魔法を使えないことと、治癒魔法の難易度が他の魔法と比べても最高レベルで高いということだが。
もう研究科に入ってしまった分には仕方がない。
どんな方法でもいいから、治癒魔法を…。
「ボサボサの頭、下着がないワイシャツ。研究室で寝泊まりして風呂に入らないから染み付いている男の匂い。二日ごとに入るとかそういう問題じゃないんだよ。研究に集中できるわけないだろ!極め付けは…」
「他に女がいる前で一切気にせず爆睡かますとか…お前、本当に…」
「ふぁ…おはようございます。」
目が覚めた時、俺の前には大量の研究科のクラスメイトが集まっていた。
「ん?みんな、どうしたの?」
少し、いや。
顔が疲労と怒りで歪んでいる、ように見える。
一体、何があったのだろうか?
「ハッ!
もしかして、俺がずっと研究の成果を上げないから…」
「「「「…」」」」
あれ?顔が呆れに変わった?
コツ、コツ、コツ。
足音と共に、教授が現れた。
「おい、ルーク。」
あれ、これ、本当にやばい?
「は、はい。」
「とりあえずお前一週間寮で寝泊まりしろ。」
その日、俺が研究室の鍵を爆破するのは別の話。
深夜テンションで書きました。
あまり強いコメントを送るなよ、俺が泣くぞ。