Per noctem volamus. 作:コルディアムに脳を焼かれた阿慈谷ヒフミ
見たら小説のことがもっと分かるかもしれません。見なくてもいいのかもしれません。
いずれにせよまぁまぁ長いので気になったら見に来る程度でいい気もします。
BAE ヴェンデッタとはイギリス空軍が運用する戦略爆撃機である。
開発担当企業はBAEシステムズ。
Vendettaは血の復讐、報復といった意味を持つ単語であり、冷戦期のイギリス空軍爆撃機のヴィクター、ヴァルカン、ヴァリアントの系譜に連なるVから始まる名称を持つ。このため、この3機にヴェンデッタを加えて現在は4Vボマーと呼ばれる。しかし、3Vボマーがそれぞれ勝者、火の神、そして勇敢を意味する単語から付けられているのに対し、このヴェンデッタは毛色が異なる名称を持つ。その意味については多くの説が唱えられるが、最も有力な説はヴェンデッタ最大の任務たる「核報復」を確実に成し遂げる、という意味合いを込めて付けられた、というものである。
開発史
冷戦終結後のイギリスでは軍全体における経費削減が多く打ち出された。対ソ戦の際に欧州戦線の主力を担うとされたイギリス軍は、ソビエトの崩壊により大戦力を維持する必要性を失ったのである。それは空軍でも変わらなかった。
ところがソビエトの崩壊はイギリス空軍参謀総長を中心に新たな懸念を抱かせることになった。世界唯一の超大国となったアメリカ合衆国。もはやかの国を止められる国家は世界に存在しない。止められるとすれば核保有国だが、イギリスの核戦略は海軍が保有するレゾリューション級原子力潜水艦および就役が始まったヴァンガード級原子力潜水艦、そしてそれらが搭載するポラリスならびにトライデントD5潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に頼りきっていた。イギリスの核戦略は、実質的にアメリカ頼りになっていたのだ。
米英同盟は強固であり向こう数年に渡り破棄されることはないと考えられていたが、しかし核戦略の中核を唯一の超大国に握られている事実は彼らを焦らせるのに十分だった。
さらに同時期、ヴァルカンに取って代わり導入されたトーネードについても、導入からわずか10年程度とはいえ、航空機のハイテク化に伴い長期化する後継機開発を目論むのならば検討に入るべき時期となっていた。何よりトーネードの攻撃機としての能力はその規模からすれば必要十分であり、ヴァルカンと比しても大差ないものだったが、現在の技術により大型爆撃機を製造すればさらなるペイロード増大が見込まれたのである。
これらの事情から、空軍から説得を受けた当時の保守党ジョン・メージャー内閣は1995年に新型爆撃機開発計画を承認。この計画は将来攻撃航空システム(Future Offensive Air System, FOAS)と呼ばれた。このFOASと同時開発され、核戦略の中核を担うミサイルとして、空中発射弾道ミサイル「ブルーストームALBM」が計画された。
しかし1998年の戦略防衛再検討(Strategic Defense Review, SDR)の際にFOASおよびブルーストームは大蔵省からの激しい攻撃に晒される。
大蔵省の主張は、冷戦終結後の軍縮の流れの中で、今やアメリカ、ロシア、中国のみが維持する戦略爆撃機を現代に再製造するのはコストパフォーマンスの点で不適切極まりなく、無用の長物でしかない、というものだった。
これに対して空軍は潜水艦に依存した核戦略の脆弱性を指摘。ミサイルのアメリカ依存、および潜水艦では「見せつける威嚇」が出来ないことを問題とした。一方で空中発射弾道ミサイルを搭載した爆撃機ならば目前まで飛行し引き返すといった、政治的駆け引きの道具として使える点を強調。さらに、SLBM搭載潜水艦とALBM搭載爆撃機による冗長性確保により、イギリスの国家としての核戦略は強靭になることも指摘した。
加えて空軍は議会内のタカ派政治家を巻き込み、「国産爆撃機と国産ミサイルによる自立した防衛戦略」をキーワードとしてロビー活動を展開。当時の労働党トニー・ブレア内閣に対しても爆撃機ならびにミサイルの開発による雇用創出を主張し、雇用政策に敏感な労働党内閣を味方につけた。
結果的に1998年SDRにおいてFOASならびにブルーストーム計画は最優先事項のひとつとして位置づけられ、開発の継続が宣言された。
同年10月、BAeはイギリス政府よりFOASならびにブルーストームALBMの主契約者に指名され、初期開発を受託した。
FOASの主任務はブルーストームALBMによる核報復であるが、核攻撃専任機は使い勝手が悪すぎることは冷戦中には既に分かりきったことになっていた。また、トーネードが担う攻撃任務を引き継ぐ事も想定されたFOASは結果的に核攻撃から近接航空支援まで、地上攻撃任務を全範囲に渡りカバーする、ペイロード18t級マルチロール爆撃機として計画される。
2000年にはイギリス政府ならびにBAEシステムズ、ロールスロイスの三者間でFOASの搭載エンジンとしてJSF計画で採用されるF135エンジンの代替として開発されていたF136の改修型を採用することを決定した。
ところがアメリカ政府はこの決定に反発。イギリスが自国、ひいてはNATOからも完全に独立した核戦略をとることになるFOASおよびブルーストームの開発には以前から懸念を示していたが、アメリカ企業であるゼネラル・エレクトリックも開発に参加しているF136を、爆撃機に採用するのは看過できなかったのだ。
アメリカ政府はJSFへの機密アクセスレベルを下げることをチラつかせる一方、トマホーク巡航ミサイルの供与も示唆。さらにはイギリス本土への爆撃機駐留も提案した。
しかしイギリス政府および空軍は猛反発。さらに、F135の中でもF-35Bに採用されるリフトファン搭載型の開発に携わっていたロールスロイスの開発撤退およびJSF計画からの離脱も示した。アメリカにとってイギリスはJSFへの資金拠出が最も大きいTier1パートナーであり、それを失うことは次世代ステルス戦闘機の計画が危うくなることを示していた。
結果的にアメリカ側がこの交渉では折れ、F136のFOAS採用を承認。初期型に搭載される型式名はF136-RR-200となった。
2007年には地上試験用の試作第1号機が完成。ところが初の地上試験で主脚の強度不足が発覚。また、B-1でも発生した電子戦機器が機体のレーダー装置に悪影響を及ぼす不具合が発生したため、これらの問題解決に1年を要することになった。
2008年、ついに飛行試験用の試作第4号機がロールアウト。ワートン飛行場より13時25分に飛び立った本機は主脚にも問題が発生することなく無事に試験を終え、14時10分にワートンに着陸した。
この初飛行と同日、新型爆撃機の名称を「ヴェンデッタ」と決定したことが発表された。メディア間では、冷戦時代の3Vボマーの再来と話題になり、イギリス空軍も本機を含め4Vボマーと公式に呼称を始めた。
そして2011年。ヴェンデッタ試作6号機はブルーストームALBMの発射試験をオーストラリアのウーメラ試験場で実行。
この際の試験状況は高度16000m、マッハ1.3だった。
ズーム上昇中のヴェンデッタから放たれたブルーストームはタスマニア島沖合でファーストステージ点火に成功後、高度85000mまで上昇、1000km先のウーメラ試験場内の標的に43m離れ着弾。試験は無事に成功を収めた。
その後の各試験でブルーストームはCEP51mを達成。トライデントD5のCEPが90mほどであると考えると、この数値は驚異的な精度だった。
2014年、ヴェンデッタB Mark1の初期生産が開始。同年8月13日にはイギリス空軍爆撃機軍団の再編成が宣言。初期ロットは16機で、この機体はパナヴィア・トーネードから機種転換される、爆撃機軍団隷下に再配置された第617飛行隊“ダムバスターズ”に集中配備される。
2022年には改良型のヴェンデッタB.2がロールアウト。既存のB.1は順次B.2に改造されると共に、本機のロールアウトにより、第9飛行隊が新たにヴェンデッタの運用部隊として指定される。
機体性能
3Vボマーの系譜に連なる最新鋭爆撃機として開発されたヴェンデッタは、イギリス空軍のあらゆる対地打撃任務をカバーするべく非常に多機能な航空機となっている。
当初、核攻撃任務を最重要任務として開発されていたヴェンデッタは、後方の大規模航空基地を拠点として運用することが考慮され、離着陸距離については制限がなかった。ところがその性格がマルチロール爆撃機となるにつれて、比較的前線近傍の航空基地での運用も求められ、次第に離着陸距離短縮の要求が生まれた。
この要求に対してBAEシステムズは可変翼の復活をもって応えた。当初設計ではクリップドデルタ翼だったが、新たな設計では主翼中央部より外側が22°から65°の範囲で自動で無段階可動する可変後退翼となり、この特異な形態は「可変クリップドデルタ翼」と呼称される。
この主翼と、ロールスロイスが生産する低バイパス比ターボファンエンジン、F136-RR-200計3基が組み合わさり、最大離陸重量161t積載状態であっても離陸滑走距離は1600mに抑えられている。
しかしながら可変翼の採用はそのままではステルス性に大きな問題を残す。可変機構や主翼展開時に出来る空間が意図しないレーダー反射を作り出してしまうのだ。
この問題に対し、BAEは本機のステルス性が発揮される領域を最大後退角65°後退時に限定。その他の角度域は低空侵入時や上空待機時、あるいは離着陸時のステルス性の必要性が限定となる領域であるため不要としたのだ。また、低速飛行時でも65°への後退はマニュアルモードで設定可能とした。この65°後退時に合わせて機体の形状を最適化、また後退角が浅い時でもステルス性への影響を極限するため、可動部に弾性RAM(レーダー波吸収材)シーリングを採用したほか、22°、45°後退時には、最大後退角時に主翼が格納されるスペースを主翼上面側並びに下面側から蓋をすることでスムーズスキンとなるように設計した。
F136-RR-200は先述したようにJSF計画で採用されたF135の代替エンジンとして開発されていたF136の改修型で、ライセンスを取得したロールスロイスが生産を行う。ミリタリー出力125kN、アフターバーナー点火時191kNを誇るこのエンジンを、ヴェンデッタは両主翼根元および胴体後方下部に合わせて3基搭載する。この大出力エンジンにより、ヴェンデッタは、最大離陸重量時においてもマッハ1.3のスーパークルーズと最高速度マッハ2.1を発揮可能とする。
エアインテークは両主翼下面に1つずつ、そして胴体後方のエンジン用に両主翼上面に小型のものが1つずつ配置される。
エンジン排気冷却用に、エンジン排気口からノズル最後端にかけて冷却タイルが存在する。これにより地上からの熱源探知の抑制を行う。
武装面では、機体前部から中央にかけて2基のメインウェポンベイが設けられる。このウェポンベイは通常は2基のロータリーランチャーが設置され、多種多様な兵装の実装が可能である。具体的には、ペイブウェイIV 500lb誘導爆弾やストームシャドウ巡航ミサイルを1つのランチャーあたり8発、計16発搭載可能。ロータリーランチャーを取り外せば、GBU-53/Bストームブレーカー SDBまたはSPEAR 3小型巡航ミサイルを最大96発搭載できる。ブルーストームALBM搭載時はロータリーランチャーが取り外され、この2基のウェポンベイ全体を使用して1発のブルーストームを格納する。
外部兵装として主翼内側にもハードポイントが存在。両主翼合わせて4箇所存在するこのハードポイントにも多様な兵装が搭載できる。一例として、BRU-61/A 4連装ラックを使用した場合、外部のみでGBU-53/Bを16発搭載できる。
本機の特徴として、メインウェポン後方の小型ウェポンベイの存在が挙げられる。この小型ウェポンベイは自衛用ミサイルの格納を目的としており、ミーティア中距離対空ミサイルならびにAIM-132 ASRAAMを4発搭載できる。
ヴェンデッタは電子戦兵装も抜かりなく、統合電子戦システムとして「ゴルゴン・アイ」が採用されている。この統合電子戦システムは機首ならびに機体後部に設置されたAESAレーダー、レーダー/レーザー警報受信機、ミサイル接近警報装置、主翼の前縁や後縁部分に仕組まれた内蔵レーダーアンテナにより構成され、これらレーダーにより全方位への警戒能力を獲得。これはF136-RR-200の高い発電能力に支えられたものであるが、このゴルゴン・アイは当初問題を引き起こした。主翼後退時に、後縁部に設置された内蔵レーダーアンテナが後方警戒レーダーに干渉を引き起こしたのだ。最終的に、後退角に応じて主翼内側のレーダーアンテナから無効化することでこの問題は解決された。
ヴェンデッタB.1に搭載されるゴルゴン・アイMk.1は既に高性能を発揮し、部分的な電子攻撃能力を持っていたが、B.2で搭載されるMk.2では攻撃能力がさらに進化している。
また、SPEAR-EWスタンドイン/スタンドオフデコイならびに曳航式デコイの運用能力もあり、非常に高い防御性能を有している。
これだけの高い電子戦能力を誇り、高い多目的性を誇るヴェンデッタだが、多くのシステムが自動化されており、パイロット1名および兵装システム士官1名の計2名による運用を実現している。
機体内部は、後方小型ウェポンベイの上方に当たる部分にキャビンが存在し、長時間任務に備えて簡易ギャレーとトイレ、仮眠スペースと追加の人員用のシートが2名分用意される。
2022年に初号機がロールアウトした改良型、ヴェンデッタB.2はB.1の持つ高い能力をさらに向上させている。
ヴェンデッタB.2では目標捕捉用に内蔵型のEOTSを機首下部に搭載。TVカメラ、レーザー目標指示装置などを内蔵しており、ヴェンデッタ1機で目標捕捉・誘導・戦果確認を実行できるようになった。
またP-8ポセイドンで運用されているハープーン空対艦ミサイルを統合し、対艦攻撃能力を獲得。対艦攻撃能力獲得に合わせ、レーダーも対海上モードを追加した。
そして電子戦装置ゴルゴン・アイはMk2にアップグレード。このゴルゴン・アイMk2では電子攻撃能力が飛躍的に向上し、Mk1に比べて敵レーダー波の分析処理速度が1/4と高速化。より高いレスポンスでの対抗が可能となる。また、敵レーダーならびに通信設備へのピンポイントジャミングも可能になり、部分的なサイバー攻撃能力さえ獲得している。
エンジンは改良型のF136-RR-202に変更。このエンジンは出力面では向上は見られないが、燃費が5パーセント向上し、ゴルゴン・アイのアップグレードに伴う消費電力増大にも対応する高い発電能力を有する。
機体諸元
主要データ
ヴェンデッタB.2
乗員:2名+2名
全長:34m
全幅: 最大後退角65°時: 27.5m
最低後退角22°時:31.2m
全高:8.55m
空虚重量: 60.0t
最大離陸重量:161.0t
エンジン:F136-RR-202 ×3(合計推力:ミリタリー時375kN、アフターバーナー点火時573kN)
性能
兵装搭載量: 内蔵18.0t、外部搭載10.0t(計28t)
機内燃料搭載量:73.0t
航続距離: 13000km(空中給油で延伸可能)
最高速度:マッハ2.1
巡航速度:マッハ1.3
諸元とか歴史は結構ジェミニ君に助けて貰いました
まぁ最初の段階では機体規模に対して異常に軽かったので修正入れたりしましたが...