キヴォトスの終末装置ってマジですか!? 作:とっとこ馬鹿野郎ッ!!
そして、しばらくは先生視点で物語が進みます。
偽オベロン視点だと、心の声も相まってギャグが強いストーリーになるのに、先生視点だとドチャクソにシリアスになったんだよね……。
深い眠りにつく日 / 終わりの始まり
オベロンという生徒は、なんだか他の生徒とは違う雰囲気を醸し出す、不思議な生徒だった。
「やぁ! 初めまして、先生。僕は夢見オベロン」
キヴォトスでは珍しい、(というか、オベロン以外では見たことがない)男の子の生徒だったからだろうか。どうにも、他の生徒と同じように見ようとしても違和感があった。いつも彼は、何かを隠しているような気がした。
それでも、私にとっては大切な生徒であることに変わりは無かった。
オベロンは、特定の学校には所属していない生徒だったけれど、色々な学校の生徒と交流があった。もしかしたら、私以上に色んな生徒と会っているのかもしれない。
そして、何処の学校でも人気者だった。
借金を返さないのはどうかと思うけどね!!
そんな彼は――――――もういない。
あの時、私の代わりにアトラ・ハシースに残った彼は――――――――
別の世界の、もう一人の
あちらの世界のアロナ………プラナを私のシッテムの箱に招いて――――――――既にアトラ・ハシースを脱出したはずの、彼の声が聞こえる。
「やぁ、先生。君ならきっと、彼女も救おうとすると思ったよ」
「オベロン………? なんで、まだここに………?」
「ん? 僕が先生を置いていく訳がないだろう?」
さも当然のことのように、彼は答えた。
「そっか、ありがとう。でも、オベロンも早く脱出を――――――」
「それはいけない」
不思議な力で、私の四肢を拘束するオベロン。
そして、そのまま脱出シークエンスのある場所まで近づいていき――――――
「ちょっと!? オベロン!?」
残った一つの脱出シークエンスに、私を入れた。
「ダメじゃないか、先生。キヴォトスには、まだ君が必要なんだ。こんなところで死んでいる暇なんてない」
「ダメだよ! オベロン!! 早く、君が脱出を―――――!!」
そんな私の叫びも虚しく、脱出シークエンスは作動する。
そして、アトラ・ハシースは爆発する。
オベロンは戻ってこなかった。
遺体すら見つからない。
当然だ。いくらキヴォトス人の肉体があっても、あの爆発に巻き込まれれば、肉片の一つすら残らない。つまり、彼は――――――――
それからは、酷いものだった。
キヴォトスを救うことが出来たというのに、生徒たちは皆歓声の一つも上げず、ただ―――彼がもうこの世界にいないという事実を、受け入れられずにいた。
彼と関わりがあった子たちは、心に深い傷を負い、ふさぎ込んでいる。
アヤメなんかは、特に酷かった。
『嫌ぁ!! 嫌だよ……!! オベロン!! オベロンがいないなんて、私、私は………!!』
取り乱した彼女は、未だに自室から出てきていない。
ナグサやキキョウをはじめとした百花繚乱の生徒たちが、アヤメの様子を見ているけど、食事すら碌に喉を通らず、夜も殆ど眠ってもいないらしい。
百花繚乱は、アヤメを中心とした組織であったし、オベロンとの関わりも多かったため、百花繚乱全体の空気が沈んだままだとユカリも言っていた。
――――――――先生失格だ。
プレナパテスから生徒たちを託されていながら、その生徒を犠牲に生き残ってしまった。
………本当に、最低だ。
『先生………そろそろ休んだほうが…………』
「うん、そうだね。ありがとうアロナ。けど、この書類だけちょっと気になるんだよね」
それは、報告書であった。
キヴォトス各地で発生している異常。
―――――生徒が眠りから目覚めないという現象の報告書。
報告書であると同時に、シャーレへの調査依頼でもあるその書類に目を通し、妙な胸騒ぎに襲われていた。
「………ん?」
『先生! 生徒さんからのメッセージです!! 何やら、緊急のものみたいで………』
届いたメッセージは、聖園ミカからのものであった。
その内容は…………救援要請。
詳しい内容は分からない。ただ、鬼気迫る状況であることは、その文面から伝わってきた。
「行こう―――――」
生徒の助けを求める声を、無視することは出来ない。
私は、足早にトリニティへと向かった。
トリニティで私を出迎えたのは、正義実現委員会の副委員長、羽川ハスミ。
そして、今にも泣き出しそうな顔をして、こちらに走ってくるミカ。
ミカは、私の胸元に抱きついて、嗚咽をこぼしながら話す。
「先生………!! セイアちゃんが……………!!」
「落ち着いて! 何があったか、話せる?」
「先生、ミカさん……ここでは落ち着いて話も出来ないでしょう。こちらに」
案内するハスミに着いていき、たどり着いたのは………広い病室。
無機質な白い壁。窓には、そんな病室を飾るように、誰かが持ってきたであろう花が添えられている。その中にある一台のベッド。そこには、セイアが眠っていた。
嫌な予感が、先生の頭によぎる。
「三日ほど前、連絡の一切が途絶えたセイアさんの様子を見るため、私がセイアさんの自室に向かった際に、気絶するように眠っているセイアさんを発見しました。それ以来、一向に目を覚ましません。身体は至って健康であり………原因は…………分かっていません」
救護騎士団団長であり、セイアとも交流のあった蒼森ミネがそう説明する。
「トリニティ全体で、似たような症状の生徒が確認されています。そして、トリニティ以外でも」
病室にいた、トリニティの生徒会長の一人………桐藤ナギサが語る。
その目の下には、化粧では隠し切れないほどに深い隈があるのが見てとれた。
「どうしよう………セイアちゃんまで、オベロンみたいに…………」
泣きはらした目をしたミカが、そう言った。
エデン条約の際に色々とあったものの、その後は無事に和解し、元の………或いは、今まで以上に親しい友人関係となった三人。
元々、体が弱かったセイアも、最近は病弱な様子を見せていなかった。
そんな折に、突然の昏睡状態。
オベロンの死に重なるように起こった、この事態。
ナギサとミカ、二人の心労は計り知れないだろう。
「大丈夫。必ず私がなんとかしてみせるよ」
「………本当?」
「うん。任せて」
「先生……現在活動可能な、唯一の生徒会長としてシャーレに依頼します。どうか、この……生徒連続昏睡事件を解決してください…………よろしくお願いします…………!」
「我々救護騎士団も、全面的に協力します」
「必要があれば、正義実現委員会にもお声掛けください」
「「よろしくお願いします」」
――――――――生徒たちの信頼に答える。
「分かった。この事件は、必ずシャーレで解決する。みんなも、力を貸してくれる?」
私の問いかけに、みんなは力強く頷いた。
その後、トリニティ以外の学校からも情報を募った。
そうして、分かったことは以下の通りである。
トリニティ以外でも、同じ症状の生徒は多く確認されている。
恐らく、最初の被害者は五日前に発見されたミレニアムの生徒。
徹夜続きで、気絶するように殆ど丸一日眠るということがあまり珍しくなかったため、最初は問題視されていなかった。
しかし、同様に眠り続ける生徒が続出。二日経っても目を覚まさないという事態となり、異常として調査されるようになった。
特異現象捜査部も、本格的に調査を進めているらしい。
また、この数日間で昏睡状態となる生徒が、加速度的に増加している。
昏睡する生徒の共通点は不明。
学校、所属、学年……全てがバラバラであり、繋がりを見出せないでいる。
この事態を重く見た連邦生徒会は、主要学校を招集し、非常対策委員会を開いた。
集まったのは、壮観たる顔ぶれだった。
ゲヘナ学園
生徒会長である羽沼マコトをはじめとする、パンデモニウムソサエティ一同。
トリニティ総合学園
生徒会長である桐藤ナギサ。元生徒会長である聖園ミカ。欠席している生徒会長の一人、百合園セイアに代わって、シスターフッドより……歌住サクラコ。
ミレニアムサイエンススクール
セミナー所属………早瀬ユウカ、生塩ノア。
特異現象捜査部より、明星ヒマリ。
百鬼夜行連合学園
陰陽部より……天地ニヤ、桑上カホ、和楽チセ。
百花繚乱紛争調停委員会より、部長・副部長に代わって桐生キキョウ。
山海経高級中学校、レッドウィンター連邦学園、アビドス高等学校など、ビデオ通話によるオンラインでの参加となった校も多い。
「皆様に集まってもらったのは、他でもありません。キヴォトス全土を襲う、生徒連続昏睡事件の解決のためです」
連邦生徒会の主席行政官であり、連邦生徒会長代理を務める七神リンは、集まった各学校の責任者の顔を見渡しながら、話を続ける。
「事件の詳細ですが………各地で、生徒たちが眠りから目覚めなくなるという事態が発生しています。皆様の自治区においても、多かれ少なかれ、この現象が確認されていると思います。この現象を、トリニティの救護騎士団に習い『生徒連続昏睡事件』と呼称しています」
一息つき、リンの頬に汗が伝う。
「このままでは、キヴォトスの学園都市としての機能が停止しかねません。
よって、この現象をキヴォトスの存亡を争う事件とし――――――――シャーレ及び、主要学校の皆様に協力を要請します」
以前の非常対策委員会のとは違い、反論は出ない。
それは、先生がこの場にいるというのも大きいだろう。
だがそれ以上に………各学校のトップもまた、この事態に危機感を抱いているのだ。
被害は、刻一刻と拡大していっている。
明日………自分が、友人が、後輩が、先輩が、同じように朝起きることが出来るという保証は何処にもないのだ。
――――――――第一章「夢の終わり」開幕。
準備は万全、役者も揃った。後は、舞台へと上がってくるのを待つだけ――――――――
さぁ……悲劇の幕をブチ上げろ!!
おまけ:オベロンへの印象。
・先生
「不思議な生徒だったよ。でも、とても頼りになって、みんなに好かれるいい子だったんだ。
――――――――私なんかのために、犠牲になって良いような子じゃなかった」
オベロンを失ってから、その悲しみを振り払うように仕事に没頭するようになった。
後悔と自己嫌悪でかなり病んでいる。
・アヤメ
「どうして………オベロン…………。私は、貴方がいないと…………」
自分の理解者となってくれたオベロンに執着していたが、黄昏に堕ちた自分を救ってくれたことをきっかけに執着度が爆上がり。表にはあまり見せていなかったが、殆ど精神的に依存しているような状態であった。
・ナグサ
「アヤメに、私に、百花繚乱に……必要だった人。ああ―――あの時、私たちはアヤメに頼りきりだったって気づけたのに…………貴方にも、頼りきりだったって…………失ってから、気づくなんて」
アヤメが花鳥風月部の罠に嵌ったことで、数ヶ月行方不明になっていた期間に、自分たちがアヤメに依存していたことに気づいた。それからは、アヤメを支えることが出来るようになりたい、と努力していたが…………。
・キキョウ
「勝手に私たちの心に潜り込んで…………勝手に私たちの心に住み着いて…………そして、勝手にいなくなるなんて…………本当に、身勝手な人。…………本当に………反吐が出る」
オベロンに対して、かなり湿度が高い。べちょべちょキャット。
口では悪態をついていたが、本当は――――――――。
好評だったら、他の生徒のも書こうかな?
先生の性別どちらがいいですか?(プレ先は女性で決定済み)
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男
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女
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興味ないね(どちらでも良し)