【読切】ポケットモンスター 白夜・極夜   作:amorphous

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拙稿ですがよろしくお願いします。ポケットモンスターのオリジナル作の読切でございます。

オリジナルの舞台である『ルミナス地方』と隣の『ノックス地方』に住むトレーナーたちがポケモンバトルを行っていく物語です。物語は基本的にゲームの設定をメインにしていますが、アニメや漫画からも一部設定を取り入れているものもあります。


〜前編〜

 ポケットモンスター。ちぢめてポケモン。この惑星(ほし)に住む不思議な不思議な生きもの。

 その数は100種類を軽く超え、1000種類以上にも及ぶという。だがまだまだ未知のポケモンは生息しているだろう。

 フォルムチェンジ、リージョンフォーム、特殊な地形に適応した『すがた』を含めれば、2000種類に届く日も遠くないだろう。

 

 ポケモンはありとあらゆる地方に生息している。

 カントー地方、ジョウト地方からガラル地方、パルデア地方などメジャーな地方はもちろん。オーレ地方、オブリビア地方、レンティル地方など知る人ぞ知る地方にもポケモンは生息している。

 

 そしてここ、『ルミナス地方』と『ノックス地方』にも――。

 

 

 

「――ビャクヤ! そろそろ始まるわっ! 今月の代表戦よ!」

 

 少女はテレビを付けてこれから行われるポケモンバトルを観戦しようとしている。

 

「オーケーだぜキョクヨ! 手を洗ってうがいしたらすぐに!」

 

 呼ばれた少年――ビャクヤは外でピカチュウと遊んでいたのでモンスターボールに戻し、家に入るとすぐに手を洗いうがいをする。

 清潔にしてビャクヤは双子の姉であるキョクヨの隣に座り一緒にテレビを食い入るように観る。

 

「オレ、ルミナス地方に引っ越して、初めて公式戦のポケモンバトルが観られるんだ! ワクワクするぜ‼︎」

「ルミナス地方とノックス地方の公式戦はビャクヤのいた『パルデア地方』とは違うからとても新鮮よっ!」

 

 ビャクヤとキョクヨは双子の姉弟ではあるが、両親が離婚して離れ離れになっていた。そしてビャクヤを引き取った父親が事故で帰らぬ人となったため、キョクヨと母親がいるルミナス地方に引っ越したのだ。

 父親を失ったことはお互いにとって悲しい出来事だったが、母親を含めて三人で挫けることなくポジティブに毎日を過ごしていた。

 

 

『――さあみなさん‼︎ たぁいへん長らくお待たせ致しました! 今月のルミナス・ノックス代表戦の開幕です!!!』

 

 『ルミナス地方』

 それは夜を知らぬ地。太陽が決して沈まず、日の光が永遠に振り続ける大地。一番暗い時間帯でも太陽は水平線上に位置しており、夕焼け空が広がるだけだ。地形としては東西に伸びており、北は標高何十キロメートルの山脈――通称スカール山脈が連なっている。

 

 『ノックス地方』

 それは昼を知らぬ地。太陽が決して昇らず、薄暗い闇が永遠に覆い被さる大地。一番明るい時間帯でも太陽が山脈から顔を出す事はなく、日の出前のように空が白んでいるのが分かる程度だ。こちらも地形としては東西に伸びており、南は標高何十キロメートルの山脈――通称スカール山脈が連なっている。

 

 どちらの地方にも人やポケモンが住んでおり、街もポケモンジムも存在している。

 その中から毎月、代表者一名ずつによるポケモンバトルが行われる。それが『ルミナス・ノックス代表戦』である。

 

『今回のルミナス地方代表は〜〜‼︎ “イルミネシティ”のタカヤ〜〜!!!』

 

 司会者の呼び声と共にスモークが舞い上がる。その瞬間、会場の観客たちは大いに湧き立つ。

 スモークがおさまると紺色の髪に帽子を被った1人の青年が白いボールを右手に持って歩いてきた。紹介にもあったとおり、彼がルミナス地方代表のタカヤである。

 

『続いてノックス代表は〜〜‼︎ “キーナシティ”のシャンバル〜〜!!!』

 

 また声と共にスモークが舞い上がる。そして同じように今度はオレンジ色の髪と黒いマフラーを首に巻いた青年が歩いてきた。その彼がノックス地方代表のシャンバルである。

 

 二人は軽く挨拶をすると握手して健闘を讃え合う。

 

「久しぶり、シャンバル。今日はお互いにベストを尽くそう!」

「それはこっちもネ、タカヤ。全力で楽しむアル。……でも勝つのは(バル)アルヨ」

 

 闘志に満ちているのが会場はもちろん、テレビの前にいるビャクヤとキョクヨにも伝わって肌が震える。

 

『さあ両者がバトルフィールドの定位置に着きました。それでは始めましょう』

 

 司会者の男もフィールドに立ち、そのまま審判も兼任する。

 

『使用ポケモンは5体。今回も()()()()。どちらかが3勝をあげればバトルは終了! 決着が付くまでポケモンの交代はできません。なお、トレーナーによる回復道具の使用は一度までです! それでは最初のポケモンを出してください‼︎』

 

 ルミナス地方とノックス地方では、ビャクヤが最近までいたパルデア地方とは違うバトルルールが適用されている。

 公式戦は3体または5体のポケモンを用いて一戦、一戦で勝敗を決めて先に2勝または3勝すればその場で終了となる。また、“だいばくはつ”や“フレアドライブ”の反動ダメージでのダブルノックアウトは引き分けとし、1勝1敗1分または2勝2敗1分ならば、4体目または6体目のポケモンが使用される。

 

「ゆけっ! エーフィ‼︎」

「出番ネ、バリヤード!」

 

 タカヤが白色のボール――プレミアボールから繰り出したのはエーフィだった。対するシャンバルはモンスターボールからバリヤードを繰り出した。

 

『どちらもエスパータイプですねぇ! さあ一戦目はどっちが勝つのか! それではバトル開始!!!』

 

 開始の合図が始まるや否やシャンバルとタカヤは自分のポケモンに指示を出す。

 

「――“ひかりのかべ”‼︎」

「――“シャドーボール”‼︎」

 

 このポケモンバトルでは単純なポケモンの強さだけでなく、トレーナーの判断の早さや正確さ、相手の行動を予測する"読み"の力も必要である。

 

 バリヤードが“ひかりのかべ”を作り出す前にエーフィの“シャドーボール”が命中した。両トレーナーの指示はほぼ同時だったが、エーフィの方がすばやさが勝っていた。

 

『ゴースト技の“シャドーボール”がバリヤードに命中‼︎ こうかはばつぐんだ〜〜!!!』

 

 吹っ飛ばされたバリヤードはシャンバルの足元まで転がっていった。

 

「バリヤード、いけるカッ⁉︎」

 

 その声にすぐさま立ち上がる。

 巨大なモニターにはバリヤードとエーフィのHPゲージが映し出されている。バリヤードのHPは黄色になっていた。あと少しのダメージで赤色に変わるだろう。対してエーフィはダメージを受けていないので緑色の満タンだ。

 

「もう一発だ‼︎ “シャドーボール”‼︎」

 

 エーフィが技を放とうと口を開けたとき、シャンバルはバリヤードに向けて薬を吹きかけた。

 

「休むアル、バリヤード。“かいふくのくすり”ネ」

 

 “かいふくのくすり”を使い、バリヤードの体力は一気に満タンになった。

 そこへエーフィの“シャドーボール”が命中。こうかはばつぐんだが“ひかりのかべ”を張っているバリヤードは先程の半分しかダメージを受けていない。体力は減ったがゲージはまだ緑色だ。

 

『おーーっと‼︎ シャンバル選手、ここで回復道具を使用!』

 

 最初の説明にもあったとおり、バトル中のトレーナーによる回復は一度だけ可能だ。どのポケモンにどんな状況で使うかの判断力を試される。

 

「やるなシャンバル。エーフィが特殊技しか持っていないことを読んで最初のターンに“ひかりのかべ”を使ったんだろ?」

(バル)のバリヤードなら一撃は耐えるネ。そしたらあとはこちらの土俵ヨ。バリヤード、“リフレクター”!」

 

 壁により特殊攻撃を半減されているバリヤードを倒すためには、抜群である“シャドーボール”を二発命中させなければならず、結果、バリヤードは“リフレクター”を使うことができた。そしてそれが一戦目でのシャンバルの狙いだった。

 

「ビャクヤ、分かる? シャンバルさんが“かいふくのくすり”を使ってまでバリヤードを生かした意味を」

「ああ。“ひかりのかべ”と“リフレクター”の二枚重ね。パルデアでもやってたトレーナーがいたぜ」

 

 その様子を見ていたキョクヨとビャクヤにはバリヤードの役目を理解していた。

 

『バリヤード、戦闘不能! エーフィの勝ち!』

 

 これでタカヤは1勝した。 あと2つ勝てば本当の勝利。しかし、フィールドにはバリヤードの()()が残っている。全体的に見れば不利な状況だ。

 

『続く二戦目。ポケモンをお願いします!』

 

 タカヤが次に出すポケモンは、物理だろうと特殊だろうと攻撃は半減されてしまう。

 

(ターンを稼いで解除を待つか……。いや、間違いなくバリヤードは“ひかりねんど”を持っていたはずだ)

 

 バリア系の効力が延びる“ひかりねんど”を持っていたであろうことは容易に想像できる。でなければ一戦目で薬まで使って負けた意味が無い。

 

「ならばコイツだ! ゆけっヘラクロス‼︎」

 

 タカヤが投げるプレミアボールから出て来たのは一本ツノが雄々しいヘラクロス。

 

「……タカヤ。お見通しネ」

 

 口角を上げて笑うシャンバル。彼はタカヤの思考を完全に読んでいた。

 

「いくアル。M(メガ)アンノーン」

 

 放たれたモンスターボールから出て来たのは生物として形容しがたい見た目の鳥ポケモン――シンボラーだ。

 シャンバルはシンボラーのその見た目から『Mアンノーン』とニックネームを付けている。

 

『シャンバル選手はシンボラーを繰り出しました! それでは二戦目、バトル開始‼︎』

 

 シンボラーの姿を見た瞬間、タカヤの顔が少し引き攣る。"かくとう・むし”タイプであるヘラクロスにとって“ひこう”タイプのポケモンは天敵だ。

 

「ヘラクロス、“かわらわり”!」

「それも読み通りネ。シンボラー(Mアンノーン)、“エアスラッシュ”」

 

 ヘラクロスが一旦ジャンプして、力を込めた右腕をシンボラー目掛けて振り下ろす。

 しかしシンボラーの方が速かった。翼をはためかせて強烈な風の太刀をヘラクロスに浴びせた。

 

『こうかはばつぐんだ〜〜‼︎ かくとうとむしを持つヘラクロスにとってタイプ一致の4倍ダメージは耐えられないかあ〜〜!!!』

 

 シャンバルはバリヤードの張った二つのバリアを“かわらわり”で破壊するだろうことを読んでいた。ゆえに、二戦目はかくとうタイプのポケモンで来るだろうと“エスパー・ひこう”タイプのシンボラーを出したのだ。そして予想通りタカヤはヘラクロスを出したことでシャンバルは勝ちを確信した。

 

「まだだっ! まだ俺のヘラクロスは終わってねぇぞッッ‼︎」

 

 しかし大ダメージを受けてなお、ヘラクロスは“ひんし”になっていなかった。

 ヘラクロスの“かわらわり”がシンボラーの頭部と思われる突起物に命中した。

 その瞬間、“ひかりのかべ”と“リフレクター”が粉々に砕け散った。

 

「タイプ一致4倍を耐える……? まさか……」

 

 言葉の途中でシャンバルは気付いた。モニターに映し出されているヘラクロスのHPゲージは残り僅かな赤色で数値は出ていないがおそらく“1”だ。“こらえる”を使わなかったのでヘラクロスは持ち物によって耐えたことになる。

 

「“きあいのタスキ”アルネ……」

「そうだ。俺のヘラクロスは受けに弱い。それは分かりきっていた。すばやさには自信があったがそれでもシンボラーの方が上だったのは予想外だったよ」

 

 次のターン、ヘラクロスは“メガホーン”を繰り出すがすばやさが勝っているシンボラーの“サイコキネシス”が命中しそこで倒れた。

 

『ヘラクロス戦闘不能! シンボラーの勝ち!』

 

 ヘラクロスは負けてしまったが充分に仕事は果たしてくれた。タカヤはヘラクロスを戻したプレミアボールに労いの言葉を贈る。

 

「次はフライゴン、頼んだ」

「マルマイン、やるネ!」

 

 これで戦いは1勝1敗となった。続く三戦目。両者は同時にまたポケモンを場に出した――。

 




後編に続く。

【設定資料】
・ビャクヤ:ゲーム『ポケットモンスター 白夜・極夜』の男主人公。名前はデフォルト。彼を主人公に選ぶとキョクヨは双子の姉になって登場する。

・キョクヨ:ゲーム『ポケットモンスター 白夜・極夜』の女主人公。名前はデフォルト。ちなみに彼女を主人公に選ぶとビャクヤは双子の兄になって登場する。

・ルミナス地方:太陽が沈まず夜が訪れない地方。大陸の南側に位置する。

・ノックス地方:太陽が昇らず昼が来ない地方。大陸の北側に位置する。

・スカール山脈:ルミナスとノックスを分かつ標高数十kmの山が連なる山脈。この山脈が大陸の東西に伸びているためノックス地方は太陽が見えない。仮にこの山脈が無ければルミナス地方と同じになる。ポケモンリーグはこの山脈のひとつ(ルミナスのソルキル山とノックスのヴェッグ山の境界)に作られており、ドーム状の施設内でバトルを行う。代表戦もここで行われる。


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