ポケットモンスター Agent PLATINUM 作:ミノワ
各地方で暗躍するカルト教団が主催する交流会。
そこで語られる内容を手がかりに、これまでの事件との関連を探る任務を受けたライルとルカ。
ヒウンシティでの潜入捜査が始まる。
※挿絵を後書きに追加しました。作成はAIです。
ヒウンシティの一角にある巨大なシティホテル。
その重厚な扉をくぐったライルとルカは、一時の「自分」を捨て、偽りの名を纏う。
交流会開始まであと数時間。
——張り詰めた緊張感が静かに拍動する。
「——承りました。ギーグ商船ご子息ヴィクトール様、並びに『フィアンセ』のエレナ様ですね?」
受付の若い男性が発したその言葉に、ルカの眉が跳ね上がり、大きな声が上がる。
「——はぁ!?」
「……えっ?」
呆気に取られている男性を見て、ライルは大慌てで口を挟む。
「あー! じゃなくて! …………そう!」
ライルはその男性に顔を近づけた。
「彼女、公の場でそう呼ばれることにまだ慣れてなくて……必要以上に反応してしまうんです。……ほら、分かるでしょ?」
男性は少し眉を上げ、ルカを見据えたが、本気で戸惑っている彼女を見て小さく「なるほど」と頷いた。
「本当、すみませんね。あはは……」
ライルは冷や汗を抑えながら、強引な笑顔を取り繕う。
「これは配慮が足りず、失礼いたしました。では、それぞれ更衣室でお着替えをどうぞ」
「ええ。どうも」
ライルは小さく会釈をし、ルカを連れてその場を離れようとする。
そして男性に背を向けた瞬間、二人の間で視線の火花が散り、小声での口喧嘩が始まる。
「(このバカ! いきなり危ないとこだったぞ……!!)」
「(なんだよフィアンセって! あたし聞いてねえ! シロナも何も言ってなかっただろ!)」
確かに、組織からの情報では友人とまでしか記載されていなかった。
もしかすると本人から聞いていた情報と、認識違いが生じていたのかもしれない。
しかし。
「(若い男女でパーティに行くんだから、そんな関係だってあり得るだろ!)」
ライルはシロナとの打ち合わせの際、その可能性について薄々感じてはいた。そしてその予感を口にしなかったことを少し後悔した。
だがあの時に伝えていれば、ルカはこの一週間ひたすら自分を揶揄い続けてきたかもしれない。いや、間違いなくそうだろう。
その二つがせめぎ合う中、それでもやっぱり言わなくて良かったという気持ちが、ギリギリで勝った。
「(とにかく!こっから違和感ないようにしねーとマジでバレるからな! 頼むぞ!)」
「(わかってるよ!)」
◇ ◇ ◇
更衣室の前では、SPによる手荷物検査とボディチェックが行われていた。
ライルはその様子をつぶさに観察する。
(やたら厳重だな……。こんなの、もはや普通の交流会じゃないって言ってるようなもんじゃないか……?)
手持ちのモンスターボールを預ける二人。盗難等の可能性も考慮し、連れてくる数は最小限に抑えてある。
しかし、支給のデバイスさえ持ち込めれば、レコーディングは容易。デバイスは、一般に普及しているものと外見も機能表示もさほど変わらず、内部の記録機能まで見抜かれる可能性は低い。
実際、検査も問題なく通過できた。
◇ ◇ ◇
交流会場へと続く大階段の下。
先に着替えを終えたライルが、一人壁に背を預けていた。
すらりとした長身に、白のタキシード。
透き通るような銀髪と端正な顔立ちは、数人の女性たちが振り向き、熱い視線を送るほどの気品を放っている。
(……なんか結構目立ってないか? 装いは間違ってないと思うんだけど……)
思わぬ注目に戸惑うライルの背中に、一人の女性の声が届く。
「お待たせ。ヴィクトール」
振り返ったライルの思考が、一瞬で真っ白に染まる。
そこにいたのは——鮮やかなロイヤルブルーのマーメイドドレスを纏ったルカ。
金のインナーカラーが覗く美しい黒髪は後ろで纏められ、メイクによって強調された整った目鼻立ち、ドレスから伸びるしなやかな肢体。
普段の刺々しさは消え、その姿は「可憐」と「妖艶」が同居した、息を呑むような美女そのものであった。
その姿には男性だけでなく女性までもが振り返り、視線を注いでいる。
「や、あ……エレナ……」
声が裏返りそうになるのを必死に抑えるライル。ルカは自然な動作で彼の腕を掴むと、階段を登るように促す。
それに対し、ライルが小声で話しかける。
「(お前……腕組み……)」
「(なんだよ、フィアンセなんだろ? こんくらい普通だよ)」
「(……そうだけど)」
平静を装うライルにルカが追撃をかける。
「(どうした? あたしが可愛すぎて緊張してんのか?)」
「(……普段と違いすぎて驚いただけだよ)」
「(照れんなよ。前にも言ったろ?)」
ルカはニヤリと笑う。
「(女性経験なさそうなお前に、お姉さんが教えてやろうか? ってな)」
「(だから、歳は一緒だろが。あとそれくらい普通にあるし……) ——ぐぉっ!?」
その言葉が終わるより早く、ルカの『不可避の肘』が、ライルの腹部に鋭く沈み込む。
ドレス姿でも、そのキレは健在だ。
そして——
「嘘つき」
小声で吐き捨てたルカは、完璧な令嬢の微笑みを浮かべて前を見据えた。
そしてライルは腹部をさすりながら決意を固める。
(別に嘘じゃ……いや、もう何も言わんとこ……)
向かうは華やかな交流会。
潜入捜査が幕を開ける。
◇ ◇ ◇
会場に足を踏み入れると、天井のシャンデリアが放つ光が、グラスの中で揺れるシャンパンを黄金色に染め上げていた。
耳に届くのは、洗練された音楽と、上流階級特有の穏やかな話し声。
その華やかさの裏側で、二人の神経は研ぎ澄まされていた。
「(よし。じゃあ決めてた通り、グループに混ざって色々探っていこう)」
「(『清楚で可憐』なこのあたしは、聞き役に徹すりゃいいんだろ)」
「(ああ、頼むぜ)」
二人は自然な足取りで、談笑する紳士淑女のグループへと近づく。
そしてヴィクトール(ライル)が声をかけたのは恰幅の良い中年の男性。
「こんばんは。ご一緒してもよろしいですか?」
「もちろんですとも。あなたは?」
「ヴィクトール・ギーグです。良い会ですね」
ライルの言葉に、男性の表情が明るくなる。
「おお!ギーグ商船の! お噂はかねがね。いやむしろ、お噂より遥かに精悍な顔つきだ。おや、そちらは?」
男性はルカの方に視線を向ける。
「エレナ・ハートランドと申します」
ルカは普段より半音高い声で挨拶し、完璧な角度で会釈をする。
「いやいや! これは麗しいお嬢様。ギーグ商船のご子息も隅に置けませんな!」
そこからのライルの振る舞いは完璧に近いものであった。事前に頭に叩き込んだ設定を巧みに織り交ぜ、流れるような会話で場を盛り上げる。
そしてルカもまた、隣で凛とした気品を漂わせ、その場に華を添え、自然と周囲の目を引いていた。
先ほどまでのライルへの振る舞いは通常運転だったが、少なくとも、人前では完璧に取り繕える程度には仕上がっている。
やはり彼女は本番に強かった。
しばらくしたところでライルが核心に迫る。
「ところで、この交流会では何やら崇高な理念のお話が聞けるとか。実は私もエレナも、それが目当てでして」
「おお、そうですか! お若いというのに素晴らしい。私は以前聞いた時に感銘を受けましてね。今日は二度目ですよ」
男性はライルとルカに少し近づき、小声で話す。
「実はどのタイミングで行うか、誰が聞けるのかは毎回変わるらしいのですよ。しかし、そういった話をしていれば、そのうち『向こう』の方から案内があるのです」
◇ ◇ ◇
そこから少しの談笑のあと、事前の打ち合わせ通り、エレナ(ルカ)が声を発する。
「ヴィクトール、少し席を外すわ」
ルカは優雅にその場を離れると、手洗いに行くと見せかけ、会場の隅々を物色し始めた。
ホールの端から上階部分まで、速やかに移動するルカ。
(特に怪しいとこは何もねえ……いや……)
しばらく会場を回っていたルカだが、持ち前の鋭い観察眼がわずかな差異を捉える。
(……人が減ってんな)
直感力に長けた彼女の本領発揮。
言われなければ気づかないレベルだが、しかし確実に、参加者の数が減っている。
さらに、彼女の視線がホールの一角で止まる。
(……これは……)
彼女の目に入ったのは、壁際に立つ、SPスーツに身を包んだ巨漢の老年男性。
短く刈り込まれた白髪に、彫りの深い厳格な顔。
ただ立っているだけのように見えるが、その佇まいからは、熟練の闘士だけが放つ威圧感が滲み出ていた。
ルカは怪しまれないよう、ごく自然にその場を離れた。
そして足早に元の卓へと戻る。
「お待たせヴィクトール、会場が広すぎて少し迷ったわ」
彼女はライルの腕を絡め、耳元に顔を寄せた。
「(ほんの少しずつだが人が減ってる)」
「(妙な違和感はそれか。他には何かあったか?)」
「(それが……)」
ルカが、あのSPの話をしようとしたその瞬間。
「ヴィクトール様、エレナ様。ぜひ、ご案内したい場所がございます」
背後を振り向くと、そこには別のSPスーツ姿の男性。
抑揚のない静かな声に、二人はわずかに視線を合わせる。
違和感の正体、そしてライル達が追う「人影」への道が、ついに目の前に開かれたかもしれない。
二人は覚悟を決め、その案内に従い、静まり返った廊下へと足を踏み出す。
◇ ◇ ◇
迷路のような通路を抜ける際、ライルは曲がり角の数と歩数を冷静に数え、事前に頭に入れていた会場図と照らし合わせていた。
そして案内されたのは、煌びやかなメインホールとは対照的な、静寂が支配する奥の小会場。
重厚な扉が開くと、そこにはすでに二十名に満たない参加者たちが集まっていた。皆一様に「選ばれた」という高揚感と緊張感を漂わせ、周囲を探るように見渡している。
「(……他の場所にも集められてるのか?)」
「(さあな。広すぎて全部は分からねえ)」
「(……とりあえずこのまま様子を見るか)」
二人が群衆に紛れて十数分。
参加者が一人、また一人と増えていく。
入室時の倍ほどの人数になったところで、最後の一人が部屋に入り、背後で扉が重々しく閉ざされた。
それは、先ほどルカが目を付けていた、あの尋常ならざる気配を放つSP風の男。
ルカはいち早くその姿を捉え、ライルの袖を引いて合図を送る。ライルもまた、自然に一瞬だけ背後を確認し、またすぐに前を向く。
しかしその顔には少なからず動揺があった。
「(なんなんだあいつは……さっき何か言いかけてたのはあれか?)」
「(ああ。あいつはマジでやべぇ。ただもんじゃない。雰囲気はゲンジのおっさんに似てるが、はっきり言ってそれ以上だ……!)」
「(……だよな……。なんでそんな奴がこんなところに……?)」
歴戦の使い手を前にしたときにも似た——あるいは、それすら凌駕するほどの、肌を刺す威圧感。
そんな怪物が扉を背にし、立ち塞がった室内で、前方のステージにスーツの男が登壇する。
「大変お待たせいたしました。紳士淑女の皆々様!」
男は声を高らかに張り上げる。
「ここに集められた方々は、選ばれし上級の方々でございます。では皆様に、我々の代表をご紹介致しましょう」
ホール内から一際大きな拍手が湧き起こる。
そしてその後ろから、足音が響く。
静かに、ゆっくりと。
そこに現れたのは不自然なほど穢れのない、真っ白な衣服を身に纏った、長い白髪の男。
ほんの少し場の空気が歪んだことを、ライルとルカは察した。
男は静かに語り始める。
「——皆様は、愛するものとの別れを経験したことはございませんか」
男は穏やかな笑みを浮かべたまま、集まった者たちをゆっくりと見渡した。声を張り上げているわけではないが、その声は不思議なほど鮮明に、会場の隅々まで届いていた。
「人は生きる限り、必ず『喪失』に遭う。そう教わる者も、実際に経験した者も多いことでしょう」
会場は静まり返り、誰一人として言葉を発しない。
「愛する家族。かけがえのない友。そして、共に歩んできたポケモン。もう二度とは会えぬ者たちの姿を、今も思い浮かべることはございませんか?」
男はそこで言葉を止めた。
答えを求めるためではない。
聞く者それぞれの胸に、失ったものの姿が浮かぶのを待つための沈黙だった。
「けれど、残された私たちは言われます。受け入れなさい。前を向きなさい。時間が悲しみを癒してくれる——と」
男の声には、怒りも悲しみもない。
ただ、痛みに寄り添うような静かな響きだけがあった。
「ですが……それが、本当の救いなのでしょうか?」
会場の空気が、わずかに揺れる。
「忘れられぬほど愛したことを、『いつまでも立ち止まっている』と責められる。もう会えないという理不尽を受け入れ、それでも生きていくことを『強さ』と呼ぶ」
男は胸に手を当て、ゆっくりと目を閉じた。
「私は、そうは思いません」
その言葉に、数人が唇を引き結んだ。
先ほどライルたちと談笑していた恰幅の良い男も、祈るように両手を組み、壇上を見つめている。
「もう一度会いたいと願うことの、何が罪なのでしょう。失ったものを取り戻したいと願うことの、何が弱さなのでしょうか」
男は再び目を開く。
その視線が、一人ひとりの胸の奥を覗き込むように、静かに会場を巡っていく。
そこで初めて、男の口元に微かな笑みが浮かんだ。
「——そう、だからこそ」
一拍。
「この世界の外に、その理に縛られない場所が存在するとしたら。かつて愛した者と再び出会い、今度こそ永遠に共に歩める場所があるとしたら」
誰かが、小さく息を呑んだ。
「それは、喪失というものが存在せず、それどころか死によって引き裂かれた絆さえ、結び直せる世界」
男は両腕をわずかに広げ、そこにいる全員を迎え入れるように告げた。
「我々が皆様をお連れしたいのは、まさにそのような場所——『理想郷』です。喪失など、受け入れる必要はありません。再び、愛する者たちと会いましょう。そしてそこで、思うままに生きるのです」
しばしの沈黙。
やがて会場のあちこちから、押し殺した嗚咽と、息を呑む音が漏れ始めた。
男の言葉には、妙に人を惹きつけるものがあった。
失ったものを忘れられずにいる者。
前へ進めと言われることに疲れた者。
叶うはずのない再会を願い続けている者。
そんな人々にとって、その言葉は甘美な救いに聞こえるのだろう。
だが、ライルには違って聞こえた。
その願いに、ライルとて身に覚えがないわけではない。
もう一度会いたい——そう願う相手は、彼にもいる。
だからこそ、その言葉の甘さが、歪んだものに思えた。
本当にそんなことが叶うのか。
叶わぬのなら、失った者への想いを利用し、都合のいい希望を餌として撒いているに過ぎない。
ライルは、男の言葉の裏に、どす黒い何かが隠されているような気がして、言いようのない嫌悪感を覚えた。
そして彼が何より心配したのは、隣にいる少女のことだった。
何故なら彼女も——『経験者』だったから。
ライルはゆっくりとルカを見る。
揺れているかもしれない。
一瞬、そんな姿を想像した。
だが——彼女の反応はまるで違った。
そこにいたのは、可憐な装いでは隠しきれないほど、鋭い眼光を壇上へ向けるルカだった。
ルカは、消えることのない痛みを背負いながら、それでも立ち上がり、希望を捨てず、自分の足でここまで歩いてきた。
だが目の前の男は、喪失、死別——それら全てを覆すという。
同じように喪失を抱えた者の中には、男の言葉に共感した者もいるかも知れない。
だが彼女にとって、その言葉は到底看過できるものではなかった。
(バカにしてんのか……? そんな都合の良いモンはねぇ……!)
彼女の拳は硬く握りしめられていた。
(あたしが……どんな思いで……!)
ルカから、抑えきれない怒気が溢れ出す。
それに嫌な予感を覚えたライルは、後ろを一瞬だけ振り向く。
すると、例のSPが、こちらに視線を向けていた。
——マズい……!
ライルは素早くルカに声をかける。
「(おいルカ……!抑えろ……!)」
「……ッ!!」
その声に、我に返るルカ。
数秒、静かに呼吸を整える二人。
そして少し時間を置き、ライルがデバイスの暗い画面越しに背後を映すと、SPは前方のステージへと視線を戻していた。
その教祖の白い男は、なおも語り続ける。
「我々が目指すものは、『救世』です。選ばれし者だけが辿り着ける世界。そこで皆様は、もう二度と大切なものを失うことはないのです」
その言葉に、会場からは再び盛大な拍手が起こった。
ルカは怒気こそ抑えているものの、その表情はまだ険しいままだった。
「(とんでもねえ宗教野郎だな……)」
「(……ああ。でも、周りの様子がおかしい)」
ライルの指摘通り、会場にいる多くの人々は、男の話を恍惚とした表情で聞き入っていた。
その異様な光景に、二人が気づき、ルカが声をかける。
「(おい。これまさか、『さいみんじゅつ』じゃねえよな?)」
「(そうかもしれない……。おれは大丈夫だけど……お前は?)」
「(ああ、あたしも問題ねえ)」
「(……なにかカラクリがあるのか?)」
そんな中、教祖の男が話を終え、初めのスーツの男がその場を締めくくる。
「以上が我々の理念です。今日はここまでとさせて頂きましょう。ご賛同いただける方はぜひとも、我々とともに来ていただきたい。まだ不安な方、それも結構。我々はいつでも扉を開いております」
◇ ◇ ◇
『穢れなき白』の男が去った後も、会場はざわついていた。
しばらくしてルカがライルに声をかける。
「(終わったな、どうする?)」
ライルが自然に会場全体を見回す。
「(……とりあえず、今日のところは引こう)」
手持ちポケモン達は預かられている上、扉の前には「怪物」が居る。
これ以上の詮索はリスクが高すぎると判断したライル。
二人は人の流れに紛れ、自然な動作で退室しようとする。そのまま扉付近に居た、あのSP風の男の横を通り過ぎる二人。
ライルは「ヴィクトール」としての堂々たる歩調を保ち、ルカは「エレナ」としての可憐な微笑みを崩さない。
男の鋭い視線が二人を射抜くような感覚があったが、二人は細心の注意を払い、平静を装って廊下へと抜け出した。
預けていた荷物とモンスターボールを受け取り、会場を後にする。
夜のヒウンシティを抜けて、ようやく宿泊ホテルのライルの部屋に辿り着いたとき、二人は同時に深い溜息を漏らした。
スーツのネクタイを緩めるライルと、ハイヒールを脱ぎ捨てるルカ。
豪華な装束の下でかいた冷や汗が、ようやく冷えていく。