ポケットモンスター Agent PLATINUM   作:ミノワ

31 / 32

潜入を無事に終えたライルとルカ。
しかし得られた情報は断片的で、これまでの事件との繋がりはなかった。さらなる情報を掴むため、ライルはある計画を考える。

※途中、ゲーム・原作にはないオリジナル設定が登場します。ご了承ください。



第三十一話【逆尾行】

 

 ホテルの部屋で囲むルームサービスの夜食。

 

 豪華な料理が並んでいるが、二人の意識はまだ、あの会場の異様な熱気にあった。

 

 ライルはボールからルカリオを繰り出した。

 

「ごめん、ルカリオ。何か異常が起きたら教えてくれ」

(ああ、任せろ)

 

 そう言うとルカリオはドアの近くに立ち、波導を広げた。

 

「サンキュー。ルカリオ」

 

 ルカがそう声をかけると、ルカリオは軽く手を上げた。

 

 そして彼女は、食事を頬張りながら今度はライルに向かって語りかける。

 

「なあ、撤退でよかったんだよな?」

 

 ライルも食事をしながら答える。

 

「……ログ機能を使って、ある程度のレコーディングはできた。それを本部に送れば今日は上出来だよ」

 

「ああ、分かってる。でもそれは『この潜入捜査』の話だろ? これまでの事件に繋がることは、何も掴めてない」

 

 ルカの言う通りだ。

 

 ——あの教団は何か怪しい、それはわかった。

 

 だが、それとライルが立てた仮説——ギラティナに協力者がいる可能性やエネルギー消失に結びつく情報は、確認できなかった。

 

 しかし、気になることはあった。

 

 事前情報の通り、教祖の男はしきりに『理想郷』を説いていた。そしてそれを、理に縛られない場所、あるいは世界だと言っていた。

 

 それが単なる比喩表現でなく、実在するものを指しているのだとするなら、その世界とは——反転世界のことなのか?

 

 だが、今わかることは何もなかった。

 

 焦燥を抑えながら、再び口を開くライル。

 

「……あの場で出来ることはもうなかった。それはお前も分かってるだろ?」

 

 ルカは眉間に皺を寄せて答える。

 

「……ああ、そうだな。お前が正しい」

 

 手持ちを預けていたことに加え、あのSPの男の威圧感。向こうの規模の全容もわからない。あの場でさらに追加調査をすることは、無謀だった。

 

 ルカが続けて問いかける。

 

「なら『さいみんじゅつ』は、ポケモンの仕業だと思うか?」

「わからない。他にも電波のようなものの可能性もある。だけど——」

 

 数十人に及ぶ集団催眠の影響の疑い。加えて、ほとんど違和感がないほどの微妙な出力。

 

 それが巧みにコントロールされているものならば、催眠を得意とするポケモンの仕業の可能性は高い。

 

「でも、かかっていた人と、そうでない人の違いはなんだ?」

 

 ライルは眉を顰める。

 

「あの場にいた人たちは皆、高揚しているような感じだった。——例えば、あの教祖の男にどれだけ共感しているかで効果が変わるとか」

 

「あり得るな。ポケモンだとするなら、あの宗教野郎の手持ちかもな」

 

 二人はある程度、議論を交わしたところでシロナへの報告を行うことに決めた。

 

        ◇ ◇ ◇

 

 二人はシロナへ映像電話を繋ぎ、潜入の経緯、教祖の談話内容と催眠術行使の疑い、そしてあの圧倒的な威圧感を放つSPの存在を報告した。

 

『二人とも、ご苦労様。危険な任務をよくこなしてくれたわね』

「まーな。こいつの坊ちゃん役は結構様になってたぜ」

(お前もな……)

 

 ルカのドレス姿が似合っていたとは決して口にしないライル。

 

「でも手に入れた情報じゃ、まだ核心には届きません。奴らの言う『理想郷』の正体も分からない……」

 

 ライルは少し悔しさを滲ませた。

 

「それと、例のSPです。あのレベルの人間が居るなんて、並の団体じゃない……」

 

 ライルの言葉にシロナは眉を上げる。

 

『そこまでの実力者だったの?』

 

 ライルは頷き、ルカがそれに続き口を開く。

 

「あたしの勘じゃ、ざっと見積もってもあんたとどっこいって感じだな。オーラだけなら下手すりゃそれ以上。 ま、あんたが戦ってるとこ見たことねーけど」

 

『……なるほどね』

 

 シロナは長い金髪の毛先を人差し指でクルクルと巻いていた。

 

 その目は僅かに、好戦的な光を放っていた。

 

『大体は把握したわ。こっちでも情報を探ってみる。また映像も送っておいてね。それで、本部に戻ってきても構わないけど、どうする?』

 

 ライルが少し考え込んでいると、ルカが口を挟んだ。

 

「なあ。あの宗教野郎共が、これまでの事件と関係なかったらどうなるんだ?」

 

『全容がわからないと何とも言えないけど、その教団がしようとしていることの内容によっては、各地方警察の管轄になる。もちろんケースバイケースで協力し合うこともあるけどね』

 

「……そっか。わかった」

 

 ルカとシロナの話を聞いていたライル。

 

 少しの後、意を決したように問う。

 

「シロナさん、しばらくこっちで行動したいんですが、許可もらえますか? もう少し奴らを探りたいんです」

 

 その言葉にシロナは目を細め、ルカは少し驚いた様子を見せた。

 

『……かなり危険だけど、何か計画があるの?』

 

「はい。考えついたことがあって、実は——」

 

 ライルが提案したその「計画」を聞いたシロナとルカ。

 

 シロナは何か危険があればすぐ撤退するという条件付きで許可をくれ、ルカに至っては真顔のまま「……最高かよ」と呟いていた。

 

        ◇ ◇ ◇

 

 翌日の午前。

 

 二人が居たのはヒウンシティ最大のデパート。

 

 服装は普段のジャケット姿とは違う、少しお洒落で、それでいて動きやすい服装。

 

 人混みに紛れる二人は、どこからどう見ても「休暇を楽しむカップル」そのもの。ブランドショップや高級嗜好品店を巡り、適度に買い物を楽しむ。

 

 その後、大通り沿いのテラス席で食事を囲む二人。

 

 足元には馴染みのルカリオとルガルガン——ではなく、グレイシアとブラッキーが陽光を浴びて丸まっていた。

 

 しかし周りには気づかれないほどに、ブラッキーは耳を動かし、グレイシアは周囲を見渡している。

 

 ライルはグラスを手にしながら、ルカに話しかける。

 

「気づいたろ?」

 

 ルカもまた、食事を取りながらさりげなく返事をする。

 

「ああ。確かに、見られてんな」

「昨日、ホテルに帰るまでに妙な視線を感じた気がしたんだ。もしかしたらと思ってさ」

 

 自然な動作でグラスを置くライル。

 

「おれたちを見ていたあのSPが、仕向けた可能性がある」

「でもなんで怪しまれた? ……あたしの気配か?」

 

 昨夜、自分が振り撒いた怒気のせいかと、僅かに視線を下に向けるルカ。

 

「そうじゃないとは言えないけど、おれたちは催眠にも掛からなかった。そこに気づいたのかもしれない。それに来てるのは本人じゃない、威圧が全然違うからな。だから念のためってことだと思う。ならおれたちでも対処できる」

 

 淡々と告げながらも、しかし、ルカの非を責めはしないライルに、彼女は苦笑した。

 

 ライルが考えた計画はこうだ。

 

 彼はあの交流会のあと、自分たちを監視している視線に気づいた。そこをあえて、ヴィクトールとエレナの身分を維持したまま、敵に尾行をさせるというものだった。

 

 目的は、尾行されていることを利用して、教団に接近し、逆にその正体を炙り出して、さらなる情報を得るため。

 

 不敵さを取り戻したルカが、口角を上げながら言う。

 

「確かに、そそくさ帰るよりもちょっとくらい観光を装った方が、お坊ちゃまっぽくて自然だよな」

「そういうことさ。前にお前が言ってたこと、使わせてもらった」

 

「お前もあたしも冴えてるってわけだ」

 

 そしてルカは思い出したように、また、少し落ち着かない様子でライルに問いかける。

 

「——んで、行くんだろ? ライモンシティ」

 

 ライルがティーカップを傾けながら静かに頷く。

 

 するとルカは「うっし!」と呟きながら、テーブルの下で小さく、けれど力強くガッツポーズをした。

 

        ◇ ◇ ◇

 

 ヒウンシティの洗練された街並みとは一変、ライモンシティは光と音の激流であった。

 

 ミュージカルホールなどを軽く見回った後に向かったのは、複合エンタメ施設内にあるカジノ。

 

 ルーレットの回る音とチップの触れ合う音が響く。そこでルカは、驚異的な勝負強さを発揮していた。

 

 ポーカー、ブラックジャックといったゲームで次々とチップを積み上げていく。

 

 ライルはその隣で驚きの声をあげる。

 

「お前、すげえな……」

「だろ? あたしは賭けで負けたことないのさ。——まあ、元手がなかったから稼いだことはねーけど」

「悪運強そうだしな、お前」

 

 ライルは苦笑する。

 

「でもこれ以上は目立ちすぎる。そろそろ出るぞ」

「ちぇっ!こっからが良いとこなのに!」

 

 彼女は名残惜しそうにチップを現金化し、再びライルの腕に手を回してカジノを後にする。

 

        ◇ ◇ ◇

 

「なかなか尻尾を出さねえな」

「ああ。でも遊園地はかなり開けてる。何か手がかりを掴めたらいいんだが」

 

 チケットを購入した二人はついに、ルカの念願であった遊園地の中へと歩を進めた。

 

 ルカは叫んだ。

 

「うおー!ここかーー!!」

「おい、あんまり——」

 

 素に戻るなよ、と言いかけたライルだったが——やめた。

 

 ここまでくれば口調は問題ではない。

 

 昨日、一緒に交流会に参加していた二人がこうやって遊園地まで来ている。その事実こそ、二人が潜入捜査をしているエージェントなどではない、という証明になると考えたからだ。

 

 少し口が悪くて遊園地に行ったことのない令嬢というのも、もしかしたら、この世のどこかにはいるかも知れない。

 

 それに。

 

「おい見ろよブラッキー!めちゃくちゃ面白そうだぞ!」

「ブラッ!」

 

 あんなに楽しそうなんだ。

 

 彼女にとって、ここは念願の場所。

 

 水を差してまで制することは——

 

 というライルの心境とは裏腹に、ルカは突如ブラッキーと共に駆け回り始めた。

 

 マスコットキャラ、アトラクション、出店のポップコーンを見て、はしゃぎまくっている。

 

「…………」

 

 水を、差すのは——

 

 ルカは散々騒ぎ散らかした後、再び走って戻ってきた。

 

 そしてライルに勢いよく詰め寄る。

 

「どっからいく!? なあなあなあなあなあ!」

 

 ライルは薄く微笑み、少しだけ息を吐いて答えた。

 

「……ちょっと静かにしろ」

 

        ◇ ◇ ◇

 

 二人はある程度の節度を保ちながら、次々と園内のアトラクションを踏破していく。

 

 特にルカは任務のことなどすっかり忘れているかのように顔を輝かせていた。

 

 メリーゴーランドで優雅に回り、お化け屋敷ではルカが「作り物だろ」と冷たく言い放ちながら、急に飛び出した仕掛けにライルの袖を強く掴む一幕も。

 

 最大の波乱はジェットコースター。

 

 ルカは頭上のレールの上を走っていくコースターと叫び声を上げる乗客を見て、その場に固まっていた。

 

「おい待て。あたしは乗らねえ」

「乗らねえって、お前まさか怖いのか?」

 

 ライルは目をぱちくりさせる。

 

「いつもサザンドラで飛びまくってるじゃんか」

「それとは別だ!こんな機械は信用できねえ!」

 

 しかしライルは面白そうに笑いながら、彼女を半ば強引に座席へ座らせる。

 

 猛スピードで急降下する間、ルカの絶叫が空に響き、降りた後の彼女は黒髪を乱しながらフラフラと歩きライルを睨む。

 

「お前……覚えてろよ……」

 

 恨み言を漏らすルカ。

 

 だがライルがソフトクリームを差し出すと、彼女は毒気を抜かれたようにそれを受け取り、甘い冷たさにようやく一息をつく。

 

 そしてベンチかどこかで休憩しようと人混みを移動していた。

 

 ——その時。

 

 二人の神経が、背後に張り付く「視線の主」を、ついに捉えた。

 

「(ルカ、ブラッキー貸してくれ)」

「(……!)」

 

 ルカがライルを見る。

 

「(ここでやるつもりか?)」

「(ああ、そうなれば向こうも必ず気づく。でもこれ以上泳がせるだけじゃ情報は得られない)」

「(……わかった。ブラッキー)」

 

 ブラッキーは自然な動作で、ライルの足元へ寄る。

 

「ちょっと手洗いに行ってくるよ」

 

 周囲に聞こえる声でルカにそう言うと、ライルは踵を返し、逆方向へと進む。

 

 背後の監視者は、ライルの急な動きに僅かな動揺を見せたが、そのまま人混みを縫って近づいてくる。

 

 ライルは神経を集中させた。

 

 そして人混みに押されたかのようにふらつき、向かってきた男と肩をぶつけた。

 

「おっと失礼! すみません」

「……ああ」

 

 男が短く応じ、そのまま通り過ぎようとした、その瞬間。

 

 ライルの足元にいたブラッキーが繰り出したのは——『どろぼう』。

 

 影のように男の懐へ滑り込み、そのジャケットからカードケースのようなものを、音もなく抜き取る。

 

 男はそのまま、進行方向へと歩いていく。

 

 ライルは自然に振り向いた。

 

 ジャケットを気にしている様子はない。

 

 まだ気づいていないようだ。

 

 数分後。

 

 ライルは周囲を伺いながら、ベンチに座るルカと合流した。

 

「撒けたか?」

「たぶん大丈夫。急いで戻ろう」

「了解」

 

 勢いよく立ち上がるルカ。

 

 そして思い出したようにライルに告げた。

「言っとくけど、『あの技』を悪用したことはねえからな?」

「ああ、わかってるよ」

 

 ライルは少し笑う。

 

 二人はその後、夕闇が迫る遊園地を急いで後にし、足早に複合施設の宿泊先へと戻った。

 

        ◇ ◇ ◇

 

 部屋へ戻ると、二人は真っ先に扉へ鍵を掛けた。

 

 窓際にはブラッキー、扉付近にはルカリオを立たせ、警戒に当たらせる。

 

 ライルは懐から奪ったカードケースを取り出し、テーブルの上に置いた。

 

 ルカも向かいに腰を下ろし、身を乗り出す。

 

「さて、何が出てくるか……」

 

 ライルがケースを開く。しかし、中に収められていたのは、免許証が一枚。

 

「……これだけか?」

「いや——」

 

 ライルはケースを裏返し、指先で内張りを探った。底の一部が、わずかに浮いている。

 

 隙間へ指を差し込むと、名刺ほどの大きさの硬いカード2枚が滑り落ちた。

 

 それは、『狼の紋章』が刻まれた識別票のようなカードと、用途の分からないカードキー。

 

「なんだ、これ……?」

 

 識別票を持ち上げたライルは、向かいに座るルカの異変に気づいた。彼女は瞬きもせず、食い入るように紋章を凝視し、眉間に皺を寄せている。

 

「おい、ルカ。どうした?」

「このマーク……。あたし、どっかで見たことがある気がする」

「本当か?」

「ああ。だけど……思い出せねえ。いつ、どこで見たのかも……」

 

 ルカは額に手を当て、記憶を探るように目を細める。

 

「気のせいかもしれねえけど、なんか——」

 

 その時だった。

 

 壁際で周囲の波導を探っていたルカリオの耳が、ぴくりと震え、表情が変わる。

 

(ライル、まずい)

 

 ルカリオの波導の声に、二人は同時に振り返った。

 

(今、この建物に複数の強い気配が入ってきた。かなりの使い手だ)

 

「本当か!? ルカリオ、こっちへ向かってるのか!?」

(分からない。だが迷わずこの階層を目指している)

 

 ルカが舌打ちし、椅子を蹴るように立ち上がった。

 

「チッ。なんで場所がわかった!?」

「ルカリオが複数の気配を感じ取ってる。もしかしたら尾行者は一人じゃなかったのかも」

 

 ライルは手元のカードを再度見つめる。

 

 その脳裏に、昨夜の交流会で見たSPの姿が浮かんだ。ゲンジを上回り、シロナと同等に近いとルカが評した、あの底知れない威圧感。

 

 ライルは素早く決断をする。

 

「逃げるぞ、今すぐにだ!」

 

 二人は急いで窓を開け、バルコニーへと身を乗り出す。外壁には、屋上へ続く非常階段が伸びている。先にルカが身を乗り出し、手すりへ足を掛ける。その後をライルとルカリオが追った。

 

(急げ!もうすぐこの階に来る!)

 

 その刹那、部屋のドアノブから金属がカチャカチャと触れる音がする。ピッキングか何かで開けようとしているのか?

 

 ——カチャ……カチャ

 

そして音が一度消えると、鍵が回る。

 

 ——カチャリ

 

 その後、勢いよく開かれたドアに続き、部屋を駆ける複数の足音。

 

 ライル達は屋上へ飛び出すと同時にモンスターボールを投げた。それぞれウォーグルとサザンドラの背に乗ると、二人は瞬く間にホテルから離れていく。

 

 二人が振り返ると、彼らがいた部屋の開け放たれた窓から一人の男が身を乗り出していた。

 

 シルエットしか分からないが、見えたのは例のSPよりもやや細身の人物。

 

 その男は、闇に紛れて遠ざかっていく二つの影を睨む。

 

「……逃げられました、隊長」

 

 通信の奥から低い声が響く。

 

『包囲網を張れ。主要交通路に兵を配置させろ』

「了解」

 

 男は通信を切ると、部下とみられる者たちに指示をし、部屋を後にした。

 

        ◇ ◇ ◇

 

 翌朝。

 

 郊外にある目立たない仮宿を後にした二人。

 

 ヒウンシティに戻り、フェリー乗り場へ向かうと、そこで異様な光景を目の当たりにする。

 

「ちょっと待て。あれは……」

 

 ライルの視線の先には、港を見張るように鋭い視線を巡らせる集団の姿があった。

 

「追っ手か? 用意のいいこったな。……どうする?」

 

「この先の街にも追手がいたら、おれたちだけじゃ逃げ切れない。シロナさんに報告しよう」

 

 二人は人目を避け、人工的な森の奥深くでシロナに映像電話を繋ぐ。

 

『——了解。とにかく君たちが無事でよかった。少し厄介なことになったわね』

 

「はい。奴らが何人いるか分かりませんし、あのSPクラスが複数いたら、おれたちだけじゃ勝てない」

 

 シロナはしばらく目を伏せて思考を巡らせた後、決然とした表情で答えた。

 

『分かった。そこから北東に進んだ先にポケモンリーグがある。その道中に友人の別荘があるの。……まあ今はほとんど譲り受けた形になってるけど。ポイントを送るから、そこに向かってくれる? 助っ人を呼ぶわ』

 

「わかりました。助っ人っていうのは?」

 

 シロナは一呼吸置き、静かに、しかし最大級の信頼を込めてその名を呼ぶ。

 

「——イッシュ地方最強格の人物。元チャンピオン『アデク』。その人よ」

 

 かつてイッシュの頂点を極めた伝説のトレーナー。

 

 その名を聞き、ライルの瞳に再び光が宿った。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。