”博麗の巫女”の弟は幻想郷の平和の夢を見るか? 作:針が11を指している
イア「あの~、景さん 今は何処に向かっているんでしょうか?」
景「白玉楼と言う冥界だよ」
イア「め、冥界!?」
景「冥界と言っても、死にはしないよ」
景「かつての“異変”の時、地上と繋がったまま放置されたからね」
景「今でも徒歩で、行けるんだよ」
イア「へ~ そうなんですか!」
イア「ところで、“異変”って何ですか?」
景「う~ん、そうだねぇ...まぁ、一言で言うのなら...」
景「面倒な事かな」
イア「面倒?」
景「そうなんだよねぇ 紅い霧が出てきたり、春が盗まれたり、色々とね」
イア「紅い霧?春が盗まれる?」
景「ま、そういう反応になるよね」
景「でもまぁ、放っておくと誰かが困るし、それに...」
イア「それに?」
景「幻想郷の秩序が大きく崩れることになるからね」
イア「それって...」
景「ま、この話は後 ほら、見えてきたぞ」
イア「ここが白玉楼...」
長い長い階段の先にあったのは
蜃気楼のような、様相を呈した
和風の屋敷が整然と立っていた
幽々子「あら、貴方が来るなんて...」
幽々子「もしかして、新しい子でも来たのかしら」
景「正解だ 相変わらずだな 西行寺」
イア「えっと...」
景「あぁ、紹介するよ」
景「このピンクが、西行寺幽々子 うんで...」
妖夢「ジィー」
景「西行寺の背中に隠れて、刀を構えているのは魂魄妖夢だ」
景「西行寺、魂魄 イアだ」
イア「よろしくお願いいたします!」
幽々子「よろしくね~、イアちゃん~」
妖夢「よ、よろしく、お願いします...」
景「で、だ 西行寺、突然で悪いんだが、一晩泊まらせてくれないか?」
幽々子「・・・何故かしら」
景「幻想郷を案内している それだけで、分かるだろ」
幽々子「・・・えぇ、そうね」
幽々子「妖夢ちゃん、客室に案内して晩御飯を出してあげてね」
妖夢「え?今からですか?」
幽々子「えぇ、そうよ」
妖夢「ただでさえ幽々子様の料理だけで手一杯なのに...」
景「俺も手伝うよ 流石に」
イア「わ、私も手伝います!」
妖夢「本当ですか!助かります!」
そうして、私達は四人前とは思えないほどの量の料理を作り
そして、幽々子さんがその殆どを食べたり
妖夢さんと一緒にお風呂に入ったりした
幽々子「ねぇ、イアちゃん 湯加減はどうだった?」
イア「あ、幽々子さん とても良かったですよ」
幽々子「そう、それはよかったわ」
幽々子「・・・ねぇ、イアちゃん」
幽々子「少し、お話をしましょうか」
イア「え、えぇ いいですよ」
そして、幽々子さんが腰かけている場所の隣に座る
イア「それで、話って...」
幽々子「博麗景のことよ」
イア「えっと...景さんがどうかしたんですか?」
幽々子「・・・彼には気を付けた方がいいわよ」
イア「え?それって、一体どういう...」
幽々子「・・・ねぇ、イアちゃん 貴女から見て...」
幽々子「博麗景はどう見えているのかしら?」
幽々子さんは、私に視線を向けることはなく
何処かに、しかし確実に一点を見つめていた
イア「景さんは...いい人だと思います」
イア「外から来た私を助けてくれて、幻想郷の事も教えてくれて」
幽々子「・・・誰でも、出来るわよ」
イア「してくれたのが、嬉しいんです」
イア「出来るとしても...するとは限らないですから...」
幽々子「・・・その裏で、何かを企んでいるかもしれないわよ」
イア「・・・景さんのこと、あまり悪く言わないでください」
幽々子さんに向き直り、力強く言った
幽々子「随分と、彼に惚れ込んでいるようね」
イア「ほ、惚れていません!」
俯き景さんに支えて貰った時のことを思い出す
イア「(赤面)////////」
幽々子「フフッ、面白いわね」
幽々子「・・・そうね、私が悪かったわ」
幽々子「ね! 少し、貴女に見せたいものがあるの!」
イア「見せたいものですか?」
幽々子「そう ちょっと、来て!」
イア「は、はぁ...」
私は素直についていく
イア「す、凄い...」
そこには、桜の大樹がそびえ立っていた
幽々子「綺麗でしょう」
イア「はい、凄いです...」
幽々子「西行妖って言うのよ」
イア「西行、妖...」
景「・・・何だ、イアに西行寺 来ていたのか」
幽々子「どうやら、先客がいたようね」
イア「け、景さん!?」
景「そんなに驚かなくていいだろ」
イア「す、すみません...」
景「別に謝らなくていい」
幽々子「あらあら、青春ね~」
景「・・・俺はもう寝るが、イアはどうする?」
イア「わ、私は...もう少し、ここにいます」
景「そうか...お休み、イア、西行寺」
イア「はい お休みなさい」
幽々子「えぇ、お休み」
そうして、景さんは見えなくなっていった
幽々子「・・・行かなくて良かったのかしら」
イア「・・・はい 今は...」
イア「この景色を見ていたいんです」
幽々子「そう...」
西行妖は微風に揺られ、静々と花弁を散らしていた