”博麗の巫女”の弟は幻想郷の平和の夢を見るか? 作:針が11を指している
—翌日—
景「世話になったな 西行寺、魂魄」
幽々子「いいえ、そんなことはないわよ~」
幽々子「イアちゃんとお話も出来たしね~」
景「そうなのか、イア」
イア「えぇ、そうですよ」
景「・・・そうか」
景「じゃあ、俺達はもう行くよ」
景「じゃあな」
妖夢「はい、また」
幽々子「えぇ、また会えたら...」
イア「ありがとうございました」
そうして、白玉楼を後にする
イア「・・・景さん 少し、いいですか」
景「なんだ」
イア「・・・どうして、他人である私を助けてくれたんですか?」
景「・・・・・・自分なりの矜持だよ」
イア「矜持?」
景「そう 誰かを助ける、誰かに助られる、礼を言う、礼を言われる」
景「ただ、それだけのことだよ」
イア「凄いです」
景「え?」
イア「景さんは凄いです そうやって、沢山の人を助けてきたんですね」
景「・・・どうかな、ありがた迷惑かもしれないし...」
イア「そんなことはありません! 少なくとも、私はそう思いません」
景「・・・ありがとうな」
イア「フフッ、どういたしまして」
そうして、色んな事を聴きながら歩みを続いた
幻想郷には色んな能力があること
様々な種族が暮らしていることなどを教えてくれた
景「そろそろ、目的地だな」
大きい湖を迂回しながら、景さんは呟く
そして、紅い館が見えてきた
景「・・・ここが紅魔館だ」
イア「紅魔館...」
イア「凄く...紅いですね」
景「だよなぁ」
イア「ん?あそこの門の前に誰かがいる?」
景「あぁ、紅(ほん)のことか」
美鈴「zzz...」
イア「ね、寝てる...」
大きな鼻提灯を出しながら、立ち寝していた
景「邪魔するぞ」
そう言いながら、屋敷の門を開ける
イア「景さん、いいんですか 勝手に入って...」
景「大丈夫だよ もう、ばれているだろうし」
イア「え?」
すると突然、目の前にメイドの格好をした女性が現れた
咲夜「景様、入る時は美鈴に言いつけからにして下さい」
景「十六夜...寝ている門番が悪いと思わないのか?」
咲夜「・・・美鈴、また寝ているの?」
景「あぁ、そうだよ」
咲夜「・・・少し、お待ちください」
瞬きする間もなくその女性は消え
美鈴「ぎあぁぁぁぁ」
門の方から悲鳴が轟いた
イア「あの、大丈夫なんですか?」
景「心配することはないさ」
咲夜「ご迷惑をおかけしました では、こちらへ」
そのメイドさんについていく
長く紅い廊下、三人の足音だけが鳴り響く
私は景さんが着ている服の裾をつかみながら進む
すると、メイドさんは大きな扉の前に立ち止まった
咲夜「お待たせしました、お嬢様」
レミリア「ご苦労様、咲夜」
そして、大きな扉が開かれた
広い応室間の奥、玉座に跨る女の子がいた
レミリア「ご機嫌よ、“博麗の巫女”の弟さん それと...」
レミリア「お嬢さん」
イア「ご、ご機嫌よ?」
景「合わせなくていい」
レミリア「フフッ、相変わらずね 景」
景「スカーレットもな」
レミリア「それで、そこのお嬢さんの紹介にでもしに来たのかしら」
景「そんなところだ」
景「イア、こいつはレミリア・スカーレットだ 小っこいが、年上だ」
景「スカーレット、イアだ」
イア「よ、よろしくお願いいたします!」
レミリア「えぇ、よろしく」
レミリア「・・・随分と紹介が簡潔ね」
景「悪いか」
レミリア「いいえ、そんなことはないわよ」
景「そうか」
景「・・・少し、借りるぞ」
レミリア「えぇ、いいわよ」
景さんは隅っこに置いてある
グランドピアノに向かい、腰かけた
蓋を開け、白黒の鍵盤が露わになる
景「・・・」
そして、演奏が始まる
最初の一音がなり始め、優しく部屋全体に響く
次々と奏でられる音、一音一音が何かを感じさせる
イア「・・・」
私は、瞬きをするのも忘れる程に
グランドピアノを弾く景さんに、見惚れていた
景「・・・ふぅ...」
景さんが指を止めるのに合わせて、私の意識は表層に戻される
パチパチと拍手する音が聞こえてきた
レミリアさんに、メイドさん、門番の人、紫色の服を着た人が拍手をしていた
私も、負けじと拍手をする
レミリア「相変わらず上手いわね」
イア「け、景さん...凄く良かったです」
景「あぁ、ありがとう」
景さんは、周りを見渡す
景「・・・揃っているんだな」
景「イア、紹介するよ 門にいたのは、紅美鈴」
景「メイドなのが、十六夜咲夜」
景「紫色なのがパチュリー・ノーレッジだ」
イア「よろしくお願いいたします!」
咲夜「よろしくお願いいたします、イア様」
美鈴「よろしくしますね、イアさん」
パチュリー「よろしく」
景「・・・少し、席を外す」
レミリア「えぇ、分かったわ」
そうして、景さんは退室する
イア「そういえば、景さんが弾いていた曲って何なんでしょうか?」
レミリア「・・・月光、第二楽章 だったはずよ」
イア「月光...」
レミリア「・・・咲夜、イアと二人にさせてくれないかしら」
咲夜「了解しました、お嬢様」
そうして、私とレミリアさん以外、みんな退室した
イア「・・・(ど、どうしよう 気まずい...何か、話題は...あ!そうだ)」
イア「レミリアさん 景さんっていつから、ピアノを弾いていたんですか?」
レミリア「・・・そうね...大体、一年半ぐらい前かしら」
イア「結構最近なんですね」
レミリア「と言っても、最初の五、六か月は、第一楽章ばかりを弾いていたのよね」
イア「第一楽章...ですか」
レミリア「えぇ、そうよ...たまに見掛ける程度だったけどね でも...」
イア「でも?」
レミリア「・・・よくピアノにかじりついていたと思うわ」
イア「かじりついていた...」
レミリア「・・・ねぇ、イア」
イア「何ですか?レミリアさん」
レミリア「彼を...景を、見ていてくれないかしら」
イア「・・・どういう意味で...言っているんですか」
レミリア「幾つかの意味...とだけ言っておくわ」
イア「・・・」
レミリア「・・・私たちではどうにも出来ないから」
イア「え?」
不意に扉が開かれる
景「・・・何をしているんだ イア、スカーレット」
イア「・・・景さん...」
レミリア「・・・第二楽章について教えていただけよ」
景「・・・そうか」
景「イア そろそろ出るが、何かやり残したことはないか」
イア「・・・いえ、大丈夫です」
景「そうか じゃあまたな、スカーレット」
レミリア「えぇ、また」
そうして、紅魔館から出た