”博麗の巫女”の弟は幻想郷の平和の夢を見るか? 作:針が11を指している
イア「・・・景さん 今は、何処に向かっているんですか?」
温かい空気が頬を撫でる感触を感じながら
木々の間を縫うように、通られた道を進む
景「永遠亭...ただの診療所だよ」
イア「なるほど...」
そうやって、歩いていると
景「・・・なぁ、イア」
イア「何ですか?景さん」
景「少し...寄り道をしていいか?」
そうして、訪れたのは
イア「・・・これって...」
そこには、バームクーヘンみたいな断層が
灰色、黒色、白色、その他様々な模様が彩りされていた
景「綺麗だろ?これ」
景さんは割れ物に触れるように、ゆっくりと優しく撫でる
イア「はい...凄く...」
私もゆっくりと優しく撫でる
景「・・・懐かしいな...」
イア「懐かしい...ですか」
イア「・・・景さん 一つ、聞いてもいいですか」
景「何だ」
イア「・・・誰かと一緒に来たことがあるんですか?」
景「・・・何故、そう思った」
イア「・・・それは...」
景「・・・まぁどうせ、西行寺やスカーレットの入れ知恵だろ」
イア「そんなことは...」
景「警戒されているのは分かっているし、受け入れている」
イア「景さんが警戒されているって...」
イア「何かの間違いじゃないんですか?」
景「正当な評価だよ どうしようもないほどに」
イア「どうしてそんなことに...」
景「・・・未熟だった それだけだよ」
イア「・・・」
景「・・・さぁ、もう行こう」
景「このままだと、永遠亭に着くころには夜になってしまうよ」
イア「・・・そう、ですね...」
そうして、歩みを再開する
空が夕日色に染まり始めたころ
イア「ここが、永遠亭?」
竹林が散々としていた
景「いや、永遠亭はこの先だ」
景「ここは迷いの竹林だ」
イア「迷いの竹林?」
景「そう...俺も案内がないと迷う場所だ」
イア「そんなに...」
そうやって、立ち尽くしていると
妹紅「何棒立ちしてるんだ?景」
景「・・・あぁ、藤原か...」
白髪で長髪の女性が景さんに話しかけていた
イア「えっと...誰ですか?」
私は景さんの背中に隠れ、その女性に問う
妹紅「藤原妹紅だ あんたは?」
イア「イアです」
妹紅「そうか よろしくな、イア」
イア「よろしくお願いいたします 妹紅さん」
景「藤原、永遠亭まで案内してくれないか」
妹紅「もちろんだ」
そうして、妹紅さんの案内の下で
イア「ここが永遠亭...」
竹藪に囲まれるように和風の建物が立っていた
永琳「・・・景じゃない どうしたのかしら」
景「八意か 外来人に幻想郷について教えているだけだ」
永琳「そう...貴女、名前は?」
イア「イア、です...」
永琳「イアねぇ...いい名前ね」
イア「ありがとうございます...」
景「八意、今日は泊めてくれないか?」
永琳「えぇ、いいわよ もう、夜が更けかけているしね」
妹紅「私は、帰らせてもらうぞ」
景「勝手にすればいいさ」
そうして、妹紅さんは竹林の中に消えていき
私たちは永遠亭の中へ入っていった
鈴仙「お師匠様~って、景さんに...誰ですか?」
イア「えっと...」
永琳「鈴仙、彼女は...」
景「優曇華院 彼女は、イアだ」
景「イア 彼女は、鈴仙・優曇華院・イナバだ」
イア「よ、よろしくお願いします...」
鈴仙「よろしくね、イアちゃん」
永琳「・・・」
景「・・・なんだ、八意」
永琳「・・・何でもないわ」
景「・・・そうか...」
イア「景さん?どうかしたんですか?」
景「何でもないさ」
永琳「鈴仙、景たちを客室へ案内して」
鈴仙「はい!分かりました!」
そうして、夕ご飯を食べて、鈴仙さんと一緒にお風呂に入ったりした
そして、眠りにつくが、寝付けなくて
縁側で足をフラフラとさせていた
イア「・・・」
少ないながら思い出す
幽々子さんの警告、レミリアさんのお願い
そして、景さん自身が言っていた“未熟だった”っていうこと
考えれば考えるほど、思考の袋小路にハマっていく
永琳「・・・寝れないのかしら」
イア「あ...永琳さん」
いつの間にか、隣に座っていた
イア「えぇ、そうですね」
永琳「・・・少し、いいかしら」
イア「・・・なんですか」
永琳「景に...彼に、入れ込まないようにね」
イア「・・・どういう意味ですか」
少しばかし、声に怒気が混じる
永琳「フフッ、そう怒らないで頂戴」
イア「おちょくっているんですか」
永琳「もぅ、つれないわね」
イア「・・・本題に入って下さい」
永琳「そうねぇ...さっきも言ったけど、景に入れ込まないでね」
イア「なぜです」
永琳「・・・憎んでいるのよ 幻想郷を、私達を」
イア「幻想郷を、皆さんを憎んでいる?景さんが?」
永琳「・・・えぇ、そうよ」
イア「何で...どうして...」
イア「何か誤解があるんじゃあ...」
永琳「ないわよ...絶対に」
イア「どうして、そう言い切れるんですか」
永琳「月光...」
イア「え?」
永琳「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲」
永琳「ピアノソナタ第14番 月光 第二楽章」
永琳「聴いたことある?」
イア「景さんがレミリアさんのところで弾いているのを聴きました」
イア「それが、一体...」
永琳「景が“月光”を弾き続けている限り」
永琳「私達がしたことを許さない」
永琳「いや...きっと、弾かなくなっても...」
永琳「許さないでしょうね」
イア「・・・景さんに...」
永琳「・・・」
イア「幻想郷の皆さんは景さんに」
イア「一体、何をしたんですか?」
永琳「景本人には、何もしていないわよ」
イア「景さん本人には、って...」
イア「誰に何をしたんですか」
永琳「・・・脅威を排除した...いや、景からして見れば」
永琳「“殺した”...かしら」
永琳「アリスを」
イア「——え?」
永琳「アリス・マーガトロイドを殺した」
永琳「っと、言えるわね」
イア「・・・・・・マーガトロイド...」
永琳「・・・どうかしたのかしら?」
イア「・・・何でもないですよ」
イア「私、もう寝ます おやすみなさい、永琳さん」
永琳「そう...お休み」
その日の夜は、あまり寝付く事が出来なかった