”博麗の巫女”の弟は幻想郷の平和の夢を見るか? 作:針が11を指している
景さんは人里のみんなからの礼を受けつつ、私達の方へ向かってきた
阿求「相変わらずね」
景「あぁ、有り難いことにな」
イア「・・・」
何て声をかければいいのか、分からない
景「どうしたんだ、イア」
イア「えっと...あの...」
景「・・・あぁ、疲れたのか」
イア「えっと...まぁ、はい」
景「そうか じゃあ、鈴奈庵に泊まっていくか」
阿求「鈴奈庵に泊まっていくのなら、私も泊まるわ」
景「・・・まぁ、いいか」
景「じゃあ、俺は着替えてくるから」
そう言って、景さんは鈴奈庵に戻っていった
阿求「・・・ねぇ、イアさん」
イア「・・・何ですか、阿求さん」
阿求「こんな事を貴女に聞くのは、無粋なんだけどね...」
イア「もったいぶらずに教えて下さい」
阿求「貴女...景のこと、好き?」
イア「・・・な、なななな//// 何でそんなことを...」
阿求「貴女、意外と分かりやすいのね」
イア「ん~~~/////」
両手で顔を隠す その手で顔が熱くなっているのが感じられる
阿求「まぁ、いいわ 私も景のことが好きだし」
イア「え...?」
阿求「まぁ、景は気づいていないでしょうね 鈍感だし それに...」
阿求「景の思い出には、アリスが色濃く残っているし」
何処か諦めているようなトーンで、阿求さんは言った
阿求「まぁ、告白をすれば景は受けてくれるだろうし、愛してくれる」
阿求「でも、心の奥底では、アリスを想い続ける」
阿求「景自身は、それを言葉にしないだろうし」
阿求「そういうのは、お互いの為にならないでしょう」
イア「・・・そうですね」
阿求「景はね 自分に向けられた好意は、絶対に返すやつなの」
思い出を語るような声色で、懐かしむように話す
イア「・・・景さんとその女性はどんな関係だったんですか」
阿求「そうね...」
阿求「親友以上恋人未満かしら」
イア「と、言うと?」
阿求「景とアリスは、お互いが好きだというのが分かっていたの」
阿求「ただ...」
イア「ただ?」
阿求「・・・それは...」
景「何の話をしているんだ 阿求、イア」
イア「あ、景さん...」
阿求「何処から聞いていたの」
景「ただ、って言ってところ」
阿求「そう...」
景「それで、何の話をしているんだ?」
イア「えっと...」
阿求「女の子同士の秘密の会話 男の子には、話せないわ」
景「そうか それならしょうがないか」
景「・・・空が夕日色になってきたな」
ふと、空を見上げる 夕日に照られ、カーカーと鳴いている烏が視界に入る
景「じゃあ、先に鈴奈庵に入っているから」
そう言って、景さんは再び鈴奈庵に入っていった
阿求「・・・私達も鈴奈庵に入りましょうか」
イア「えぇ...そうですね」
そうやって、私達は景さんの背中を追いかけるように鈴奈庵に入っていった
それから、数時間後
草木も眠る丑三つ時
私は眠りに就くことが出来ていなかった
イア「・・・」
昼にあった事を並べては、ぐちゃぐちゃに分裂していく
チリンチリン
イア「・・・?」
上の方から鈴が鳴る音が聞こえた
布団から起き上がって、窓から上の方を見上げる
イア「・・・景さん?」
そこには、煙草をふかしている景さんがいた
景「・・・あぁ、イアか...起こしちゃったか?」
イア「いいえ、そんなことは」
景「・・・来るか?」
景さんが腕を私に伸ばす
イア「・・・はい」
その伸ばせれた手を手に取り、瓦屋根の上に上る
景「落ちないように気を付けてな」
イア「はい...」
景「空を見て」
そう言われて、空を見上げる
景「綺麗だろ」
イア「はい...」
そこには、満天の星空があった
教科書や星の本で見るような絵や写真よりも
ずっと綺麗で壮大な星空だった
景「・・・ふぅ...」
景さんが煙草をふかす
イア「・・・景さんって煙草、吸うんですね」
景「意外か?」
イア「えぇ、まぁ...」
景「そうか 嫌だったら、部屋に戻してやろうか?」
イア「いいえ、大丈夫です」
景「そうか まぁ、嫌になったら、いつでも言ってくれ」
イア「・・・景さん」
景「どうした、イア」
イア「・・・アリス・マーガトロイドのこと、どう思っているんですか?」
景「・・・そうだなぁ...」
景さんは少しの間、目を閉じて考えているような素振りを魅せる
景「アリスは...」
景「・・・俺はアリスのことが好きだ 今もその気持ちは変わっていない」
イア「景さんは、今でもアリスに逢いたいですか」
景「・・・そんな、クラゲの骨を求めるようなことはしないよ」
イア「じゃあ、景さんは...」
イア「幻想郷を恨んでいますか?」
景「・・・差し詰め、八意当たりかな 入れ知恵をしたのは」
イア「・・・」
景「・・・そうだねぇ」
景「・・・愛憎かな」
イア「愛憎?」
景「そう、愛憎」
景「俺は幻想郷を愛している でも...」
景「それと同じぐらいアリスを奪った幻想郷が憎い」
イア「・・・景さん...」
私は、景さんの背中に回り込み
優しく抱きしめる
景「い、イア?」
イア「・・・景さんは、頑張っているんですね」
イア「理想と現実のギャップに苦しんでいるんですね」
景「・・・あぁ、そうだな」
景さんの温もりを感じる 景さんの心音が聞こえる 景さんの匂いが鼻孔をくすぐる
あぁ、私は、景さんが好きだ 堪らなく好きだ どうしよもなく好きだ
——————だから、私は景さんの全てを私色で染めたい
景さんと
これ以上、景さんが苦しまないように これ以上、私が迷わないように
そして、何より“姉”《アリス》と決別するために
私が、景さんの生きる意味になる
天才(“姉”《アリス》)を超えたい 景さんを救いたい
私、イア・“マーガトロイド”はそう心に決めた
今回も、ご愛読ありがとうございました
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