2020年4月13日
午前10時
太平洋 日本領海内
空母 赤城 艦橋
ザー、ザーー
美緒「どうだ。繋がるか。」
「ダメです。どこもにも繋がりません。」
美緒「やはり、ダメか。」
ネウロイとの戦闘から2日、空母赤城は雷雲を抜けて以来、どこかも分からない海での航行を続けていた。
美緒「本来なら、ブリタニアについている筈だ。だが、未だにブリタニアに着く気配がない。杉田艦長、どうされますか。」
と美緒は赤城艦長、杉田淳三郎に問う。
淳三郎「本来なら、偵察機を飛ばすが、先の戦闘で飛ばせる機体はない。加えて、赤城自身も機関部に攻撃を受け、思うように速度も出ん。護衛の駆逐艦も燃料の事情で速度を出せない。」
美緒「無線も通じず、我々は孤立状態。」
淳三郎「それで、例の機体はどうだ。」
と副長の樽宮敬喜と聞くと、
敬喜「率直に言わせていただくと、我々にとって未知の機体でした。まず、エンジンに火を入れたところカールスラントで噂されているジェットに似たものでした。武装も20ミリをガトリング形式で発射する機関砲を搭載していました。今の我々には手に余る機体です。」
淳三郎「では、機体に関してはパイロットに聞くしかないと。それでパイロットの方は?」
美緒「今はまだ、眠っております。宮藤がついています。彼が目覚めればこの海域について分かるかと。」
淳三郎「分かった。何かあれば、報告を。」
美緒「はっ!!」
と例をすると、美緒は艦橋を後にするのであった。
午前10時30分
コンコン
美緒「入るぞ。」
ガチャ
と美緒は扉を開け、部屋に入る。部屋の中では芳佳が、負傷した隼人の看病を行なっていた。
芳佳「坂本さん。」
美緒「宮藤、彼の様子は。」
芳佳「よくありません。出血はなんとか止まりましたが、足が吹き飛ばれていたので、どこかで治療が必要です。それに熱も朝からあって。」
美緒「すまないが、今私たちは孤立状態にある。ここがどこなのか分からない以上、補給も見込めない状態だ。」
芳佳「そんな、じゃあこの人を。」
美緒「そうは言ってない。ただ。」
と話していると、
コンコン
「失礼します。」
美緒「入れ。」
ガチャ
と水兵が入ってくる。
「坂本少尉。至急、艦橋にお越しください。」
美緒「何事だ。」
「先程、所属不明の艦隊を視認。」
美緒「艦隊だと。」
「はい。至急、艦橋に。」
美緒「分かった。直ぐに向かう。宮藤、ここを頼む。」
芳佳「はい。」
と美緒は艦橋に向かうのであった。
午前10時41分
ガチャ
美緒「坂本美緒、入ります。」
淳三郎「少尉。来たか。」
美緒「艦隊とのことですが、どこの艦隊なのですか。」
淳三郎「それが分からないのだ。我が国でもリベリオンでもない艦隊だ。見てみるといい。」
というと、
美緒は眼帯を外し、魔眼で確認する。すると、そこには空母を中心とし、周りには砲が一門のみの護衛艦が6隻こちらに向かってきていた。そして、どの艦にも日本の旭日旗を掲げていたのであった。
美緒「確かに見たことのない形の船ばかりです。」
淳三郎「既にこちらにも気づいているだろう。最悪、戦闘に・・・・。」
と話していると、
「艦長、向こうの艦隊が無線でこちらに呼びかけています。」
淳三郎「何だと。」
「我が艦隊は日本所属の海上自衛隊・・・第3護衛艦隊である。」
美緒「海上・・・・自衛隊。」
「貴官の所属艦隊を至急、通達せよと。艦長どうしますか。」
淳三郎「・・・・・無線で通達せよ。」
「分かりました。」
と無線手は海自に通達する。すると直ぐに
「向こうより、通達。我が艦隊は貴官の艦隊と交戦の意思はない。これよりそちらに使者を送るとのことです。」
淳三郎「そうか。それと例のパイロットの事も伝えておいてくれ。おそらく、彼もその日本の者だろう。」
「分かりました。」
と無線で伝えるのであった。そして、
20分後
バタバタ
ドンッ
護衛艦「あきづき」から発艦した哨戒ヘリ SH-60が空母赤城に着艦し、
バタンッ
機体のドアが開き、中から自衛官が2名降りてくる。
そして、
大輝「はじめまして。突然の本艦に対する訪問を許可していただきありがとうございます。海上自衛隊第3護衛艦隊を任されている橋田大輝1佐です。」
吉二郎「航空自衛隊の原吉二郎1佐です。」
淳三郎「扶桑国海軍、赤城の艦長杉田淳三郎であります。」
美緒「扶桑海軍、所属の坂本少尉であります。」
互いに敬礼し、扶桑国と自衛隊の高官が初めて接触した時であった。
吉二郎「早速ですいませんが、救助したといいパイロットに会わせてもらってもよろしいですか。」
淳三郎「構いません。坂本少尉、案内をお願いしても宜しいかな。」
美緒「はい。原殿、それではこちらに。」
と案内され吉二郎は美緒に着いていく。
午前11時
ガチャ
美緒「こちらです。」
美緒が扉を扉を開くと、ベットで眠るの姿が吉二郎の目に入る。
吉二郎「石田一尉。」
美緒「やはり、お知り合いでしたか。」
吉二郎「えぇ、彼は私が訓練学校の教官時代の元教え子です。無事でよかった。」
芳佳「あ、あの。」
と隣にいた芳佳が声をかける。
吉二郎「あぁ、君が宮藤芳佳君だね。彼の治療を行ってくれたとか。彼の教官として感謝を言わせてくれ。ありがとう。」
芳佳「いえ、私は何も。看病が精一杯で。」
吉二郎「そう、悲観にならないでくれ。彼が生きているのも君のおかげだ。ここからは我々が対応する。本当にありがとう。」
の例をする。そして、
吉二郎「それで坂本少尉、見つけたのは彼だけか。」
美緒「・・・・彼だけとは?」
吉二郎「彼以外にも3人パイロットか消息を絶っているのだ。もし手がかりでも見つけているなら教えて欲しい。」
美緒「・・・・それは。」
と話そうとした瞬間、
隼人「原・・・・教官。」
吉二郎「石田君。」
美緒「目を覚ましたのか。」
隼人が意識を取り戻す。そして、
隼人「生き残ったのは・・・・・俺だけです。林・・・・藤本、田中は・・・・ヤツとの交戦で撃ち落とされました。・・・・・、本当に・・・・申し訳・・・・ありません・・・・・ッ!!」
芳佳「無理をしないでください。」
吉二郎「・・・・・そうか。3人は助からなかったか。石田君、よく生きて伝えてくれた。今は休みなさい。宮藤君、後で迎えをよこす。すまないが、それまでは、彼の面倒を頼んでもいいかね。」
芳佳「はい。」
吉二郎「ありがとう。」
というと、
ガチャ
吉二郎は美緒と共に部屋を出る。そして、部屋を出ると、
美緒「・・・・原殿、石本殿が行ってた3人は・・・・。」
吉二郎「2日前、彼を含めた4機のF-2が哨戒任務で出撃した。しかし、途中で無線が繋がらなくなり、数分後レーダーから彼を含めた全ての機の反応が消えた。直ぐに消息を絶った周辺の捜索が始めたが、大きな謎の雷雲を発見したため、我々が調査のために直々に赴き、君達を見つけたのだ。坂本少尉、教えてくれ。彼が交戦したヤツというのは何なのだね。」
美緒「・・・・この後、橋田殿と共に詳しくご説明します。」
と言うと、美緒は大輝と吉二郎に隼人が接触し、交戦したネウロイ、そして美緒達の世界で何が起き、何故この世界に迷い込んだのかを詳しく説明するのであった。それに対し、吉二郎と橋田はここが日本の領海である事を説明し、赤城の損傷と補給の事を考え、横須賀に赤城を含めた艦隊、第3護衛艦隊の護衛の下、横須賀での補給と修理の許可を与えるのであった。
そして、3日後
ブォーーーン
日本 横須賀基地
赤城を含めた艦隊は横須賀基地に到着し、修理と補給を開始するのであった。しかし、騒動を避けるために扶桑海軍の者達は、主に基地内のみでの自由しか許されず、横須賀基地で監視される形で艦隊の修理を待つ事なるのであった。そして、隼人は横須賀に着くと直ぐに病院に搬送され、治療を受ける事になったのであった。
そして、5日後
4月18日 午前8時
とある某病院
ピッ、ピッ、ピッ
隼人「・・・・ここは?」
隼人は搬送された病院で目を覚ます。そして、体を起こし、ここが病院であることに気づく。しかし、それと同時に
隼人「・・・・そうか、俺は・・・・・ッ!!林、田中、藤本。」
共にいた友人を失った事を思い出すのであった。
午前10時
目を覚ました隼人は、足を失った事、腹に破片が刺さっていた事を医師から知らされ、隼人は直ぐに義足によるリハビリを選択し、現場復帰を希望する。そして、そこからはただベットで横になっていた。すると、
コンコン
吉二郎「目を覚ましたようだね。」
隼人「原教官!!」
隼人は慌てて敬礼する。
吉二郎「色々と大変だっただろう。・・・・・3人の事だが、遺体は見つからなかった。」
隼人「・・・・ッ!!」
吉二郎「君のF-2のフライトレコーダを見させてもらった。君達が交戦したあの黒い生物はネウロイというらしい。」
隼人「ネウロイ。」
吉二郎「ネウロイが現れたあの大きな金床雲の先には我々の知らない世界があり、そこでは人類とネウロイによる戦争が続いている。ネウロイは、欧州を中心に巣を作り、勢力圏を広げているらしい。これを受けて既に国会ではネウロイがこちらの世界に来る事を防ぐためにも自衛隊を派遣する事が決定した。しかし、戦争反対意見があるのも事実だ。テレビでは、この話題で持ちきりだ。」
とテレビを吉二郎がつけると、
『こちらは先日、政府が公開した映像です。この大きく黒い物体、ネウロイといい、この太平洋の領海にある巨大な雲の中から現れ、これと先日航空自衛隊4機が交戦し、3機が撃墜され、残念ながらパイロットは死亡したと言われています。また、政府はこのネウロイの現れた雲の先には別世界、「異界」が広がっており、異界の者達と接触したと公表しています。そして、国会では本件を受け、異界に自衛隊を派遣を決定されましたが、既に多くの市民から反対意見も出ており、国会前では・・・・。』
ニュースで隼人のF-2が残した映像が載っており、大きく報道されていた。そして、これを観た隼人は
隼人「俺に・・・・・どうしろと。」
と聞くと、
吉二郎「君には、異界第1派遣航空師団の一員としてネウロイと戦ってもらいたい。」
隼人「また、仲間が死ぬかもしれないのにですか。」
吉二郎「・・・・君の言う事は、よくわかる。でも、今この瞬間でも向こうではネウロイが街を焼き、人々は怯える日々を送っている。もし、向こうの世界のすべての国が堕ちた後、次にネウロイが狙うは我々の住むこの世界だ。そうなれば、日本は太平洋戦争以来の戦果を実際に受ける事になる。・・・・・同僚を失った後でこういうことを言う事は悪いと思っている。でも、、君の力が必要だ。」
隼人「・・・・少し考えさせて下さい。」
吉二郎「長くは待てない。1週間後、返事を聞きに来る。」
というと、吉二郎は病室を出ていく。そして、残った隼人は、
隼人「どうして、俺だけが。」
の生き残ったことを悔やむのであった。
2日後、
午後1時
航空自衛隊 某基地 格納庫
隼人は芳佳の魔法によるものなのか、義足を付けてからのリハビリが早く進み、松葉杖を使用すれば、歩けるほどにまで回復していた。そして、隼人はこの日、空自のある基地に訪れていた。そして、隼人が格納庫に入ると、
隼人「・・・・お前もよく付き合ってくれたな。」
そこにはあのネウロイと交戦した際に、隼人が搭乗していたF-2がそのままの状態で保管されていた。前輪を折れ、機体は傾き、あちこちに穴が空いていた。そして、隼人は機体に触れると、
隼人「・・・・・ッ、あの時、もっと早くに動いていたら。」
とあのネウロイとの戦闘で死んでいった親友達のことを思い返していると、
?「やっぱり来てたんだな。」
隼人「・・・・!?」
と背後から声が聞こえてくる。隼人が振り返ると。
隼人「沖田先輩。」
そこには、隼人が航空学校で世話になった沖田司二尉が立っていた。
司「久しぶりだな、隼人。」
隼人「沖田先輩こそ、お元気そうで。」
司「お前が基地に戻ってきたって聞いて、もしかしたらと思ってここに来たが・・・・・アイツらの事は残念だったな。俺も聞いて、ショックを受けたよ。かわいい後輩が、3人も先に逝っちまったんだからな。」
隼人「全て・・・・小隊長、の俺の責任です。逃げるべきでした。」
司「それは違う。お前達が踏みとどまったおかげで、奴を倒す事ができた。」
隼人「それでも、仲間を死なせた事実には変わりません。」
司「・・・・・少し、歩かないか。俺もタバコを吸いたいからな。付き合ってくれないか。」
隼人「・・・・分かりました。」
司「よし、じゃあ行くとしますか。」
と隼人は司について行くのであった。
午後1時30分
ブォーーーン
司「おっ、飛んだ、飛んだ。」
と基地の滑走路からはF-15Jが飛んでゆく。
隼人「方向的にあの雷雲にですか。」
司「あぁ、24時間体制で警戒態勢を続けている。陸自は太平洋方面に対空ミサイルをあちこちに配置して、海自は雷雲の付近の海域を巡回している。」
隼人「・・・・・。」
司「隼人、お前は異界派遣について聞いているか。」
隼人「はい。原教官から。」
司「そうか、まだ公表されていないが、既に異界に派遣するメンバーの選定や編成が始まっている。そして、異界の空自の指揮官に原教官が着任する事になった。」
隼人「教官が!?」
司「教え子を殺されたんだ。あの人なりの仇撃ちのつもりだろう。そして、俺は派遣される航空中隊の指揮を任される事になった。お前にも声がかかっているんだろう。」
隼人「・・・・。」
司「迷ってるのか。」
隼人「はい、派遣すればまた多くの人が死にます。もう、俺はそんな光景を見たくないんです。」
司「そうだな、お前の言う通りだ。でも、俺たちが無事ならそれいいのか。」
隼人「えっ。」
司「向こうの世界では、ネウロイの戦いで常に人が死んでる。それでも守りたいもののために戦い続けてる。俺も結婚して、最近、妻の妊娠が発覚して思ったんだ。生まれてくる子供達が戦いに怯えなくていい世界になってほしいと。だから、俺は原教官の頼みを引き受けた。でも、俺たちでもネウロイと戦って勝てる保証があるわけじゃない。でも、お前は違う。あの化け物と戦って生き残ったんだ。お前の力はこの先、多くの人命を救うはずだ。隼人、救えなった命があるなら、この先その救えなった命以上の人の命を救え。俺が言えるのはそれだけだ。」
隼人「・・・・・。」
司「俺は信じてるぜ。お前が来ることを。じゃあ、3時間後に交代だから俺は行くよ。待ってるぜ。」
というと、司は基地に戻っていく。そして、
隼人「救えなかった以上の人の命を救えか。」
と呟くのであった。
5日後
午前10時
隼人は完全に自立して歩行が可能となり、後は退院を待つだけになっていた。そして、
今日もリハビリを終え、ベットに座っていると、
ガラガラ
吉二郎「気分はどうだね。」
吉二郎がやってくる。
隼人「もう、歩けます。退院も近いうちに。」
吉二郎「そうか、それは良かった。それで、本題だが、返事を聞かせてくれないか。」
隼人「・・・・・はい、俺は・・・・。」
と隼人は決意を吉二郎に話すのであった。
5日後、
午前8時
横須賀
遂に、異界への派遣が決まり、この日横須賀には派遣される自衛隊員と赤城の艦隊の扶桑国海軍の兵士が集まり、出発式が行われていた。そして、
吉二郎「本日、我々はこの新たな脅威に対処するために、異界という未知の世界で戦うためにこの日本を離れ、ネウロイという敵に立ち向かうために覚悟を決めていく所存です。」
吉二郎をはじめとする司令官達の代表の言葉が言われる中、
隼人「・・・・。」
隊員の中に隼人の姿もあった。そして、そのまま出発式が終わると、
午前8時20分
ブォーーーン
そのまま、直ぐに出航を迎え、扶桑国の赤城の艦隊と異界派遣に向けて編成された空母いずもを旗艦に最新鋭潜水艦たいげい、はくげいに、護衛艦もがみ、やはぎ、イージス艦あたご、あしがら、まや、はぐろに加え、おおすみなどの補助艦による艦隊が隊列を組み、横須賀から離れていく。そして、横須賀基地では
「頑張れよ!!」
残る隊員や派遣隊員の家族が声を上げ、見送る。それに対し、船の上の隊員達も大声で別れを告げる。そんな中隼人は、
おおすみの格納庫
隼人「・・・・・。」
おおすみの格納庫にて、ひとり布に覆われたある機体を見ていた。
続く
ご愛読いただきありがとうございました。どうも、アニ督です。今回は早めに投稿する事ができました。これからも可能な限り頑張っていくのでよろしくお願いします。では、次回も楽しみに。