「(へぇー、死んだ時期が随分と違うんだな…まさか俺がいた時代から数年経っているとはなぁ)」
「どうやら時間軸の流れはこの世界とは違うみたいです」
現在俺は歩きながら抱えているスライムさんこと、俺と同じ同郷の三上悟さんと洞窟を歩きながら互いの事について会話している。どうやらスライムさんは俺と同じ日本人の転生者のようだった。
あの時…手を差し出し握手をした時、俺の持つスキルが発動し俺たちは光り出し、光が収まると俺は悟さんと会話が出来る様になった
「悟さんは通り魔によって殺されてこの世界に……俺がまだ生きていた時、数年前に大きくニュースで報道されてましたから」
「(そうなのか…それで、俺を刺し殺した犯人はどうなったんだ?)」
「四日後に逮捕されて、その後は重い実刑判決が下されました」
「(そっか……)」
何故先程まで会話出来なかったのに、急に会話が出来ているのか気になっていると思うが、俺の持つユニークスキル『魂之絆』による影響だ。
まず、他に俺自身が持つユニークスキル仮面之戦士・仮面之王者、スキルの耐圧耐性と熱変動耐性、味覚強化・嗅覚強化、視覚強化、聴覚強化……。
そして悟さんと目と口がない悟さんと意思疎通が可能となった俺の持つユニークスキルの魂之絆……
これは一定の条件を満たす事で思考の共有、そして言葉を発さずに脳内で会話などと言ったことが出来るらしい。しかもこれはどの次元や空間、世界を超えていても会話が可能との事でかなりすごいスキルとなっている。
そして俺達は互いに習得しているスキルの一部を習得した。ただし既に互いに同じスキルを習得しているものもあったり、種族特有のスキルや悟さんが習得できないものもあった。味覚強化はスライム故に習得できなかったのだ。
俺のエクストラスキルの魂之絆で深く繋がっているその結果、俺のエクストラスキル仮面之戦士を獲得している。
俺は悟さんとこうして洞窟内の探索をしている。もう一匹、いや、もう一人いるだけでもこれだけ違うんだなと思うとすごく嬉しくなる。同じ日本人で転生者だし。
「(零斗君、俺には敬語はいいよ、なんかむず痒いし。同じ転生者同士、これからも仲良くしていきたいしな!)」
「え、いいんです……いや、わかった。改めてよろしくな悟!」
「おう!よろしくな、零斗!」
お互い固いことはなしで敬語を止める。
「ところで今日は何をするんだ?」
「(ああ、いつも通り魔鉱石の回収だな)」
「魔鉱石?」
《解 魔鉱石とは魔素の濃度が高い場所にあるとても貴重な鉱石…長い年月をかけて魔素を取り込んで変異した石のことです。》
と仮面之賢者が目の前に広がる魔鉱石と呼ばれる鉱石の説明をしてくれる。
「(へぇー、じゃあ悟の『捕食者』で食べたら、体内に蓄えられていく、と?)」
《その通りです》
「俺の次元収納と似たスキルだな。せっかくだし俺もいくつか集めておくか」
悟さんと俺は辺りにあるヒポクテ草と、魔鉱石と呼ばれる貴重な鉱石の回収をする。俺は捕食ではなく次元収納に手作業でしまうだけだ。
「凄いな、向こうは掃除機みたいにどんどん食べられていく……」
縦横無尽に草と鉱石を貪り食う悟を見ながら作業を続ける。
その時、勢いよく疾走していた為、崖に気づかず悟が飛び出した。
「(あ)」
悟が素っ頓狂な声を出すのが聞こえた。視線を向けると悟は宙に浮いていた。
「えっ?」
そのまま悟はポチャンと崖下にある池に落ちる。それを見た俺は……
「さ、悟!」
慌てて崖下に飛び降りる。そのまま水に潜り、悟を探す。
「(いた!)」
沈んでいる悟を見つけ、救出するため更に深く潜る。悟さんに近づくと、突如、悟のスライム体が水を吸い込んで膨らみ始めた
「(え?膨らんだ?一体何を……)」
そして、勢いよく水を吐き出した。
「(え……ちょっ⁉︎)ゴボバァ⁉︎」
その勢いで悟とぶつかり一気に池の外まで一直線に向かう
「ゲホッ!ゲホッ!ち、ちょっと悟⁉︎」
「(あれ!?零斗!?どうしてここに!?)」
「助けに来たんだよ!と言うか速い!スピードを落とせないのか⁉︎」
「(そ、それが!速過ぎて……止まれない!)」
《個体名スライムが『水圧推進』を獲得、『魂之絆』と繋がっている個体名スライムが獲得したスキル:『水圧推進』を獲得開始……成功しました》
「(何を呑気ないことを!てか…なんか更に速くなってるような…)」
「(あ、あれ?……何か、さっきより……?)」
「多分悟が獲得したスキルを俺も習得したから……だと思う」
「(うん……これは)」
「「ぶつかるぅぅぅぅぅぅ!!」
悟と俺は岸辺にぶつかり、そのまま俺と共に投げ出される。
俺は悟と共に壁へと叩きつけられる。だが、妙に弾力のある壁で、軽く弾かれた悟と俺は一緒に地面を転がる。
「イテテ、悟…大丈夫か?」
「(あ、ああ、大丈夫……てか、痛くない?零斗の方も大丈夫?)」
「……ああ、なんとか」
『解、「痛覚無効」によりは痛みは感じません。報告、個体名スライムの身体損傷率1%、固有スキル自己再生を発動し再生を開始』
《仮面之賢者》の声が聞こえる。そして、悟の体が治り、その光景に悟も俺も感嘆の声を出す。
「凄いスキルだな。悟と繋がって正解だった……」
「(でも、痛みはなくともダメージはあるんだな。これからは気を付けないと)」
「そうだな……気づいたら大怪我、なんてこともあり得るしな。悟は怪我自体分かりづらいけど……」
『聞こえるか?小さき者たちよ』
「ん?悟…何か言ったか?」
「(え?俺は何も言ってないけど……)」
悟のものでも、《仮面之賢者》のものでもない。何処からかと思っていると、目の前の何かに気づく。
半透明の虹色の何かに包まれた凄く大きな何か。恐る恐る上を見上げ、思わず絶句した。
なんと目の前には…俺達二人からするとありえない物がいたからだ…その姿を見た俺は冷や汗が止まらなかった
『どうした?聞こえているのだろう?返事をするがよい』
「(もしかして俺達の事か?てか、こっちは口が無いから鳥君以外には俺の声が届かないんだよ!)」
『おい!』
「(ああーもう!うるさいんだよ!ハゲ!)」
「(ちょっ!悟!突然失礼だろ!いくら俺にしか聞こえないからって……!)」
『ほほぉ、我をハゲ呼ばわりとはいい度胸だ!』
「「(なっ!?)/えっ⁉︎)」」
まさか悟が何を言ってるのか分かるとは思わず、俺達は驚くしかない。
『久方ぶりの客人だから下手に出ていたが……死にたいようだな!』
「(すみません、すみません!まさか思ったことが分かるとは思わず!自分、目も口もない状態でして!)」
「すみません!悟の発言は俺からも謝ります!どうか、このとおり!お許しを!!」
二人して平謝りして、許しを請う。
『グハハハハハハハハ!我を見ての発言かと思えば、目が見えぬのであったか!ならば許そう』
「(意外と温情ある方みたいだ……よかった)」
俺達は一安心する。
『ついでだ、見えるようにしてやろう』
「「え?」」
『但し、条件がある』
「……条件とは?」
『簡単だ。見えるようになっても我に怯えるな。それと、また話をしに来い。これはそこの小さき者もだ。どうだ?』
「俺は構いませんけど、と言うかこっちはちゃんと見えているので」
「(お、俺もだけど……それだけでいいの?)」
『うむ。実は300年前にここに封印されてな。それ以来暇で暇でどうしようもなく退屈なのだ。どうだ?』
少ししょんぼり気味に言い、その姿に俺は何処か安心する。その気持ち、悟と会うまでの俺と似た感情だった。
「(封印ってのが気になりますけど………分かりました、喜んで!)」
「俺もです」
『よかろう。「魔力感知」というスキルを使えるか?』
「(いや、使えないです。零斗は?)」
「俺も使えない。てか使えたら悟も既に使えたはずだし……」
「(それもそうだな)」
『話を続けるぞ?「魔力感知」とは、その名の通り、周囲にある魔力を感知するスキルだ』
俺達の返答に嬉しそうな声を上げ、俺達に方法を教えてくれた。
そんなスキル…俺達は持っていないが、悟は気合で感知しようとする。
俺も試しにやってみよう。目を瞑り、辺りに意識を集中させる。
《エクストラスキル:『魔力感知』を獲得》
《仮面之賢者》の声が聞こえ、俺達は、『魔力感知』のスキルを獲得したことが分かった。
それに
「「エクストラ?」」
聞きなれない言葉に、悟さんと共に聞き返す。
《通常のスキルより威力性能が桁違いのスキルです。お二人が持っている仮面之戦士と同じエクストラです》
「おっ!いいね、エクストラ!」
「(こんなにあっさり獲得していい物なのか?)」
と思いながら悟の様子が気になったので頭の隅に置く。
「悟、どうだ?」
「おお!見えるようになった!てか零斗、お前イケメンじゃないか?!」
「……こっちはこっちで元の顔じゃなくなってる事に凹んでいるんだが…けどよかった。見える様になって」
『どうだ?ま、その様子なら見えてるようだが』
『あ、はい!ありがとうございまえええええええ!!』
お礼を言おうとした悟だったが、スキルを教えてくれた方の姿を見て驚いた。
そう言えば、伝え忘れてた。そりぁ驚くよな。俺も彼を見た瞬間最初は心臓が止まるかと思ったし……
「ど、ど、ドドドド……ドラゴンンンンンッ!!?」
二足で立つ巨大なドラゴンが俺達の目の前にいるのだから……。