戦いは、牙狼族がリムルとルインに服従する事で終結した。そして牙狼族との戦いから翌日の朝。
「全員揃ってるな」
「えーと、これから君達には、ペアとなって一緒に過ごして貰う事になります!」
リムルは俺の頭の上で反応を覗う。俺の言葉を待つという意思を見せ、物音一つさせまいという感じにこちらを見つめて来る。
「(リムル、多分みんな『ペア』って言う意味がわかっていないんじゃないか?)」
「(成る程……コトバッテムズカシイネ〜)」
「とりあえず、二人一組になってくれ!」
俺がそう言った途端、ゴブリンと牙狼達が隣に座る者同士、視線を交わしあった。
「昨日の敵は今日の友と言う。これから互いに力を合わせて仲良くする…」
「互いに頼り、互いに庇い合い、互いに助け合う!上手くやるように!」
「「「「はい!」」」
「(ホッ、取り敢えずこれで問題はなし、だな…)」
「そういえば村長、今更だけど、お前の名前は?」
村長は名はないと答えた。 普通魔物は名を持たないらしい。俺達はヴェルドラから名前を貰ったから人間と同じく名前を持つのが当たり前だと思っていた。ヴェルドラの名付けが自然すぎて全く気にしていなかったのだ。
「(……どうするリムル、多分だがこの先人数も増えそうな気もする)」
「(ウーン、流石に…“なぁ”とか、“お前”とかだとこの先やりづらいよな……そうだ!ヴェルドラがやってくれたようにみんなにも名前をつけるのはどうだ?)」
「(成る程……試してみるか)」
「(そうと決まれば早速……)よし、お前達全員に名前を付けようと思うが、いいか?」
ザワッ!
リムルが名付けると言った瞬間、ゴブリンや牙狼族は熱い眼差しで俺達を見た。村長が代表するように、遠慮気味に、
「よ、宜しいのですか?」
と問いかけてくる。なんだ?何を興奮してるんだ?
「お、おう!問題ないなら、俺達が名前をつけようと思う。」
「い、いえ、そう言うわけでは…ほ、本当に我々全員に名を?」
「男に二言はない!……じゃあまあ、俺とルインの前に、それぞれ一列に並ばせてくれ」
辺りが歓喜に包まれる。喜んでいるゴブリンや牙狼達を見てルイン達は不思議に思った。
「(めちゃ喜んでるな…)」
「(ああ、大袈裟すぎると言うかなんと言うか)」
本当になんだろう、一体…自分で名付けないのか?もっとヴェルドラに聞いておくべきだったな……。
「(よく分からんが、みんな喜んでるからいっか……)」
「(結構人数もいるから被らないようにしないと……)」
みんなが二列ずつ並んでくれた。先頭は村長とその息子だった。
「村長、アンタの息子は村一番の戦士リグルと言っていたな?」
「は、はい!」
「では、父親の村長は“リグルド”だ」
「おおっ、リグルド!ありがとうございますリムル様!!」
「よし、リグルド村長の息子、君は、兄の名を継いでリグルと名づける」
「は、はい!ありがとうございます、ルイン様!」
「息子にこの名前を継がせる許可までいただき、感涙に耐えませぬ!!!」
などと、大げさと言えるほど喜んでくれた。
ここまで喜ばれると俺も嬉しくなる。生まれてくる命の名付け親になるのはこれほどの気持ちになるのかな。しかしまだかなりの人数がいる為、これだけいると名前が被らないように考えるのも大変だ。
その後、ゴブリン達に名付けをしていった。被らないように『仮面之賢者』に指摘してもらいながら名付けていく。
「よし、決まった。君の名前はリナだ」
「リナ、素敵なお名前ありがとうございます、ルイン様!!」
嬉しそうに雌ゴブリン改めリナはその場から離れ、ルインは腰掛けていた木の切り跡の上に立ち背伸びをする
「フゥー、俺の所のゴブリンはリナで最後みたいだな」
「ルイン様…」
すると1匹の牙狼族が俺の前に歩み寄る。後ろには数匹の仲間もいる。
「お前は確か、元群れの長の…」
「はい、片割れの息子です。兄上はリムル様の方へ行かれております。お二人に使える身とは言え、名前を付けらる相手は自身で選びたいのです」
「そうか、よしわかった。お前の名前は俺がつけよう」
「っ!…はっ!ありがたき幸せ!」
そうして、俺は牙狼兄弟の弟に名付けを行う事に。そうだな…………すると、良い名前が思いついたので、俺はそれをつける事に。
「氷牙、お前の名前は氷牙だ!」
「氷牙…ありがとうございます!ルイン様!!」
すると、氷牙の名付が終わった途端俺の魔素が持ってかれた気がした。
「(あ、あれ?なんか、ゴブリンの時とは比較にならないくらいの魔素を持ってかれた様な…………?それに、すげぇ疲れた)」
一息付いたらリムルの方が騒がしくなった。
「ルイン様!リムル様が……!」
遠くからリムルを見るとぐでっ…と脱力していた。今のリムルは普通のスライムそのものだった。俺は疲れなんて忘れて慌ててリムルに駆け寄る
「リムル!おいリムル!!大丈夫か⁉︎しっかりしろ!(か、仮面之賢者、リムルに一体何が!)」
《解、個体名リムル・テンペストの体内の魔素残量が一定値を割り込みました。これより、低位活動状態…スリープモードへと移行します。完全回復の予想時刻は、三日後です 》
「(よかった、死んだわけじゃないのか…っていうか、魔素の残量?)」
《魔物への名付けは人間と異なり、相手の強さに応じた魔素を消費します。あと一人名前をつけていれば、個体名ルイン・テンペストも個体名リムル・テンペストと同じ状態となっていました》
「(通りで氷牙の名付を終えた途端疲れが急に来たわけか)」
リムルは3日後には回復してるらしいので一先ず安心する。
するとゴブリンや牙狼族が一斉に光り出した。
「(な、なんだ……皆んな、光ってる?)」
突然のことで思わす目を瞑ったルインだが、次に目を開けると、ゴブリンや牙狼族の姿が……
「ありがとうございます、ありがとうございます!このリグルド、感激致しました!!」
「……………………へ?」
目の前には筋骨逞しいマッチョマンが立っていた。
「リ、リグルド………か?」
「はっ!何でしょう、ルイン様!?」
「もしかして、頭にバンダナを付けてるそっちの君は……」
「はい!リグルです、ルイン様!!」
「 ……いや、すまない、ちょっと待ってくれ(仮面之賢者!説明を!)」
《解。個体名:リムル・テンペストが名付けたこの村の村長リグルド及び個体名:ルイン・テンペストが名付けたリグルです》
「(え⁉︎この人、本当に村長さん!?あのヨボヨボのゴブリンの爺さんか⁉︎それにリグルはこんな好青年のような見た目に⁉︎リムルが目を覚ましたら驚く事間違いなしだな……)」
《解、これは進化です》
「(進化し過ぎだろ。取り敢えずみんなの状態説明をしてくれ…仮面之賢者)」
驚きすぎて内心でため息をついた後、みんなの状態について説明を聞くことにした。
雄のゴブリンは人鬼族(ホブゴブリン)に、雌のゴブリンはゴブリナに、そしてリムルが名付けした牙狼族は
「ふっ!」
リムルが眠りについて2日経った今、ルインは食糧調達の為、ゴブリン村から離れ、甲殻系の大型のモンスターと戦っている。ライダーのアイテムを駆使しながら戦っている。
大型モンスターは火球を放ってくるが、ルインは冷静に回避し手に持っている赤い球体状のアイテムを回転させる。
インパクト!
仮面ライダーゼッツの変身アイテムのインパクトカプセムを使いフィジカルを底上げし魔力を拳に込める。名も知らないモンスターは勢いよく迫ってくる。
「ハッ!」
最低限の動きで回避し強烈な一撃を与える。インパクトカプセムの力で底上げした一撃でモンスターは倒れる。
「ふぅ…」
ルインは倒したのを確認すると一息吐く。
『お見事です、我が主よ!』
「ありがとう、ヒョウガ」
駆け寄ってきたのは牙狼から
頭を優しく撫でると、嬉しそうに尻尾をブンブンと振る。しかし勢いがすごい為、周りの被害がとてつもない、風もすごいし……。
その後、他のゴブリン達と合流し、倒したモンスターを解体して村に持ち帰った。
村のみんなからは「流石です!」とか「すごい!こんな魔獣をあっさり狩ってくるなんて!」とか少し大袈裟に喜ばれた。その日はみんなでお祭りだった。
そして3日が経ち、リムルは目を覚ました。
「俺!完・全・復・活!」
「ようやく起きたかリムル、おはよう」
目醒めたリムルかスライムボディをプルプル揺らしていると所に俺は目覚めの挨拶を伝える。
「おう!おはようさん!」
「まぁ!リムル様。おはようございます」
「え?お、おう(誰?)」
リムルは、隣に自分が名付けた雌ゴブリン改めゴブリナのハルナがいることに気づいたが……。
「(そう言う反応になるよな……)」
ゴブリンから一見して人間に近い姿になった美人の女性がいるのだから。
「リグルド村長を呼んでまいりますね」
「あ、はい」
ハルナが行った後、リムルはすごい勢いで俺を見た。
「おいルイン、誰ださっきの露出の多い美人のネーチャン!?」
「気持ちはわかるが取り敢えず落ち着いて聞いてくれ。あの子はハルナだ。リムルが名付けした雌ゴブリン」
「いや、その………え、マジか???マジでハルナなの、さっきの子?」
「マジだ」
「本気と書いてマジ?」
「真剣と書いてのマジだ……それとリムル、これ以上に驚くことになるぞ」
「それってどう言う……」
「リムル様!お目覚めになられましたか!」
そう思っているうちにリグルドがやって来た。
「ん?その声はリグル、ド___」
リムルが最後に見た時、リグルドはヨボヨボな村長だった。しかし、目の前にはその時とは程遠い、筋骨隆々なリグルドが立っている。
「(誰だよ!?)」
「(リグルドだよ、リムル) 」
「(はぁ⁉︎あのヨボヨボだったゴブリンの爺さんか⁉︎)」
「さぁこちらへ。宴の準備が出来ております」
「お、おう(なぁ、絶対皆デッカくなってるよな…?)」
「(仮面之賢者曰く、名前をもらったことで進化したらしい、以上)」
「(名前だけで進化⁉︎そんな簡潔に言われても…)」
「(後で『大賢者』に聞いてくれ)」
「(説明する気ないだろお前…)」
「(…………)」
「(おい、沈黙は肯定とみなすぞ!)」
すると家の壁が破壊され一匹の獣が入り込んできた
「御快復、心よりお慶び仕ります!!リムル様!!」
「我からも、お慶び申し上げます!リムル様!!」
「え、お前、ラ…ランガ、か?」
『はっ、ランガでございます。リムル様!』
「隣にいる奴はもしかして…」
「はい!ランガ兄上の弟でございます!今は、ルイン様からヒョウガの名前を賜っております!」
子鬼族(ゴブリン)だけでなく、あの牙狼のボスよりデカくなっているランガとヒョウガを見てリムルは驚愕した。リムルはますます混乱していく
「(おい、マジでどうなってんだよ!?)」
「(見ての通りとしか言えん)」
俺はリムルが復活してくれたことに安心しつつも、リムルと同様ゴブリンと牙狼達のあまりの変わりようには動揺することしかできなかったのである