迎えた大規模台風直撃の日、つまりワルプルギスの夜の日。曇天、日の光なんて一切差すことがない暗く黒い雲。あるビルの上で雨に打たれる俺とキューベイのもとにホムホムが突然現れた。
「時間停止、これから使うってのに。今は省エネするタイミングだろ。」
「あと5分もしないうちに来るわ。最後の打ち合わせよ。」
シトシトなんてカワイイ表現じゃないビュービューザァーザァー。近づいてる存在の強大さに正直震える。
「はいはい」
「返事は1回よ。」
「はい、で最後の打ち合わせ?んなもんねぇよ。作戦は実にシンプル。ワルプルギスの夜の間近まで俺とキューベイをほむらが運んでもらって、俺がキューベイに『ワルプルギスの夜の力を余すことなく使い、キューベイに託した願いを叶えて。』と言う願いを叶える。そしてキューベイは俺が託した願い、『宇宙の寿命が存在しない世界にしてくれ』を叶える。以上。」
まさにホムホムに話した通り、これ以上も以下もないシンプルな作戦。作戦はシンプルそして決定力があるもの。最短で最速で真っすぐに一直線に。...あの世界でも人が結構死んでたよな。作戦前だ、不吉な考えはよそう。
「本当にそんな事でこの世界がわかるのかしら。」
「失敗したらお前さんがまた時間遡行したらいいだろ。そんでもって俺を見つけて成功するまでやり直したらいい。...この世界だと成功しても妥協にはなるが、魔法少女になってもあいつが生きていられる世界の方がお前さんも嬉しいだろ。」
「......。」
ホムホムは黄昏た、何を考えてるかはわからない。わからないが、
「否定しないってことは肯定だぞ、ほむらさんよ。成功したらデートしてラブホで肉体合体してランデブーしちゃえよ、好き言っちゃ、っておいおいおい銃口向けるな!まだ一般人だから死ぬって!!」
肩の力抜いてほしくて冗談言ったらキレた。ガッチャンとリロードまでして銃を向ける。やだこの子冗談が通じない。
「キューベイもほむらの冗談を受け入れならない所、直したほうが良いともうよな。」
「キュップイ!」
「本当に打つわよ。」
「キュップイ...」
「キュップイ...っておいおいやめろ!...はぁ、もう。俺も緊張してんだよ、少しはリラックスさせろっての。」
元気よく返事したキューベイが一瞬でしずむ眼光、まだ硬いなぁと思って少しふざけただけで銃口をほっぺたにグリグリとされる。
「じゃあ行こうか。」
そんな事してると、カウントダウンが始まる。サーカスのパレードのように使い魔達が道を引く。その奥に巨大なカウントダウンがあった。
「...行くわよ。」
「エスコートお願いします。」
カウントが0になった瞬間的バリンッ!と音を立てて現れる。そしてその瞬間、ほむらは時間を止めた。俺とキューベイもほむらの止めた時間内で動けるようほむらが手配してくれる。重い体だが、楽に持ち上げて運ぶ。
そして
「あっという間に着いたな、ここまではプラン通り。じゃあ俺がキューベイに願いを言い終わると同時に解除、わかってる?」
着いた、ワルプルギスの夜の内部。より言うなら服の中、なんかエッチだ!...これが最後のおふざけだろう。次にできるのは成功した時。
「大丈夫よ、任せて。」
「僕も準備できてる。」
「ちょっと深呼吸させて...。スーッ...ハーァ、......よし。行くよ、いいね。」
今まで、今まで体を鍛え上げてきたのはこの瞬間のためにあったのかも知れない。たまたまと言えばそれまでだが、それでも何か運命めいた物を感じた。...本音を言えば、まどか、さやか、マミ、きょうこ、彼女とも友情を深めたかった。だがこの作戦を知れば、彼女らは魔法少女や暁美ほむらの秘密を知らなければならい。その事に耐えられるだろうか、いや、1人は耐えられない。少なくともマミさんは錯乱するだろう。そして錯乱すれば魔女になる、マギアレコードの世界でも暴走した。彼女はメンタルが弱すぎる。まどかも、さやかも、きょうこも、秘密を知ってメンタルが崩れるのは目に見えてる。救いたい存在が救えないのが暁美ほむらを一番悲しませる。
「さぁ、番狂 早稲。君の願いを教えてくれ。」
だからこそ、この2人と1匹でやる。
「...ワルプルギスの夜の力を余すことなく使い、キューベイに託した願いを叶えて。」
時間が再び動き出すと同時に、キラキラとワルプルギスの夜を何かが包む。
「さぁ!!叶えろ!!!インキュベータァァァア!!!!」
腹の底から叫んだ、するとキラキラはより一層厚くワルプルギスの夜を包む。ワルプルギスの夜もただやられるだけじゃなかった。使い魔を飛ばして何とかしようとするが、その使い魔はキラキラに触れた瞬間パラパラと風に流される灰のように砕けた。
「これが魔法少ッ!?!?」
魔法少女の力、そう言おうとした時だった。まるで重い重りを背負わせれたように体が動かなくなる。
「こ、これは相当な負荷だ。予備の身体がある僕は大丈夫だけど...早稲、大丈夫、っ!!かい?」
「キューベイよ、こう言うのは気持ちで負けきゃダメなんだぜぇ!!むしろテンション上がってきたよなぁ。」
「早稲、今の所いい調子だ。負荷はすごいけど。」
身体が痛い!蝕むように隅々まで何かが入ってくる。だが、
「負けねぇよ、負けてたまるかぁ。」
「いいわよ!ワルプルギスの夜が少しずつだけど崩壊してる、行けるわ!!」
「少しってどんな程度よ。あぁ、キッツイぞくそが!!」
「2割ほど、少なくとも半分以上は形を保ってるわ。」
「これで2割???舐めてんなぁ、いや、舐めてんのは俺か、さっさと俺らの願いのための礎となれやワルプルギスの夜さんよぉ!!!」
キラキラがワルプルギスの夜をゆっくりと侵食してるのはなんとなく感じた。これが俺の力と言う訳では無いが、少なくとも自分が何かしてるのは理解できた。ワルプルギスの夜はより一層使い魔を多く飛ばすが、やはりキラキラによって阻まれる。
「テメェ今まで散々邪魔してきたんだろうが、あぁん!!そんなテメェか今度はやられる側になって、捕食される立場になっただけじゃろうがい!!今の今までのさばってきてツケだよ、がっ!?ぐっ!!...ふん!!!俺に飲まれて死ねぇ!!!!」
膝が恐れそうになるが気合とど根性と負けん気で再び立ち上がる。するとキューベイが情けない声を上げた。
「きゅ〜。早稲、な、なんとか、早稲のソウルジェムは出来たけど。も、問題が!!」
「何が起きたボロ雑巾!!」
「く、口悪くない、かい!?で、問題、何だけど。魔法少女になれない。」
「はぁ!?ソウルジェム出来てんなら魔法少女にもなれんだろうが!」
「普通、なら、ね、魔法少女と、ソウルジェムは、強固、な、つながりが、あるんだけど。それが出来てない。」
「...まさかこいつ。俺の力を吸収してるのか!?!?」
「違う、ワルプルギスの夜の強大な力に引き寄せられてる!!」
理解した、魔法少女としての力が別の方向に流れる。流れてる理由はワルプルギスの夜の力の差、願いを叶えようとする俺の力よりもワルプルギスの夜の方が上だと言えこと。何か打開策は???
「来い!来い来い来い来い!こっちに来ぉぉぉい!!」
んなもんねぇよ!!さっきも言ったが気合とど根性と負けん気!!気持ちの問題よぉ!!すると少しずつ、ほんの少しずつだが髪色がかわり始めた。
「気合で呼び戻した!?早稲、君というやつはなんと言うか規格外だ!でも足りないよ!!」
「だったらもっと来い、来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い!!!来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来いっ!来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来いっ!」
「来たわよ!」
するとほむらまで引き寄せた。えぇぇぇぇ何で!?!?
「来いぃぃい!?!?お前さんは呼んで...いやほむら!俺に魔力を注げ!俺の魔法少女の力がワルプルギスの夜に引き寄せられてる。ワルプルギスの夜の力の差が原因だ!だからありったけの魔力、注いでくれ!!」
そう、気持ちでもまだ足りなかった。だから本場の魔法少女によるさらなるブースト。それしかない。正直作戦練り直してる余裕もないし。
「行けるの?」
「おうよ!!ここが正念場!!!向こうとの綱引き勝負、パワー比べなら負けたことねぇよ!人間相手だがなぁ!!」
「...ふ!!」
ほむらの魔力によってより力が増したのは感覚で分かった。すると俺の髪が魔法少女ぽく変わっていく。少し、少しと変わっていく。俺の髪の色が完全に変わると、今度はその髪に飾りが生えてきた。ゆっくりとだが確実に力が本来あるべきところに流れてる感じがした。が、そこから変化がなかった。
「おいキューベイ、俺の変身って頭だけなのか?」
「向こうが魔力の流れに無理矢理栓をしたんだ。」
「はぁ!?!?」
「流失してる魔力の管を堰き止めたんだ。ワルプルギスの夜の魔力がなれせる力技だよ。」
「てことは向こうと拮抗状態になったのか!?」
クソゲーすぎる。力の差を見せつけるように盤面は向こう支配している。いくらキラキラがワルプルギスの夜を分解するとは言え時間がかかる。俺が魔法少女に慣れていれば、また違った結末になったかも知れない。
「......緩めたら向こうに全部持ってかれるよな。」
「そうだね。間違いなく引いたら負けるよ。」
「だが押しきるにも力が足りない、だろ。」
「......うん。」
詰んでる。いや、詰んではないが詰みかけてる。何か一押し、向こうの栓をぶち破るようなパワーがあれば。もう一度願いを叶える?いや無理だ、そんなのできるわけがない。と言うか現在進行形で叶えてる最中。
ほむらの手をもっと借りる。無理だ、すでに濁り始めたほむらの力をこれ以上増せば魔女化する。グリーフシードもつきかけたはず。本格的魔女化してしまう。
額にも大粒な汗を流してる彼女、打開策...打開策...打開策は...。
「あなた、どうするつもりなの?」
「なぁ...ほむら。......お前さん時間遡行の準備をしろ。」
「っ!?!?ここまで来て...諦めるの!!」
「もうソウルジェムが濁ってるだろ。何が何でも時間遡行分の魔力は残しとくべきだ。...それに、これは時間遡行してやり直したほうがいいぞ。......まぁ、つっても!!諦める気はねぇよ。テメェが時間遡行したあとでも粘って粘って体力勝負よ。」
「...2人でも無理なのに、1人なんて尚更......。」
「...そう思うならよ、お前さん、もっと仲間作った方がいいぜ。美人でべっぴんさんのあんたなら、人当たりいい性格に直せばすぐ仲間出来んだろ。」
「こんな時に冗談吐かないで。」
「冗談じゃねぇんだよなぁ...。っ!行け!暁美ほむら!!テメェこんな所でくたばったら、今までの努力が、あの子との約束が、託された願いが消えるんだぞ!!
行けぇ!!!ほむら!!!そしていずれ世界を救え!!!」
それを聞くとほむらは去っていく。去る前何度も何度も俺たちを見ていた。
ほむらは能力を使って消えていた。
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この物語の結末は?
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ハッピーエンド
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ノーマルエンド
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ビターエンド
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バットエンド
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アブノーマルエンド