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何もない。
ただ、真っ白だった。
その中で。
何かが流れてくる。
「なんだこれ?」
記憶、歴史、文明、人間、戦争、平和、科学、技術、知識に知恵。
そして見たことのない力、身体から炎を出す人間、羽根が生えて空を飛ぶ人間、巨大化する人間、水を操る人間、電気を放つ人間。
魔法少女の記憶か?
「ほんと、なんだ......これ」
俺は呟いた。
すると声が返ってきた。誰の声か分からない。男なのか女なのかも、老人なのか子供なのかも。そもそも人なのか?
ただ、世界そのものが喋っているような声。
『これが貴方の願いなんだね。円環の理が必要ない、それでもなおも続く。』
人...らしいシルエットだけは分かった。
『世界は続く』
「...」
『宇宙は続く』
「...」
『命は続く』
そしてその存在は続けて言う。
『物語は、別の形へ』
アルティメットまどか???
そう思った瞬間――眩しい!!
凄まじい光だった。
地球だけではない、太陽系どころか銀河を超え、宇宙そのものを覆うほどの光。すべてが一度、白く塗り潰される。
新しい世界が描かれ始めた。なんとなくわかった。魔法少女が存在する世界、それは消えない。魔女も魔法も、キューベイも。すべてが消滅したわけではない。
ただ世界の根幹が変わった。
宇宙には寿命がない。少なくとも、「終わり」を前提とした仕組みではなくなった。
光りに包まれながら俺は思う、あの5人のことを。あとついでにキューベイも。にしても疲れた、そして気持ちよかった。あんな存在を倒せたのがとにかく気持ちよかった。やはり下剋上そこ我が信条。うんうん、そう思わずにはいられない。......何だが眠たくなってきた。そりゃそうだわ、あんだけ働いたあとだ。前世の社会人時代なら1週間は休暇が欲しい。そのレベルで頑張った。
例え願いが叶わなくてもワルプルギスの夜は消滅した。それだけで大健闘だろ。とは言えこの世界ではまどかは魔法少女になってる。まぁ、ハッピーエンドに近いノーマルエンドって所だろうな。
「......早稲」
ほむらの声だった。
「...ほむらか。」
「ええ。」
声は聞こえる、けれど姿が見えない。
「みんなは?」
「いるわ」
「まどかも?」
「いる」
「マミも?」
「いるわ」
「さやかも?」
「いる」
「杏子も?」
「...いる、みんないるわ」
よかった。その言葉を聞いた瞬間、身体から力が抜けた。
「そっか...。」
俺は目を閉じた。
これなら。
「貴方はそこにいるのよね。」
これなら成功だ。
「いるぞ。」
......。...。少し寝よう、寝て起きた頃にはきっと新世界になっている。そんな予感がする。
俺は目を瞑った。光りに包まれながらも、眩しいとは思わず俺は寝た。
最後に、凄まじい光が世界を覆った。
さっきの光とは別、太陽の光、その眩しさで目が覚めた。何が起きたか知らん、でも妙にスッキリしていた。目覚めはかなり良い。空も晴れ模様だ。チュンチュンと鳥たちも鳴いている。
「起きたのね」
寝転がる俺の所へ、黒い髪をなびかせた暁美ほむらがいた。
「ホムホム...あっ。」
思わず呼んでしまった。ホムホム、よく周りのアニメ仲間が呼んでいたほむらのニックネーム的なもの。かわいいとは思うが、ほむらの表情は可愛くなかった。眼光を飛ばしてくる。気楽な時以外もほむら呼びを心がけよう。めちゃくちゃ怒ってるのは分かる。
「わ、わぁ。」
な、泣いちゃった...とはならないものの物凄く気まずい。
「はぁ。」
ほむらがため息をつく。荒れた天気の後なのに涼しい風が吹く。その風がほむらのため息を消してくれたような気がした。よく言うだろ、ため息ばかりつくと幸せが逃げるって。しかし、その幸せは逃げなかった。
「ほむらちゃん!!」
まどかがいた、こちらにかけてくる。五体満足、一切怪我ない健康なまどか。ピンク色の髪をしたこの世界の主人公。...いや、主人公はほむら説もあった。どうなのだろうか。まぁ、それはおいおい考えればいいだろう。
「まどか!...走ると怪我するわよ。」
「へええ。良かった...うん、良かった。皆いる、マミさんも、さやかちゃんも、杏子さんも...ほむらちゃんも、ふふ。」
「ええ、いるわ。皆いるわよ。」
2人は抱き合い、まどかにいたっては泣いていた。だが2人共笑顔だ。ほむらは微笑ましい笑顔を浮かべ、まどかはうれし泣きで口角がニッコリしている。
「いいねぇ、おじさんコーヒー飲みたくなった。」
「わぁ!?早稲さん!?!?...いたの?」
「いたよ。」
「み、見てた?」
「ごちそうさまでした。」
そうふざけて返す。まどかは恥ずかしそうに顔を真っ赤にしてる。ほむらはお前など知らん!っとばかりに無視してた。と言うより、まどかにご執心。
「あ、いたいた。おーい。」
「まどか発見!ほむらもいる。」
「っ!良かった、みんないるわね。」
すると他の魔法少女達も来た。ゆっくりと歩いてくる。開けた場所とはいえいつまでも寝転がるのは格好悪いか。そう思い俺は立ち上がる。が、
「痛だだだだっ!!んだこれ、筋肉痛かよ...。」
ただ立ち上がるだけで体が悲鳴を上げた。
めっちゃ痛い!!筋肉痛にしては痛すぎる、殴られた後の痛みより酷いような気もするが立てるあたり骨は折れてないと見た。けど痛い。...無理することもない、座ろう。
「そりゃアレだけのことしたんだ君は、体が残ってるだけでも奇跡だよ。」
「キューベイ!...なんか毛がすごいことになってるぞ!?!?」
と、ひょいとキューベイがいつの間にか現れていたかと思えば...その姿はなんと言うかすごいものだった。まるでポメラニアンのように毛がフサフサしている。...イメチェン???
「...何があったキューベイ。」
「大したことじゃないさ。宇宙の延命を掲げた僕ら、けどこの世界じゃその延命が必要ない世界になった。だからこその変化さ。」
「ふーん。...って、さらっと聞こえたが、成功したんだな。」
「ああ、間違いさ。おめでとう、君の願いは叶ったよ、番狂早稲。」
容姿の変わりように驚くが、それよりも良いことを聞いた。宇宙の延命が必要ない世界、つまり魔法少女のシステムが必要ない世界。
「一応聞くが、この世界でも魔法少女システム続けるつもりか?」
「いいや、それはリスクが高すぎる。まだ改変は終わってない。すべての改変が済んでから検討しないと話にならないよ。」
「ん?改変が終わってない???」
またしても重要な事をさらっと言う。するとモッフモフのキューベイは俺のソウルジェムに触る。胡座をかいて座る俺の膝に乗り、しっかりと手を当てていた。そして魔法少女の衣装が解けて、その前に着ていた服になる。さらに変化があった。
「...俺のソウルジェム???」
ホタルのように微かに光る俺のソウルジェム。皆と比べて野球ボールサイズの俺のソウルジェム。ネックレスの宝石のように首にかかった俺のソウルジェム、飾られてた装飾たちがゆっくりと空気に溶けていく。
「早稲!?貴方、何してるの!!」
その事にほむらが気付いた。5人で仲良く話し合っていた中だと言うのに。ほむらに続いて他の4人も気付いて驚く。
「テメェ何してやがる!!なんだこいつ毛深い!?!?けど関係...ん、ん?...あれ?」
「やめてキュゥべえ!え?キュゥべえ?キュゥべえ...よね?」
杏子は何かしようとしたが上手くいかなかったように見えた。その横でマミがキュゥべえを見つめるが、それでも止まらなかった。キュゥべえはそんな2人を含めて皆に説明する。
「君たちも自分のソウルジェムを見てご覧。」
そう言われて見る、渋々見た者もいたが、全員が見た。自身のソウルジェムは淡く光っている。まどかならピンクに、さやかなら青く、マミさんなら黄色に、杏子なら赤く、そしてほむらなら紫に、ほのかに光を放っていた。
「何が起きてるの?」
まどかが不安そうに話す。
「早稲には話したけど、改変だよ。すべての魔法少女、そのエントロピーによるエネルギーの還元と吸収、それによる再構成だね。後は君たち6人だけだと思うよ。」
「キューベイ。結局の所何が起きるんだ?」
「君のソウルジェムに触れて分かった範囲だけど聞くかい?」
「頼む。」
キューベイは座りながらほむら達5人を向き、俺の腹を背もたれにして話し始めた。
「結論から言おう、君たちは普通の人間に戻るはずさ。」
「本当なの、本当に人間に戻るのキュゥべえ。」
マミが驚きながらも聞く。いや、驚いてるのはマミだけじゃない。まどかもさやかも杏子も、そして誰よりも驚いていたのはほむらだった。
キューベイはコクリと頷くと、またしても俺のソウルジェムに触れる。
「今光ってるのは魂がその持ち主に戻ってる途中。君達のソウルジェムはやがて光を失って、透明なただのガラス玉のようになるはずさ。魔法少女として力も全く残らないだろうね。」
「そう言ってちょっとは残るのとか?」
「ないよ。そもそも魔法少女システム自体の考えが無い世界だ。それに僕らの役割は宇宙の延命じゃなくて、宇宙の観察に変わってる。日々記憶してただただ出来事を記録するのみ。そんな複雑なことしないよ」
「実は魔女化しちゃうとか。」
「ないよ。さっきも言ったけど魔法少女システムが無い世界。」
そう言うとキューベイの毛がますますモフモフとなっていくのが分かる。なんかそういうウサギいたよな、モンゴル何とかみたいなウサギ。まともに顔の位置も分からない。ってか、
「キューベイ?...なんか半透明になってない?」
「まぁ当然だろうね。僕の判別がより難解になって来た証だよ。もともと僕の姿が見えるのは魔法少女として適性があるかどうかの判別。けど魔法少女がいない世界なら、魔法少女としての適性と言う概念自体ない。僕らが見えなくなるのも当たりさ。」
そう言うキューベイの姿はますます白いモフモフになり、さらに透明になっていく。白い半透明の巨大な毛玉。向こうの景色も透けてよく見えるほどに透明。
「キュゥべえ...、まって、消えちゃうの?」
「いいや、見えなくなるだけさ。消えはしないから安心してまどか。」
相手が憎い存在だからと言っても、まどかは涙をためながら話す。長い付き合いがあるマミも、不安げな顔をしてる。
「......新しい世界、どうだキューベイ。」
「いいと思うよ、早稲。」
「まぁ、そうだなぁ。キューベイ元気でな。......ほむらもひと言言ってやれよ。」
「...二度とあなたの顔を見ないと思うとせいせいするわ。」
「おいおい、ツンデレか?一応、キューベイも世界の救世主の一員だぜ。」
「...。......。早稲の願いを叶えてくれた事には感謝するわ。」
...やっぱりツンデレ???まぁ、そんな事言ったら怒るから言わないが。ほむららしいとも思う。
「あれはみんなの協力があったからさ、...そろそろ時間だね。ありがとうみんな...じゃあね。」
そう言うとキューベイの姿は完全に消える。さっきまで感じていた重さもない。俺は虚無になった自分のあぐらを見つめている。...いや、見えなくなっただけか。
「そう言うときは『またね』っておかしくても言うんだよ、キューベイ。」
「あら、ずいぶんとロマンチックなこと言うのね。」
「うるせぇ。」
「......。...。」
空は晴れていた。さんさんと振り注ぐ太陽がワルプルギスの夜がいない事を告げ、キューベイが見えなくなったことが魔法少女でない事を表した。
誰も魔女にならない未来。
ソウルジェムは、静かに光を失っていった。さっきまで淡く輝いていた光は、もう見えない。
まどかのソウルジェム。
さやかのソウルジェム。
マミのソウルジェム。
杏子のソウルジェム。
ほむらのソウルジェム。
そして、俺の野球ボールサイズの馬鹿デカいソウルジェム。
全部が、ただの透明な宝石へと変わっていく。
「...終わったの?」
まどかが小さく呟いた。誰も答えない。いや、答える必要がなかった。全員が分かっていた。もう、何も感じない。魔力もない、変身することも無い、契約の力も、その先の魔女も
魔法少女としての力は何もない。
俺は自分の胸に手を当てた。心臓が動いている。当たり前のように、ドクンドクンと脈打っている。正直、魂をソウルジェムにした時確認してないから違いは分からない、分からないがそれでも思う。
「......普通の心臓だな。」
「何それ。」
さやかが笑った。
「いや、だってよ。今までなら魂が身体の外にあるとかいう、とんでもない状態だったわけだろ?」
「それは...そうだけど。」
「それが今はちゃんとここにある」
胸を軽く叩く。
「確認なんて出来ないわよ。」
ほむらがそう突っ込むが、俺は笑った。
「だろうな。正直確かめる方法なんて、これしかねぇよなぁ!!」
俺はソウルジェムを思いっきり投げた。みんなぎょっととしていたが...止めるには遅かった。放物線を描いて飛んでいく。50メートルほど先でコロンと転がったのが分かった。
「な。」
誰も反論しなかった。
「普通、ノーマル、ノット魔法少女ってことで。」
だか表情は明るかった、
さらに。
「...うん」
まどかが笑った。
「普通って、いいね」
その言葉に、ほむらも静かに頷いた。
「ええ」
マミも自分の手を見つめる。
「もう...魔女になる心配もないのね」
「ねぇだろ。」
俺が答える。キューベイの姿は、もう見えなし声も聞こえない。けれど、聞いた言葉は鮮明に覚えている。
魔法少女システムは、もう存在しない。君たちは普通の人間に戻る。...か。
その言葉通りなら俺たちはもう、何かに選ばれる必要もない。世界を守る義務もない。戦う必要もない。宇宙のエネルギーになる事もない。ただ生きればいい。それだけだ。
「...あ」
突然、杏子が声を上げた。
「どうしたの?」
マミさんが追求するが、杏子は恥ずかしそうな顔をする。
「ちょっと、何。何かあるなら正直に話しなさい。」
「そんな大ごとじゃねぇって。」
ほむらも言うが、杏子は誤魔化そえとする。まどかもさやかも不安そうに見てるのを見て、観念したのか話す。
「そんな顔すんなよ。その、な......腹...減ったなぁって。」
「......。」
全員が杏子を見る。
「いや、マジで腹減った。ワルプルギスの夜と戦う前から何も食ってねぇんだけど」
みんなホッと息を漏らす。腹減っただけか...まぁ、うん。俺も腹を押さえる。そう聞くと、つられたように空腹感がいきなり出てきた。
「そういや俺も」
「私も...なんだ。」
まどかが小さく手を挙げる。耳も真っ赤だ。
「なら、私もお腹空いたわ。」
それに乗るようにほむらも言い放つ。...「も」ってなんだ「も」って、本当に腹減ったのかこいつ?
「なら決まりね」
しかしマミが微笑む。そして言う。
「みんなで何か食べに行きましょう」
「賛成!」
さやかが勢いよく手を挙げる。
「杏子と一緒に行くと食費が大変そうだけど」
「おい!」
「事実じゃん」
「さやか、テメェ...。」
「まあまあ、ふたりとも。」
まどかが笑いながら二人の間に入る。その光景を見ながら俺も笑った。
ついさっきまで、世界そのものを巻き込むような戦いをしていたというのに。今は腹が減っただの、飯を食うだの。そんな話をしている。
「...はは」
思わず笑いが漏れた。
「どうしたの?」
まどかが聞いてくる。
「いや」
空を見上げる。青い空、白い雲、暖かな太陽。どこまでも続く景色。特に面白いというわけでもないが、まぁ、なんと言うか
「...平和だなって」
「うん」
まどかも空を見る。
「平和だね」
ほむらも、
マミも、
さやかも、
杏子も、
みんな同じ空を見上げる。
誰もが生きている。誰もがここにいる。それだけでよかった。無理だと思えた世界を救えた。それだけ満足する。世界は変わった。しかしその事を知るのはこの6人とインキュベータ達だけだろう。
スピード・ワゴンの言うちょっと大袈裟なんてレベルじゃない。本当意味で世界を救った。...いや、大袈裟かも。でも魔法少女達を救った。これくらいは言ってもいいだろう。これからどうなるかわからない、わからないが1つだけ言える。
この世界の物語はこれからも続いてく、自信を持ってそう言える。
END
ハッピーエンドのルートになります。なんだかんだでここまで2万字ぐらいかかってる気がする。最初の2.3話程度で終わらせたいとは一体何なのだったのか...。
感想、高評価、よろしくお願いします。
後日談やIFルートとして追加して欲しい話。
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オリ主と暁美ほむらの話
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オリ主とキュゥべえの話
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各ルートのその後の話
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オリ主がすでに魔法少女にだったIFの話
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要望は無し
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新作を書いて欲しい