その瞬間だった。
「いたぁ!!」
「...明美さん、ほっ。」
「あのデカい奴もいるぞ。」
「ほむらちゃん!!」
声がした、俺たちが振り返る。そこには4人の少女が立っていた。
美樹さやか。
巴マミ。
佐倉杏子。
そして鹿目まどか。
「みんな...」
ほむらの顔が固まる。
「ほむらちゃん」
まどかが歩いてくる。そしてそのまま話しかけてくる。
「......私たち、生きてるよ?ほむらちゃんも、私も、みんな生きてる。」
「ええ」
「ワルプルギスの夜も倒したよね?」
「ええ、そうね。」
「......。」
まどかは空を見る。笑っていた、目の前の試練を乗り越えた事に喜んでいた。
「じゃあ...勝ったんだね。」
「...。......。」
しかし、ほむらは答えなかった。
代わりに俺が言う。
「まぁな」
「番狂さん」
「早稲でいいよ」
「じゃあ......早稲さん?」
「呼び捨てでも構わねぇぜ。多分同級生だし。」
「え?そうなの、大きいから高校生かと思った。」
「残念14歳だ。」
「ふぇぇ。」
まどかはその事に驚いていた、そして落ち着くと微笑んで言う。
「早稲...さん。ありがとう」
「...。」
「呼び捨てはちょっと言い慣れてなくて、ゴメンね。」
「気にすんな、そういう人柄は大事だと思うぞ。」
ありがとう...か。その言葉に、俺は少しだけ困った。この世界は俺が求めた理想の世界ではない。だが原作では成し得なかったワルプルギスの夜をまどかの力無しで超えた世界である。
「礼を言われるほどのことじゃねぇよ」
「でも......。」
「いいんだよ」
俺は手を振った。
「俺が勝手にやったことだ」
「...。」
まどかは少し寂しそうに笑った。
「そっか」
その後ろでは、さやかが腕を組んでいる。
「なんかさぁ」
「ん?」
「私、ものすっごい重要なこと聞いた気がするんだけど」
「何を?」
「魔法少女がどうとか、ほむらが何回も時間を戻したとか、キュゥべえが宇宙のために私たちを利用してたとか。
そんでなんか...すんごぉぉぉい事しようとしたって。」
「...あぁー、あぁーあ。そーだな。」
「夢じゃないよね?」
思わず棒読みみたいになった。ほむら、ちゃんと時間取って説明しろよ......。
どう言うか迷ってると、マミが静かに口を開く。
「...夢じゃないと思うわ」
「マミさん?」
「貴方のソウルジェムが残っているもの」
マミが俺の胸元を見る。そこには、俺のソウルジェムがあった。
「...」
俺も自分の胸元を見る。ダランとぶら下がるように俺のソウルジェムもある。
「やっぱり残ってるな」
あり得ないほどデカい、野球ボールほどの巨大なソウルジェム。五色の装飾に銀色の細いチェーン、相変わらず異様だった。
「で、聞きたいことは?」
「まず私からでいいかしら。」
「巴先輩、どうぞ。」
「まずは魔法少女システムだったかしら。それについて教えて。」
「あくまで俺が知ってる範囲だ...1から説明するがいいか?」
「お願いするわ。」
俺は全て話した。魔法少女システム、それを作った理由、そこに繋がるキューベイの目的、そしてその一連の問題全てを解決するために必要な根本的な問題の解決の手段としてワルプルギスの夜をエネルギーとして俺の願い「宇宙の寿命が無い世界」を望んだ事を。ただ話してないことはある、ほむらの事だ。
「「「っ!?!?」」」
「本当なのキュゥべえ?」
「私たちを騙してたの!?」
「おい!何とか言え!!」
「お願いキュゥべえ。答えて。」
キューベイは素直に話した。みんなの反応は良くも悪くも予想通りだった。特にマミさんに至っては泣き崩れていた。ほむらはまどかをなだめていた。まどかも涙を流していた。悲しみよりも怒りが勝ったのはさやかと杏子の2人くらい。その2人は何とか俺がなだめた。
しばらく時間が立つと...何とか......何とかだか、話ができる状態になった。
「言っとくが、ほむらについてはほむらから聞け。個人情報うんぬんを理由に黙秘権を発動します。」
「それは、また今度にするわ。もういっぱいよ。うぅぅ。」
まだ涙を貯めてるマミさん。...これ以上心労を増やせば魔女化するかも知れない。メンタル弱いマミさんには相当キツイ話だったはずだ。
「ねぇ、それ、どうするの?」
さやかが俺のソウルジェムを指差して聞いてくる。
「知らん」
「知らんって...」
「キューベイ」
俺はキューベイを見る。相変わらず空を眺めている。
「そもそも俺は魔法少女なのか?」
「...」
キュゥべえは少しだけ沈黙した。
「正確には違う」
「違う?」
「君は魔法少女になるために必要な条件を満たしている。でも、一般的な魔法少女と同じ存在でもない」
「じゃあ何だよ」
「分からない」
「またそれかよ。」
思わず叫ぶ。黙っていられなかったのか杏子が言い放つ。
「お前ら宇宙人だろ!?私たちを騙しといて分からないってなんだよ!!」
「僕たちにも未知の現象はあるさ。」
「っ!!」
キューベイは淡々と答える。杏子はそんなキューベイを睨みつけ歯を食いしばる。俺は頭を抱えた、この場合、本格的にキューベイはわからないのだろう。となると考えても仕方がないような...そんな気がする。
「まぁいいや」
「おい、いいのかよ?」
杏子が呆れたように言う。
「良くねぇけど、考えても分からんもんは分からん」
「あのなぁ...」
「彼女はそう言うタイプよ。」
杏子が追求しようとした所をほむらが止めた。実際言われたことろでどうにもならんやろ。...まったく気にならないと言えば嘘にはなるが。
俺はソウルジェムを見る。
「少なくとも、俺たちは生きてる。そうだろ。」
だが、その直後。キュゥべえが言った。
「ただし、一つ問題がある」
「...何?ここまで来て誤魔化したりしないわよね。」
ほむらが警戒する。
「魔法少女のシステムは完全には消えていない」
空気が止まった。
「....え?で、でも、早稲さんの願いは叶ったんじゃ...こうして魔法少女になってるし。」
まどかが呟く。
「さっきも言ったけど、早稲は一般的な魔法少女とは違うよ。だから、ぜんぶ叶ったとは言えない。でも成功してるとは言える。魔法少女の分類にはいるしね。
確かに世界は、宇宙は書き換わったんだろう。でも早稲が望んだ世界とは違う。何故不完全かと問われればわからないけど。言えることはある。
君たちのソウルジェムも、魔力も、魔女化する可能性も残っている。」
「...。」
マミの表情が曇る。
「つまり...」
「そう」
キュゥべえは頷いた。
「君たちは今までと同じように、魔法少女だ」
「...。」
「ただし、これまでのように魔法少女を増やす必要はなくなった」
「新しい魔法少女は?」
「必要性がなくなっただけで、契約そのものが完全に消えたわけではないからね。後輩が増えないってだけかな。」
「...中途半端。」
杏子が吐き捨てる。
「ほんっとに中途半端だな」
俺も同意した。叶ったというのはイマイチな結果。これは宇宙に無限の寿命が出来たと言ったほうが適切かもしれない。
「魔法少女は残るよな。」
「うん」
「と言う事は魔女もだよなキューベイ?」
「可能性としては残っている、けどむやみに力を使用したり感情が暴走しない限りは安全だね。」
「...」
キューベイの話を黙って聞く。それは俺だけではなくほかの5人もそうだった。
「実際問題、君たちを宇宙の延命装置として扱う必要はなくなった。けど君達には問題がある。」
「....魔女か。」
「ああ。魔法少女は増えないとは言え、魔法少女から魔女になる魔法少女はいるだろうね。」
誰も喋らなかった。完全な救済ではない。魔法少女という呪いは消えていない。ソウルジェムもある。魔女になる可能性もある。キューベイたちの使命も存在している。
それでも。一つだけ、確実に変わった。魔法少女は増えない。
「...なら」
ほむらが口を開いた。
「なら、これからは、自分たちのために生きればいいのね」
「まぁ、魔女を倒す使命は強制的なものではなくなった。グリーフシードが欲しいから倒す程度の存在だよ。
そう考えるなら、ほむらの言うことになるね。」
「......。」
ほむらは自分のソウルジェムを見る。手に乗せるとギュッと強く握りしめる。
「私は...。」
ほむらの声は小さかった。
「ずっと、まどかを救うことしか考えていなかった」
「ほむらちゃん...」
「何度も何度も繰り返して」
ほむらは目を閉じる。
「何度も失敗して」
「...。」
「何度も、まどかを失って」
それでも彼女は泣かなかった。
「でも、今回は違う」
まどかがそっとほむらの手を握る。
「うん」
「...まどか」
「うん、何...ほむらちゃん。私、ここにいるよ」
「...っ。」
ほむらの目から、涙が落ちた。まどかはほむらを優しく撫でる。
野暮な話になる、魔法少女は増えないが魔法少女からの魔女は増えると言う事は。魔法少女は少なくとも魔女化による死は避けなければならない。仮の話だ、もし人類最後の魔法少女が魔女化したら、その魔女は一体誰が倒すのだろうか。魔法少女と言う母数は増えない。宇宙のエントロピーが満たされた状態なのに、そのエントロピーを初動で僅かに使う魔法少女システムは欠陥とも言える。キューベイ達も余程のことがない限りは魔法少女を作らないだろう。それこそ、全宇宙の生命消滅とかが怒らない限り。仮に来ても、その前にキューベイ達は対策し実行するか。...死ねない世界、全ての魔女を葬り去るまで死ねない世界。
そんな現実がある世界線でも、ほむらは泣いた。気付いてるか気付いてないかはわからない。だが言うのは野暮だと思う。
俺は何も言わなかった。今すぐ言う必要もない。少なくとも これは彼女たち2人の時間だ。俺が口を挟むことじゃない。
強くそう思った。
いくらか時間が流れ、ほむらが落ち着いた頃だった。
「ところで」
さやかが俺を見る。
「早稲」
「ん?」
「アンタ、これからどうすんの?」
「...あぁ。どうしようか。」
考えていなかった。本当に何も考えていなかった。世界を救うためにワルプルギスの夜を利用して宇宙の仕組みを変える。そこまでしか考えていなかった。正直、その後のことなんてノープランだ。
「...とりま、学校でも行くか。」
「まじ?」
「うるせぇ。」
さやかがつっこむ。それを俺はそのまま思った事を放った。
杏子が笑う。
マミも小さく笑う。
まどかも笑っている。
ほむらも、彼女もほんの少しだけ笑ったように見えた。顔は相変わらずだかそんな風に感じた。
その光景を見て俺は思った。
完璧じゃない世界、誰も完全には救われていないのだろう。魔法少女という存在も消えていない。魔女になる可能性も残っている。宇宙も永遠とは言えない。いつか、この宇宙そのものにも終わりが来る。それを阻止するためにまたキューベイ達は動くだろう。
それでも、それでもだ。誰かの犠牲で宇宙の延命を補う必要はなくなったと見ていいだろう。
俺は空を見上げる。青い空。前と何も変わらないように見える空。でも、確かに何かが変わった。...円環の理、彼女はどう動くのだろう。
「...ま、ワルプルギスの夜を倒せたし、案外なんとかなるか。」
「っ?」
まどかが首を傾げる。
「こっちの話。」
俺は笑った。
「みんな幸せハッピーエンドと言う訳では無いが、少なくともバッドエンドでもねぇ。そう思うだろほむら。」
「そうね。」
「「「......。」」」
ほかの魔法少女達は思う所がありながらも黙って見つめてくる。
「だから、これでいい。てかこれからハッピーエンドにしたらいいだけよ!うん。」
みんな黙って俺を見つめる俺は拳を握る。
「早稲ってそんな感じなのね。」
「なんか...ポジティブ?なのかしら。」
「暑苦しいだけよ。」
「ほむらちゃん!?」
「さっきまで熱々だったお前に言われたくねぇよ。」
これからはこれまで以上に大変だろう。
俺の首元で五色の光を宿した巨大なソウルジェムだけが小さく、小さく静かに輝いていた。それはこの世界が完全に救われたわけではないことを示す証。しかし同時にまだ未来が残っていることを示す証...と思いたい。
俺たちは生きる。魔法少女として。人間として。あるいは、そのどちらでもない存在として。
この選択が、その先の未来が本当に正しかったのか。それを知る者はまだ、誰もいなかった。
End
アンケートと評価、感想をお願いします。
後日談やIFルートとして追加して欲しい話。2回目(1回目と同じ投票先でも構いません。自由に投票お願いします。)
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オリ主と暁美ほむらの話。
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オリ主とキュゥべえの話。
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各ルートのその後の話。
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オリ主がすでに魔法少女だったIFの話
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要望は特にない。
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新作を書いて欲しい。