僕のヒーローアカデミア~THE・AGENT 作:ジャック・オー・ワンタン
「ちょっと待ってください!どこに連れて行くんですか!?」
車を発進させた女性に僕はそう尋ねる。すると彼女はハンドルを動かしながら口を開いた。
「アンタ、その武器がなんなのか知らないでしょ?」
「えっ?」
「その武器は『封印武器』。かつて月に存在していたとされる文明が遺した遺物なのよ。」
「月?」
「そう。アタシが使ってる槍もその一つ。」
女性は後部座席に載せている先程の槍を見る。
「あの槍がですか?じゃあさっき出してた炎も?個性とかじゃ」
「あんな個性使えたら今頃ヒーローになってるわよ。」
「えっ?ヒーローじゃないんですか?」
「だったら警察が来ても逃げないでしょ?」
女性はそう言って僕をチラリと見る。え、まさかとんでもない人に誘拐されてる?
「アタシはゼタ。組織と呼ばれる機関の人間よ。」
「組織?」
ゼタと名乗った女性から放たれた名前に眉を寄せる。組織ってそのまま組織なのか?そんな機関聞いたことがない。
「聞いたことがないって顔してるわね。まあ、それもそっか。なんせ組織は国連が極秘に作ってた機関だもの。」
「国連が!?」
「そう。だからアタシ達もヒーローみたいに敵と戦ってるけど似て非なる存在ってとこね。ま、ヒーロー公安委員会なんてアタシ達からしたら敵でもないけど。」
「あ、あの・・・僕これからどうなるんですか?」
恐る恐るゼタに僕の今後を尋ねる。聞きたくないけど。
「まずアンタはアタシのボス・・・日本支部の支部長に会ってもらう。封印武器と契約できたから返答次第でアンタはアタシ達の仲間になると思う。」
「ええ?」
「正直、ビックリだけどね。アンタが契約したその武器・・・組織の誰もが契約を試みても皆弾かれたんだもん。・・・って着いたわ。あれが組織の日本支部。」
ゼタが指差す方を見るとまるで基地のような施設が広がっており、戦闘機や戦車といった兵器がずらりと配備されていた。うわ・・・なんだここ!?
僕が呆気に取られている隙に車は施設に入ると警備が車を止め、ゼタに軽く挨拶し地下の駐車場へ到着する。
ようやく車を降りた僕はゼタに連れられて施設の入口まで来るとそこにはケモ耳を生やした銀髪の褐色肌の男性が待ち構えていた。
「遅かったな。」
「ごめん!ユーステス。」
「謝罪はいい。それより・・・その少年は?」
ケモ耳の人は僕を指差してゼタに尋ねる。なんだこの人。凄く厳しそうだ。
「あー、その色々あって。」
「言い訳はいい。メロエは?」
「そう、それなんだけど・・・さ。」
ゼタは申し訳なさそうな顔をするとボックスからあの篭手を出して僕に装備させる。それを見たケモ耳の人は目を見開いて驚きの表情を見せた。
「・・・成程。それで連れてきたということか。」
「そう・・・。」
「お前、今回の任務は?」
「メロエの護送任務です。」
「護送どころか部外者に契約させてどうする。」
「すみません。」
「・・・行くぞ。」
ケモ耳の人はそれだけ言うと施設の中に入って行く。
「あのゼタさん・・・。」
「良いからアンタも来なさい。」
ややキレ気味でゼタにそう言われ僕は困惑しながらもその後に付いていく。堅牢な廊下を歩き、エレベーターで最上階まで上がると如何にも偉い人が居そうな部屋の前まで連れて来られる。
「ユーステスだ。入るぞ。」
ユーステスと名乗ったケモ耳の人はドアの前でそう言うとドアを開けて僕とゼタを部屋に入らせる。そこには茶髪の青い鎧を着た女の人とオールマイトくらい大きな体格に角を生やした鎧の大男がソファに座っており、その先にいる席には白い軍服を着た女性の姿があった。
「やっと戻ったか。・・・ん?」
白軍服の人は僕を見ると青い人と鎧の人も僕を見つめる。
「え?こ、子供?ゼタ。お前まさか誘拐か?」
「違うわよ!色々あって連れてくるしか無かったの。」
ゼタは青い人にそう返答する。
「何があった?ゼタ。メロエはどうした?」
「メロエはこの少年が契約した。」
「「はあ!?」」
ユーステスの言葉に青い人と白軍服の人が驚き、鎧の人は沈黙した。
「ほ、本当なのか!?コイツ、組織の人間が誰1人として契約に失敗したんだぞ!?それをこんな子供が!?」
「落ち着け!癇癪玉。私も同じ気持ちだ。」
白軍服の人は青い人を落ち着かせると僕に目を向ける。
「まずは自己紹介しよう。私はイルザ。組織の日本支部支部長であり、このウジ虫共の上司だ。」
「緑谷出久です。」
イルザと名乗った白軍服の人と自己紹介する。なんか言動にちょこちょこセンスある悪口みたいなの言ってるな。まるでかっちゃんみたいだ。
「まず単刀直入に言おう。お前は英雄の拳メロエに選ばれた数少ない人間だ。」
「メロエってあの篭手のことですか?」
「そうだ。その拳は誰1人として我々組織の者は契約出来なかった。だが、お前はそれを難なく契約できた。なんでだと思う?」
イルザの問いに僕は恐る恐る首を横に振った。
「英雄の拳メロエは英雄の素質がある者・・・つまりヒーローの素質がある人間が契約の条件だからだ。お前はその条件を持っていた人間。だから選ばれたんだ。」
「僕があの篭手に・・・メロエに選ばれた人間。」
僕は視線をメロエが入ったボックスに移す。僕にヒーローの素質があったからあの武器は応えてくれた?
「だが、どうする?コイツは部外者・・・それも子供で民間人。」
「ああ、だが組織は武器との契約が出来れば歳も身分も関係ない。お前もそうだったろう?」
イルザの言葉を聞いてユーステスは沈黙する。
「緑谷出久。お前は組織のことを知りすぎた。我々の軍法会議にかけられたら極刑になるだろう。」
「きょ!極刑!?ど、どうしたらいいんですか?」
「ああ、我々もメロエと契約できる人間を失うのは惜しい。そこでお前には組織の人間・・・エージェントとなってこのウジ虫共と一緒に敵と戦ってもらう。そうすれば無罪となって穏便に済ませられる。ただし家族とも二度と会えなくなる。どうだ?我々組織に入るか?」
組織に入るか否かの選択を迫られ、僕は震えが止まらなくなる。組織に入れば母さんとも会えなくなるし下手をするとかっちゃんとも会えなくなる。でも、断れば自分は死ぬかもしれない。ヒーローになれなくても人を助けられる存在になれるなら・・・
「・・・分かりました。組織に入ります。」
「本気か!?お前!マジで言ってるのか!?」
僕の答えに青い人は思わず肩を掴んで心配そうな顔を向けてくる。
「緑谷出久と言ったか?」
すると鎧の人が立ち上がって目の前に立って。ううっ・・・こ、怖い。
「お前は覚悟があるのか?組織の人間として敵と戦う覚悟があるのか?」
「・・・正直、不安です。でも僕の夢はオールマイトの様なヒーローになることでした。無個性でそれが叶わなくても敵を倒して皆を助ける存在になれるなら・・・僕はその道を行きます!」
僕の言葉に鎧の人は兜から目を見開いて驚く。
「・・・ヒーローか。組織はヒーローの様に輝くものでは無い。だが、お前がそれでも進むなら好きにするといい。」
ユーステスはそう言うと黙って部屋を出ていく。
「賢明な判断だ。これからお前はメロエの契約者として我々と戦ってもらう。だが、積もる話もあるだろう。家に帰る期間も与える。家族には口止め料も支払っておく。荷物をまとめてしっかり準備を整えてこい!」
「は、はいっ!」
こうして僕は成り行きではあるものの組織の人間として戦うことになる。
今更だけどこれは僕が組織の人間として最高のヒーローを目指す物語だ!
本作における
ユーステス
ICV:中井和哉
契約武器:フラメクの雷
個性:蓄電:雷や電気を受けても平気どころかそれを体内に保管し、エネルギーに出来る。フラメクの雷を使用する際はこの個性を応用している。
イメージカラー:黄色
原作通り寡黙な性格で良くも悪くも多くを語らない人物で常に任務を最優先にする言動を取るため、冷徹な人物に取られがちであるが、なんだかんだで面倒見の良い面もある。本作ではメロエの護送任務を失敗したゼタに厳しい言葉を投げかけると同時に組織として戦う覚悟があるかを緑谷に問い、彼を導く。ゼタ同様に車の運転も出来るがその他にヘリや飛行機、はたまた船も操縦できる。そして犬好きも健在。尚、本作では彼だけ日本支部ではなく本部所属となっている。
技
デッドエンド・シュート:フラメクの雷の力を解放し、電撃の銃弾を発射する。
デッドエンド・フォール:フラメクの雷の力を解放した状態で広範囲に雷の雨を降らせる技。原作とは違いユーステスが視認できる位置に星晶獣がいなくても発動できるが発動するには膨大な電力をフラメクに溜める必要があり、それまでには時間がかかる。また、味方も巻き込む為、発動時は全員射程外へ避難する必要がある。
ーーー
イルザ
ICV:園崎未恵
契約武器:調停の銃ニバス
個性:不明
イメージカラー:白
原作通りの鬼教官でユーステスと同期。ゼタ、ベアトリクスを訓練生時代から指導してきたのも原作通り。本作では日本支部の支部長として登場。メロエの契約者となった緑谷に誓約書を出して組織に勧誘し、バザラガとベアトリクスの三人でチームを組ませる。
本作では管理職という立場にあるのか戦闘描写は少ないものの原作通りの強さを誇る。また他メンバー同様に乗り物の操縦もできる。
技
バースト・イレイザー:ニバスの力を解放して無数の弾丸を放つ。着弾した弾丸は大規模な爆発を起こす。