畜生道に堕ちたと思ったら五条悟の飼い猫になった件 作:鳳飛鳥
「だー! つっかれたぁぁぁあああ! 学生に押し付ける量じゃねぇだろ!」
「ふにゃぁぁぁ……」
梅雨時からお盆過ぎに掛けての呪霊繁忙期を終え、俺も御主人も疲労困憊な状態で寮の部屋でそんな声を上げていた。
「つか、ポチが居なけりゃ全部俺がやる事に成ってたんだろ? うわ、この世なのに地獄じゃん」
俺の呪術界での扱いは、正式に一級呪術師……として扱われる事は無く、飽く迄も御主人の飼い猫である呪術猫として御主人に振られた任務を代行し、万が一失敗した時には御主人が責任を持って対処すると言う所に落ち着いた。
その上で俺の反転術式アウトプットが回数制限は有るが瀕死の重症すら快癒出来ると言う事で、御主人に命じられた任務の中で俺に割り振るのは基本都内、遠くても隣県までとされ遠方任務は本人が行く事に成っている。
俺が居るから原作よりも多くの任務が御主人に割り振られた可能性も無くは無いが、現場に行けば御主人か夏油でも無けりゃ間違いなく事故るレベルの呪霊が相手と言う案件ばかりだったので、恐らく原作では二人でぶん回していたのだろう……そら病むわ。
ちなみに俺が残機を減らさざるを得なかったのは、領域展開を使って来た多摩ニュータウンに出現した特級呪霊の大狸と戦った時くらいだ。
俺が戦った大狸は特級仮想怨霊:鷹ヶ森の権太と呼ばれる個体で、多摩ニュータウン開発の際に多摩丘陵の動物達が住処を追われた事に対する人間の負い目が呪霊に成ったモノと想定されており、数年毎に多摩ニュータウンに出現していると言う。
その領域は恐らくは人間に開発される以前の多摩丘陵の森で、その術式は実体を持った幻影と言う極めて厄介なモノだった。
けれども猫ロケットパンチで幻影と本体にチクチクダメージを与えてやると、割と直ぐに領域展開を使って来たので、命がリソースに過ぎない俺にとっては割と戦い易い相手だったと言える。
領域展開で必中必殺を食らってもストックされた命を一個消費するだけで、相手の術式は焼け付き使用不可になり、こっちは復活したての万全な状態からの仕切り直しなのだから、領域対策と言う点では無法も良いところだろう。
幾ら特級呪霊とは行っても術式が焼き付いてしまえば、呪力が多くて硬いだけの呪霊に過ぎず、猫ロケットパンチや呪力で強化した爪の斬撃に噛み付き猫キック、更に
通常技でダメージが通らないなら命をもう一個コストにして自殺の縛りで殴っても良いし、相手が呪霊ならば反転アウトプットでぶん殴れば特効ダメージで特級でもイチコロである。
「特級も祓ったからなーお前の取り分大分溜まってるけど、なんか欲しいモノとかあるか?」
お互いベッドでゴロゴロしたままで、御主人が唐突にそんな話を振ってくる。
ちなみに俺が任務に行くのは基本的に深夜0時前後で、万が一命のストックを消費しても午前二時頃にストックが回復するのを見越して時間を調整していたりする。
ストックが満タンの時に時間が過ぎてしまうと反転一発分が勿体ないから、任務に行く前に回復が必要な術師が居れば回復してから出掛ける……と言う側面もあったりするので、徳を積むと言う意味では俺としてもお得と言えるだろう。
……なお繁忙期の間は殆ど毎日の様に1回か2回は、家入だけでは回復仕切れない術師に
「にゃー」
御主人に言われた欲しいモノは……まぁ有る、インターネットに繋がったパソコンだ。
未だスマートフォンが日本に普及していない現在、インターネットにアクセスしようと思えば、パソコンは殆ど必須と言って良い。
インターネットが一般に普及し始めて然程も経ってい居ない時期ではあるが、そろそろ既に某大手投稿小説サイトは稼働していた頃合いの筈だ。
インターネットが当たり前のインフラだった時代を生きた事の有る身としては、調べ物にせよ何にせよネットが無い生活は割と苦痛だった。
呪術高専の立地が立地だけに今の時点で光回線なんて贅沢は言わない、電話は通っているのだからADSLなら行けるだろう。
動画投稿サイトの類も俺の記憶が確かなら殆ど同じ頃合いにサービス開始していた筈だ。
俺は今無性にねこねこ動画が! ねこねこ動画が見たいんだ!
前世では保護猫活動が仕事だったし、定年後も保護猫猫喫茶を営んだりして、日々の殆どを猫たちと一緒に暮らして居たようなモンだが、今は俺自身が猫だと言うだけで他の猫との触れ合いなんかは0なんだぞ!? ストレスだって溜まるわ!
ソレにコレは御主人にもメリットが無い訳では無い、任務へ行く移動時間の暇潰し用にPSPやDSでゲームをする程度には年頃の若者らしい趣味を持っているのだ、インターネットに繋がるパソコンが有れば色々と捗るだろう。
この頃は俺が死ぬ前に比べりゃネットも未だ未だ色々と規制も甘かった筈だし、色々と捗るよね? 御主人も若いんだし!
そう言う意味では俺も割とそういう欲求が産まれて来ていたりする……オス猫は生後半年を少し過ぎた辺りでもう繁殖期に入るんだ……。
ねこねこ動画を見たいと言うのは、別にそう言う欲求を満たす為では無いがね。
流石に人間の感性を持ったままで転生して居るのにメス猫の画像で発情する様なレベルの高いケモナー趣味は無い……発情したメスが発するフェロモンに身体が反応してしまう可能性は0では無いがね。
なお御主人にも思春期相応の人並みには性欲は有るようで、ベッドの下にはその手の本が何冊か有るし、ソレを使う際にはわざわざ俺を部屋の外へと放り出すので、ナニをしているのかはバレバレだったりする……部屋に戻ると微妙にイカ臭いしな。
好奇心に負けて御主人が任務で留守の際に本を確認した所、彼の趣味は比較的長身で巨乳の金髪美女だと言う事が分かった……つか殆どが洋モノ無修正な辺り、真っ当な入手経路じゃないのは間違いない。
そう言う意味でもインターネットが有れば色々と捗るだろう……うん、伊達にMS-DOSの頃からパソコンを弄っていた訳では無い、串の刺し方やら海外の検索エンジンを使ってその手のサイトにアクセスする方法だって知っている。
原作では色恋沙汰とは程遠い人生を歩んで居たのだから、青春期の今くらいは
いやまぁ……御主人が洋物を好む理由はなんとなく分かるんだよなー。
御主人にとって殆どの他人は雑魚で有り、儚く散る花の様な存在だ。
ソレはどんなに美人や美少女でも変わら無いが、彼の見える範囲に居る者の殆どは日本人だ。
対してパツキン巨乳美女なんてのは、映画や洋モノグラビアでしか見る事の無い有る意味では別世界の住人だ。
身近な儚い花に欲情する事は出来ないが、別世界のパツキン美女になら興奮出来る……と言うのは同じ男として同情を禁じえない。
……同じ別世界と言う意味で二次元に傾倒するよりは健全と言えるか?
いやエロ漫画の類を否定するつもりは無いし、なんなら前世も女房が妊娠してる間とかにはその手のモノを買った事も有るしな。
でもやはり『二次元にしか勃たない』とか『彼女は画面の中に居る』などと言う極まったヲタク趣味は、不健全と言うか不健康というか……なんとなく忌避感があるんだよなぁ。
孫の一人にそっち系の中でも幼い少女が出てくるモノにしか興味を示さない……と言う者が居たのも、俺がヲタクカルチャーに否定的になる原因の一つかもしれない。
などと言う事は生前口にした事は無い、言えば恐らく女房にはパソコンヲタクがナニを言ってるんだ……と笑われただろうしな。
俺の性的嗜好? 歳で枯れたと思ってたんだが、新しい身体がそういう行為を求める時期に成って戻って来てるんだよなぁ……うん、家入に対して孫くらいの年齢の娘さん等と言ったが、あのスタイルの良さは正直言えば惹かれるモノがあります。
流石に猫の身体を活かして覗きだ何だの性犯罪に走るつもりは毛頭ないがね……だからこそ健全? に欲求を発散する為にもネットに繋がったパソコンが欲しいんだ!
……猫の肉体を持っているのに人間女性のポルノで発散するのは果たして健全と言えるのか? と言う疑問はこの際置いておく。
俺は欲しい理由を詳しく書く事はせず、ネット回線とパソコンが欲しいと言う事だけを携帯を借りて御主人に伝えるのだった。