畜生道に堕ちたと思ったら五条悟の飼い猫になった件 作:鳳飛鳥
取り敢えず俺の仔作りは春に成って御主人が大学を卒業した辺りでナスちゃんと光子さんを相手にもう一回ずつで終了と言う事になった。
ソコから先は俺の子ども達……特に救急九命を無事に引き継いだ『ヤマト』と名付けられた仔に頑張って貰う事になるだろう。
代を重ねればもしかしたら術式に耐えられる脳を持つ仔猫も産まれてくるかもしれないが、現状では救急九命の拡張術式である泰山府君の祭が無ければ猫の呪術師は産まれた直後に死んでしまうのだから……。
そんな訳で伏黒さん
ナスちゃんや光子さんとはskypeと自宅のPCを使って連絡を取り合い、リリちゃんはもう仔作りはしないとは言えソレで疎遠になるのは何となく不誠実な気がして時折顔を見せに行っている。
先日はその事をパパ黒に知られ『ハーレムクソ野郎』と言う極めて不名誉な称号を送られたが、原作のプロヒモをやっていた彼なら兎も角、此方の世界では女房子どもを大事にしている男なので言い返す事も出来やしなかった。
こんな感じの毎日だが全く変わった事が無い訳でも無い、高専の敷地内にアトリエを与えられ様々な呪具の製造と研究を主な仕事にしていた組屋がとうとう特級術師になったのだ。
ただし彼の場合は本人の強さが特級レベルと言う話では無く、コイツが好き勝手に呪具を作ると普通に国家転覆するんじゃね? と言う様な意味合いでの特級認定である。
そのきっかけになったのが先輩特級術師である夏油傑のコピー体を使った呪具と、九十九由基のコピー体を使った呪具の製造だった。
夏油のコピー体から作られたのは2つの呪具で、一つは『操霊櫃』と名付けられた骨と皮で作られた
うん、ゲロを丸呑みする苦痛が無い分、完全に夏油の呪霊操術の上位互換である。
更にヤバいのは、この鞄にはセキュリティ機能の様なモノは無く、手にした者が誰でも中の呪霊を好きに操れてしまうと言う事だ……中に入っている呪霊の量にも寄るが誰も簡単に夏油傑特級術師に成れるよ! やったね妙ちゃん! という話だ。
当然ながら問答無用で忌庫に封印である。
2つ目は夏油の胸骨と肋骨に背骨をそのまま使った鳥籠の様なモノで、此方も操霊櫃と同様に呪霊を閉じ込め操る為の品と言う点では同じなのだが、最大の違いは操霊櫃が複数の呪霊をそのまま閉じ込め自由に操れるのに対して、此方は1体の呪霊しか入らない点だ。
ソレならば操霊櫃の下位互換に過ぎないと思われるだろうが、なんと
繰り返し合体させて何処まで強い呪霊が作れるのかは、夏油傑本人が検証を行ったのだが、なんと数体の1級呪霊を合体させた結果、特級に認定せざるを得ないヤバい呪霊を産み出す事に成功してしまったのだ。
此方の関しては夏油本人が手持ちの呪霊を強化するのに使える、と4億円でのお買い上げである。
……なお操霊櫃の性能を見た夏油本人が血涙を流さんばかりの凄い形相で、組屋を見ていたのは俺と現役高専生だけの秘密で、御主人にすらその事は漏らしていない。
そして長い事塩漬けに成っていた九十九特級の素材だが……とうとう呪具として完成してしまった。
此方は彼女の素材を余す所無く使った感じで合計3つの呪具となったのだが、どれもこれも厄ネタばかりである。
1つ目は彼女の豊満な胸部を大胆に使った『
特徴は何故か男性が手にしようとすると異様な程に重くなり、女性が手にした場合にはその胸部装甲の厚みが薄ければ薄い程に軽くなると言う謎の仕様だろう。
その上で手にしたモノの意思で殴った相手に与える威力≒重量は最大で100tまでの範囲で可変だと言う、ぺったん娘が持てば凶悪な武器となる呪具だ。
対呪霊に関して言えば重量を増す=呪力が増すと言う扱いの様で、今期に新入生に居たぺったん娘(3級術師)に持たせて御主人同伴で1級案件に向かった所、余裕を持って祓えたと言うのだから、ヘタをすると特級でも数発で祓えるかもしれないと言う。
2つ目が彼女の四肢を脚としたテーブルで、このテーブルの上は天井に遮られるか10mの高さまで、重力が仕事をしなくなると言うコレまたヤバい代物だ。
単純に据え置きで扱うのであれば然程危険性は無いのだが、コレの真価はこのテーブルの上に大量のモノを浮かべて運ぶことが出来ると言う点にある。
更に悪用するならば例えばマンホールを開けてその中に仕込んで置くだけで、通りがかった車が確実に事故ると言うヤバいトラップとしても使えてしまうのだ。
まぁコレに関しては組屋のアトリエで、新しい呪具を開発する為の機材として使われているので、彼のアトリエへと呪詛師が押し込み強盗でもやらかさなければ問題にはならないだろう。
そして最期に登場するのは九十九特級の腰回りと頭を使った
何を考えてこんなモンを作ったのかは知らんが、九十九特級に見つかったらまず間違いなく粉々に粉砕された上で、組屋も同様の末路をたどるだろう。
なんせその見た目は黄金で塗装された九十九由基の尻の上に、やはり黄金で固められた彼女の頭部が乗っていると言うモノで、尻を開くと中に設置された鏡が出てくると言う代物なのだ。
呪具としての効果は彼女の眼窩に嵌め込まれている綺麗に磨かれた
この効果は九十九特級の術式とは何等関係無いモノに思えるが、彼女が星漿体だと言う事と、天元が浄界の中の事は大凡全て把握出来ると言う事を考えれば、ソッチ方面から出たモノだと推測された。
実際この呪具の効果範囲は天元の浄界内に限られており、北海道や沖縄を含めた海外までその効果は及ばないのだ。
呪霊や呪詛師の被害を追いかけると言う目的で使う分には極めて有効な呪具では有るが、残念ながらその対象は呪術師にも及ぶ為、プライバシーへの配慮と言う観点からコレは総監部預かりと言う扱いになった。
「俺は知らん、材料を眼の前にしてインスピレーションのままに作ったら、何となく効果が発揮してるだけなんだ!」
と、言うは組屋の弁であり、色々とアレな見た目の九十九特級の呪具に彼の性的嗜好は反映されいないと言う。
「で、例の件はどうなったんだ? やっぱヤバい呪具になったのか?」
特級呪術師……と言うか特級呪具師と言う彼の為に新設された肩書をぶら下げた組屋の元に今回持ち込まれたのは、天与の暴君『伏黒甚爾』のコピー体だ。
術式どころか呪力すら無い天与呪縛のフィジカルギフテッドを材料にしたら、彼は一体どんな呪具を作る事が出来るのか、そんな興味本位で1億と言う金を出したのは当然と言えば当然だが御主人である。
『血の一滴で1億たぁ豪儀だな』と笑いながらコピー体を差し出す事に同意した彼だったが、実際に自分のコピー体を眼の前にしてその笑いは凍りついていた。
何せ魂が入ってない筈のコピー体は、凄まじいと表現して間違いない程の呪力を秘めていたからだ。
つまり天与呪縛に縛られた魂が無ければ、潜在的に彼には莫大と言って良い呪力が有ったと言う事だからである。
更に御主人が六眼で見定めた術式……ソレは何と、息子と同じ『十種影法術』だったのだ。
天与呪縛さえ無ければ彼は次期禪院家の当主だった可能性が有ると言うのと同じである。
色々と思う所は有った様だが、彼はその全てを歯を食い縛って飲み込み
「今までが有るから今の俺が居るんだ!」
と、見栄を切って見せていた。
「いやーアレはヤバすぎてまだ手を付けれてねぇ。九十九特級の呪具だって技術が追いついたから直ぐ作れた訳じゃねぇからな? 何年も構想を練ってやっと形に出来たんだ。コレも多分おんなじ位時間かかるんじゃねぇかな?」
曰く呪術師や呪詛師を素材化した場合、その者の実力次第で扱い易い素材になるか、扱いの難しい素材になるかは大きく変わると言う。
同じ人物でも何時のコピー体かでその性質が変わるのは、初代歌姫バットと現在使われている4代目歌姫バットの制作難易度と性能差で、間違いない事実であると検証済みらしい。
「そういう意味ではお前さんは全然成長してねぇっぽいんだよなぁ。にゃん²バズーカも黒皮も、マニュアル通りに作業すりゃ俺じゃなくてもある程度技術のある呪術師なら作れっからなぁ」
猫の年齢で6歳は40歳を回った辺りで肉体的な成長はとっくに止まっている、精神面での成長はしていないかと言えば
呪術師としては幾つか拡張術式を作ったりして成長して居ると思うのだが、恐らくはソレだけでは素材の質までは変わらないのだろう。
ちなみに黒皮は量産出来る状態では有るが、あまり作りすぎて管理しきれなくなり、呪詛師に流れたりすると不味いと言う判断から生産と管理は総監部が一手に握っている。
なおこの度禪院家からの要望が有ったので、新規に生産された黒皮がかの家に寄贈された事も付け加えて置こう。
……本当に量産出来る特級呪具って何なんだろうな、呪具の価値と希少性を根底からひっくり返す可能性のある俺達は、セットで総監部から厄物認定を受けているのだった。