畜生道に堕ちたと思ったら五条悟の飼い猫になった件 作:鳳飛鳥
「
翌朝、日も明けきらんウチに目を覚ました少女が英語で何やら捲し立てる。
猫に英語は分からない……嘘です、英語圏で生まれ育った猫ならば普通に英語を理解する筈で、単純に俺が日本語以外の言語を余り理解していないと言うだけだ。
……一応は大卒だろって? 卒業から50年近く使ってない知識なんざぁ忘れるに決まってるだろ!
「
対して流石は現役東大生と言う事か、家入が彼女に英語で応じる。
……なお訳文が添えられているのは、現在の高専養護教諭が英語が通じていない俺に対して通訳してくれているからだ。
そんな訳でここからは日本語翻訳のみでお送りする。
「嘘! ノアはサイキッカーを甘い言葉で集めて、洗脳したりして好きに使ってるじゃない! 私は騙されないわ!」
「いや、私達はそのノア? って連中じゃない。日本の呪術師……あんたら風に言うならサイキッカーを擁する国の組織だ。アンタは死にかけてたのをウチの構成員が救助し、治療を施したんだよ」
「ノア……じゃない? 確かに、貴方は日本人に見える、ノアには日本人は居ないから……でも中国人や韓国人は居たわ。私達から見るとアジア人は今ひとつ区別がつかないから……」
「ソレを言われたら私から見ればアンタも欧米人としか分からないよ? まぁ人種の問題は兎も角、私が日本人で日本の国が組織したサイキッカー集団の構成員なのは事実だよ」
「分かったわ、先ずは暴れないからこのロープを解いて頂戴。それからちゃんと話をしましょう」
「縄を解くのは良いけど、ソレでおかしな真似をしようとは考えるなよ? ここにはちゃんと戦闘要員も同席してるからな?」
少女がソレを聞いて抵抗する素振りがないのを確認してから、家入は彼女をベッドに縛り付けていた呪縛ロープを解いて行く。
「お礼が送れて御免なさい、助けてくれて有難う。私はウェンディー・ライアン、オーストラリア人よ」
ウェンディーと名乗った少女の言に依れば、彼女はオーストラリア先住民族の血が入った呪術師で精霊と会話し操る術式を持っているらしい。
オーストラリアは先住民族の
しかし彼女の姉クリスは自身が持つ超能力≒呪術に興味を持ち大学で
今の時代、インターネットさえ有れば世界中どことでも連絡は付く、実際彼女達も1日と日を置くこと無く連絡を取り合っていたらしい。
しかしソレが変わったのはあの鏡面伝言事件の後だ、クリスは生きたサンプルが無数に集まるだろうシャフト・エンタープライズの超能力者救済プランに研究者の立場で協力すると言い残し以後連絡が途絶えたのだそうだ。
そして先ずはイギリスへと向かいクリスを知る者を訪ね情報を集め、シャフト・エンタープライズ・ユナイテッド・キングダムにも問い合わせ、更には後ろ暗い連中とも金銭と暴力で取引し彼女が日本に向かったと言う事を突き止めたと言う。
1億2千万の人口を抱える日本でたった一人の人間を個人で探すのは、殆ど不可能と言って良い行為だ。
相手が日本人ならば未だ戸籍等を調査する事で現住所を突き止める事も可能だろう、同じく外国人でも正規の在留許可証を取っているならば帳簿上の現住所を調べる事も、法曹関係者なら出来なくは無い。
日本に来てから東京の余りの人の多さに愕然としていたウェンディーだったが、その身に纏う精霊の導きか、それとも運命のイタズラなのか、はたまたただの偶然か、上野恩寵公園で一休みしていると、ソコに対一般人用の認識阻害結界を纏ったクリスが来たのである。
当然、ウェンディーはクリスに話しかけ再会を喜ぼうとするが、相手は自身はクリスでは無くソニアだと言い、結界が張られているのに声を掛けて来たノアの構成員以外の人物=敵と判断し戦闘になったのだそうだ。
世の中には3人は似たような容姿の者が居るとは言うが、自称ソニアにはウェンディーが幼い頃に術式の暴走で付けてしまった傷跡がそのまま残っており、別人と言う事は絶対に無いと熱弁する。
「だからシャフト・エンタープライズ……クリスはノアと言っていた組織がクリスを洗脳してソニアなんて言う別人格を植え付けて自分たちの良いようにクリスを使ってるのよ! 私はクリスを取り戻す為にノアと戦うわ!」
彼女の言い分は多分に彼女の主観が入ったモノで100%信じて良いモノでは無いだろう。
けれどもシャフトが外国人社員を日本に集めていると言う情報と、彼女から齎された超能力者集団ノアと言う組織は、まず間違いなく一本の線で繋がる情報に違いない。
「まぁ落ち着きな。ウチは国の機関だけ有って警察との繋がりもあるし、政府組織が持っている情報を照会する権限も持ってる。アンタの姉妹クリスさん? が正規のルートで日本に入ってるならソレを確認が取れるから、情報が揃うまではウチで待機してなよ」
家入の言葉に少し迷う素振りを見せるウェンディー。
当然と言えば当然だろう、我々が日本政府に属する組織だと家入は言うがソレを保証する証拠と言える様なモノは彼女に何一つ提示されていないのだ。
「……うん、貴方を、貴方達を信じる事にする。私を助けてくれたのは間違いないし、治療もしてくれたんだから。それにしても私がクリスから受けたダメージはそう簡単に治る様なモノじゃない筈なのに、どうやってこんな綺麗に治したの?」
「ん? ああ、反転術式知らないの? まぁ他人に反転掛けれる人材は日本でも希少だし、知らなくても不思議は無いのかな?」
「反転術式? なにそれ?」
……どうやら彼女はと言うか海外の呪術師と言うモノは全般的に、日本と比べると呪術に関する理解度が低いらしい。
日本にも高専や総監部とは別に北海道のアイヌ呪術連や沖縄のマブヤ呪会と言った天元の浄界に依存しない呪術集団は存在しているが、彼等は総監部が未だ陰陽寮だった頃から細くでは有るが交流が有ったと聞いた。
お陰で現在でも彼等は総監部から見ても決して無視して良い勢力では無いらしいが、海外となるととたんに話が違って来る。
一神教系統の宗教が
ウェンディー自身は先住民族の者達と深い付き合いがある訳では無く、極々普通に都市部で暮らしていたそうなので、そうした伝統呪術とでも言うべきモノを学ぶ機会は無かったのだろう。
ちなみに超心理学を大学でクソ真面目に研究している英国には、昔はドルイドと呼ばれる呪術師達がいたそうだが、彼等は既に一神教の手で駆逐済みらしい。
……にしても御主人、この娘を助けたのって『好みのタイプだったから』とかそう言う理由じゃねぇだろうな?
赤味がかった金髪で容貌も欧米系のバタ臭さを感じさせつつ愛らしいと言える顔立ちで、小柄ながらに出る所はしっかりと出ているのが医療用の患者着の上からでも良く分かる所謂トランジスタグラマーと言う奴だ。
高専時代に俺が発掘したエロ本の傾向を見るに彼女は、割と外角低めだがギリギリストライクゾーンには入っている気がする。
普段の御主人なら自分が捕獲した相手だとしても、目覚めるのを近くで待つ様な事はせず、高専の職員に丸投げして終了だと思うのだが、昨日は家入が来て治療が施されるまで医務室の外で待つと言う時間の使い方をしていた。
……あわよくば彼女と友好的な関係を築き、お近づきに成りたいと言う欲望がある様に思うのは、穿った見方をし過ぎだろうか?
まぁ御主人は反転術式をモノに出来ずに何処かでくたばるか、もしくは原作同様に両面宿儺に敗れでもしない限りは五条家と相伝術式を後世に残す為にも呪術師の嫁さんを貰う必要があるだろうし、彼女を娶ると言うならば誰も反対はしないだろう。
寧ろ海外発祥の珍しい術式をその血に取り込めると、後押しする者も少なく無い筈だ。
とは言え英語の出来ない俺にはこの面で御主人の手助けをする事は出来ず、やれるのは健闘を祈る事だけである。
……原作の知識だけで言うなら、五条悟の庵歌姫に対する弄りは、小学生男子にありがちな『好意を持て余して意地悪してしまう』と言う類のモノだと思ってたんだがなぁ。
まぁ現実と創作の世界は違うと言う事だろう、取り敢えずは御主人の携帯に彼女が起きたとメールして、ソレから夜蛾学長に彼女から聞き取り出来た事を報告しに行くとしよう。
取り敢えず彼女は家入に対しては警戒を解いている様子なので、直ぐに2人を引き離すべきではない、そう判断した俺は通訳を買って出てくれた養護教諭にその旨を伝え、医務室を後にするのだった。
筆者は英語が苦手です、英文はGoogle翻訳を利用し作ったモノなので文法や単語の選択に誤りがある可能性が高いです、ご容赦ください