畜生道に堕ちたと思ったら五条悟の飼い猫になった件   作:鳳飛鳥

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キャンパスライフと突然の炎時

 1限2限と続けて講義を受け終わり昼休みへと入る、次の講義は4限なので暫く時間が開くのでちょっと豪華な昼飯を食いに行こうと、先輩におすすめされた大学近くの定食屋へと向かう。

 

 学生向けの店と言う事もあって決して高級店と言う訳では無いが、比較的リーズナブルな価格帯で腹を減らした大学生、ソレも一般的に見て育ちの良い東大生が満足する様な食事をかなり昔から提供し続けていると言う店だ。

 

 編入してから何度か行った事が有るが、どのメニューを選んでも外れを引いたと思った事が無いのだから、玉石混交が酷い都内の飲食店としては上から数えた方が早いだろう良い店と言える筈である。

 

 さて今日は何を食べようか……と、その店へと向かう途中東京メトロ根津駅近くへと来た所で見たくないモノが目に入った、

 

「クソ! 2日続けてかよ!」

 

 ここから少し離れた所に有る中谷霊園の上空に結界を張って戦っている呪術師と思わしき者達がいたのである。

 

 何故奴らは真っ昼間から呪い(殺し)合って居るのか、やるならちゃんと人目につかない真夜中に、もっと郊外の死体処理に失敗してもそう簡単にバレない場所でやれ! 

 

 そんな気持ちが渦巻くが、高専は卒業したが所属としては未だ高専の呪術師である、昨日の様に決着を待ってからだと何方も取り逃す可能性が有る。

 

 夏油の話ではあの結界には1対1を強制する縛りが含まれている様で、介入した時点で何方かが結界の外に弾き出されると言う。

 

 それで残った方が有効的、或いは中立で交渉可能な相手ならば良いが、敵対してきた時にはぶん殴るしか無い。

 

 まぁ幸いあの結界を使っている連中はどうやら素人の様なので、敵対してきたとしても自分が負ける事は先ず無いだろう。

 

 運が良ければ交渉、駄目ならぶっ飛ばして捕獲し高専で尋問すれば良い。

 

 高専所属の呪術師相手に戦闘行動を行った時点で、総監部の認定を待たずに呪詛師として扱っても問題になる事は基本的に無いのだから。

 

 問題が有るとすれば、戦闘し捕縛して高専へと移送した時点で、恐らく4限の講義に間に合わないだろう事だが、幸いその講義は出欠を重視していない教授なので、後から同じ講義を取ってる友人にノートを借りてコピーを取れば何とかなる……筈だ。

 

 目に見えている距離ならば蒼を使っての転移も然程脳に負担を掛ける事も無い。

 

「結!」

 

 故に五条は手早く認識阻害結界を張り、未だ戦闘を続けている者達へと介入する為に跳ぶ。

 

『HERE COMES A NEW CHALLENGER!』と言う声が何処からか響き渡り、結界のほぼ中心部へと移動が強制された。

 

 目の前に残ったのは恐らくは自分より少し年下くらいの、逆立てた金髪の前髪に一筋赤いメッシュを入れた白人男性だ。

 

「うわ、やべぇ術式持ってんじゃん……(ここから英語)俺は呪術高専東京校に所属する一級呪術師五条悟だ。真っ昼間から呪術戦をしているのを確認し介入した。お前さんが悪党の類じゃ無いなら戦う気は無い。先ずは話あわないか?」

 

 五条の持つ六眼に移った男の生得術式は、炎を放ち呪力を燃料に燃え続けると言うモノで、その燃料は自身の呪力だけでは無く相手が呪術師ならばその呪力すら燃料に変えると言うモノである。

 

 無下限呪術に依る無限もまた呪力に依って発生している以上は、奴の術式から放たれる炎を無下限で受け止めれば呪力が尽きるまで燃え続ける可能性は割と高い。

 

 更に戦いたくないと思わせるのは、その炎で焼却された場合、魂すらも焼き尽くす可能性を六眼は示唆していた。

 

 反転術式は魂から肉体の設計図を引っ張り出して修復するモノだ、故に奴の術式で例えば腕一本燃やされた場合、ポチの反転術式ですらその負傷を回復出来ない可能性がある。

 

「(こちらも英語:以下略)ああ゛!? いきなり出てきて何言ってやがる! そもそも呪術高専ってなんだよ!? テメェもキースの言うサイキッカーの為の世界とやらの為に、無関係の人間を殺すってんなら俺がぶっ飛ばすぞ!?」

 

「呪術高専ってのは日本政府の管轄下にある呪術師……お前等風に言うならサイキッカーを統括する政府組織だよ。言うならば俺はサイキッカーの警察官って所だ。抵抗しないならこちらとしても戦闘する必要は無いし、話合いで解決出来るなら何よりだ」

 

 鼻息の荒い少年に対して、五条は両手を肩の高さに上げて戦う意思が無い事を示す。

 

「……確か日本はサイキッカーに対する法制度が他の国に比べりゃ整ってるとは聞いている。ソレにアンタにはどう見てもマトモにやり合えば、俺が無傷で勝つってな目は無さそうだ。OK、話し合いだってなら先ずは下に降りようぜ」

 

 術式的に飛行能力を持っている様には思えないが、結界を出て無事に地上へと降りる方法が彼にはあるらしい。

 

「OK、んじゃそーだな。あのビルの上に降りよう、彼処なら一般人に見咎められる事も無いだろう。んじゃ俺は先に行くけど逃げるなよ?」

 

 そう言って五条が指し示したのはこの辺では一番高いと思われるビルの屋上だ。

 

「逃げやしねーよ。俺としても奴らと戦う事を考えりゃ、この国のサイキッカーと共闘出来るに越した事ぁねぇ」

 

 彼の返事を待って五条は蒼で目的のビルの上へと一瞬で降り立つ。

 

 ソレを追って少年は五条が普段使うのと同様の、重力遮断と一般人に対する認識阻害の結界を張って戦闘結界を離脱した。

 

 どうやら戦闘結界は内部に居るモノの呪力で維持されている様で、2人が外に出た瞬間ガラス窓を砕いた様に粉々になり、そのまま浄界中の呪力の中へと紛れ消えて行く。

 

「改めて名乗ると俺は呪術高専所属のサイキッカー五条悟1級だ」

 

「俺はバーン・グリフィス。所属と言うならリバーシティハイスクールの3年ってくらいか? あ、アメリカ人な」

 

 ビルの上へと降り立った2人は先ずは簡単な自己紹介を済ませる。

 

「で、何だって昼間っからあんな所で闘ってたんだ?」

 

「偶然ちゃぁ偶然なんだが……ノアの最高幹部の一人と遭遇したからだな。アイツ等の企みは絶対止めなきゃならねぇ! 確かに今の世の中はサイキッカーにとって窮屈かもしれねぇけどよ……だからって力尽くでサイキッカーが世界を支配するとかアホだろ?」

 

「は? サイキッカーが世界を支配する? なんだその誇大妄想と言うか、中学二年で卒業しなきゃ行けない痛い発想と言うか……えぇ? ソレガチで言ってる奴らが居るわけ?」

 

「ああ、そのトップに居るのが、俺の昔のダチでキース・エヴァンスって奴らしいんだ。んで俺がやり合ってたのはその副官でリチャード・ウォンって中国人だよ」

 

「いや、お前さんなんだってそんなに敵対組織に詳しいの? ふつーの高校生なんだよな?」

 

「ああ、あの世界中の鏡に映った文章はアンタも知ってるよな? アレを書いたのはキースの奴で間違いない、アイツのサイキック・パワーを俺が見間違える訳が無いからな。ソレでシャフトに行って他の連中と一緒に日本に来たんだわ」

 

 そんな言葉から始まったバーンの話に依ると、シャフトの窓口ではサイキッカーとして迫害されない新天地として、既にサイキッカーに対する法制度がしっかりして居る日本へとシャフトの手配で渡航してきたのだと言う。

 

 当初は慣れない日本での生活に不安を抱えていたサイキッカー達だったが、確かに日本では外国人と言う意味で好奇の視線に晒されることこそあれど、地元で受けた様な迫害と言える事は全く無かったらしい。

 

 そうして暫くしてからシャフト≒超能力集団ノアは、彼等に超能力を活かした仕事をしないか? と言って来たと言う。

 

 仕事もせずに会社の世話になり続ける事に抵抗感を覚えていたサイキッカー達は、当然ソレを両手を上げて歓迎し、最初は開発中のゲームのデバッグと言った作業から始まり、徐々に多くの仕事を与えていったのだそうだ。

 

「運が良かったのか俺はそうした迫害と言う様なモノを受けて来た訳じゃぁ無くてな、キースの野郎とまた馬鹿やりたくてアイツに会う為に日本に来たんだ。けどアイツがさっき言った様な馬鹿な計画を立ててるのを知っちまってな」

 

 当然、その時点で彼は組織のトップだと言うキースに翻意を促したが、周囲にいた複数の幹部から攻撃を受け命からがら組織の本部を脱出したのだという。

 

「成る程なー、了解した。高専としてもそのノアって連中の目論見は潰さなアカン奴だわ。んじゃ向かえを呼ぶからさ、その車乗って先に高専に行っててくんね? 俺大学生も兼任しててさ、4限に講義入ってるんだ……」

 

 と、そこまで言った瞬間だった、五条の腹に何処から現れたかも分からない中国武術で使われると思われる刃渡り1メートル近い直剣が突き刺さり、更に50センチ程の直剣が12本無下限を無視して突き刺さった。

 

「ははは、まさか! まさか此処であの五条悟を、呪術界の最強を仕留める事が出来るとは! やはり天意は私にあるのでしょう! そこの薄汚いヤンキーも今は見逃して上げましょう。私は今最高に気分がよい!」

 

「ウォン! テメェ!?」

 

 そう言って唐突に姿を表したのは、無駄に派手な龍の刺繍が入った白いスーツを纏う眼鏡の中国人リチャード・ウォンだった。

 

「五条悟はこのリチャード・ウォンが獲った! 5億の懸賞金はまぁ端金ですが、彼を殺したと言うネームバリューは金では買えませんからね。さぁ退きなさいヤンキー、私はソレを持ち帰らなければならないのですから」

 

「巫山戯んな! 目の前で仲間を殺られて引き下がる男が居るかよ!?」

 

「仕方がありませんね、では貴様も殺してから五条悟の死体を持ち帰るとしましょう」

 

 そう言ってウォンが指を弾くと再び戦闘結界が構築され、2人は空へと舞い上がるのだった。

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