畜生道に堕ちたと思ったら五条悟の飼い猫になった件 作:鳳飛鳥
猫が交尾する際に雌猫が雄猫に対して攻撃するのは、雄猫の逸物に雌猫の排卵を促す為のトゲが生えており、ソレが刺さって痛いからだと言う。
なので行為の後に雌が雄を攻撃したならば、大体の場合交尾には成功しているし、猫は刺激で排卵する性質の動物なので交尾成功時の妊娠率は概ね100%である。
はい、成りました無事に6児の父です。
とは言え、出産したと言う連絡を九十九特級から貰ったと言うだけで、未だ仔猫たちには会ってないんだよなー。
自分の子どもだと言うのは抜きにしても、仔猫は仔猫だと言うだけで可愛いのだから、見に行きたいんだけどなー。
仔猫らしい仔猫なんてのは生後4ヶ月の間だけで、ソレを過ぎてしまえば殆ど成猫と変わりゃしない。
まぁ相手もメインクーンの血が入っていると言う話だし、恐らくは俺もその血が入っているからこその巨体だ、1年で完全に身体が出来上がる訳では無く、2年か3年は肉体の完成に時間が掛かるんだが……半年から1年経てば成猫扱いで良いのだろう。
ちなみに九十九ナスちゃんは法的人格を取得していない九十九特級の飼い猫と言う扱いで、産まれてくる仔猫に関しては呪力を持つ仔猫と術式を持つ仔猫は生後半年で五条家が引き取り、ソレ以外の仔猫は九十九特級の判断で里親に出すか自分で飼うかを決めるらしい。
但し里親に出す際には、必ずその血筋を追う事が出来る様にするか、事前に避妊手術を済ませてから譲り渡すか様にするとわざわざ縛りまで結んで約束したと言うのは少々おおげさな気がするが、呪詛師に俺の術式が渡る可能性を考えれば当然の事なのだろう。
え? 結局ナスちゃん相手に行為はちゃんと出来たのかって? 出来たから子どもが産まれたんだよ。
視覚的な意味では当然興奮しなかったんだが、禪院真希を思い起こさせる様な声で誘われ、明確に臭いを感じた訳では無いが恐らくはフェロモンに依るモノと思わしき肉体的な反応はしっかり有って、やる事はヤッてしまったのだ。
「さて、ポチ! 無事に1児じゃねぇな6つ子だから6児の父になった気分はどうだい?」
「
まぁより正確に言うならば子育てをしたいのでは無く、仔猫を可愛がりたいと言うのが本音だが……うん、子育てって奴はただただ可愛がるだけでは駄目できっちりと良い事悪い事を教え、何をしては駄目で何をすれば良いのかを躾ける事こそ大事だと理解はしている。
けれども前世ではその辺を全部妻に丸投げで、普段の生活で子どもに関わっていたのは、本当に幼少の頃に風呂に入れてやっていた事くらいなんじゃぁ無かろうか?
上の娘も下の息子も猫好きに育ってくれたお陰で、俺が猫を第一に保護猫活動と言う仕事に邁進している事には理解が有ったし、趣味のパソコン弄りも俺が居ない時は子ども達のおもちゃに成っていたので割とセーフ扱いだったのは本当に恵まれていたと思う。
NECのパーソナルコンピュータPC8801は俺が29歳と言うギリ三十路手前の時期に発売されたパソコンで、ソレを買う前は未だもう少しは子育てに参加する意欲が有ったと思うんだ。
けれどもアレに手を出しズブズブとPC沼にハマってからは、休みの大半をPC弄りに費やす様になり、自作PCに手を出した辺りからは秋葉原でのジャンクパーツ漁りにも時間を使う様になり更に家族とは疎遠に成った気がする。
使う用途も無いのに組むだけ組んだパソコンは、材料費と少しの手間賃だけで職場の同僚や子ども達の友人家庭に放流してたので、2000年前後はウチの回りのパソコン普及率は恐らく異常に高かったんだろうな。
そうして放流したパソコンのトラブルに関する対処方法なんかは、きっちり子ども達にも教えたので、その辺は子ども達の人間関係にも良い結果を与えていた……と思いたい。
……世の中には『コレが出来る』と言うと、何でも『
放流したパソコンだってジャンクパーツの寄せ集めの激安PCだってのに『〇〇で売ってたパソコンには□□ってソフトが入ってた!』とか、じゃぁ〇〇で正規品を買って下さいって話だってーの!
トラブルシュートだって親しい友人関係なら『この程度なら飯一回奢ってくれればチャラね』と笑いながら言えるが、然程親しい訳でも無い相手から『何か部品を買った訳でも無いんだから無料で良いでしょ?』とか言われた二度と手助けしねーよ! ってなるわな。
「ちなみに術式や呪力の確認で仔猫達を俺は見てきたけど……ミックス同士だと毛色は割とランダムなんだねー。三毛と茶トラも居たしポチそっくりの黒猫やナスちゃんと同じ様な柄の仔も居たよ。あ、術式持ちは居なかったけど呪力は全員ナスちゃん以上だったよ」
つまり全員呪力持ち……え? 一代でソレって割と凄くね?
ナスちゃんの呪力は人間の呪術師で言うなら3級が精一杯と言う感じでは有ったが、ソレ以上と言う事は子ども達は最低でも2級前後の呪力があるって事だろう?
純粋に呪力だけを見て一族を作っていくならば、近親婚を繰り返せば恐らくは呪力を高めて行く事も出来るんだろうが……生物学的に遺伝子トラブルの類が怖いのでやるべきでは無い行為だと思われる。
「そんな訳で、今回のポチの仔達は全員五条家で引き取る事になりましたー」
パチパチと拍手しながらそう言う御主人。
「気を付けろよ? 猫は飼育環境下では余程気をつけないと爆発的に増えるぞ? 猫は多ければ年に3、4回は発情し出産する、その度に4~8匹産まれるんだぞ? ちゃんと管理しないと3年で2000匹とか行くからな?」
猫を多頭飼いするならば必ず避妊手術は受けさせるべきである。
猫の繁殖力は野生動物の中でも驚異的と言っても良い程で、そもそもとして交尾した際の妊娠率はほぼ100%で、野良環境ですら年に2、3回は妊娠出産をし、その度に4~8匹の仔猫が産まれてくるのだ。
しかもその仔猫たちも半年から1年程で交尾が可能なまでに成長するのだ、まぁ野良環境下では仔猫のウチに亡くなる仔も一定数はいるから、多頭飼いの飼育崩壊程エゲツナイ速度で増殖する事は無いが、ソレでも野良の放置は割とヤバい。
多頭飼いの飼育崩壊現場は前世で何度も見たが、殆どの場合『子どもを産めなくするのは可哀想』と言う極々普通の感情から仔猫を産ませ、その仔猫達を最初のウチは知り合いなんかに里親に出す。
けれどもそんな無限に引き取り手が居る訳も無く、そのうち引取先が無くなってソレでも繁殖を繰り返し、仔猫が成猫に成って本能のままに交尾を繰り返した結果、猫なのにねずみ算式に増えて行って飼育の限界を超えるのだ。
そこまで行った現場は大概の場合、糞尿の処理も満足に出来ず、餌も頭数に見合った量をしっかりと用意出来ず、本来ならば仔猫のウチに済ませておくべき様々な予防接種なんかもしておらず、病気が蔓延していたりする。
避妊手術を可哀想と思うより、そうした飼育崩壊でエゲツナイこの世の地獄とでも言うべき状況に陥る方が余程可愛そうだと思うのだ。
「あー、そのへんは一応大丈夫かな?
……血統書付きの猫を生産するには、血統書付きの猫同士を掛け合わせて行くのは極々普通に行われている行為だし、中には本来推奨されていない種類猫種を掛け合わせ売れ筋の見てくれを作り出すと言う業の深いブリーダーモドキも居たモンだ。
利益を最優先し親猫の健康を顧みず劣悪な飼育環境で仔猫を量産する
70年代終盤にアライグマとの生活を描いたアニメが流行った時には、北米から大量のアライグマを持ち込んだ馬鹿な業者とソレを安易に売った阿呆なペットショップが日本全国に有り、ソレが後にアライグマの大繁殖を引き起こした原因なのだ。
アライグマを買い付けに行った者達は、現地民から『ペットにするのは不可能な害獣だ』と忠告を受けたと言う話もあるし、何なら件のアニメはアライグマとの共生は不可能だと言うオチで終わるのだから本当に救いが無い。
時代と言えば時代なんだろうが……金になるならば何でもやると言う馬鹿な人間は、何時だって何処にだって居る者なのだ。
「ブリーディングは良いが、やるならシリアスブリーダーを目指す様にしてくれ。キティーミルの様な真似やバックヤードブリーダー程度の感覚でやるならばソレこそ呪霊を産むだけになるぞ?」
シリアスブリーダーと呼ばれるのは、血統書の管理は勿論の事、健康管理や栄養管理等もしっかりと行って特定の品種を守る事を第一に考えている、言わば特定種の専門家と言えるブリーダーである。
彼等は儲ける事を考えるよりも、先ずその品種への愛が第一であり、誰の手に渡るかも分からないペットショップに仔を卸す事は殆ど無い。
対してバックヤードブリーダーと言うのは『うちのコ可愛い』から始まって、その血筋を残したいと考えて繁殖を始め、専門知識や経験に欠け、様々必要とされる予防接種なんかも適当だったりする……素人ブリーダー、或いはブリーダーモドキだ。
ペットショップで個体がケージ入れられて売られている場合、ブリーダー直営店では無いならば大概はペットオークションと呼ばれる競り市から仕入れる事になるが、直営店でもパピーミルの直営だったりする事もあるので注意が必要である。
そのへんを深堀りすると正直長編小説が一本書けてしまうレベルの、クソ重い上に面白く無い話になるのでこれ以上言及するのは辞めておくが、少なくとも自分の仔達がそうしたエゲツナイ世界にどっぷり浸かるのは絶対にNo! だ!
「……おおう、流石は元動物愛護団体職員だけあって、その辺はガチだね。うん大丈夫になる様にきっちり釘さしておくよ。んで、次の見合いの話が来てるんだけど、相手は加茂家の猫らしいんだよね、なんか分家で飼ってた猫を良く見たら呪力が有ったとか」
……加茂家の猫って、大丈夫な奴かソレ? メロンパンと繋がってないか? 寧ろ俺の存在メロンパンにバレたんじゃないだろうな?
「人語が分かって呪力があるなら、後は見合いだろう? 向こうが断ればソレまでだし、こっちが受け入れ辛い相手でもソレまでだ」
色々と不安は有るが、話が出ている以上は会いもせずに断るのは無しだろう、そう判断し俺は渋々その申し出を受ける事にしたのだった。