アクションバース “キン肉マンⅡ世VSアクション仮面”   作:速筆魔王LX

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第061話 “顔・技・力”三位一体のツープラトン!

 スーパー・トリニティーズのオリジナルツープラトン、その名も“スーパー・トリニティー・コラボレーション”。

 ビーフケーク・ハマーとゴリー・スペシャルをかけ合わせた脳天激突技は、得体の知れないオカマ魔女ふたりからダブルダウンを奪った。

 

『マカオとジョマがダウ~~ン!』

 

 マカオとジョマは大の字に倒れ込み、ピクリとも動かない。

 その傍らで、見事な連携技を成功させたジェイドとスカーフェイスがピタリと停止。

 カメラに向かってそれぞれ決め顔を作った。

 

『そして見事ツープラトンを決めたふたりは背中合わせでこの顔つき! まさに顔・技・力の三要素を惜しげもなく見せつけるコレボレーション・アーツだ――っ!』

 

 中継先の春日部スタジアムでは黄色い悲鳴が飛ぶ。ふたりは春日部在住の児童を持つお母様方からの人気も高かった。

 リングサイドで観戦していたイリューヒンとチェック・メイト、そしてマサオくんも大興奮だ。

 

「いいぞジェイド! スカー!」

「ふたりとも顔がいい!」

「やりゃあできんじゃねえか!」

 

 さらに黒い球体の檻に囚われているネネちゃんも、大喜びで体をクネクネさせる。

 

「キャー! 見て見て! あれがネネのために闘うふたりよ! カッコよすぎてネネ困っちゃ~う!」

 

 タッグマッチにおいて、ツープラトンの成功は勝負の行方を決定づける重大な要素。

 しかし試合はまだまだ中盤戦。

 かつてヘンダーランドを手中に収めた侵略者ふたりが、この程度で沈むはずはなかった。

 

「調子に乗るんじゃ」

「ないわよ」

 

 ガクガクと不気味に体を震わせたマカオとジョマが、キャンバスに這いつくばった状態から動き出す。

 まるでブレイクダンスのフリーズのように見事な倒立姿勢を取り、両脚をトリニティーズのふたりに向けて突き上げた。

 

「グオッ」

「ウアッ!?」

 

 油断し切っていたジェイドとスカーフェイスの鳩尾に、下からの強烈な一撃が炸裂。

 蹴り上げの勢いのまま、マカオとジョマはハンドスプリングで立ち上がった。

 

『あ――っとダウンしていたはずのマカオとジョマが倒立しながらのキックで戦線に復帰――っ!』

 

 ぴったりと身を寄せ合い、何度目かのバレエ的なポージング――マカオとジョマなりのファイティングポーズを取る。

 

「そんなにプロレスがしたいんなら私たちにも考えがあるわ!」

「見せてあげましょう! オカマ魔女のコンビネーションを!」

 

 そう叫ぶやいなや、マカオが突然くるりと身を翻し、リングの外へ飛び出していった。

 

「トウ――ッ!」

 

『どうしたマカオ――ッ!? 勝負どころでリングの外へ大きく飛び出したぞ~~っ!?』

 

 試合中の唐突なリングアウト――もちろん敵前逃亡がしたいわけではない。

 リング内に残ったジョマが、マカオの着用しているサスペンダーを両手で掴んでいる。

 リング外へ飛び出したマカオは、まるで空中で必死に平泳ぎをするかのような滑稽な動きで手足をバタつかせるが、ジョマにサスペンダーを引っ張られているためその移動距離には制限が生まれる。

 

「ンンン~~ッ!」

 

 それでもマカオは歯を食いしばり、限界まで外へ出て距離を稼ごうとしている。

 

『し、しかしジョマがマカオのサスペンダーを掴みその動きを固定! ここから予想される次のムーブは~~っ!?』

 

 目的はサスペンダーのゴムが持つ凄まじいまでの伸縮性。

 その強烈な反発力を利用し、ジョマは手綱を引くようにマカオの体を思い切り引き戻した。

 

「くらいなさい! オカマ火玉弾!」

 

 巨大なゴムパチンコの要領でリング外から射出される、マカオの肉弾砲。

 ターゲットは緑のヘルメットを被り、主演男優賞を掻っ攫っていった怨敵――ジェイド。

 彼の腹部に、マカオの尻が迫る。

 

『弓矢のごとき速度で弾かれたマカオのヒップアタックがジェイドを捉えた~~っ!』

 

「ジェイド!」

 

 スカーフェイスが咄嗟に呼びかける。

 しかし、火の玉を称する勢いで突っ込んだマカオはジェイドの体をぶっ飛ばし、ふたりまとめてリング場外へ。

 

「パートナーがやられて残念ね! 次はあなたの……」

 

 目には目を、ツープラトンにはツープラトンを。

 見事にやり返したジョマが勝ち誇るが――その間、スカーフェイスはすでに動いていた。

 

「なっ!?」

 

 冷徹な微笑を浮かべ、スカーフェイスがジョマの腰を掴み抱え上げる。

 

『あ――っとスカーフェイス、攻撃直後の隙を狙い、単身ジョマを担ぎ上げた――っ! そのまま大きく上昇していく――っ!』

 

 相手を抱えながらリング上空へと飛ぶムーブ。

 ジョマは戦慄する。

 たった今相棒がリングの外までぶっ飛ばされたというのに……この男には血も涙もないのか!?

 

「やはり素人だなマカオとジョマ! タッグマッチでわざわざひとりになるとは! これじゃシングル用の技が入れ放題じゃねえか~~っ!」

 

 相棒の身を心配するばかりがタッグマッチではない。シチュエーションに合わせ、各々の仕事をまっとうしてこそ真の強豪タッグ。

 スカーフェイスはリング上が一時的に1対1になったことを鑑み、ジョマに自身最強のシングル技を発動させる判断をくだしたのだ。

 

『ジョマの体を空中へと運んだスカー、頭の上で標的の身をひっくり返すように持ち替え……繰り出すこの技は~~っ!?』

 

 空中でジョマの体を逆さにし、両太腿を両手で掴むことで、強制的に開脚姿勢を強いる。

 さらに両脚をピンと伸ばし、両端から挟み込むようにしてジョマの首をロック。

 あの伝説超人(レジェンド)キン肉マンが得意とした“キン肉バスター”、そこに三角絞めをプラスしたこの技こそ、スカーフェイス流新世代(ニュージェネレーション)バスター。

 名を――

 

「アルティメット・スカー・バスタ――ッ!」

 

『出た~~っ! 21世紀に生まれた究極のバスター! アルティメット・スカー・バスターだ――っ!』

 

 複雑怪奇なる固め技に捕らえられ、ジョマが滝のような汗をかく。

 

「なんなのこれは~~っ? 全身がガッチリホールドされて、まったく身動きが取れない~~っ」

 

 高所から地へこの姿勢で叩きつけることにより、首折り、背骨折り、股裂きの3大必殺攻撃を同時に行うのがキン肉バスター。

 スカーはそこへ三角絞めのエッセンスを加え、より脱出困難なものに仕立て上げた。

 

「別世界から来たお客さんは知らねえか! この技は超人史の中で最も有名であろう必殺技(フェイバリット)にオレのアイディアをプラスしたオリジナル・ホールド! このまままずはひとり、ご退場いただくぜ――っ!」

 

 キャンバスへ向けて急降下を始めるスカーフェイス。

 だがそのとき――

 

「あまーい!」

 

 場外へ吹き飛んだはずのマカオが、驚異的な執念でリングエプロンへと這い上がってきた。

 

「さっきの技はひとりでも撃てるのよ! 今度はあなたもくらいなさ~い!」

 

 マカオはサスペンダーの背中側をコーナーにある鉄柱にセルフで引っ掛け、リングの外へダッシュ。

 先ほどのオカマ火玉弾をひとりで発動させようとしていた。

 

『マカオが自身のサスペンダーをリングコーナーの鉄柱に引っかけ、発射体勢に入っているぞ――っ!』

 

 限界まで引き伸ばされたゴムの力が、マカオの体を砲弾のごとくリング内へと引き戻す。

 

「オカマ火玉弾!」

 

 シングル版は方向や角度の調整がつけづらいが……タイミングを合わせさえすれば!

 アルティメット・スカー・バスターがキャンバスへ着弾する寸前、マカオの臀部がスカーフェイスに命中する。

 

『あ……あたった――っ! マカオの捨て身の妨害により、アルティメット・スカー・バスター崩壊~~っ!』

 

 強烈な横やりを受け、スカーフェイスは捕らえていたジョマをリリース。

 受け身を取ることもできず、キャンバスに落下しごろごろと転がった。

 同タイミングで、リング外へぶっ飛ばされていたジェイドも戻って来る。

 

「スカー!」

「だ、大丈夫だ……」

 

 ジェイドは戦線復帰しながらスカーフェイスを支え立ち上がらせる。

 両者共にオカマ火玉弾をくらってしまう形になったが、ダメージはまだまだ八分目。

 それはマカオとジョマも同じだろう……つまり、互いに次の一撃が決着の引き金となりうる。

 

「聞けスカー。やはりやつらの強固なチームワークを突破するには、ツープラトンで勝負を決めにいくしかない」

「あ、ああ。だがオレとおまえは即席タッグ。そんなに引き出しは多くねえぞ」

「アイディアはある。耳を貸せ」

 

 ジェイドがスカーフェイスの耳元に顔を寄せ、素早く作戦を囁く。

 

「なるほどな。失敗のリスクはでかそうだが……その分、威力は期待できる」

 

 スカーフェイスの口元に、悪巧みをするような笑みが浮かんだ。

 

「よ~し! 決めにいくかジェイド!」

「オオ――ッ!」

 

 意思疎通を終えたふたりは足裏にパワーを集中させ、力強くキャンバスを蹴る。

 

『スーパー・トリニティーズ、ふたり同時に飛び上がった――っ! スカーフェイスがジェイドよりやや高く上昇しているようだが、いったいなにを狙う気だ――っ!?』

 

 マカオとジョマはキャンバスの上でフリーの状態。このままなら逃げるも防ぐも自由自在だ。

 だがこの超人レスリングという勝負、なにが起こるかわかったものではない。

 ゆえに選択するのは回避でも防御でもなく――迎撃だ!

 

「待ちなさーい!」

「あの子たち、またツープラトンを狙うつもりよ!」

「そんなの許さないわ!」

 

 怒りに燃えるオカマ魔女が頭上のふたりを見上げ、追うように飛び上がった。

 一方、一番高く飛んでいるスカーフェイスも動きを見せる。

 飾りかと思われた背中の尾のようなものが鋼鉄状に変化し、鋭利な刃となった。

 

「スワロウ・テール!」

 

『スカーフェイス、背中に備える燕尾を鋭く伸ばし、必殺のスワロウ・テールの体勢に入った――っ』

 

 背面から相手を斬りつけるスカーフェイスの隠し玉だ。

 しかし、仕掛けはこれだけでは終わらない。

 続けて動いたのはジェイドである。

 

「ベルリンの赤い雨――っ!」

 

 空中で右腕を剣豪のごとく激しく振り、生じた空気の摩擦熱が手刀を炎の刃へと変える。

 今回はそれだけに留まらず、発生した炎が火炎放射のごとく天へと昇っていった。

 そう、天へ――ターゲットはマカオとジョマではなく、ジェイド自身より高く飛んだスカーフェイスである。

 

『そしてなんと……ジェイドはマカオとジョマではなく、味方であるはずのスカーフェイスに向かってベルリンの赤い雨を放ったぞ――っ!?』

 

 予想外の行動に、ネネちゃんとマサオくんが大慌てで叫ぶ。

 

「ええ――っ!? なんで!?」

「スカーが燃えちゃうよ~~っ!?」

 

 この大事な場面で攻撃する相手を間違えるなど、子供でもブーイングものの失態だ。

 だがこれはミスでも仲間割れでもない。

 ジェイドが狙ったのはスカーフェイスの展開したスワロウ・テール。

 その切っ先に炎を纏わせるのが狙いだ。

 

『あ――っとスカーフェイスのスワロウ・テールに、ベルリンの赤い雨から放たれた炎が燃え移った――っ!』

 

 ただの鋼鉄の刃に過ぎないスワロウ・テールが、ベルリンの赤い雨のように炎の刃と化す。

 飛び上がったマカオとジョマは内心「ゲゲッ!?」と思いながらも、空中ではバックもブレーキも効かない。

 

『そのままツープラトン妨害を狙い上昇してきたマカオとジョマを迎え撃つ――っ!』

 

 上昇するオカマ魔女ふたりと、降下していく炎刃の使い手。

 

「いけ! スカー!」

「おおよ!」

 

 両者が交差するのは必然、そして一瞬。

 その一瞬が、マカオとジョマに致命の一撃を与える。

 

「レッドレイン・テイル――ッ!」

「アギャ――ッ!?」

 

 スカーフェイスはマカオとジョマの間を裂くように通過し、展開した炎の刃がふたりをまとめて斬りつける。

 白いリングキャンバスにオカマ魔女の鮮血が降り注いだ――そう、まさしく赤い雨がごとく。

 

『炸裂~~っ! ジェイドのベルリンの赤い雨とスカーフェイスのスワロウ・テールによるマリアージュが、フレイムソードがごとき一撃を生み出しマカオとジョマを斬り裂いた――っ!』

 

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