咲に幼馴染がいたら嬉しいし、総受け百合ハーレムだともっと嬉しいすぎだろ…… 作:わたっくし
「鈴、ちょっといいかしら?」
「なんですか部長」
県予選開始まで1ヶ月前くらいの頃のある日。スマホで麻雀を打っていた私は部長に呼び止められた。
「ちょっとしたお願いがあるのだけれど……」
「お願いですか。……脱衣麻雀はもうしませんからね!」
「違う、違うわよ!それはまた別の機会にね」
またやるつもりなのかこの人は。今度は厚着をしてこよう。
「それでお願いなんだけど……鈴にはね、少しの間スパイになってもらいたいの」
「す、スパイ?」
「そう、スパイ。正体を隠して偵察する、あのスパイ」
「…あまり話が見えてこないんですが……」
どうやら聞き間違いではなかったらしい。こんなちんちくりんにスパイが務まるとは思わないんだけども……
「いいえ!鈴、今回は貴方のその小柄な体格が適任なのよ!」
「こ、心を読まないでください!……でも、適任ってどういう…?」
「ふっふっふ。いいかしら鈴。私たちには来月、県予選大会が控えているでしょう?」
全国高等学校麻雀選手権大会。一言で言うと甲子園の麻雀バージョン的なものだ。麻雀の方が圧倒的に人口は多いのだが。
「そしてその県予選大会では、苦渋の思いで貴方をメンバーから外すことにしたわ」
「部員誰一人にも勝ったことがなかったんだから当然です」
私の能力が発現したのは県予選大会のメンバー登録が終わってからの出来事。正常な思考をしていれば、当時ラス率9割の私をメンバーに入れようとは思わないだろう。
「だけど鈴。あなたもチームの勝利のために貢献してもらうわよ」
「それが、スパイに繋がるんですか?」
「そうよ。これを見なさい」
部長が手に持っていたタブレットを机に広げる。画面に映っているのは、今回の大会出場高校、特に長野県内の出場高校一覧のシートであった。
「私達が決勝に進出するとして、その道中で絶対に避けては通らない対戦校がいくつかある」
「風越女子、龍門渕高校ですね」
「そう。私は鶴賀学園も勝ち進んでくると踏んでいるわ」
風越女子、龍門渕高校。二つとも県内屈指の強豪校だ。特に龍門渕はここ数年で異常なまでの成長を見せている。
「そこで鈴。貴方には今名前を挙げた高校の偵察に行ってもらうわ」
「偵察……あー、だからスパイですか。でもなんで私が?」
「なんでもなにも、これから戦うかもしれない相手に手の内を見せる訳にはいかないでしょ」
なるほど。確かに私自身は団体戦には出場しないので、いくらこちらの手の内が知られてもほぼノーダメージだ。相手の情報だけ持ち帰ってくることができる。
「分かりました、是非やらせてください!……でもどうやって?」
「大丈夫。作戦の方も考えてあるわ」
……かくして、私と部長の「対戦相手のデータだけ持ち逃げしちゃおう大作戦」は開始したのである。
×××
〜鶴賀学園〜
「い、一年の丈槍です!体験入部に来ました!」
「おー、この時期に新入部員とは珍しい。さあ入った入ったー」
部長が言っていた作戦、それはその学校の在校生になりすますこと。制服は部長が用意してくれたし、堂々としていればバレることはないはず。
「あまり見ない顔だが……編入生の子かい?」
ギクッ。そういえば鶴賀学園って中高一貫の私立高校なんだっけ……。
「そ、そうなんです!高等部から編入してきていて……」
「へぇ……そうか。そういえば自己紹介がまだだったな。私は3年の加治木ゆみ」
「そして私が部長の蒲原智美。よろしく!」
「よ、よろしくお願いします!」
話を聞いてみると、鶴賀に麻雀部が出来たのはつい2年前のことだそう。先輩二人で立ち上げたそうで、現在の部員は5人とのことだ。なんだか清澄に似たものを感じるなぁ。
「それじゃあ何をしようか……と言っても、麻雀以外することはないんだが。丈槍くんは麻雀は打てるのかい?」
「はい。でも昔から全然勝てなくて……」
「大丈夫。ウチにはまるっきりの初心者もいるからな」
なんと。つまり大会にはその初心者の方も出場することになるのか。凄いなぁ。
「それじゃあ取り敢えず打ってみよう……と言いたい所だが、このままじゃ一人足りないな。睦月でも呼ぶかー」
「ふふっ。わざわざ呼ばなくても、さっきから後ろにいるじゃないですか」
部室に入った時くらいから、蒲原先輩の背後で黒髪の少女が可愛らしくピョコピョコ左右に揺れているのが見えていた。加治木先輩も気づいていたようだしスルーしてたんだけど……
「……え?」
「……これは」
「……ワハハ」
何故か二人が驚いている。いや蒲原先輩気づいてなかったんですか!?この距離で!?
「……私が、見えるんすか……?」
「え、うん」
「いつからっすか……?」
「……部室に入った時から?」
二人に加え、この子自身も目を見開きながら驚いている。目の前に立っていて気づかれないとでも思っていたのだろうか。
「……ワハハ。これは物凄い子が入ってきたかもしれないな、ゆみ」
「ああ。私ですら声がないと気づけないというのに……」
「じゃ、じゃあ今はどうっすか!?」
「見えてるよー。あとほっぺむにむにしないで」
どうやらこの子は私に姿が見えていないと思っていたらしい。そんな訳ないと思っていたのだが、先輩方の反応を見るにどうやら本当のことらしい。
「ますます面白くなってきたな。よし、早速打つぞ、モモ」
「はいっす!ほら、おっぱいさんもこっちっす!」
「おっぱいさん!?何その名前!?」
「ワハハ。分かりやすくていいじゃないか」
不名誉なあだ名は付けられたが、ひとまず目論見通り対戦に漕ぎ着けることが出来た。そしてここからは相手の観察。どんな手を打って、どんな役で上がって、どんな能力を使うのか。なるべく多くの情報を清澄に持って帰らなければ。
「それじゃあ行くっすよー」
×××
(……よ、弱い……)
これが鈴に対する紛れもない三人の本音だった。確かに、鈴自身は負け続きだと言っていたが、即座にモモの存在に気づくあたり、只者ではないという期待が胸にあったことも事実だ。
しかし、攻めに意識を割き過ぎて守りが薄い、降りるべき所で降りられない、鳴きのタイミングが悪い、と鈴の打ち筋はお世辞にも上手とは呼べなかった。
テンポは悪くないあたり、本当にこれまで負け続けてきたのだという事実がひしひしと伝わってくる。
(やれやれ、私が手取り足取り教えてあげなきゃっすね……)
「ロン、8000っす」
「うっ」
項垂れながら点棒を渡す鈴。恐らくまだ一度も上がれていないだろうが、わざと振り込んであげる程鶴賀の部員も甘くはない。
「鈴、君には余計なことを考えすぎる癖がある。牌を引く度に考えるのではなく、予めいくつかのパターンを頭に入れておくといい。状況をパターン化しておくことで、脳にも余裕が出来て安易な振込みも減っていくはずだ」
「あ、ありがとうございます!参考になります」
「あとはもう少し手牌以外も見た方がいいなー」
「そうっすよ!おっぱいさん攻めは上手いんですから、守りも覚えるべきです!」
「おっぱい言うな!でもありがとう」
そんなこんなで対局はしばらく続いていた。3局目にもなると初めの方にあった緊張感も薄れてきて、雑談を挟む余裕も出てくる。
「いやー、まさかセンパイ以外に見つかる日が来るとは思わなかったっす」
「本当になー。佳織なんか未だに殆どモモも喋ったことないんだぞ?」
「そういえば、丈槍くんはモモと同じ1年生だったか。クラスは違うのか?」
ギクッと、鈴の身体が固まる。
「そうっすね、クラスでは見たことないし、学年でも見かけたことはない気がするっす」
「あはは、それは高校で編入してきたから……」
「え?」
桃子が不思議な目で鈴を見つめる。
「ウチの学校には高校編入制度はないっすよ?」
「えっ」
「そう。鶴賀学園は中高一貫の私立学校かつ、高校編入制度は実施していない」
ゆみが鋭い目で鈴を見つめる。鈴はかすかに震えながら視線を逸らす。
「先程はあえてスルーしていたが……丈槍くん。君は鶴賀の生徒ではないはずだ」
「あー、確かによく考えればそうかー…」
「なんでわざわざそんなこと……あそれロンっす」
放銃したと同時に机につっぷす鈴。上手くいっていると思っていた作戦は全てゆみには筒抜けだったのだ。
「き、気づいてならはやく言ってくださいよぉ……」
「私もすぐに指摘するつもりだったが、何やら面白い展開になったんでな」
あはは……、と乾いた笑いが部室を包み、そして気まずい静寂が訪れる。
「すみませんありがとうございましたさようならーーーーっ!!」
バッ、と音を立てて目にも止まらぬ速さで席を立つ鈴。そのまま部室のドアを目掛けてダッシュで駆け込んで逃走成功……のはずだったが
「あっ!?ちょ、離してください加治木先輩!!」
「逃がすわけないだろう。わざわざウチに忍び込んだあたり他高校のスパイかなにかだな?モモ、部室の鍵を閉めてくれ」
「はいっす!」
ゆみに腕を掴まれて身動きがとれなくなった上に、鍵まで閉められて完全に閉じ込められてしまった状況。鈴は内心焦りに焦りまくっていた。
「さてまずはどこからの刺客か聞いてみることにしよう」
「も、黙秘権を行使します!」
「おーい、カバンの中から学生証出てきたぞー」
「あっ!?ちょっと勝手に見ないでー!」
プライバシーも何もあったものではない。今この場において、スパイの鈴の人権はないにも等しかった。
「きよ…すみ……清澄高校。ああ、あの原村和がいるとこ!」
「全中チャンピオンが来たーって、少し前から話題っすよね」
あっという間に席に連れ戻され、三人に囲まれて尋問を受けているかのような状況に陥る鈴。
「それで清澄の生徒さんがなぜわざわざウチに?他にも風越とか龍門渕とか色々あったと思うが……」
「部長が鶴賀も警戒しておけって。恐らく決勝に上がってくるとかなんとか……」
「そ、そうか」
思いがけないタイミングの賞賛に三人は顔を綻ばせる。人知れずして鶴賀からの竹井久の評価が上がった。
「おっぱいさんは大会には出ないんすか?」
「私はメンバーには入ってないから。だからスパイも一応合法なんだよ?」
大会の規定として、期間中選手は他出場高校との対戦は禁じられている。しかし鈴はそもそも団体戦にオーダーされていないため、この規約には抵触しない。
「しかし、そうやすやすと私達の情報だけを持ち帰らせるわけにはいかないな」
「清澄の情報も洗いざらい吐いて貰うっすよー!」
(ま、まずい……和ちゃんならまだしも、咲の存在は隠しておかなきゃ……!)
咲は清澄の最終兵器とも呼べる存在。恐らく彼女がいないと、清澄はより一層県予選の突破が難しくなってしまう。だからこそ彼女の存在は極力秘密にしておきたい。
「吐かないならそれはそれでいい。代わりにキミはこちらで預からせてもらうことにしよう。なんたって鶴賀の生徒なんだからな」
「そのままウチに転校するっすよ!私が1から100まで全てを教えてあげるっす!」
「部員が6名なんて、ウチも大きくなったなー」
「ちょ、ちょっと待ってください!あの、提案があります!」
このままだと本当に鶴賀の生徒にされそうな勢いだったので、鈴は急いで話の流れを変える。
「賭けを、しませんか?」
「おっ賭け麻雀かー?高校生なのにワルいねー」
「違いますよ!……ルールはこうです。今からもう一局だけ対局をします。その結果、私が1位でなければその時点で私の負け。私が知っている清澄高校の情報なんでも話してあげます」
「それは……」
「清澄の情報なんかより、ウチの部員になってくれた方が嬉しいすけどねー」
「……その代わり、私が1位になったら、今回の件は見逃してください」
「私的には問題ないけど、それは鈴は大丈夫なのか?」
「今の所3回連続ラスっすけど」
三人に疑問が生じるのも問題ない。先程の対戦を通して、ぶっちゃけ彼女達には鈴に負けるビジョンが全く思い浮かんでこなかった。仮に100回対局したとしても、恐らく100回とも彼女達が勝利することになるだろう。
「あと風越と龍門渕の情報も教えてあげます」
「マジか!」
「……二言はないな?鈴」
「恨みっこなしっすよ!」
……この時、既にこの場が鈴の支配下に置かれ始めていることに、彼女達は気づく術もなかった。
×××
(部室の紹介……いや、まずは学校の紹介から始めるべきっすかねー)
東横桃子。彼女は既に鈴が鶴賀の生徒になることを疑っていなかった。無論、鈴自身には鶴賀の生徒になる気はさらさらないのだが、桃子は清澄から連れ去る気マンマンである。
実際、彼女のことを向こうから見つけてくれた人物はゆみ以外にはまだいなかった。だからこそ、彼女は鈴に対して強い親近感を抱いている。同い年というなら尚更。
(あっ、もうテンパイっすね。鈴さんには悪いっすけど、ここはいかせて貰うっすよ!)
「リーチ!」
(四索と七索の両面待ち。悪くない待ちっすけど……)
「ロン」
「……え?」
「ジュンチャン、三色、ドラドラ。8000」
出鼻を挫くような対面からのロン。そして対面に位置しているのはゆみでも、智美でもなく。
「おっぱいさん……!」
「おっぱいいうな。鈴って呼んで」
紛れもない、丈槍鈴だった。
(なんなんすか今のロン!?まるで、こっちが何の牌を切るか分かっていたかのような……)
無論、動揺しているのは桃子だけではない。
(雰囲気が変わった……!?打ち筋自体は先程とそこまで変わっていないが、これは……)
(なーんかやばいニオイがするなー)
これを機に三人はより気を引き締めることになるのだが、それが鈴に対しては悪手となることに彼女達は知る由もなかった。
(なんなんすかこの打ち方はー!)
(明らかに危険牌を切り続けているが……一向に振り込まない)
鈴の打ち方は、はっきり言って異常だった。明らかな危険牌をノータイムで切り飛ばしてくるにも関わらず、一向に振り込む気配がない。それでいて、こちらが渾身のダマテンで張った牌だけは、薄気味悪いほどピタリと止めるのだ。
「ワハハ、ツモ。2000オール」
よって、ツモ上がりでしか勝負することは出来ない。今の鈴との直接対決は避けるべきという結論に達する。
「……なあ、さっきの対局は手を抜いていたのか?」
「いや、ずっと本気でしたよ?加治木先輩達も本気を出し始めただけで」
「そうか……。まさか清澄にこんな最終兵器が隠されていたとはな。正直団体戦では当たらないと知って、今は心から安堵しているよ」
「最終兵器は別にいま……なんでもありません!」
結局、ゆみのラス親は鈴のツモで流されて終了。2位とは20000点を離す形で鈴の勝利となった。
×××
ふう、なんとか勝利を収めることができた。
「……強いな。何故団体戦にはオーダーされなかったんだ?」
「えーっと、私の能力が発現したのがつい最近のことでして……」
「やはり、モモと同じで何らかの能力を持っていたか」
「ステルスモモも全く効いてなかったすけどね……」
へー、あの存在感を消す技はステルスモモっていうんだ。メモメモ。
「それじゃあ、約束通り見逃してもらいますね!」
「ああ。でもその前に……」
加治木先輩の隣にいた桃子さんが身体を乗り出す。
「連絡先交換するっす!スズさんは私のことが見える、特別な人っすから!」
特別な人……ちょっと嬉しい。そもそも、桃子さんを視認できる人ってどのくらいいるんだろう……などと思案しながら連絡先を交換すると。
「えっ、私と加治木先輩だけ!?」
「人と話す機会なんて、滅多にないっすから」
アプリの友達欄には私と加治木先輩しか表示されていなかった。
「せめて家族や部員の皆とは交換しておきなよ!」
「それはそうっすね」
「モモが連絡先持ってること自体初めて知ったぞ……」
ついでに加治木先輩達とも連絡先を交換する。今日だけで3つも連絡先が増えちゃった。
「鈴の隣にいる人も清澄の部員なのか?」
蒲原先輩が私のアイコンを指さしながら聞く。アイコンには中学生時代の咲と私が一緒に笑顔でポーズをとっている。
「はい。小学生からの幼馴染なんです。可愛いでしょ」
「ふーん。麻雀も強いんすか?」
「とっても。中学生の時なんて一度も勝てなかったんだよ?」
「え……」
一度も私の能力が発現していないからね。因みに中学時代の咲は身内と打つだけで、大会等には出場していなかったので名もそこまで広まっていない。
「世界は広いんすね……」
「うん!咲のお姉ちゃんなんてもっと強いんだから」
「想像したくもないな……」
確か昨年はインターハイで優勝したんだっけ。宮永家麻雀の時も強かったけど、今は更に強くなっているはず。久々に会いたいなぁ……
「それじゃあ、そろそろ行きますね」
「そうだ鈴。どうせなら清澄まで送っていってやろうか?」
「えっ、いいんですか!?」
なんと、蒲原先輩は既に運転免許を取り終えているそうで。ここから清澄まで地味に遠いから凄くありがたい。
「ゆみ達も来る?」
「いや、私とモモは別にやることがあるんでな。ここでお別れだ」
「また大会で会うっす!」
手を振って二人に別れを告げる。いやぁ、スパイだってバレた時はどうなることかと思っていたけど、意外となんとかなったなぁ。
「明日も偵察?」
「はい。明日は風越の方に」
「風越かー。あそこは名門校だし、そもそも福路や池田と対戦させてもらえるかどうかだなー」
「そんなに大変なんですか?」
「大変っていうかなんというか、コーチがめちゃくちゃ厳しいらしいな」
そっか、コーチでないにしろ、普通どの部活にも指導者的な人物がいるんだよね。清澄や鶴賀が特殊なだけで。ウチにも顧問やコーチがいたら部長ももう少し楽できると思うんだけど……。
蒲原先輩の車に乗り込む。おお、結構大きい。
「シートベルトは締めたか?」
「はい、ばっちしです!」
「よーし。それじゃあ飛ばしていくぜーーーー!!!!」
「えっ!?ちょ、うわ、うわああああぁぁぁぁ!!!」
私が経験してきた中で、蒲原先輩の運転は群を抜いて頭がおかしかった。
×××
「お疲れ、鈴。どうだった?」
「成果ありです。あり、ですけど、ちょっと疲れちゃいました……」
部室に戻ってくると部長が出迎えにきてくれた。すぐにでも報告したい所だが、蒲原先輩の運転のせいで今の私の体調は絶不調だ。
「あらそう。私の膝の上で寝てもいいのよ?」
いつもなら恥ずかしくて拒否するけど、今だけはすぐにでも横になりたい。力の抜けた私は部長に寄りかかる。
「……今日だけは、お願いします」
「えっ、やった。撫でて良い?」
「好きにしてください……」
明日は風越女子。上手くいけばいいんだけど……
鈴は咲のことが大好きなので、秘密にしようとしていたにも関わらず、ついつい咲のことを話してしまいました。