√21  これ以上ヤンデレヒロインと付き合うのはこりごりなので一人で生きていきます   作:蓮太郎

9 / 9
第9話 クズ

 

 誘いを断ったからプテラ商会が実力行使に出た、なんてことはなかった。

 

 特に異常はなく買い付けも済ませて俺はもう帝国を立ち去るだけだ。

 

 それまでに何かありそうな予感がしてならない。

 例えば出る時に今更詐欺の容疑とか言って逮捕されそうになるとか。

 

 嫌がらせが上手いんだよな、大手商会の厄介な奴って。

 

 まあ、その時は仕方がない。メリルがいれば誤魔化しが効いたと思うが彼女はいない。

 

 むしろ誰かを連れていくだけで要所以外でのデメリットの方がでかくて非効率だ。

 

 能力だけは優秀なんだよ、能力だけは…………

 

 それぞれの分野を進んだら確実に歴史から消えることはないのに何でああなったんだろう。

 

 もしや、魔王の最後の悪あがきでこうだなった!なんてオチは最低すぎる。

 

 話としても二流、いや三流だと思うぞ。

 

「すみません、退室するんで鍵返しますね」

 

「もう?お兄さんいくらなんでも早すぎやしないかい?一週間分の料金貰ってんのに返金はないよ」

 

「かまわないさ。それじゃ、過剰分ははチップという形で処理しといてくれ」

 

 宿屋のおばさんはため息をつきつつも出ていく俺を見送ってくれた。

 

 宿屋からはもう出たし、さっさとおさらばしたいところだ。

 

 まあ、出る時も検問があるから話術で何とかしよう。

 

 最終手段の賄賂は控えたい。

 

 よし、それじゃあ出発!

 

 さよならと言いたいな帝国、俺は少し離れた町で商売するぜ!

 

 そう思っていた矢先でした。

 

 南西門に到着して順番待ちをしていたら大きな音を立てて破壊されたのです。

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!」

 

「魔獣だ!ここ最近大人しかったのに何で!」

 

「冒険者呼んでこーい!」

 

 北東は危ないと思ってわざわざ反対方向に来たのにさ、なんでこうなるの?

 

 思ってたことが一向にうまくいかないのはなんでだ!

 

 勇者は常にトラブルに巻き込まれなければならないのか!

 

 でも、本当にやばかったら手を貸さなければ。

 

 流石に見殺しにするのは良心が痛む。いったい何が起こっているんだ?

 

「グェッヘッヘ、人間、ニンゲンニニニニンンンン!」

 

 門を破壊したのは昆虫人間と呼ばれる人に近い知性を持つ魔獣の一種だ。

 

 奴らの虫の頭の種類によって体のつくりや能力が違うのだ。

 

 今回襲撃してきたのはカブトムシの頭をした怒り心頭な昆虫人間だった。

 

 カブトムシの昆虫人間は力自慢で最初のころは結構苦戦した覚えがある。

 

 まあ、動作は遅いから動きさえ見極めたら勝てるよ。

 

 …………ちょうど門が壊されたし、こっそり逃げようかな~?

 

 クズっぽいことを言ってる自覚はあるよ。

 

 でも隠遁するためにはすべてを利用しなければならないんだ。

 

 気配を消して昆虫人間の横を通る。暴れるのに夢中で気配を消した俺に気づかなかった。

 

 もともと俺が気配を消すのが得意だからな。

 

 なんたって気配を消すことが本職と言っても過言ではないシーラに頭おかしいと言われるくらいの気配のなさだからな!

 

 …………言ってて悲しくなってきた、この話はやめよう。

 

 帝国の皆さんごめんなさい、元勇者は逃げさせていただきます。

 

 もうすでに門からかなり離れたけど後は頼りある方々に任せます。

 

 さようなら帝国、もしかしたら二度と来ることはないのかもしれない。

 

 ああ、王都の商品の売り上げはよかったな。

 

 二度とこないってのは少しもったいなかったかも。

 

 さて、次の町に行くか!

 

 

 

 

 

 

 

〜●〜●〜●〜●〜

 

 

 

 

 

 

 

 帝国を出て早二日、これだけは言わせてほしい。

 

 どうしても、これだけは言わなければならない気がするんだ。

 

 

 () () () () ()!!!

 

 

 これは本当に酷すぎるほどいけない状況だ!

 

 例えるなら異常状態解除道具なしに異常状態をたくさん使ってくる魔物の生息地に侵入するくらいに!

 

 しかも分で表すと俺の独り言ばかりで何か喋ってもただの独り言になって虚しくなり、絵で表すと淡々と歩いているところを様々な角度でしかバリエーションを持たせられないほどの貧乏さ!

 

 花なんて一つもない、ただ男が歩いているシーンだけを誰が見たいんだ!

 

 これは誤算だった、せめて旅のお供に誰かと一緒についていくべきだったか?

 

 だけどこうなった以上は一人で行くしかない。

 

 普通に道を歩いているけど向こうから歩いてくる人は全くいなくて喋り方忘れそうだよ!

 今こうして頭の中でを言ってるからまだ大丈夫だと思うけど。

 

 空を見上げても何にも変わらない青空に雲が浮かんでいる。

 

 あーあ、空から珍妙な生き物でも降ってこないかなぁ。

 

 ぺちっ、ぱたり。

 

 そんな都合のいいことなんてないか。

 

 今なにか降ってきて俺の後ろに落ちたけど気にしない。

 

 気にしないったら気にしないんだ!

 

 ちょっと運動不足気味だし少し速足で歩くか。

 

 それじゃあ、気を改めていくぞ!

 

「でちー」

 

「…………ついてくんの?」

 

「でちっ」

 

 振り返ると人間っぽくはあるが絵本作家が書くような優しく描かれた感じの2頭身生命体がいた。

 

 服っぽいのは着ているため人間社会には馴染んでいるのだろう。

 

 そして何よりも魔族っぽさがない。

 

 元勇者の勘としては安全そうな生物には見える、が油断はできない。

 

 勇者パーティーの仲間の本性を見抜けなかったおれが言うのも野暮だが、タタタタと後ろからついてくる生物の面倒を見る必要がある。

 

 別に寂しいからではないからね!

 

 謎の二頭身人型生物が仲間になった!




感想をいただけると励みになります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

奴隷商の下働き、炎に炙られて魔術の才が開花する 〜というのは嘘で、実はヤンデレ竜人奴隷の仕込み。天邪鬼な上位種の独占欲はいつでも強火!〜(作者:ガイアの目覚め)(オリジナルファンタジー/恋愛)

「さあ、早うわらわの角を噛むのじゃ――――な、旦那さまぁ……」▼ スラム出身の少年レックスは、病気の妹のために、悪いことと自覚しつつ奴隷商の下働きとして日々を過ごしていた。そんな中せめて人として正しいことをと、奴隷たちへの誠実な対応を心掛けていた結果、生まれてから一度も善意を向けられてこなかった炎竜の少女ドラコの心を灼くこととなる。▼ そうして、嫌われるから…


総合評価:61/評価:-.--/連載:4話/更新日時:2026年05月04日(月) 00:47 小説情報

種族:人間 特性:異種族タラシ 〜人間ってだけで逆に警戒されるし、特性効かない厄介ぼっち娘は遠ざけても勝手に寄ってきて病むし〜(作者:じゃらん)(オリジナルファンタジー/恋愛)

 目覚めた世界で、かつてこの世を席巻した人類は絶滅していた。▼ 種族:人間、能力は良く言えば汎用的、悪く言えば器用貧乏。仲間も情報もなし。生き抜くには他者の力が必要で――都合が良いことに、この世界の現在の支配者たちは遺伝子レベルでニンゲンが大好きらしい。▼ けれど、みな無条件の好意に警戒を抱き。なぜかその特性が効かないヤバいやつらだけは、勝手に寄ってきては病…


総合評価:26/評価:-.--/連載:2話/更新日時:2026年08月16日(日) 19:05 小説情報

ヤンデレに監禁されるわけwww(作者:ヤンデレエアプ)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

ヤンデレから逃げようと思ってる。▼ヤンデレのみんなには悪いけど抜け駆けで▼ヤンデレは逃走とかされたことないから、びっくりするかもしれないけど、もう逃げたい気持ちを我慢できないから▼


総合評価:1608/評価:8.41/連載:5話/更新日時:2026年09月04日(金) 12:06 小説情報

救えなかったら時が戻る人、やり遂げたら何故か周りが病み始める。(作者:ゲーミング千手観音)(オリジナル現代/日常)

▼ 普通に日常を過ごしていただけなのに、何故か突然「その日毎に救助対象が変わって、しかも助けられずに死なせてしまうと一日の最初に戻る」という状態に陥ってしまう主人公。▼ 絶望して、心を壊しながらも一年間やり遂げた主人公はその呪いから開放される。▼ ────そしたらなんか今まで助けた人全員病んだ。なんで?▼ そう言ったお話。▼ 尚、助けられた人達は呪いが無くな…


総合評価:1080/評価:8.21/連載:8話/更新日時:2026年07月25日(土) 20:00 小説情報

担いだ神輿が重すぎる!(作者:ノコギリヘッド)(オリジナルファンタジー/コメディ)

 周囲が人外だらけの中、主人公が生き残る為に軽そうな魔王候補を神輿として担いだ筈が…なんか気付いたら手に負えなくなっていた話▼ 或いは、ヤバい女達に囲まれ人外価値観に振り回されてながらも、知恵と勇気と下心で切り抜けようとするお話。▼ 尚、大小様々な矢印を追加で受けている様で、しっかりそれにも振り回される模様。


総合評価:1415/評価:8.68/連載:17話/更新日時:2026年09月05日(土) 07:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>