魔法少女まどか☆マギカ ワルプルギスの前後夜 作:カピバラ@番長
救われたかった。
ただ、それだけだった。
記憶の無いナニカ。姿も形も知らないナニカ。
名前すら無いナニカ。
けど知っている。一つだけ知っている。
あたくしはかつて希望を願い、やがて呪いを振り撒いた魔女だというコトを。
だから救われたかった。
あの日見た光に。
暖かく、優しく、どこまでも強く、知り得る全てよりも安らかな存在である【円環の理】に。
あたくしの為に涙を流してくれた終の希望に。
その為にすべきは一つ。
神に等しいーーいいえ、神に叛逆した悪魔に。
【暁美ほむら】に認めさせるコト。円環の理こそが
世界に絶望を振り撒いたりなんてしなくていい。魔法少女の最後は彼方への希望へと至れるままであるべきなのだと。絶対に認めさせなければ。
その為の仲間はいる。
紫丁香とセルマ・テレーゼ。
どちらも円環の理に対して並みならぬ思い入れがあり、暁美ほむらを許さないと言葉に出来る存在。名塚底根を渡って現世に顕現出来るほどの執念を持った存在。
でも、これだけでは足りない。
どうしても、暁美ほむらに円環の理を認めさせるには足りない。
あたくし達はあの悪魔にしてみれば単なる異物。言葉に耳を貸す事は無いだろうし、信用されるなんて以ての外。
あの悪魔に認めさせるには、悪魔がよく知り、悪魔をよく知る存在の力が必要。
百江なぎさ、巴マミ、佐倉杏子、美樹さやか、そして
この五人が協力者になって初めて悪魔を思い知らせるコトが出来る。
あたくし達には円環の理という救いが必要だと理解させるコトが出来る。
そうすれば……。そうすればきっと彼女達も救いを得られる。
欠けた満月しか知らず、世界のあちらこちらが少しばかり変わってしまったこんなところで何も知らずに生きている彼女達を救うコトが出来るハズ。
街の至る所に悪魔の目となるドローンがかつてはあって?
貴女達の手にする通学鞄はそんな形であって?
三十分か一時間か、或いはもっとなのか。それだけの時間、少女が気を失うコトが毎日のようにあって?
慣れ親しんでいる魔法少女服がそんな形であって?
あるコトを思い出すと記憶に違和感がでるコトがあって?
いいえ、いいえ。
決してそんなコトはない。
そんな違和感がある時点で、この世界は[普通]ではない。本来のあるべき姿ではない。
そう言う意味でも戻さなければ。
円環の理を、本来の力を持った完璧なモノとして。世界の根っこを元の通りに。
だから……えぇ。
もう少しだけ待っていて。愛しい愛しいあたくしの
すぐに、貴女が心から祈った
あんな悪魔さえも赦してしまう
安心して。紫丁香とセルマには[自分と同じ匂い]を感じる相手の所に行って話をしてもらう手はずになっているから。
きっと上手くいく。必ず元に戻せる。
だから、もう一度あたくし達にあの光を見せて欲しい。
どうか救って欲しい。
どうか、どうか。
最初の祈りさえ忘れてしまったあたくしのコトを。
……どうか。
「あぁ、でも……」
でも、もしも。
もしもあの悪魔の目的が自分の為ではなく、誰かの為だったとしたら。
その結果がこの
「あたくしは……どうすれば」
ナニカになってしまったあたくしの執念に綻びが生まれるとすればきっとその時。
もしも暁美ほむらが誰かの為にこんな
「……きっとあたくしも赦してしまうかも」
だって、結果はどうあれ人を想うコトは尊いハズだから。誰かに否定されるなんてあってはならないから。
それを認めなければ、見ず知らずのあたくしに伸ばされた
「……暁美、ほむら」
名を呼んで、想いを馳せて。[もしも]は忘れて。
あぁ。行かなくては。
あの悪魔に会わなくては。
会って、そして。
to be next story.
マルグリートの話し方はぶっちゃけまだちゃんとつかめていませんので、二回観て感じたイメージからです。