石化後すぐ復活しちゃった系オリ主   作:野菜神

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3700年の早起き。スケールがデカすぎる。


早起きしちゃった件

 まずは状況を整理しよう。

 私は身長175センチのピッチピチ女子大生お姉さん。見た感じ自身についての記憶と窓に映る自分の姿に誤差はない。

 次に世界について。年代は2019、時計を見れば人類石化から1時間も経っていない。

 

「そうだった忘れてたぁ、脳のエネルギー大量消費してたら硝酸なくても石化溶けちゃうんじゃん。てことはさっきのシミュレーションでどんだけエネルギー消費したんだ私」

 

 自身の凡ミスに額に手を当てる。脳でどれだけ思考しようが転生により天元突破した私の脳は次元を超えた稼働をしたとしても問題がないうえ、その分のカロリーはチートで補えるからこそ気づいていなかった。

 石化で復活するには硝酸が最低限必要だと思っていたのだが、よくよく考えれば頭を使いエネルギーを消費することこそが石化解除のトリガーであったことをすっかり忘れていた。

 石化は頭の回転が速い者ほど早く解けるだけで、硝酸などはそれをより早く解かせるだけにすぎないということが頭から抜けてしまっていたよ。

 

「……まぁ、くよくよしていてもしょうがない。クールに行こうじゃないか」

 

 2019年に私1人が目覚めたところでドクターストーンという物語には何の影響もない。つまり私が一人生き絶えるか1人この世界でひっそり不老不死生を謳歌すればよいだけの話……嫌だな。

 石化してだならまだしも活動できる状態で1人というのはそれはそれで寂しいものだ。色んな理由であまり友達を作らないタチの私であれ、群生生物たる人間である。孤独というものは本能的に嫌う。

 それに、第一私は現代が好きなのだ。

 人類文明のある種堕落し切った科学の世界、これが好きなのだ。便利の一言に尽きる。そして、私の夢のためにも確実に必要なもの。

 

 3700年後でもそれはそれでよかったが、今この瞬間に私が目覚めたというのならば話は違う。

 私の目的のためなら、今この瞬間から私はこの世界を、Dr.stoneという私が前世から大好きなこの世界を改変だってして見せよう。

 多くの原作キャラがそもそも生まれないかもしれない。だが、どちらにせよ原作からしてタイムマシンが完成したらタイムパラドックスで消滅する可能性はあるのだ。対して変わらないだろう。

 私は、原作とは異なり人類文明が完全に崩壊する前に、人類を再興させる。

 

「となると、まず私がなすべきことは」

 

 主人公、石神 千空を呼び起こす。ただただ思考力が天元突破している私1人よりも人柄もその優秀さも把握している彼がいた方がどう考えても良い。

 私はとんでもないメモリーやグラボがあるコンピュータに過ぎず、それを扱っているのは一般人、凡夫たる私に過ぎないのだ。

 たとえ単純な脳性能は私に劣るとは言え、使用者が優秀な千空の方が今回の事態の解決に向かうなら優秀である。

 

 私の両親を目覚めさせるかとも思ったが、正直今起こしたところで2人は何もできないだろうし、文明をある程度再興できたあとにすることもしよう。

 幸いなことに、両親は実家にいる。富士山の噴火に巻き込まれることもない位置である。よほど不幸なことでも起きない限りは後からも目覚められる位置だ。そもそも遠いし起こしにも行けないが。

 両親の位置は、まだスマホのGPSが生きているからこそわかるものだ。これらの機器類も三日ほどで使えなくなると考えた方が良いだろう。インターネットはいつまで使えるのか。電気はいつまで使えるか。水道はいつまで。考えることは多い。

 

 そんな問題も千空がいればあらかた可能だろう。千空の優秀さが際立っていく。

 

「ということで、ちょっくら広末高等学校まで飛ばすかな。heyそこの石化したお兄さん、バイク借りるよ。多分返せないけど」

 

 跨りかけていたお兄さんを道路の隅に寝かせ、私はバイクにまたがる。今世ではバイクの免許を取ってはいなかったが、前世の感覚はいまだ顕在で十分に操縦が可能だと直感で理解した。

 ヘルメットもお兄さんから回収し、何ならバイク乗りのコートなどもお兄さんから拝借する。許せ。どうせ本来なら風化して朽ちていたのだから。

 

 フルフェイスのヘルメットも装着し、前を向く。

 突然の石化による運転の乱れによる悲惨な事故が多数起こっていた。自動運転による安全性もいまだないこの時代では、突然石化すればこうなるのも当然だろう。

 道路の状況としては最悪に近い。しかし、幸いバイクが通れる隙間というものはある。ジグザグ走行にはなるが避けていけば問題ない。

 

『ブォン、ブォンブォン、ブォォォォン!!』

 

「よし、それじゃ相棒。いくとしますか。まぁ盗んだバイクだけど」

 

 スマホによればここから高校までは30分。道路状況からして4倍かかると考えた方が良いだろうか。死んでも死なない体とは言え、安全運転大事である。

 いや、歩道が空いているではないか。時間短縮といこう。

 盗んだバイクで荒廃する世界を走り出す。こういう希少な体験が漫画を描くに当たっての引き出しを広げてくれるのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 途中見かけた宝石屋に侵入する。そして奥の方に行き、いずれ使えるかもしれない白金を回収した。これは仕方がない。そもそも今は司法も何もないのだから許せ。

 仮に司法が残っていたとしても、日本法37条の緊急避難によって私は無罪だ。多分。

 

 ついでに警察署にもより、ポリスメンたちからいくつか拳銃をもらっておいた。数発練習もしたが大体慣れたのでよしとしよう。そもそも使い方はハワイで親父に習ったし。

 漫画以外にはかなり高い才能を保有しているのが私である。いずれ、日本は動物園から脱走したライオンなどが野生にかえる。拳銃でどれだけ抵抗できるかはさておき、あって損はないだろう。

 私の場合、素手で抵抗しようとしても一頭が限度だろうし。これでも上澄みだとは思うが、つくづく司の異常性に気付かされる。

 その後もさまざまなものを漁りに寄り道していれば時間は歩道など比較的良い道を通ったにもかかわらず2時間を記録している。途中飛行機が墜落していたから迂回したということもあるが。

 

 

 15:30。お菓子どきの時間帯。私はさまざまな荷物をバッグにバイクを広末高等学校の校門の真ん前に停める。

 

 さっさと歩みを進め、横目に大樹がゆずりはを庇う姿を眺める。たしか原作では緑色の石化光線からゆずりはを庇う前に前に出たが、しかし貫通する石化光線を前になすすべがなかったのだったか。

 今は用がないので校舎へと入る。

 懐かしい出身校に想いを馳せながらも理科室へと歩みを進める。その途中で告白を眺める千空を発見した。

 

「……この髪の毛はどういう構造をしているのだろうか。いつか漫画の参考にみせてもらいたいものだ」

 

 率直な感情を抱きながらも理科室へと足を踏み入れる。回収しておいた鍵を使い薬品などが保管されている理科室準備室へと足を踏み入れた。

 今回求めているのは二つ。エタノール、そして硝酸。あとはフラスコ類など調合に必要な器機。何を作るかといえば、当然復活液である。エタノールと硝酸、それを一対一の割合で作る工業用でもなかなか見ない硝酸が高割合となっているナイタール液だ。

 

 わざわざコウモリの糞からできるのを待つ必要もなくすぐ硝酸は手に入る。ブドウを踏んで水などと共に発酵させてエタノールを得る必要もない。やはり理科室は素晴らしい。

 

 あとは一対一で無水エタノールと硝酸を丁寧に、事故を起こさないように混ぜ合わせ復活液を再現する。普通に危険なものなのでこぼしたりしないようにしよう。お姉さんとの約束だ。

 

 一応テストとして途中に拾ってきた石化燕にかけてやれば、石化燕はたちまちその身を石から本来の姿へと変え、飛び立っていく。これで問題はないと頷き、そのままそれを千空の頭へと注ぎかけた。

 

 

 

 ——————

 

 

 

 

 動けねえ。

 緑色の光が当たった瞬間には五感の全てが遮断された。

 眠い。意識が落ちそうになる。踏ん張れ俺、今落ちたらどうなるか本当にわかんねぇぞ。

 耐えろ、考えろ。思考を進めろ。状況を出来る限り把握しろ。

 これまでの状況から推測するんだ。今こうなっている理由、どう考えてもあの緑の光だろうが。ならそれの発生源、原理、その結果今の俺がどうなっているか。

 発生源は、少なくとも俺から見てタワーの方角だった。

 原理は情報が少なすぎる。今はそれよりも他のことを考えるべきだ。

 今の俺の状態。五感がねぇのに脳の意識だけははっきり動いてやがる。眠たくなりはするが、それを除けばあまりにも普通に思考ができる。つまり死んだわけじゃねぇはずだ。

 肉体と脳の神経系に異常ができ五感と全て切断されたか?何がどうなったらそんなことが起きやがんだ。あの緑色の光は何を引き起こした。

 

 ……燕。あの燕か。石化した燕。仮に、あれが本当の燕が石化したものだったとして、その現象が人間相手にも怒った。つまり俺も石化したとかか?原理は全くわかんねぇし、なんで脳が動いてるのかとかも全くわからねぇ。

 推論をいくつか考えはしたが突拍子がない内容になる上に事実の確認のしようもねぇ。

 あの緑の光が元凶としては確実とすると、少なくとも俺以外の人間もなってるって考えるべきだろうな。そうなると起こしてもらうことはできない。

 

 

 

 

 

 

 まぁいい。今は意識があるだけでいい。なぜこうなったかは後だ。この先のことを考えろ。

 いつから、いつまでこのようになるかを確かめろ。意識だけが永続するとは考えられねぇ。いつか目覚めの時期は訪れるはずだ。その期間がどれだけかはわからねぇ。案がすぐ訪れるか、数日、数年、果てしない先かもしんねぇ。

 時間を把握しろ。俺がこうなってから何秒何分何時間経った。目が覚めた時、あれからどれだけ経ったか全くわかりませんなんてことにはなるな。

 数えろ、数字を。だいたい、ここまでで40分は経ってると仮定して。

 

 

 2400.2401.2402

 

 

 体感時間もズレてちゃこの秒数も意味のないもんになるが、指標にはなる。

 

 

 

 

 3652.3653

 

 

 

 あの燕が何日も石化したままだったこと考えるとすくなくとも数日はこのままか?だが本当に数日で解けるともかぎらねぇ。辛抱強く数えていくしかねぇなこりゃ。

 

 

 

 6782.6783

 

 

 

 記憶も忘れねぇように。たとえどれだけ時間が経とうと、目覚めた後に必要なのは科学だ。積み上げられてきた歴史を持ってりゃ、たとえゼロから始まることになろうが関係ねぇ。

 

 

 

 

 14116.1411な『ピシッ』っ!?石が割れるような音、なんだ、案外早く解けるじゃねぇか。

 

『パキパキパキパキ、ぱきゃぁぁぁぁっ』

 

「おはよう。石神千空。およそ14200秒ぶりくらいの目覚めじゃないかな」

「はっ、誰だテメェ……状況的に、俺を起こしたのはお前か?」




仮に3800年分の思考エネルギーを40分に圧縮したと仮定すると、思考の速度は常人の約5000万倍。

そんな思考をしたら通常、熱量が多過ぎて脳がプラズマ化するようです。
主人公は化け物のようですね。
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