光の戦士達の凶行   作:小説チーム・ハスタート

1 / 2
序章

 地球から遠い場所にある、M78星雲。他を疑う事を知らないウルトラ族と呼ばれる光の戦士達が、悪の宇宙怪獣たちと戦っていた。そう、ある時までは。

 超能力が使えるために、そのトレーニングにいそしんでいたりもしていた彼らだったが。ある日、地球から緊急信号が発せられた。

 誰かが助けを呼んでいるのだろう。…そう認識していた光の戦士は、すぐさま地球へと向かう事とする。…だが。その向かった先で出会ったのは…怪獣でも、宇宙人でもない。…"生身の人間"。…そう、巨大化させられた、生身の人間だった。

 緊急信号をそのままに受け取っていた光の戦士…そのうちの一人、ウルトラセブンは。様々なプロレス技や柔道技などをかけ。その巨大化させられた一人の生身の人間を追い込んでいく。その生身の人間も、ウルトラセブンにただただ一方的にやられるばかりではない。張り手や脛蹴りなどを活用し、如何にか反撃の一手には出ていた、のだが。終いにはその人間はあっけなく倒され。ウルトラセブンの技、エメリウム光線によって倒された。

 地球の一時的な平和は取り戻された、そう理解したウルトラ一族たちは、早々に立ち去っていく。…だが、それは…一つの国、日本という国の平穏を乱すこととなる結果になったとは。ウルトラマンたちは知らなかった。

 

***

 

 東京都、その都心に近い場所にある近未来的な建物の中に。青と赤を基調としたスーツに身を包んだ人間達がコーヒーなどを飲んで平和なひと時を過ごしている。…其処は地球警察隊、と呼ばれている組織で。地球外…いや、異界からの外敵に対する日本という国の防衛はもちろん、日本の災害に対する救助活動や被災地の支援などといったこともやっている組織である。…そんな組織に。異常ともいえる一報が入った。

 

「神峰靈夢総理大臣が、何者かに殺されました。」

 

 神峰靈夢。つい先ほどの選挙で当選し、そして総理大臣にまで上り詰めた、初の女性総理。…そして、日本という物を今までの総理大臣より格段に、大事にしていた総理大臣。そんな総理大臣が、殺されたというのである。

 地球警察隊総出で、その総理大臣が入院したという病院へと向かう。…だが、そこにはすでに…包帯で全身を巻かれてステレオタイプのミイラのようになり。むなしく機械音が鳴り響いている総理大臣の姿があった。

 医者なりに、手は尽くしたのだろう。だがそれが実ることはなかった。

 次の総理大臣を選ばなければいけない。…いや、それよりも。地球警察隊は、やらねばならないことがあった。…誰がやったのか。…その証拠と、犯人の推理である。

 あれだけの大けがを負っていた。だからこそ、凶器となりたり得る物は大がかりなもの。…だが、海沿いの町で大きな災いが起こったかのような跡があったこと以外、何も残っていない。…そう、そこはまさに、あたかも特撮物で怪獣と何かが戦ったかのような跡になっていたのだった。

 その一帯に住まう住民たちの救助、そして支援。それらの後に、残されたその跡地を地球警察隊は捜査していく。…それでもそこには何も残っていなかった。衣服の燃えカス、そして何本かの髪の毛以外は。

 その衣服の燃えカス、そして髪の毛は総理大臣自身のモノであると判明はしたのだが。その総理大臣に危害を加えたという犯人の特定にまでは至らない。

 あたかもそれは、深い深い迷宮に入ってしまったかのよう。…だが、ある日に地球警察隊が見ていたニュースに。その犯人、そして総理大臣は映されていた。

 突然の事に戸惑っているのだろう、左右を見渡している総理大臣。…高そうなスーツにその身を包んだその女性に、赤と銀色のタイツ姿の巨人が襲い掛かる。

 

「……あれは、ウルトラセブン・・・!!!?」

 

「なんだって!!!?」

 

 ウルトラセブン。地球警察隊に残されていた資料に記されていた。光の戦士という種族のうちの一体。…当時の地球は断続的に宇宙からの怪獣達からの襲撃を受けており。そのたびにウルトラセブンが現れ救ってくれたのだという。…その、ウルトラセブンが。神峰靈夢総理大臣に襲い掛かっていたのだ。その様は異種格闘技とも取れるかのようなさま。…ウルトラセブンはプロレス技や柔道の技などを駆使してその総理大臣に襲い掛かっており。最終的には、何やら光線のようなものを放ってその総理大臣を倒してしまう。

 

「…これは酷い…。」

 

「…神峰靈夢総理は、日本という国の事を思い身を砕いて頑張ってきたというのに…それをウルトラマンは…。」

 

 人類は、それまでウルトラマン…いや、光の戦士という物に対して、絶大な信頼を置いていた。…だが、それは今回の出来事で。もろくも打ち砕かれる。

 

「……ウルトラマン、いや、光の戦士に頼るのは、もうやめましょう。…やめにしましょう。奴らは、我々日本人を手ひどく裏切りました。…仲間ではありません。敵、なのです。」

 

 地球警察隊に流れる、重い空気。それを打ち砕くかの如く、金髪の男がモニターに映し出される。

 

『ヘイ、日本の地球警察隊!その様子だと、我が友…靈夢が死んでしまったようだね!』

 

「アルフレッド・ポーカー大統領…。」

 

 モニターに映し出された男の名は、アルフレッド・ポーカー大統領。今までのアメリカ大統領のそれとは一線を画す独創的な政治でアメリカを治めていた大統領で。日本の神峰靈夢総理大臣とも親密な関係となっていた。…なお、親密とはいっても親友のような関係という意味であるために勘違いしないでいただきたい。

 

『私は靈夢とは親友のような関係だった。だからこそ、私は彼女の代わりに復讐をしたい。…そう、日本でいう…カタキウチ、というのかな?それを我々にも手伝わせてほしい。…我が親友をむごたらしい目に合わせたモノには。相応の罰を下さないとね。』

 

「…ありがとうございます、ポーカー大統領。」

 

 ポーカー大統領からの申し出が予測もつかないモノだったのだろう。一瞬驚いたのちに。地球警察隊の面々は深々とお辞儀をする。

 それから、そう日が経ってない時。…ウルトラ一族のうちの一人が地球にやってきて、日本の軍隊の兵器やその基地にいた隊員たちを数人を残して襲ってきたというのだ。

 紀州と思思えるかのようなそれに、日本の軍隊は太刀打ちができず。一方的にやられるがまま。兵器はそのほとんどが破壊され、その基地にいた軍人たちも数人を残し全てが全滅。…壊滅的ともいえるような、被害であった。

 …だが、狂気ともいえるようなこのウルトラマンたち…いや、光の戦士の凶行は。まだまだ始まったばかりなのである。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。