此度のウルトラマンからの地球に対する襲撃は、M78星雲が仕掛けてきたものだ。…それを聞いた、地球警察隊の隊員たちは酷く驚いた。…それまで、地球警察隊を含め人間達は、ウルトラマンという物に対して全幅の信頼を寄せていたのだから。
それは、M78星雲が人間という物を裏切った、という事でもあった。年若の男性が、拳を震わせる。
「…M78星雲は、我々地球人を、見捨てた、という事ですか?…我々地球人に、戦争を仕掛ける、という事なのですか?」
わなわなと体を震わせる隊員。その隊員…金川勇吉は。背中に翼の生えたその恐竜の子供のような生き物に。問いを投げかける。…テーブルの上で日本の脚で立っている、おおよそ40センチほどの大きさの生き物は。年若のそのウルフカットの男性の方を見上げるや…小さく頷いた。
『ボクに対しては、別にそんなていねいな言葉じゃなくても大丈夫だよ。もっとフランクになってくれると、こっちも気持ちが楽になるかな。…それはそれとして。…M78星雲の事についてだけど…M78星雲全体がそういうわけじゃあない。…事の始まりは、ファリーム教っていう宗教がM78星雲の人達のうちの一人に布教を始めたのがきっかけだった。その一人はあっさりとファリーム教に嵌って、そのファリーム教の考えを広めていったんだ。』
おおよそぬいぐるみくらいの大きさの恐竜の子供のような生き物が話す出来事。それを聞いた後。こんどは樹代が問いを投げかける。
「…宇宙怪獣よ、…そのファリーム教という宗教が、今回の事件と同関わり合いがあるというんだ?…聞いている限りだと、ウルトラマン…光の戦士達と何のかかわりもないような気がするのだが…。」
『…そのファリーム教というのを布教した者っていうのが、まず曲者でね。…ファリーム教の教えという物を酷く捻じ曲げて、M78星雲の人に教えたモノだから…さあ大変。君達が今言った、光の戦士が出動するために必要な信号にも細工をして、ファリーム今日の教えに染まった者は…豊かな環境を持つ星である地球を襲わせた。…もちろん、ファリーム教はそこに対する対策もばっちりだったんだ。…抵抗してくるであろう者…そして、守ろうとするであろう人間。…それらを事前に調べ上げ、襲撃させた。…地球という星にある宗教に対する興味が薄れるよう、その施設も…徹底的にね。』
樹代の問に対して、身振り手振りでそう答えを返す恐竜の子供のような姿の生き物。…その生き物に対して。顎に手を当てていた西瓜谷が問いを投げかける。…そう、地球を守り、抵抗してくるであろう人間。…その条件の中に、自分達も含まれているはずだったのだから。
「…おかしいよ。…なら、なぜ僕達は…除外されていたっていうの?」
なぜ、地球警察隊は…調査されていなかったのか。…それは、あることが原因にあった。
『…君達は、ウルトラマンという者に信頼を置いていたから。…神峰靈夢という人物は、軍事的な力を使って抵抗、そして守ろうとしていたから、優先的に狙われた。…君達は、ウルトラマンという物に全幅の信頼を寄せていたみたいだからね。…だからM78星雲の人達からは見逃された。…早い話が、ウルトラマンを頼っていたからこそ君達は除外をされていたようなものなんだ。…一般の人間達だって、同じ。』
西瓜谷の問に帰ってきた答え。それを聞いて、地球警察隊全員が…口を真一文字にとじる。
…確かに、この場にいる全員…怪獣が地球を襲撃してきた際はウルトラマンを頼り、隊員のうちの一人が、必ずウルトラマンとなって怪獣達を退治してきた。…しかして今回は、そのウルトラマンが、敵に回ってしまっている。
「それなら、これから私達は…怪獣達を信用して行けばいいという事なのですか…?ウルトラマンを信用せずに、怪獣達を…。」
蝶谷優美が、どこか心配そうな様子で、その恐竜の子供のような姿の生き物に問いを投げかける。…それに。その恐竜の子供のような姿を持つ生き物は。少しの間を持った後に…その頭部を縦に振る。
『今、何かに縋りたいっていうなら…宇宙からの怪獣達に頼るほかない。…もしも君達が、ウルトラマン…光の戦士達に武器を使って対抗をしたいっていうなら…君達が標的になることも考えた方がいいよ。…ファリーム教の考えに染まっているM78星雲の者達は、抵抗しようとする者達を徹底的に潰してきているから。』
生き物からの言葉を聞いて、その場にいた全員が再び静かになる。
静かになること、どれくらいの時間がたったであろうか。樹代光一郎が口を開く。
「…亡くなった父親から、一つ話を聞いたことがある。…ウルトラマンは、"急激な気温の低下"に弱い、という事を。…それが本当ならば、ウルトラマンは…冷気系の攻撃に対して耐性を持っていないという事になる。…怪獣、…そのファリーム教の教えに嵌ってしまったというのは。M78星雲の者達で…そのモノ達が光の戦士達を唆した、と解釈していいか?」
『…そういう事にはなるけど…一体、何を考えているっていうの?』
「…だというならば。私が今から始めようとしている作戦には極めて好都合だと言えよう。…今まで私は、ずっとその考えに至ることを忘れてしまっていた。…その作戦を発動するのは、…恐らく今がいいころ合いであろう。」
そう言い終える樹代光一郎。その表情は、自信に満ち満ちたモノだった。