呪術世界と思って鍛えていたらまどマギ世界だった件について   作:きゅうりにや

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呪術世界と思って鍛えていたらまどマギ世界だった件について

「ふぅっ…」

 

気持ちをほぐすために息を強く吐く。今日は初めて大物を相手にしたあとで緊張状態がなかなか解けない。結界に隠れてるから感知曖昧で見つけにくいし、なんか鉄の輪を飛ばしてきたり手か足が長い式神みたいなの使ってきたりしてクッソ強かった。出来損ないのパッチワークで作られた少年みたいな悍ましい見た目。自然呪霊の皆さんは人型だったし特級だった可能性もある。

 

(最後はなんか中から長くて太くて生々しく変身して謎の白い液体飛ばしてきたけどアレもしや土着神…いや、忘れよう。黒閃と共にぶっ倒したんだから気にしない気にしない。そもそもここ長野じゃないし。そもそも聞いたこともない街だけど。呪術世界の街って現実準拠と思ってたけどこんな街もあったんだなぁ)

 

自販機で買った炭酸ジュースを飲みながら公園のベンチに腰掛け反転で戦闘中に治せなかった細かい部分を治していく。不思議な形の噴水を眺めながら頭の中では気の抜けたことを考えていても、呪力感知も気配感知もビンビンのまま治らない。いえ、あの、違いますから白い液体の媚薬効果とかじゃないですからね。催淫効果なんてないはずだし、そもそも当たってないし。

 

(今日はもう周りに呪霊居ないっぽいしこのまま気が鎮まるまでまったりするかぁ。中学卒業までに五条先生にスカウトされる展開あるかと思ったけど結局来なかったし。でも呪霊みたいなのはいるしなんなんだろうなこの世界)

 

転生してからはや16年。最初は呪霊的なものは見えるし呪力っぽいものも使える、さらには術式もあったので呪術廻戦の世界だと思っていたが、どうやら違うっぽい。じゃあどこだここって話になるから気にしないでいたが、あんなやべー奴が居たらさすがに自分1人じゃ無理だ。もう全部1人でいいじゃんは五条先生の特権なのだ。

 

(呪霊だとしてもちょっと様子が違うんだよな。今日のやつ以外の呪霊ってみんな見た目一緒だけどある程度強いし。Dグレのアクマ的な感じあるんかな?レベルだか等級だかが上がってなんかの能力得たとか?いやでもそれにしては雑魚が強すぎるしそれ込みでも今日の相手が強すぎる。間にもう1個か2個強さレベルを挟んでもいいはずだがこの16年でそんな相手見たことがない)

 

(……だめだわからん。とりあえずほっとくのはやばいしまた見つけたら滅殺していこう。これ以上考えても仕方ないから帰るか。目つぶってたら寝そうだし)

 

炭酸を飲み切ってえいやっと立ち上がった瞬間だった。

 

「初めましてだね。狗巻希」

 

声と共に急に背後に現れた気配に迷いなく振り向きざまの拳を放つ。前触れなく気配が現れたことからステルスかワープ系の術式持ち。しかも人間の言葉を流暢に喋れるなら一級以上の可能性。連戦だなぁやだなぁ今日が命日かなぁと思いつつまあやることは変わらない。大きさも小さく呪力感知にも引っかからないが初手で潰してから考えれば良い。今日のテンションなら黒閃出して一撃で殺せるかもしれない。ダメなら死なば諸共だ。ひとりぼっちは…寂しいもんな。俺も死ぬから一緒に死んでくれ。

 

「……は?」

 

相手を認識した瞬間、あり得ない存在の姿に戸惑い狙いが外れそいつの座ってる、先程まで座ってたベンチを粉々に砕く。視界に入ったそれは白い猫の様な生き物だった。胴体ほどの大きさがあるデカい尻尾。長いのと短いの2個ずつある耳。いや、長い方はリングがついていてその先がピンク色に染まり先が分かれている。腕かあれ?なんかソウルジェム抜き出す時に使ってたし。透き通った宝石の様な赤い瞳がこちらを見ている。その瞳に映る自分の顔が驚愕に染まっているのが見えた。白い悪魔ことインキュベーターやんけなんで???

 

「挨拶しただけなのに野蛮だなぁ。急に殴りかかってきて危ないじゃないか」

 

急激にまどマギの記憶が脳を駆け巡る。魔法少女、ソウルジェム、魔女、円環の理、コネクト。この世界ってクラリスの曲もしかしたら探せばあるんか?杏子が音ゲーで遊んでたもんな。まどマギ世界でコネクト聴けるならオタク冥利に尽きるわ。

 

「拳に魔力を纏っていたね。どうして男性である君が扱えているのかな?」

 

やべ、現実逃避してた。この世界って呪術廻戦の世界じゃなかったんですか?来るべき両面宿儺との戦いに備えていたのに備えなきゃ行けなかったのは天変地異の大災害だった?流石に現代兵器あんだけぶち込まれても死なないワルプルギスとか戦いにすらならないし。とりあえずこいついるなら座ってもええか。魔法少女にしたい奴がいる時以外に姿現してる時はだいたい安全だろ。

 

「狗巻希、君は一体何者なんだい?」

 

呪術世界だと思ってたのにまどマギ世界だったとかマジか〜。でも諸悪の根源であるインキュベーターいるなら確定だけどさぁ。なんか名前知られてるし。そうなると今まで呪霊だと思ってたあいつら魔女?今日戦ったやつも元魔法少女になるんか?え?じゃあ男根の魔女…ッテコト!?ありえないと思うけど描写されてないだけでそういう形の絶望もあったりしたんかなぁ。てかそもそも

「白い悪魔相手なら殴り飛ばして良かったんじゃね?」

 

「こちらの質問を無視したあげくに初対面で悪魔だなんて酷いこと言うなぁ。替えがあるとは言ってもロスであることに変わりはないんだよ?君には人の心とかないのかい?」

 

やべ、声に出てた。そんでもってうるせえなこいつちょっと寄せてくんな。禪院キュゥべえかよ。嫌だわそんなん。

 

「君が扱っている魔力だが、アレはどちらかというと魔獣寄りの力だね。かと思えば自身の怪我には魔法少女のような正方向の魔力で治している。新たなステージの魔獣なのかとも思ったが、君が純粋な人類であることは調べがついている」

 

魔獣!?!?アイエー!魔獣なんで!?ってことはあいつら魔女じゃねぇのかよ!でも今日の男根の魔女は結界に隠れてたぞ?今思えばアレって魔女結界だろ?なんで円環の理が回収できてない魔女がいるんだ?わからねぇ、俺は雰囲気で考察をしている……

まぁいいや!考察は今日疲れたし!キュゥべえの相手考えよ!

ぶっちゃけ少女じゃない俺にとってこいつはそんな害ある訳じゃない。今までたまたま遭遇しなかった魔法少女の対応の方が面倒になる。こいつ経由で知らせてもいいけど嘘はつかない代わりに情報の出し方がカスだから最悪魔法少女を煽ってけしかけてくる可能性もあるし。ふーむ、誤魔化すか。

 

「わぁ!猫ちゃん!喋ってる!可愛いねぇ!え?魔力?魔獣?全然分かんない!猫ちゃん意外とゲームとか好きなの?すごいねぇ!ぼくの名前も知ってるしすごい猫ちゃんなんだねぇ!」

 

純粋無垢な少年コミュ!これはいけるやろ!

 

「キミは……今更そんな猿芝居が通用する気でいるのかい?取引相手の種族相手にこういう言い方はしたくないが、こんなに愚かな人間もなかなか見ないよ」

 

ダメじゃねぇか!うるせぇよ!このキャラしか出てこなかったんじゃい!ここで引き返したら恥ずかしさで死ぬ。突き通すしかねぇ!

 

「だめなんだよー!愚かは悪く——」

 

「申し訳ないけど、茶番に付き合ってる暇はないわ」

 

「ヒッ…」

 

聞こえてきた声と後頭部に当たる硬い感触に思わず悲鳴が出る。暁美ほむらおるんかい!最初から出てこいや!宇宙人相手と同じ人間相手に感じる羞恥心の致死量は違うんだぞ!さっきまではギリ耐えてたのに、年下に聞かれてたと思うと恥ずかしすぎるわ!いっそ殺してくれ!

 

「そいつに答えたくないなら私から聞くわ。狗巻希、あなたは一体何者なの?」

 

遠くからいくつかの足音が聞こえる。見滝原の魔法少女が大集合するんだろう。

あぁ神様。なんでこんなややこしい世界に放り込んでくれたんでしょうか。いつのまにかそれぞれの獲物を構えたかつての推し達に囲まれながら今日何度めかも分からない現実逃避をするのだった。




なんとなく脳内設定

男根の魔女
かつて本当の自分を願い、本当の自分に絶望し魔女に成り果てた。出身は長野県。
願いは性転換。しかし、環境の影響や若さによる思い込みによって生じたものであり、自分の心は実は男性でなかったことに気がついた時に自身の肉体に悍ましさを覚えて絶望した。親友の女子に男性化してるのがバレて拒絶され魔女化。
円環の理に導かれていないのはそもそも魔法少女としても魔女としても認識されてないから。少女にして男性になることを望んだ時点で魔法少女の枠を外れたバグのような存在になった。魔女化したあとはさらに悪化し、世界に干渉することもされることもできずに彷徨うだけになった。
転生者であり、男性でありながら魔力が使える同じバグのような存在である主人公が唯一感知でき干渉できその孤独から解放することができた。
ところで魔女化した後の攻撃にふた◯り化する魔法とか使ってきたら薄い本が厚くなると思いませんか?薄くない本だったら肉体改造の痛みで動きが止まったところを物理でプチュンする感じになると思う。

もともとミシャグジ様モデルの魔女を出したかっただけでした。
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