「突然なんだけどさ、俺、食べ物の中でもキノコが一番好きなのよ。キノコへの愛なら誰にも負けない気がするのね。ってことで、俺とキノコバトルしてみない?」
「なんだよキノコバトルって」
「キノコバトルは、お互いに知ってる食用キノコの名前を言い合って、出てこなくなった方が負けのキノコ知識勝負なんだけど」
「なるほど、シンプルでいいな。じゃあそっち先攻でいいよ」
「よっしゃ来た。しいたけ!」
「えのき」
「まいたけ!」
「しめじ」
「まつたけ!」
「エリンギ」
「なめこ!」
「マッシュルーム」
「……………………えーと」
「えっ、ちょっと早くないか? 詰まるの早いな? クソ一般キノコゾーンしか通ってなかったぞ今」
「キノコにクソとか言うなよ」
「あぁごめんそんなつもりは」
「あ、思い出した。ヒラタケ!」
「はなびらたけ」
「…………あー」
「ね〜え〜」
「あ、ポルチーニ!」
「トリュフ」
「……それ黒? 白?」
「は?」
「トリュフって黒トリュフと白トリュフがあるから」
「え、じゃあ、黒?」
「白トリュフ!」
「せっこ! なんだこいつ!?」
「さぁお前の番だぜ」
「よくそんなデカい態度取れるな。タモギタケ」
「……アワビタケ!」
「お、やるな。じゃあ、キクラゲ」
「……え? キクラゲってキノコなの?」
「そうですけど?」
「嘘つけ、クラゲだろあれ」
「じゃあググッてみろよ」
「はっ、これで嘘だったら今日のキノコはお前の奢りだからな!」
「なんだよ今日のキノコって……」
「……………………どうやらなかなか博識のようだなぁ!」
「相手が正しかった時は素直に認められるいい子だ!」
「くっ、ってことはまた俺の番か。……あー、タモギタケ!」
「それさっき俺が言った」
「え、あっ。じゃあ、ヒラタケ!」
「それはさっきお前が言った」
「……………………ぐっ、おっ、でもっ、おれ、でもさぁ……! キノコ好きで、本当に好きで、毎日食゛べでで……! キノコ愛なら誰に゛も負けな゛いっで……!! 思って゛て゛……!! ……お前さぁ゛!? キノ゛コ毎日食゛っでんの゛がよぉ゛!? ちょい博識頭でっがぢ野郎がよ゛ぉ……!?」
「あ〜分かった分かった! 泣くなよこんなことで! な? お前がキノコ大好きなの分かったから。そしたらほら、キノコ料理のレシピとか教えてくれよ。俺全然知らないからさ」
「素焼゛きでじか食゛べな゛いがら゛分か゛んな゛い゛ぃ〜!!」
「愛が強すぎて!? じゃあもうお前の勝ちだよ! な!?」
「……やだ、キノコバトルで勝ちたい」
「あー……。よし、じゃあ分かった。ここからのキノコバトルは、キノコ関連の物ならなんでも有りにしよう」
「なんでもって……?」
「たとえば……じゃあ俺が手番もらうけど、キノピオ! マリオに出てくるやつ!」
「あ、なるほどそういうことか! それならいけるぜ!」
「よっしゃ来い!」
「ピノキオ!」
「あーそれはただの鼻が伸びる人形ですね」
「さぁお前の番だぜ」
「いやなってないなってない。ピノキオはキノコ関係ねーから無効よ?」
「なんでだよ。キノピオはキノコだろ?」
「あ? おう」
「ピノキオは響きがキノピオに似てる」
「だからなんだよ」
「キノコ関連のキノピオ関連のピノキオだから、キノコに関連してるでしょーが」
「お前そんなこと言い出したら「キノコが生えるから地球!」とかなんでもありだろ。ただの森羅万象・山手線ゲームになっちまうわ」
「あ、間接的な関連は禁止?」
「当たり前です」
「じゃあ、そうだな。きのこマン」
「いや誰〜」
「え、知らない? 地属性レベル2植物族、攻撃力800守備力600。ジメジメしたところで力を発揮! かさから菌糸を振り撒き攻撃!」
「知らねぇよなんだよそれ!? 遊戯王かなんか?」
「そうですけど何か?」
「ま、まぁ確かにちゃんとキノコ関連の物ではあるか。えー、じゃあ、マッシュルームヘア」
「キノコのランプ」
「なんですか今度は」
「どうぶつの森の家具だよ」
「知らねぇ〜。けどよかった、万物に「キノコの〜〜」を付け始めたのかと思った」
「さぁお前の番だぜ」
「1UPキノコ」
「巨大キノコ」
「もしかしてそれはマリオが取ると巨大化するやつですか?」
「そうですけど何か?」
「よし、マリオに登場するキノコを片っ端から言ってたらキリないし不毛だから、今後マリオ禁止な。で、次。マジックマッシュルーム」
「………………えーとね」
「ね〜え〜。お前のキノコ知識偏ってるって〜。なんかまだあるだろもっと、弱すぎるって」
「黙らっしゃい! あ、分かった、きのこの山!」
「キノガッサ。ポケモンな」
「……もしかして今後ポケモン系禁止?」
「察しがいいな。そうしてくれ」
「……………………ちなみにテレビで放送できない単語はダメ?」
「ダメに決まってんだろ! なに言おうとしてんだお前!」
「くっ……ダメだ何も思いつかない……。こんな時はあの歌に頼るしか……! キノコ♪ のっこのこ♪ 元気な子♪」
「あぁCMのやつな。でもそれもう言ったキノコしか」
「おいし〜いキノコがにょっきにょき♪」
「あっコイツ歌詞一ミリも覚えてねぇ」
「整いました!」
「なにが!?」
「タキィエノコ!」
「いや無理無理! 発音でタケノコをキノコにしようとしても通りません!」
「くっ……打つ手なしか……? あ、いや、そうだ! キノコを食べて過酷な環境を〜、生キノコる!」
「サルノコシカケ」
「死ね゛えぇぇ゛ぇぇ゛ぇぇ゛ぇ!!!!」
「うわ怖っ!?」
「サルノコシカケは実質「木」だからあんなもん!! 分類がどうであろうと! 木!」
「ドクツルタケ」
「うっ」
「カエンダケ」
「うぐっ」
「ドクササコ」
「うぅっ……! なんかよく分かんないけどたぶん全部毒だろそれ……! なにバトルに勝つついでに毒でもトドメ刺そうとしてきてんだよ!」
「いやもう面倒になってきて」
「食べるの好きだからキノコ好きだって言ってるのに、毒キノコなんか覚えてるわけないじゃんかぁ〜!! う゛ぅ゛〜!!」
「いや食べるの好きでも毒キノコは見分けられるようにならないと、キノコ狩りの時危ないだろ」
「あ〜助けて〜! 正論が俺を襲ってきます〜! 毒きのこマン正論タケです〜! 耳から毒が入ってきて心の健康を蝕みます〜!」
「あ〜うるせぇなぁもう……。あのさ、今度キノコ好きなだけ買ってやるから機嫌直せよ。な?」
「マジで!? まいたけ2袋でもいい?」
「いや機嫌直るの早いし謙虚〜」